さぁて、最初は樹木の観察ツアーだ。これに間に合うように朝早く出てきたんだ。むふふ。入り口で聞いたら(係)「奥の方です」 行ってみたら午後の部の案内しかない。市の職員みたいな作業着がいたので聞いたら(職員)「あの、あっちに見える端の方のドームの向こう側」
敷地の反対側に走って行ってうろうろしていると(スタッフ)「アイヌの踊りを見てみませんか?」 (きの)「植物を見に来たんです」 (スタッフ)「このツアーが始まるまで時間がある。まだ間に合うから見てって!」 (きの)「えぇ?」 (スタッフ)「おーい。最終尾でーす」 奥の(スタッフB)「最終了解―!」 待って、まだ見るとは。(スタッフC)「ウェーイ」 真っ暗な舞台そでに引き込まれて手近なイスに座るとすぐに幻想的なステージが始まる。
先住民族の文化や価値観には興味があるし、ここまでやって来ておいて言うのも何だが、小さいころからあの紺の模様が怖くてたまらない。どうしてか知らないが心がザワザワする。木彫りの民芸品やみっちりしたトーテムポールもダメだ。昔は都内の繁華街に北海道を模した居酒屋があったと思うが、その薄暗い山小屋のような内装が怖かったのかもしれない。それが急に前列の席で目の前いっぱいに出てきて踊るので、荒療治なのか、そのうち見慣れてきて多少大丈夫になってきた。
見た目は、ネイティブ・アメリカンは胴体が分厚くて、見たらすぐわかるのに対して、現代のアイヌの人たちはそんなに彫りが深いわけでもない。多少ふくよかな女の人達がいるくらいで、そこらへんを歩いている人と変わらない。みんな大柄だなぁという印象も受けない。若い(女性)「私は食べることが大好きで、私のアイヌ名は『ホルモンを食べる女』という意味です」 どういった命名法だ?
歌は、う~ん。なんというか、もっとネイティブ・アメリカンの酋長はウェ、ウェ言っていたような気がするな。似てないのかな。Łやフランス語のRのような特徴的な発音があるわけでもないような。(歌)「♪それから、それから・・・はいては、履いては、掃いては・・・ほろわー、フォロワー」 Follower? う~ん。今のところ何とも言えない。
終わって急いで飛び出すと、植物案内の看板の前に蛍光ジャンパーを来た職員が立っていた。素早く合流。他に人影はない。(きの)「あの、案内がうまくいっていないと思いますよ。向こうに行ったらあっちに行けと言われたり」 (係)「改善します」 そんな状態ではもう来ないと判断したのか貸し切りの状態でスタート。
案内役は、アイヌ名で小さいから「PON」さんだそうだ。悪口にはならないのだろうかと思ったが、ネイティブ文化圏にも「気にならなくなるまで私たちも愛情を込めてそう呼ぼう」という考え方があるから、一概には何とも言えないのかもね。(PON)「今からクイズを出しますからアイヌ語で答えて下さい」 急に難題を課してくる。
最初は柳のクイズなどをしていたが、貸し切りをいいことに聞きたかったことを聞く。(きの)「20歳の時におばあちゃんに買って帰ったオンコとエンジュという木で作った茶筒が割れた。やはり本州の気候と合わなかったのだろうか。あれは一体どんな木だったのか。」 その木が生えてる場所まで連れて行ってくれることになった。(きの)「ほう、これがエンジュ。固そうですね。マメ科ですか」 (PON)「良くわかりましたね。ハハ」 うざい奴が来たと思っているだろう。
そして最終的にオンコは(きの)「あ!これ知ってる。Juniper とか Yew ってやつでしょう」 アメリカのアパートの玄関横に生えていた針葉樹だ。手すりを作るとかで切られてしまったが、この赤い実覚えているぞ。そして(きの)「これ毒では?しかもまわりの実の方は食べれて中の種は毒っていう」 (PON)「そうです。腫瘍の薬を作ります」 話が合うじゃないか。しかし、そんな情報どこで知ったのだろう。いつ何で知ったのか忘れてしまった。日本名はイチイの木らしいが、オンコがこんな身近な植物だったとは。
湖から流れ出す小川を覗くと小魚が。おぉこんなとこにも。先を争うようにしなやかな動きで水の中を泳いでいる。ウグイかな。ヤマベ(オイカワ)かな。大変満足して早めの昼食に向かい、混み合う前に店に入る。昼食はオハウ定食と決めてある。他の店のジビエは苦手。
アメリカで、知り合いがハンティングで仕留めてきたという Deer のシチューを食べたことがある。煮込むとほろほろ崩れていく感じが牛肉に似ているが、食べている最中にアナウンスがあるのはその後の食欲に影響するので、早めにお知らせ願いたい。ここはやはりオハウ(鮭の鍋)だろう。というかもうこれしか食べれる自信がない。ただの鮭のポトフだろうし。
中3~高1の頃、鮭に凝っていた。他にも中国、サボテン、ロウソク(家の中で火を焚く)など、当時興味のあることはたくさんあったが、食べ物ではサーモンと牛肉とオレンジジュースという輸入の代表格のようなものが好きだった。特に銀鮭はお茶漬けにするといちいち天を仰いで海の恵みに感謝するほど。鮭が登って来れないと聞いて本気でダムを憎んでいた。
