きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

今までで最悪の旅行

2018-03-25 20:35:26 | シリーズ:私が悪いのか??
うどん屋で昼飯を食ったら、旅行が当たった。
 
 以前もチャンスがあったが、その時は小枝ちゃんの具合が慢性的に悪かったので、
他人の名前を書いて出した。
あの時の、午後の日射しが窓辺の小物に反射してるのを見ていた
寂しい気持ちを思い出し、
 
「ちょっとリベンジに行ってくる」 
 
家族に言い残して、無謀にも一人で出かけた。
 
 当たったのがうどん屋だから、押しの強い中年女性ばっかりだったら
どうしようかと思ったが、
意外に若い女性が多く(しかも一人旅)、カップルも1組いた。
何たら言う有名な石だらけの渓谷で紅葉を見た後、スッポン工場の見学に向かう。
 
 着いて食堂の準備ができるまで、ここでお待ちくださいと言いながら
女性店員が生きたスッポンの甲羅をつかんで、
宙に掲げながら商品の説明を始めた。
話の途中で、たまにスッポンが首を伸ばしてきてかみつかれそうになりながら、
熱心に効能について語り続けている。
(店)「まず1号炉に入れて煮ます。次に2号炉で数ヶ月熟成・・・」
 
 話を聞いている内に、急にここは何だか良くない、
すぐに帰らなければという気がしてきた。
今の話の中に詐欺的な要素があったのか?
カメを煮ている話ばかりだったが。
霊感もないのに、どうして急にこんなに不穏な気配がするのか。
こっちが具合でも悪いのかと思いながら見ていた。
 
 そのうち、これどこかで見た、このシチュエーションは何かと同じだと思ったが、
何と同じかわからないまま、引き続き話を聞く。
デジャブだろうか。
郊外の建物にバスで次々と運ばれて来て、
来た順にその集団はいくつかの部屋のうちのひとつに案内され、
並べてあるイスに座って説明を聞き、次の工程が空くのを待っている。
遠くで大きな機械が回る音。
 
わかった!葬式だ。これ斎場のパターンに似てるんだ。
 
 しかし、大勢を次々に捌くには、この方法が効率がいいからなんだろうな。
きっとそうだ。そうに違いない。
ここの社長の前職何だろうな。
 
 
 やっと食事の準備ができたというので、食堂に行ってみる。
スッポンは食べたくないから、スッポン以外を注文した。
広い食堂で、200人以上がいて、
縦に並んだ長いテーブルに次から次へと料理が運ばれてきて、
個人用の鍋の固形燃料に、火が点けられていく。
 
 食器が色の薄いプラスチックで、なんだか病院のようだなぁと思いながら
焼いた豚肉を食べていると、
向かいの別グループのオバさん達がヒステリックな声で話しながら
(オバ)「おいしい!!」 途中途中で連呼している。 
冷たい人参の天ぷらがおいしいとか口々に叫んでいるが、本当か。
自分達を励まし合っているだけじゃないのか。
本当にそう思っているのなら、かなりの手練れだな、フフ
とか思いながら食べるでもなしに、
遠くの壁に貼ってある横長のポスターに書いてある、
お品書きのような文字をぼんやり見ていた。
 
 「ここの料理には全てに以下のものが入っています。
何とかの水、なんとかの野菜、あれ、これ、何とか、かんとか、・・・・」
ズラズラ書いてある。左の最後の方が段々席から遠ざかっていってるので
まったく読めないが、
 
もしかして、最後の方にスッポンエキスって書いてあるんじゃないのか!?
 
 そう思ったら急に食欲が失せ、何も食べれなくなってしまった。
自分でもびっくりしたが、何て繊細な人間なんだ。
 
 どうしたことか、よだれが口の中にいっぱい出てきて飲み込めない。
本当に食べれない。
 
 今まで、カゼを引いた時でさえムシャムシャ無神経に食べまくり、
出された物を残したこともあまりなかった。
食べれない場合どうしたらいいのか。
小学校の時に、カレーの鶏肉の皮が食べれないと言っていた安田なんとかちゃんは、
教室に残されて食べるまで帰っちゃダメとか、担任のイジワルババアに言われていた。
担任そんならアマゾンの部族に行っても、お前は出された巨大イモムシの蒸し焼き完食すんだろうな?バーカ!!と思いながら放って帰ったが、まさか!!
 
