昔、趣味で畑に野菜を植えていた。
やっていると親切な人がいろいろと教えてくれるが、いまいちスマートな方法ではない。
助言を全部実行すると、薬まみれの殺伐としたスラム街のような畑ができあがる。
ピーターラビットのような畑がよかった。
イチゴは簡単に鉄分でナメクジをよけたが、問題は葉物とトマトだ。
トマト:
トマトは棚を作ってカラスよけの網をかけなければならないと言うが、はたして本当にそうだろうか。
地這いトマトではだめなのか。
あれは、農家が桃太郎という青白い品種を狭い空間で栽培したいから、そうしているだけではないのか。
ちなみにアメリカは、四角く囲った簡単な柵の中に放っておくだけ。
皮の固いイタリアの加熱用サンマルツアーノの種を入手し、苗を移植後、野放しにしてみた。
梅雨時に腐ることもなく、8月の日照りの頃バケツに3杯採れた。
赤黒い実ははっきりと見えていたが、地面を這う茎が網の代わりになるのか、
上を飛んでいたカラスたちは降りてはこなかった。
収穫後におすそ分けを数粒放り投げておく。
キャベツ:
いかに薬をかけないといけないかがわかり、市販のキャベツを見る目が変わった。
しかしここは地上の楽園「きの農園」であり、好きにしたらいいので3者が共存できる道を模索。
まずキャベツの苗を5株用意し、アオムシ用の1株を決める。
見つけたらせっせとその1株に移動させ、春の葉を守る。
たまに葉っぱに唐辛子の粉をまき、ナメクジに嫌がってもらう。
そうこうするうちに人間用の4株はすくすくと成長し、みずみずしい青葉が夏の朝日を浴びて輝く。
虫用の1株はレース状になったが、4株を収穫する頃にはアオムシも旅立って行き、
盛り返して花を咲かせ、秋に1人だけ種を振りまく権利を得る。
これでフェアなのではないかな。
人間は完全無農薬のキャベツを千切りにして堪能。
めでたしめでたし。
レモン:
アゲハの幼虫は小学校の夏の自由研究で観察日記をつけ、ひと夏を共に過ごした仲でもあるので、
愛着もひとしお。
かわいらしいと思うが、大量に来てレモンの木を丸坊主にするのはやめてほしい。
しかし、物理的な網は無粋だ。
平安のお姫様のような深窓の状態ではよく見えなくて、つまらない。
そこで、木の根元にレモンバームを植えてみた。心なしか今年は2~3匹ぐらいしかいない。
レモンを上回るハーブの匂いがするので、蝶が近寄れないのかもしれない。
これが解決策か。
他のレモンの鉢は、蝶に気づかれないようにと大木の陰に置いたのが災いし、
カイガラムシが大発生して瀕死の状態になってしまった。
急いで日なたに出して、ダニよけのペニーロイヤルミントをちぎってスプレーに入れ、
水を何回か浴びせかけた。
ローズマリーの枝をレモンの枝にくくりつけ、風が吹くと常に香るという嫌な環境を作り出し、
数か月置いたら、カイガラムシは消えていた。
シネオールがよっぽど嫌だったのか、それとも日光が苦手なのか、
メントールで死んでしまったのか??
カイガラムシは飛べないはずだ。
注記:よくやる失敗だが、一度に色々やるので、どれが効いたのかわからない。