それを知ってか知らずか、父が会社の北海道旅行で荒巻鮭をまるごと1匹買ってきた。さっそく自分が包丁を持ち出し、お茶漬けに丁度いいように一切れずつ切り分けようと申し出た。ところが鮭の予想外の大きさに苦戦し脂がまいて思うように包丁が動かなくなり、調理場はもはや事件現場のようになって気分を害した母はどこかに立ち去った。
そうしてできた固まりを一切れずつ大事に冷凍室に送りこみ、時間をかけて休日の朝などにじっくりと味わってみたが、そんなに天にも昇るような気持にはならなかった。なんか生臭い気がする。スーパーで売ってる銀鮭のサラッとした感じがあまりなく、なんというか・・・こう、保存食だからかもしれないが土の中から出てきたミイラのようなホコリ臭さがあった。オハウ定食を食べていて、ふとその時のことを思い出した。鮭は好きだが荒巻は好きではないと確信した。
付け合わせのかぼちゃのサラダ?のようなものはおいしかった。スープの味付けも塩のみだし、野菜なんてほとんど皮もむいてないワイルドさだが、気にしない。しかし、箸休めの小魚! ねぇこれさっき泳いでなかった!? うそぉぉぉなんかすごいショック。高校生の時、飯能の名栗川で釣ってきた川魚を玄関に置いた120cmの水槽で飼っていたので、お友達を食べるようでものすごく抵抗がある。しかも3匹が大きさ不ぞろいでそこがまたいかにも近所で獲ってきたっぽい。
あまり食べれない食べれないと騒いでも良くないし、残すのもますます良くないので、なるべく見ないようにしてそっと口に入れ、噛まないようにしてハスカップソーダで飲み下す。これはオイカワを食べた人ではなく、オイカワを飲んだ人だ。川に入れば間違って小魚が口に入ってしまうこともあったかもしれない。歯でガウガウ齧らなければ、あまり自らの意思で食べようとした風にはならないんじゃないか。数秒間の内に詭弁を用いて自らを納得させ、素早く完食して立ち去る。もうオハウの味なんて忘れた。
次はコタン(村)の見学だ。4棟並んだ藁葺きの屋根に近づいて熱心に造りを見る。真ん中に長方形の囲炉裏があって、実際に火が燃えている側で民族衣装の男性が何かを小刀で削っている。奥の方の東側に祭壇と神聖な窓というのがあって、神様が来るから人間どもは気軽に外から覗かないようにという注意書きがあった。なるほど神道とは逆だが決まった方角があるのか。行こうとしてやめた慰霊施設も地図上ではあの窓の先だったな。
床は板張りで、しかも住宅街のフローリングのよう。入り口に下駄箱があって集会場?その床がじんわり暖かいが、まさかこれ床暖房!?京町屋の一棟貸しや、合掌造りで知られる白川郷も床暖房になっていると聞いた。本物の伝統的家屋では冬場は居られないのはわかるが、ここにも観光地プロデュース的な合理性が押し寄せていようとは。
祭壇がじっくり見たい。どうもあれは五月人形などに付いてくる足のある容れ物(櫃というのか)に似ている。意匠も全体に派手で、平安時代に日本にあったものをハワイとかの陽気な人々が再現したらこうなる、という感じがした。囲炉裏のおじさんに聞いてみた。(きの)「これらは写してもいいものか。だってこれ祭壇なのでしょう?」(民)「さぁ別にそれほどでも。ただ大事なもんとか置いてるだけだから」 だからそれを祭壇と言うんだろう。2枚ほど撮影。
その内観光客が入ってきて、奥に吊るしてあった鮭の皮のクツについてからかうようなことを言い合って笑っていたが、その男性は黙って手を動かしていた。
民族博物館の予約が迫っている。午後1時からの列に並び、中へ。服や食器、木を削いで作った祭礼の器具が並んでいる。ふぅん、神道の「幣」に似ているな。けど、本州のこれに似ているという評価は別に嬉しくないのかもしれない。資料映像のビデオを見ていると途中から車いすの婆様が押してもらいながらやってきて(婆)「このピンクのうちの爺さん」 えぇ!?関係者?中に三ツ星マークが描かれた服を着てる人がいる。あの老舗のお菓子屋さんも ∴ だった。
(婆)「これが最後のイオマンテ(クマ送り)。この時さすがに泣いたわー」 すごい証言だ。見てると村人が滑稽な動きでオモチャのような矢をやわやわと当てている。あれにはフグなどのしびれる毒が塗ってあるのだろうだから、本人(?)もわからないうちに気が遠くなっていっただけだろうと思う。うっかり子熊が獲れてしまった時の苦肉の策だから、怖がらせないように陽気な感じにしているのかもしれない。それほど闘牛的な感じではなかった。
今回のこの新しい博物館を建てる時には、なんとアイヌ式の地鎮祭をやったそうだ。映像を見ると雪の中で藍染の木綿のような着物一枚で手足が出て寒そうなのだが。どうも南洋の島々の感じがする。さっきも植物案内で、PONさんがこれで服を作りますと言うから(きの)「防寒はどうなのでしょうか」と聞いたら、(PON)「これは暖かくはない。でも毛皮がありますから」とのことだった。
