きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

津和野にてセミを生き返らせること

2017-05-28 23:10:49 | シリーズ:あれは何だったのか
 そういえば以前、夏に出雲に行き、帰りに津和野でSLを待っていた。
台風が来る前の湿った空気が肌を取り巻いてきて、非常に不快だった。
もしも、駅から出て水路のコイを見に行ったりしている間に、汽車に置いていかれては困るなと思ったので、むしむししたホームのベンチに座り、飽きっぽくそこら辺のものを突いたりして遊んでいた。
 
ふと見ると、ホームにセミの死骸が落ちていた。
 
コンクリートの上では暑かろうと思ったので、地球の一部となってもらう計画で植え込みなどを探していると、
一緒にいた娘が「足が開いてるセミはまだ生きている」と暗い目をして言うので、
えっ?でででは何とかした方がいいのかな!?と妙な義務感にかられ、
とっさに飲んでいたペットボトルのお茶をセミのまわりに円形に撒いて
「よみがえれ~よみがえれ~」と変な即興のかけ声とともに見守り、
 
10分置いてセミを裏返し、意味ありげに羽の付け根にお茶を一滴垂らしたら
(セミ)「ジジジ・・・バサバサバサ」 突然元気よく飛び立って行った。
自分でやっておいてビックリしたが、気分はもうナウシカ。
さぁ!森へおかえり!
 
きっと科学的には、まわりに水をまいて気化熱で徐々に温度を下げ、
可動部分(羽)に潤滑剤(お茶)をかけた、ということなのだろうけど、
見ている方は不気味な術だと思っただろうな。
 
セミ好きな方はお試しあれと言いたいところだが、
そこで死ぬべき命を、自分は邪魔したのかとか、後でいろいろ考えた。
出雲パワー恐るべし。
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デニス・レヘインの探偵ものが映画化してたのを最近知って慌てて観た

2017-05-22 14:44:06 | 書評
 現代のアメリカで、ギリギリ不自然でないハードボイルド。
愛しき者はすべて去りゆく(Gone, Baby, Gone)が映画化されていたことを知り、楽しみにウキウキDVDを見てみたら、配役が学芸会のようで悲しかった。
パトリックは、センスの良いアンジーがそばにいてくれるから、荒んだ世界でもやっていけるんだろうなと思ってた。
本では、アンジーはオリーブ色の肌って書いてあったから(え?緑?)、見た目はきっと歌手のアリーヤみたいな、ちょっとエキゾチックな魅力のある芯の通った女の人だろうと、勝手に想像していた。
 
実際は・・・
 
まず、主人公の探偵パトリック・ケンジ―:
きっとニヒルなジム・キャリーみたいな飄々とした人物なのだろうと思ってたら、出てきた役者は大学生かと思うくらい頼りなくて、この人が路地裏の闇を知っているようにはとても見えなかった。
 
相棒の探偵アンジー:
生活につかれたような30代のアメリカ白人女性。
 
そして、主人公の友人で武器商人のブッバ・ロゴウスキー:
迫力がぜんぜん足りない。ハリーポッターのハグリッドのような人だと思ってたのに!
その内山くんブッバが、バーに入って行く姿は危なっかしくてしょうがない。
  
 
原作の邦題はどれもカッコ良すぎるが、最終話のムーンライト・マイルだけは、そのままの題名になってる。
「月が照らす道」か、「月に照らされて」、もしくは「闇に生きる」というのはどうかと思ったら、他の作品の題(Live by Night)で「夜に生きる」という言葉は使われていた。
結局、暗黒世界を生きているんだね。
 
Darkness, Take my Hand(闇よ、わが手を取りたまえ)
黒魔術みたいでちょっとキザっぽいけど、原題がそうなのだから仕方がない。
A Drink Before the War(スコッチに涙を託して)
これがウォッカでは切実なアル中だ。「戦の前のこの一杯!」では傭兵みたいだし。とにかくすばらしい意訳。
Sacred(穢れしものに祝福を)神聖な、としか言ってないところに最初に穢れを持ってきてそれを祝福したら、最終的には聖なるものになりそうで、なるほどなぁと感心した。
 
これでモーガン・フリーマンが出ていなければ、ホントに自主製作みたいだと思う。
ストーリーは面白い。アンジーが飛び込む場面は何度見ても好きだ。
だからパトリックは、アンジーとずっと一緒に居るのだろう。
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新緑のさわやかな季節にドグラ・マグラを読んで(課題図書)

2017-05-13 18:39:23 | 書評

 なぜそんな本を読もうと思ったのか。文豪ストレイドッグスを見た娘から渡された。前から有名で、読んだ人は気がふれてしまうとか言われてたから、よし読んでみようと思ったけど(どうしてそう思ったかは不明)、そんなにおどろおどろしい内容でもなかった。

きっと、前評判がすごすぎて、「読んだだけで気がふれるのなら、もしかしてあんな内容かも?いいえ、もっとすごいこんな内容かも!?」と期待?しすぎたのかもしれない。

以前、すごく面白いと思った京極夏彦の新刊が、ずっと出てなくて別の用事で行った図書館で見かけてうきうき借りてきて読んで、最後のシーンで「あれ?これ読んだわ!」となって、無人島に持って行きたいと思ってた作家の本を、以前に読んだことを忘れていたとは!って愕然とした。

前に読んだ時に忙しい時期だったのかもしれないし、そこから新刊が出るまでずいぶん時間が空いてたし、と色々言い訳を考えてみても、自分は記憶力が良い方だと思っていただけに、題名すら覚えていないことがショックだった。内容がつまらなくなったとも思えないし。

何の本を読んだか忘れないために備忘録をつけ始めたが、それこそがドグラ・マグラの怖さの神髄ともいうべき状態なのかもしれない。ブログの記念すべき第一回に、この本を選んでしまったのは何かの偶然だろうなっ。ハハ

https://bookmeter.com/users/767067

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