 食べるまでここから出れないんじゃないだろうか。
いやだあぁぁ。ヒイィ安田なんとかちゃん置いて帰ってゴメンよぉぉ(もうパニック)。
 
 しばらくうつむいてお茶をすすっていると、全体がさあ行きましょうかという雰囲気になったので、
一緒にさりげなく立ち上がろうとしたら、そこで向かいのおばはんが気付いて、
ナイスタイミングで大声で叫んだ。
 
(オバ)「ちょっと!あなたまだ食べ終わってないじゃない!!」 
 
 うわあぁぁごめんなさいぃぃ。頼むから黙っててくれ。
今日だけは見逃してくれ~。
周囲の大注目を浴びながら、しかしここでおどおどしては押し切られるような気がしたので、
落ちついた笑顔で(きの)「えぇちょっと今日は・・・ホントに、どうもごにょごにょ」
という、通夜の挨拶のようなことを堂々と言ってごまかしたが、
生きた心地がしなかった。
 
 今まで行った旅行の中で、塩山の上を行く、
忘れることのできない一番恐ろしい旅だった。
スッポン以外の温泉や紅葉めぐりなどは楽しかったが。
同行者は比較的良い人が多く、その中で知り合った人と今度お花見に行く予定だ。
 
 
 今年の目標ができた。タフな人間になること。
そう思って、それから早朝トレーニングを強化した。
体力面もそうだが精神面が大事だ。あんなことで負けてはいけない。
最終目標はスッポンでお代わりできるぐらいタフな人間になること。
しかも笑顔でお代わりだ!
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うた恋を読んだ

2018-03-18 19:34:36 | 書評
 うた恋というアニメを見た上に、マンガも読んだ。
さぞかしドロドロしているのだろうと思ったが、そうでもなかった。
歌を詠む旅行に3人で出かけようとなったところは、西遊記みたいで面白かった。
ただ、全員名前と見た目が似ている上に、時代が急に前後するので、
はっきり言って話の繋がりがよくわからない。
 
 帽子が脱げたら、現代で言うズボンが脱げたぐらい恥ずかしいという、
その時代の常識も、新鮮だった。
しかし、一番衝撃を受けたのは、第1話を見て、じゃあこの人が主人公なのねと思っていたら、
次の週あたりで急に時代が変わってて、
その人はずいぶん前に病気か何かで、早くに亡くなっていたことを知らされた時だった。
 
 えっ!?今までこの人の立場に立って物語を見ようとしていたこちらの意気込みは、
どうなる!
意外性があって、その時代の命の儚さが実感できるのかもしれないが、
どちらかと言うと、作者に裏切られたような気持ちしかしなかった。
 
 
 CSIという科学捜査番組の一番最初も、オンタイムでTVで見ていたが、
ちょっとショックだった(ネタバレ)。
サイコパスに出てくるみたいな新人の一生懸命な女の子が、
1話目の終わりで、さて来週も頑張るのかなと思いきや、急に死んでしまった。
主人公は実はそいつの上司の小太りのおっさんで、
次週からは彼が大活躍!と言われてもねぇ。
 
探偵が犯人だったとか、そういう意外性もあまり好きではない。
スパイ映画も皆で嘘をつきまくるだけなのでキライだ。
 
 
話の枠組みは一つがいい。
 
 
 
 小さい頃、新所沢のパルコの映画館はハシゴができた。
今はどうなのか知らないが、よく小学校の友人と特に見なくてもいい映画まで見ていた。
見れるとなったら見ないと損な気がして、隣の部屋の上映に身を滑り込ますのだが、
そもそも自分たちの見たい映画を1本見終わったあとなので、
時間的にも遅くなるし、小学生が暗い部屋で映画を立て続けに2本見るのは、
テンションの持続にちょっと無理がある。
 
 子猫物語という、子猫が出てくる実写のムツゴロウさん監修で、
小泉今日子ナレーションの映画が見たかったので、見に行ったついでか何かで、
「うる星やつら」の映画をやっていたので、それも見てしまった。
うる星やつらは荒唐無稽なSFで面白いが、
たまに商店街の夕暮れのようなもの淋しい描写があって
(漫画のサクラ先生の登場回なんて場末のスナックみたいだ)、
それがすごく怖かった。
 
 短編集だったのか、何個か違う話が続き、
最初のキツネの話もあまり楽しくなかったが、
次の、主人公の諸星あたるの母親の独白(?)のような、
白昼夢が繰り返す話が不気味で、
起きても起きても夢の中というような、終わりのない合わせ鏡の構造が恐ろしく、
こんな世界はいやだと悲しくなってしまった。
 
 せっかく出かけたのに、雰囲気はぶち壊しだし、見なければ良かったといっても、
見ようと言い出したのは自分で、あの時はすごく嫌気がさして後悔したが、
また半年後に、同じパターンで「ヤング・シャーロック」という、
ホームズの少年時代の映画を見てしまい、
イギリスの建物は重厚で暗くて、
なにやら秘密結社のコーラスが、もう最高潮に恐怖を煽ってきて、
ムンクの叫びもかくやという世界観の映画だった。
 