女性が集まってワァワァ言いながら太鼓を叩いている歌は、非常にアメリカ先住民と似ていると思った。北米の居留地で行われるPowWowという、地元の大きな盆踊り大会のような祭りでは、伴奏は男性ボーカルで終始その高音は疲れるだろうと思っていたが、女性がやるのなら無理がない。
博物館の後はコタンで講習だ。分刻みのスケジュール。途中ですれちがった係員に(きの)「この部屋はどこですか!」 (係)「あの建物です」 (きの)「ひぇぇ」 ブーツをつっかけたまま走る。何をそんなに真剣になっているんだろうという解せない表情で教えてくれたが、こっちは1日しかないんだ!
博物館で土産を買いトイレに入ろうとしたらコートにカメムシが!そのまま出て入口へ向かう。(警備)「どうしましたか」 (きの)「カメムシが」 ドアの外の木に止まらせ戻ってくると(警備)「ありがとうございます」 自然界の代表かな。そういえば、さっき土産物店の人もファイルですき間に入った個体と戦っていた。
伝統芸能とトークは、今日は天気がいいから屋外ステージでやるらしい。芝生に置いてあるパイプ椅子に座って待っていたら、武将の陣中羽織のような衣装の男性が現れて地名の紹介などをしていく。たまに前列の小学生にクイズを出したりしてデパート屋上のイベント感が増してくる。女性たちの踊りはさっきドームで見たので見慣れている。
写真は写さないでおいた。ネイティブ・アメリカンの、特に年配者は写真を撮られるのを非常に嫌がる。魂が抜けるとは思っていないだろうが、興味本位の視線に晒されるのが嫌だということなのだろう。アイヌの人たちはどうか知らないが、もし嫌だったら困るので記憶に留めるだけにした。
そのうちゆりかごを出してきて、ただものではないオーラの婆様が登場。抱えてきた小さい人形をゆりかごに寝かせ、そばに裸足でペタッと座って♪ホロロロロロという、どういう発声法かわからないがフクロウのような子守唄を聞かせてくれた。最後に(オジ)「この赤ちゃん人形は前の博物館の時から使ってる。彼は32歳。」よけいなこと言わんでよろしい。
続いて、弓矢の実演。朝のカヌー実演も見たかったが時間が合わなかった。残念至極。民族っぽい輪っかのピアスをしたアイヌの若者が出てきて弓矢の説明をしてくれた。客の方に矢が向かないように配慮しながら実際にクマの絵を描いた板の狙った部分を撃って見せてくれる。
それにしても、ずいぶん作りがしっかりしていないような。あんな小さなものでクマを倒せるのか?ふぐとかトリカブトの毒を塗るから威力は関係ないのか。今は勝手に弓矢を作るのは違法だそうだ。(若)「その代わり警察に届け出るんです。こういうの作ったら見せて、俺がやった!と」 堂々としている。毒を塗る猟も禁止されてしまったそうだ。
コタンで口伝の語り。こちらも若者。親を亡くした兄弟が山奥に逃げて暮らす物語。なんとこの若者はテープに残っていた音声から学んだとか。そのテープに吹き込んだ声の主のお婆さんとは会ったこともない!しかもテープはこの話の途中までしかなく、兄弟がその後どうなったのか誰にもわからないらしい。そんな。太宰の絶筆を読んだ時ぐらいビックリした。
そこへ(係)「あの、貴重品の入った荷物を全部下駄箱に置かれても私たちでは管理できませんので」 (きの)「えへへ」 なんかなじみの集会場的な感じがして、どうも。
しばしベンチで休憩の後、意気揚々と上着を羽織って次の講習に向かおうとしたら(背中)「ビリィッッ」 (きの)「!!」 どうしたことかお気に入りのコートの裏地がビリビリに裂けてどうしようもない。なぜこんなことに。耐用年数が過ぎていたのか。15年ほどしか着てないのに。あれ?普通そんなに着ないのか。しかしね、寒冷地仕様なんだよ。L.L.Beanがメイン州とかのマイナス20℃の中でも快適に過ごせるって言うから買ったのに。やはり洗濯機で洗ったのが良くなかったのか。普通のコートが猫の耳の厚さなら、このコートは柴犬の耳なんだ!ああああもぅ。くそう。そぉっと腕を通してギクシャク歩きながら夕暮れのコタンに向かう。
またしても子守唄。さっきの興行主のようなオジさんが(羽織)「あれ??さっきも・・・」という顔をしていた。いいじゃないか。何回聞いたって。夕日がまぶしくないように左側の太陽を背にした席に腰かけ、またホロロロロを聞く。終わって(羽織)「撮影もいいですよ」 観客と記念撮影している。アトラクションとかテーマパークという言葉が、ふと浮かぶ。
婆様が近づいてきた幼児に(婆)「もっとこっちいらっしゃい」と言って呼び寄せていた。子供が好きなのか。その割にステージに上がろうとしたら(婆)「神聖な所だからだ~め」とやんわり断っていた。みんなで歌うわけにはいかないのか?
