いつだったか、ローソンのキャンペーンで対象の商品を買った人に Tiger & Bunny のファイルを配っていた。
一度夜中に目が覚めて時間を知ろうとTVをつけたらアニメをやっていたので、半分寝ぼけて見たことあるが、
なにやら大理石のロビーのような所でロボットが戦っていて、会議ばかりでいまいち内容が理解できなかった。
正直これ面白いのか?と思った。
その数日前にWBSという経済の番組で見た時には、今週のトレンドとかで、働く女性に人気だと紹介していたキャスターはのけぞって苦笑していた。
スタジオにロボットのパネルが立っていて、今の働く女性は機械が好きなのかと思った。
桂正和って昔ジャンプでやってた電脳少女の人では?
つねに絵は完成していてキレイだけど、たまに内容がないよう的なところがあって、入り込めない気がしてた。
娘の英語の塾の帰りに待ち合せて、一緒に夜の閑散とした街を歩いていた。
駅前の4車線の横断歩道の向こうにローソンが見え、キャンペーンの垂れ幕がかかっていたので、
そういえばそのファイルがほしいと言ってたなと思い出し、寄ってみることにした。
横断歩道を渡る間、背伸びした小学生の娘が話の概要について説明してくれた。
(娘)「あのね、主人公はヒーローでね、会社員の鈴木さんっていうの」
鏑木が読めなかったらしい。
(きの)「すず・・・??それはまたずいぶん凡庸な(全国の鈴木さん失礼!)」
(娘)「虎徹さんには家庭があるんです!」
(きの)「はぁ」 何の話だろう。
店に入るとファイルが並んだケースが棚の上に乗っていたので、手が届かないと思い、
親切に「こんなのもあるよ~。あっ裏の絵が一つずつ違うみたいだね」いちいち取って見せてあげた。
さんざん選んで菓子と一緒にレジに持って行く段階になって、急に
(娘)「あの・・きのたん持って行って。モジモジ」
はぁ!?
(きの)「嫌だよ。あなたが欲しいと言うから・・・何で大人がロボットアニメのファイルを」 選んだのを見たらオシャレな男2人が仲良くコンビニの袋を下げて店から出てくる所で、どういうシチュエーションなのか。
(きの)「これから家で飲み会かな?缶ビール買ってる・・・ん?」
働く女性に人気?
そういえばアメリカ人の日本アニメ好きの知り合いが、〇〇はビジネス・ウーマンのたしなみとか言ってた。
げげっっウソ!?これがか?
(きの)「い・・・いやだ。ゼッタイいや」 〇〇が嫌なんじゃなくて知らずに選んでたことがショックだ。
思い返せば、自分は主人公の名前を大声で連呼しながら入店し、棚に直行してハイテンションで選んでしまった。どうしよう。
レジのお姉さんが、優しい訳知り顔で見ている気がする。
違う!そういうんじゃ・・・。(どういうんだ?)
終電に間に合わないと困るので(きの)「くそっ」 意を決してレジに持って行き「バァーン」
あせって叩きつけるように台に置き、余計に目立ってしまった。
(きの)「覚えてろよ~」
(娘)「ニヤッ」
悪魔だ。
後から落ちついてよく見てみたら普通の話だった。
特に第1話は面白い展開で、それを最初に見ればよかった。
それからは進撃のファイルがほしいとか言われる度に警戒している。
余談だが、高校時代の友人は、外国人デザイナーが建てた旧式木造校舎の隙間だらけの教室で、
休み時間にストーブに群がるクラスメイト達を前に、何を思ったか突然
「きのちゃん変態仮面の1巻出たってよー」などと大声で叫び、
受験の為にコネで手に入れた学級委員の名誉を著しく貶めてくれた。
こういった記憶は早く脳から消し去りたい。