 「ひどい!ミイラにするためだけに、キレイな人の一生をぶちこわしにするなんて!」と
暗い気持ちになり、
さらに映画が終わって、最上階にある非常階段のような出口から出たら、
冬であたりは真っ暗で、どこまでもネオンが続く所沢の街並を見下ろしながら、
本当にこの世の終わりのような気分がした。
 
 それが決定的だったので、それから高校生になってクラスの可愛い子とエイリアン3を見るまで(どうしたチョイスだ)、その映画館には行かなかったが、
何の話だったか…そうそう、
自分が一つだと信じてた世界の外に、もうひとつあると思うのは恐いですね、
という。
 
アラビアン・ナイトみたいに、これは入れ子構造になっていますよ、
と最初からわかっていればいいのだけれど。
 
 近年だと、デスクトップいっぱいに1画面を広げる人がたまにいるが、
テレビならいざ知らず、
パソコンだとその後ろに何枚ウィンドウが隠れているかわからないので、
自分が使う時には、わざとずらして複数の画面の端が見えているようにしてある。
 
世界はそれで全部だと、一応信じて使っている。
 
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電車の酔っ払い

2018-03-11 09:23:18 | シリーズ:あれは何だったのか
 娘の塾の帰りに、電車に酔っ払った会社員がいた。
こんなものすごい酔っ払いは新宿によくいたが、地方のローカル線では珍しい。
乗ってる時は、そんなに目立たなかったのに、降りてからがすごかった。
 
 乗客全員が見守る中、ホームで突然ギクシャクとおかしな動きをしはじめて、
ほうっておくと電車の方に前のめりに突っ込んでこようとするので、発車できない。
駅員が止めようとするが、振り切ってホームを歩き回り、
なぜか自分達が座ってる座席の窓の外まで来て、そこを定位置と定めたのか、
ラジオ体操のような運動に励んでいる。
 
 隣に座った娘はその喧騒の中、ひたすら本を読んでいた。
気付かないなら、気付かないままでいてほしい。
大仰に振り返って見たりして、やたらに目を付けられてもいけなからな。
世の中で、酔っ払いほど手におえない者はいない。
 
 しかし、こっちは笑いをこらえるのに必死だ。
真の酔拳マスターは、持っていたビジネスバッグを今どこかに放り投げ、
渾身のロボット・ダンスを始めてしまった。
 
 向かいに座っていた母親に連れられた幼児が、無邪気な声で
(幼児)「ねぇ、おかーさん。あのおじさんどうしたの?」
(きの)「くくっ」
やはり人生の初心者でも気になるか。どうしたんだろうね。
きっと何かのタガが外れたんだよ。
(母親)「・・・(無言)。」 黙ってその子の膝をなでている。
 
 それでも幼児は止まらない。聞こえてなかったと思ったのか、
さらに大きな声で、
(幼児)「ねーあの人何ー?」
(母親)「うん、まあね。クツ脱ごうか」
さりげなく話題を変え回避。
 
 その間も(運転手)「危ないですから下がって!!」
(酔)「ガーッ!!」
もはやゾンビ映画の様相を呈してきている。
 
 (幼児)「ねーあのおじさん・・・」
(きの)「ふぐっ」 どうしたのか、こっちが知りたいわ!
たのむから、そいつを黙らせてくれ。
 
 しばらくして、車掌が酔っ払いをどこかに連れて行って、
その隙に発車(どこに置いて来たんだろう?)。
次の駅に着いて電車を降りて、高校生たちと
(高)「何だよあのおっさんー」(きの)「はははは」 笑い合っていたら、
 
(娘)「何が?」 すごい集中力だ。
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数年ぶりにチョコパイを買った

2018-03-10 19:00:00 | シンクロニシティー
 先日、ふと思い立ってチョコパイを買った。
自分は甘いものが好きではないので、
チョコパイを自ら買おうとするのは、10年に一度くらいだが。
その日の夜、親戚のFacebookの投稿で
「今日は母の命日!大好きだったチョコパイを供え・・・」 
 
さっきも見たぞ。その茶色いパッケージ。
 
 上品なおばさんだから、文明堂と虎屋が好きというのは知ってたが、
チョコパイのことは今初めて知った。
日本の端と端で通じ合ってしまったじゃないか。どうぞ安らかに眠ってくれ。
ビリっ。むしゃむしゃ。
 
何なのだろう。
 
 だから何だという偶然が、結構高頻度で起こる。
何の役にも立たない。それで儲けたことなど一度もない。
小さい頃からこんな感じだったが、他の人もこうなのかな。
それとも気にし過ぎか。
 
 占いは信じない。引き寄せの法則も。
これで何か運命のような大きな力を信じてたら、Schizophrenia的だが、
いつも、「わー神秘的だー!」で済ませている。
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