さっきから辺りにコリアンダーの匂いがする。湖を渡る芳しい風だと思っていたが、よく考えたらさっきのカメムシだな。コリアンダーはメキシコ料理のサルサにも入っていて、自分は嫌いではないというかむしろ好きな方なので気にならないが、もしかしたらすれ違う人にカメムシ野郎呼ばわりされているかもしれない。カメムシ臭は遺伝で好き嫌いがすぐに決まってしまうらしいから、嫌いな人にとっては嫌なんだろうな。
晩飯は白老牛。頼んでおいてフードコートのテラス席に出て荷物とリモコンのような機械を置いたまま奥の湖畔寄りの場所でオシャレなハーバー風の景色を盛んに写真に撮っていたら(アルバイト)「あの、これ・・・」 持ってきてくれた上に申し訳なさそうな顔で所在なげに立ち尽くしていた。礼を言ってトレーを受け取り、(きの)「外で食べてもいいの?」 (バイト)「・・・どうぞ?」 この寒いのに物好きなと言わんばかりにそそくさと中に入っていった。こっちは歩き回って暑いんじゃー。
暮れていく夕陽を眺めながら食べる。さっきから遠くに見えてるあの原発みたいな台形のもの何でしょうか。しかもたまに湯気出てない!? 人工物なのか変な形をした山なのかわからない。最後の最後にシアターで「近代のアイヌ」という現代アートの映像を見る予定で、意気揚々と一番前の席に座り、途中からどうにも起きていられなくなり寝てしまった。何のためにスケジュールを組み時間まで調べて入って行ったのかわからない。
その後も窓辺に火が灯るコタンに行ったり、しばらくベンチで夜景を眺めていたら日が完全に沈んだあたりから蚊が出てきた。こんなに寒いのに蚊?刺されることはないが、あきらかに飛び方がふらふらして蚊だ。北海道にはゴ〇ブリがいないと聞くが、これも蝦夷蚊などという本州とは違う種類なのだろうか。まだ閉館時間まで多少あったが、全ての物を見たので名残惜しいが早々にお暇することとしよう。
本当はもう影だけになった1本立ちの針葉樹をいつまでも見ていたいが。
新しくできたチロル風の駅に戻り、切符を買う。ベンチに座って伝統模様の自販機などを見ていると、後ろで1人でゲームをやって奇声を発している人物がいる。駅員は、と見ると奥の方にいて気づいてない。非常に怪しいのでこの場を離れたい。しかし、改札は閉まっている。駅員に(きの)「ホームに出たい」 (駅)「ダメ。貨物列車も来るし。危ない」 山陽本線なんか毎分毎秒走りまくっているぞ。(駅)「頼むからここに居てください」 こんな危ないとこ居れるか!駅舎を飛び出し外へ。
何だか知らんが規定通りにあの怪しいやつでも守っていやがれってんだ。出たはいいが、真っ暗で何もないしタクシーもいない。なぜか他に居たもう1人の会社員までついてきた。やはり気になるか。そのまま会社員は迷った挙句セブンイレブンの方角に消えた。ベンチで待つこと20分。改札が始まったという放送が流れてきたので構内に入って行って(きの)「今なら入っていいんですか!」 (駅)「向かいのホームです」 イライラ。なんなんだよ、もう。疲れているのかもしれない。
ホテルに帰ってまた夜景を楽しむ。スマホで撮影しようとするが、 夜景はうまく写らない。早く寝たら早く起きたので早朝の街を撮影。今度はうまくいった。ヒマなので宿泊アンケートに記入する。(きの)「スモークサーモンなどの洋食を作る技術があるなら北寄貝でクラムチャウダー作ってよ!」 それなら食べれるかもしれない。
アンケートに、さすが暖房はセントラルヒーティングと書こうとして確かめるために手をかざしたら、全く点いてないことが判明した。壁にあるリモコンの「運転」と書いてあるボタンを押したら、天井近くの通気口からブォ~ンと動き出した音がして風が送られてきた。旧式のリモコン画面に何か文字が表示されていたから、動いているのだとばかり思っていたが、オンにするにはここを押せということだったらしい。おとといから部屋に居て寒いと思ったこともなかったが、どうやって暮らしていたのだろう??これが噂に聞く2重窓の効果か。そもそも2重だろうか。コンコンやってみたがわからなかった。
