きの書評

備忘録~いつか読んだ本(読書メーターに書ききれなかったもの)~

思ってたのと違ったもの

2019-06-21 10:49:28 | あれは何だったのか
テルミン:
 20年前に「BLACK OUT」という本で、近未来の楽器として出てきたのを読んだ時は、
えもいわれぬオーロラのような音がすると思ってた。
天上のオルゴールのような、キラキラでシャラシャラの鉄琴というか、
かんざしのような薄い金属の小片がさらり、さらりとこすれ合うような
澄んだ音色だと・・・。
 
実際に聞いたら、ラジオから出てくる電波音みたいな奇怪な音で、
妙になめらかな音階の上がり下がりも不気味だし、
妖怪人間ベムの苦悩としか連想できなかった。
 
これが未来の音楽か。
シンセサイザーの元になった楽器らしいが、許容できない。
 
 
 
水琴窟:
 壷を土に埋めて、雨を反響させたランダムな音階。
自然が奏でる音楽だ。
さぞかし美しい音色だろう。きっと夢の世界の効果音とはこのようなものに違いない!
 
実際は、「ててって、ばっしゃばっしゃ、ばっしゃばっしゃ、
びっちゃびっちゃ・・・バチャバチャバチャ」 
最高にスタイリッシュな洗濯機だ。
 
もっと、こう「ピチャーン・・・・ほゎんほゎんほゎんほゎんわんわんわんんんん~~~
シーン(半音下がり)ぴっちゃ~ん、うぉんうぉん」
ていう鹿威しを発展させたようなものかと思ってたのに。
 
期待しすぎだろうか。
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大蛇に対する憧れ~少年ケニヤが読みたい~

2019-06-14 14:25:47 | 書評
 小さい頃に文庫本を読んだ。
アフリカに海外赴任か何かで来ていた日本人家族がはぐれて、
小さい息子がアフリカの大地で老チーフ「ゼガ」に導かれつつ成長。
友は大蛇で、頭に乗せてくれるという最高の環境。
 
そのころ、水曜日にTVで動物のクイズ番組をやっていた。
千石先生という、爬虫類から進化してきたような長髪の先生が出てきて説明してくれる。
いつかの番組の最後にプレゼントで大蛇のぬいぐるみが登場して、
応募したが当たらなかった。
 
「いいなぁ」と心底思った。
 
 
 一時期、アメリカの地方の街はずれにあるモールのゲームセンターで、
物理的にコインを落とす原始的なゲームに凝っていた。
どうも、あれは1枚だけ入れるとスッと群衆に飲み込まれ、
4~5枚並ぶように入れると一度に大量に落ちる。
気がした。
 
やたらにコインを増やしては景品の引換券をためていた。
といっても、特に引き換えたい品があるわけでもなく、
意味なく手錠などもらってきてはガチャガチャやって遊んでいた。
 
ある時、ふと見ると、手前の景品ケースではなくて、
奥の棚の上に大蛇のぬいぐるみがあった。
直系30cm×3mぐらいあるやつで、なんとなくあともうちょっと真剣に頑張れば
手が届く範囲だと推測。
 
今までは遊びでやっていたが、それからはいかにして最小限の投資で多くのコインを獲得するかという
技術の問題にすり替わった。
そして、何回目かの来店で(どんだけ通ったのか)みごと手に入れ、ほくほくして帰った。
 
ベッドに置いてヘッドレストにして、あぁペットでこんなヘビがいてくれたらなぁ、
と思いながら隣で一緒に寝たりした。
小さい頃の夢をギャンブルでかなえたと思うと良くないので、
あまり深く考えないようにした。
 
日本に帰る時に、大きすぎて船便の荷物に入らず、
泣く泣く GoodWill(服や家具主体の慈善団体)に寄付した。
 
いつまでたっても、ヘビに対する憧れはつきない。 
 
 
 物語の後半、ワタルを探しに来た両親とあとちょっとのところで会えるはずが、
すれ違って見つけられず、行ってしまうシーンがあったが、
読んでいて幼いながら内心「見つからなければいいのに」と思っていた。
 
文明社会に帰ることが最上だと、誰が決めたのだろうか。
ワタルがあのままゼガの元にいて、マサイの戦士として育って
何がダメなのかさっぱりわからなかった。
今でもわからない。
 
ゼガはかっこいい。病気のときでもあきらめないし、
若い成金みたいな新しい酋長にも負けない。
アフリカの草原には、ゼガみたいな賢者を育む神秘的な何かがあると思った。
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