高校の友人は拝島近くの高層マンションに住んでいた。ひっきりなしに西武線が行き交う線路の真上で、何も騒音が聞こえてこないばかりか、12月に暖房もなしにソファーでうたたねしたと聞いて、自分は集合住宅では暮らしたことがなかったから、にわかに信じがたいなと思っていたが、高層ビルというものは気温が安定しているのかもしれない。
朝食を終え、そういえば実家の電気料金の支払票に珍しい北海道のスタンプ押してほしい、というか期限が今日までなのを出かける前に発見し焦って持って来たのがあるので、コンビニを探して朝からうろつく。ホテルの横を歩いていたらさっそく見つけたぞ Yew! 発音は「い~ぅ」みたいな「いぇう」。辞書的なものにはユーと書いてあるが違う。Yen(円)を、「えん」じゃなくて「(いぇ)ん」みたいに読むあれだ。
(きの)「綺麗だなぁ」 下からジーっと見上げる。赤い実が鈍く透き通ってすりガラスみたいだ。あまりむしってもよくないから、大事に3個だけしかも下に落ちているのをもらってきた。どうやらあのウルシ似の街路樹はナナカマドという木らしい。ナナカマドという名前の店をよく見かけるが、何か重要な木なのだろうか。
ホテルに戻ってチェックアウトし、売店が開いたので王子スモークサーモンとハスカップのジャムを買う。手術をしたばかりだというイトコにアイヌの不老長寿の妙薬を買って帰ってやろうではないか。そういうあやしい理由からではなく、ビタミンがブルーベリーの3~10倍らしいから実際に体にはいいだろう。ここのは併設レストラン御謹製で高品質らしい。
普通のもあったから(きの)「どうちがうのですか」 (店)「原材料が3つだけ。果実とレモンと砂糖。普通はゲル化剤とか入れてジャムっぽくする」 皮が薄いからペクチンがないのかな。(きの)「朝食に出てた果実ソースは赤くてサラサラしていた。すると高品質の方だったのか。」 (店)「さぁ・・・私よく知らないので。すみません」 正直でよろしい。特製を2つと自分用には普通のを買ってみた。
次は老舗の菓子屋「三つ星」だ。ホテルを出て製紙工場のエビのような煙突を見ながら駅に向かう。この辺にあるはず。あったあった。見えてきたが開店前なのでそこらをぶらつく。店の外の花壇にハスカップの苗木のようなものが植わっていた。(きの)「・・・地味」 思ったより地味。妙薬こんな地味??今は実も生ってないしネームタグがなければ雑草かと思う。何の特徴もない。枝はブルーベリーに似ているがこれが平原に生えてて見分けがつくのだろうか。もっと特別なベリーには特別な葉っぱがついてると思ってた。大ビンを買ってそそくさとバッグにしまいこむ。荷物はガラス製品でいっぱいだ。 北国の遅い朝日を背に駅へ。
どうも荷物がガチャガチャして重いので駅の3階分の大階段を登る気になれずエレベーターに乗ってみた。降りたホールにホームレスが寝ていた。珍しく若者だ。ipodのようなもので音楽を聴いている。 駅の通路の壁のあちこちに描いてある苫小牧のマークは(きの)「なんだこれ?」 黒ずんだ二枚貝が舌を出しながら船のオールのようなものを持っている。メロン熊よりは怖くないが可愛くない。
まさか(きの)「ほっきー!?」 急に合点がいった。
ここの名産はずっとキタヨリ貝と読むのだと思っていたが、ホッキ貝?だったら聞いたことがある。なるほど、アイスホッケーのHockey(ホッキー)と北寄をかけたのか。そういえば屋内スケート場もあった。
札幌に向かうのでSuicaも使えるだろうと思い、券売機で特急券だけ買った。しかし、考えてみるとこの2つでどうやって自動改札機を通るのだろう。Suicaをピッとやって直後に続けざまに切符を入れる?機械は同一人物だと認識してくれるのか?それともただSuicaを当てた人と次の特急券だけを入れた別の人??駅員に聞いたら特急券にスタンプ押してくれた。乗って車掌が来たらカードと切符の両方を見せるようにと。
改札の案内に沿ってホームに降りると、駅の雪かきアルバイト募集のチラシが。夜の11時~朝まで!?そうか、雪かきしていないと積もってしまうんだ。そして凍ったところに車輪のついたスーツケースごろごろの浮かれた観光客がやってきては次々と滑り、そこに貨物列車がゴオォーッ。確かに危ないな。暖地は草刈りしないと埋もれていってアンコールワットのようになってしまうが、北国も大変なんだな。
特急すずらんの札幌行き1号車の1番前の席に座り、壁から出ていたミニテーブルに言われた通りSuicaと特急券を置いて沙汰を待つ。しばらくして後ろから車掌がやってきたが(車掌)「みなさんご利用ありがとう」 というようなことを言って一礼して去っていった。(きの)「せっかく用意したんだから見てほしい」 ぶつぶつ不平を述べていると(車掌)「ガラッ。今から切符を拝見」 わあぁぁ。今の「ため」は何だったんですか。
よく考えてみると、ホームの行き来ができるのなら普通の切符を買って特急に乗り込む不埒な輩もいるのではないか。だから直前に改札を始めることにより防止しているのか。景色は何の変哲もない住宅街ばかり。昨日の北海道特有の牧場地帯の感じは全然ない。昨日写真でも撮っておけばよかったのかもしれないが、窓の外を見るので精いっぱいで写すの忘れた。しかもこの特急なぜか暴風雨にでも遭ったように窓に水滴の跡がいっぱい付いてて写しても窓の汚れにピントが合う。
札幌に着いてタイヤぎゅゎぎゅゎの地下鉄南北線ですすきのへ。目指すはすすきの交差点。「探偵はBARにいる」の舞台だ。(きの)「おぉここが。ついに来た(感動)!」 大交差点ね。さぞかし賑わいのある喧騒のるつぼと言ったところか。期待を胸にNIKKAウィスキーの看板が出ているススキノビルディングの地下から上がって行ってみる。ここが(きの)「・・・うん?」
なんか思ったよりも小さい。
渋谷の交差点ぐらいあるのかと思ってたが。しかも車がいないのはどうしたことか。記念写真を撮ったらやたらに人間だけが大きく見えてガリバーみたいで納得できない。(きの)「まったく。時計台といい、これだから観光地は!」 わめきちらしながら不敵な顔で写っているその人コート破れてますから。
二条市場へ。下関の唐戸市場のような近代的なドームだといいなっ。(きの)「・・・これは」 入り口の看板がなぜか紫に黒で漫画に出てくる幽霊のセリフのような書体で書かれているし、細い路地に積み上がる発泡スチロールの箱、箱、箱。本当に業者の人とかが買い付けに来る所ではないのか?どうにかこうにか店を見つけて入る。この店は夕方5時からと書いてあるのに中で飲んでる人がいる。(ドア)「ガラッ」 開けてみたら開いた。(きの)「この店やっているんですか?」 などという強烈に失礼な質問はしない。
ここで海の幸を満喫しようと思って道中で魚は食べていない。海鮮丼と、注文の前に確認。(きの)「今日の味噌汁200円って何が入っているのですか?」 (店)「とろろ」 (きの)「へ?」 (店)「・・・・とろろ昆布」 (きの)「あぁ!じゃそれで(ヒソヒソ)トロロという魚がいるのかと思ったんだ」
そのうち他のテーブルに(店)「すみませんねー材料の魚売り切れてしまって。150円でどうです?」と言ってまわってる。 違います。嫌味で言ったのでは。だってね、写真は何かの貝殻が味噌汁の両側から突き出てるし。今日は大サービス北の大地の大ぶりな牡蠣が!!とかね。ホラ、気になるじゃん? 素材は新鮮なのだろう。巨大なホッケの一夜干しが出てきて、イクラは大きくて頑丈でなかなか嚙み切れなかった。
店のカウンターに飾ってある縦長の巻貝の貝殻(きの)「これは何ですか! これ何ていう名前の貝ですか?」 (店)「つぶ貝。つぶ。つぶ。」 ぶっきらぼうな店主が教えてくれた。店を出て市場をうろつく。毛ガニをいっぱい売っている。さっきのつぶ貝もあった。ここは苫小牧ではないが、もしかしたら北寄貝も(きの)「あんなに大きいの!?」 巨大な茶色いハマグリ。これが一面に乗った丼。ぜったい無理だ。食べれそうにない。貝殻は欲しいが。(娘)「昨日コンビニの駐車場に落ちてたよ」 なぜ??
市場からTV塔へ。川岸の木々を見ながら通って行こうと思ってスロープを降りて行ったらベンチにホームレスが2人いた。昨日からやけに多いと思うが、大都市の証のようなものなのか。しかし北国はさすらうには寒すぎる。ホームレス対策として街路樹を果樹にしたらどうか。よく熟れたクルミやパイナップルをもいで帰るといい。真に豊かな社会ならばできるはずだ。それか1回300円程で道を聞くとか。よく知ってると思うぞ。
TV塔は、微妙に古そうで大阪の通天閣と同じ気配がした。札幌の街並みを空から眺めて次は時計台へ。地図を見て決めたこのコース。上から見たら時計台の位置が見えるかと思ったらビルばかりでどこだろう。売り場の人のいい姉ちゃんに聞いたらレジそっちのけで熱心に教えてくれて地図までくれたから、申し訳ないのでスナック菓子などを買い、荷物だらけになって市役所の裏へ。この列何だろうと思ったら今日は選挙だ。前に来たときは勝手知ったる友人が最短ルートで連れまわしてくれたので、微妙な位置関係がつかめていない。
時計台は小さい。しかしここはやっぱり北海道の基礎なのでどのくらい小さいか実際に見ておかなければならない。屋根に赤い星があった。開拓のシンボルだそうな。同じ五芒星でも戦時中の弾避けとは違うのかな。裏に回るとジェラートの旗が出ていたので、ハスカップのアイスないかなと隣の複合店舗のような建物に入って行きイタリアンの店の入り口で(娘)「持ち帰りでアイスください。」
紙のメニューはさんざん時間をかけてそこらの引き出しを探し回った挙句、ないからって細長い店の奥の壁際に飾られた黒板のメニューを見に入ることになった。ほの暗い店内の遠く離れた壁際にかかった薄れた板にオシャレな文字で(きの)「ドルチェ、大人のプリン、メイプル紅茶のクレームブリュレ、イチジクの赤ワイン煮、氷点下の生チョコ、まじめなカタラ~ナ??・・・ああ、こっちね。ピーチください」 ものすごい凝ったアイスだと思ったら他のデザートの種類だった。アイスの分は横に小さく書いてあった。ドルチェって何だよ(怒) イタリア語はわからない。 時計台を裏から見ながらそこらへんの花壇の手すりに座ってアイスを食べる。枯れ葉に秋の深まりを感じる。
次は親戚オススメの赤レンガ県庁。長期工事中だったはずが、オリンピックで急遽中断したらしい。内装なども見てみたかったが、時間がなく、このまま駅へ。ところがどこかで道を1本間違えたらしく、一向に駅に着かない。ビル街をさまよい、気づくと辺りのビルが低くなっている。これはおかしい。
高架があった。電車が猛スピードで走って行く。(娘)「サッポロは主要駅だ。通過する電車はない。駅に停まろうかという時にあんな高速で突っ込んでくるわけない。あれは駅を出た電車では?」 ということは、駅を通り過ぎてしまったのか。あきらかにそっちの方向に向かっていて、あんなに大きい札幌駅に出会わないことなんてあるだろうか。
荷物が重い。ペットボトルが2本とガラス瓶が4つ入っている。迷うと途端に気力を消耗する。針葉樹の街路樹を眺めながら高架をくぐり、(看板)「高島屋」 高島屋はだいたい駅ビルだ。高架をくぐり裏からビルに入る。どうも不思議だが、県庁を出た後メインの通りだと思っていた太い道路はただの入り口に向かうまでの脇道であった。それを間違えたために後が全部1本ずつずれて、絶妙な角度で駅をよけて回り込んでしまった。もう北海道広すぎるし、ビルばっかりで見えないんだよ!
駅にやってきて気付いた。しまった。小枝ちゃんのよすがをスーツケースに移していない。昨日コタンに行って帰ってきて疲れて寝てしまった。こんなとこでスーツケースのヒモをほどいて開けて詰め替えたりできない。苦肉の策で土産物の中に入れることにした。なぜかは分からないが、検査場の人は業者が包んだようなものについては全般の信頼を置いているようだ。
数年前久しぶりに飛行機に乗った際、ホテルでもらったミネラルウォーターの瓶を2本入れて帰りの羽田で検査に臨んだ。今考えれば液体は検査対象ということは分かるのだが、その時は久しく乗っていなかったので、そんなルールができたのも知らなかった。
機械を通した(検査官)「ん?・・・これ液体ですよね」 (きの)「そうだ」 固体ではない。希少な黒部ダムの水を手ずから持って帰り家で待っているアカヒレにあげたい。(検査官)「しかも2本・・・まぁでも密封シールしてあるし」 解せない表情で返してくれた。持ち込むということは機内で全部飲むつもりだと思われていたのだろうか。例え密封シールがしてあっても下の方に穴を開けて入れ替えることだってできるのでは。まぁ旅行帰りに土産物満載でジャックする輩も珍しいとは思うが。
なんとか3時前に駅に着き、飛行機の時間も迫ってきているので急いで改札へ。案内に空港行きと書いてあったのでそのままエスカレーターでホームに上がって行って(きの)「千歳空港ここでいい?」 (駅員)「ちがうちがう。小樽空港に行っちゃうよ!」 わぁぁん。まぎらわしい!また下がって上がる。なんとか乗り込みひと段落。着いて1時間もあればキャラメルも買えるだろう。
着いたらどうしたことか大混雑。土産物屋に人があふれデパートのバーゲンセールのような殺気でジャガイモなどを買いあさっている。それを手で下げて持って帰るのか? 1周しただけで嫌になり、手近な店ではキャラメルも骨付きソーセージも売ってない。出発時刻が迫る。表示板を見ると「最終案内」となっていた。あれ?まずいかも。慌ててチェックイン。さてと、保安検査場はどこかな。
幼い頃、お盆に離陸予定を15分も過ぎて飛び込んでくるサラリーマンの姿をよく見かけた。この休みにご苦労なことだとは思ったが、あれがバブル時代の企業戦士というやつだったのだろう。おそらくチェックインさえしてしまえば乗せてくれるという目算があったが、しかし昨今の冷たい航空会社ではどうだろうか。考えながら走る。
アナウンスでは、優しい口調であと5分以内に保安検査を通過しないと乗せてあげませんよというようなことを言って脅してくる。係員に場所を聞いて走り込んだところまたもやブーツを脱いでくださいときた。(きの)「いいい今っ?」 疲れもあってか般若のような顔で振り向く。ブーツで一体何をするというのか。振り回して小突いてやろうか。と、どこ吹く風の(職員A)「一律」 くそっ。
放送で名前を呼んでいる。(きの)「嗚呼、呼ばれてしまったよ。」 打ちひしがれたボクサーのような気分で出されたパイプイスに座る。(職員B)「じゃあ、こうしましょう(検査証)ピッ。これで大丈夫です」 ありがたいがまだ何も見ていないじゃないか。ただのブーツを脱いだだけの人だ。
かすかな希望を頼りに気を取り直してゲートに進み、最後の仕上げが濃紺の包装紙に包まれた四角い箱が並んだ透明の袋を手渡す。(きの)「これグラスです(笑顔)」 (職員C)「ひぇぇ割れ物注意です」 (職員D)「割れ物でーす」 (職員)「割れ物ー」 中身はアイヌ模様の土産コップだが、全体の下から1/3ほどの所に手を添えて渡しただけで、別に小樽・北一硝子の高級ワイングラスセットだとか言ってないよ。
おかげで中身などもはやどうでもよく、割れるかどうかが最大の関心事となり、横倒しにして詳しく調べられることなく無事通過。しかしね、ガラスを持って乗る客もかなり怪しいと思うぞ。割れば鋭利な刃物だ。ブーツよりはな!!
続いて横暴旅行社が持っていたペットボトルが問題になり(係)「開いていますね。調べてもいいでしょうか」 (娘)「はぁ」 一口飲んでみるのか?と思いきや横にあった機械にセットし、光を当てて(係)「ピッ・・・ハイ大丈夫です」 今ので何が分かったんだ?光でどこまで詳しくわかるのだろう。可燃物かどうか?透過率なのか。ドロドロのミネストローネなどはどうだろう。検査の結果ウーロンチャですねとか言われたらすごい。
帰りもANAだが、往きの機体と違ってなんだか手狭な2列の席にギュウギュウに押し込まれ外も見えずに大層不満。暑い。息苦しい。夕方だし、みんな大阪に帰るのだろうか。だったら大型機を出してくればいいだろうに。途中で近くの席の男の子がトイレに入ったまま出てこなくなり、乗務員同士でメモや身振りでドアを両側から叩くパフォーマンスを見せてくれた。なんだろう。と思っている内に伊丹に到着し、夜ご飯を食べてバスに乗ろうかという時に救急車が来ていたが、どうしたのか。
暗い中をひた走り二条駅に着いてバスから降り、京都のとろろ芋のような湿った空気を浴びて(娘)「あー北海道に帰りたい」
??
翌日イチイの実を食べてみた。手近な紙に包んでポケットに入れてきたが、つぶれて赤い汁が染みていた。こんなものを持って乗ってくる人の方がよっぽど危険だ。この麻の実のような小さな種5個前後が致死量なのでシキミよりもすごい。
期待した果肉のお味は特においしいとも思わなかった。ねちゃねちゃして種からうまく外れないところもすっきりしなくて嫌だし、あの魅力的なフチがグミのような口当たりだと勝手に想像していたが、別にそうでもなかった。植木鉢に植えて発芽の機会を待つ。小さな赤いベルがたくさんついた木が生えてくるといいな。
返す刀で今度は西国へと赴き、西へ東へ忙しい。宮沢賢治みたいだ。11月だというのに暑い日差しに照らされて、庭の雑木を切りまくり日焼けする。知人が山ほど実ったからとくれたレモンやドラゴンフルーツの実を抱えて、北の大地のソーダ水のような澄んだ空気を思い出す。
もうすぐクリスマスだ。
そして、時々あの駅で聞いた君が代のようなメロディーが頭に甦ってくる。