認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

脳血管性認知症と因果関係の確認(A-10)

2012-03-17 | 脳血管性認知症の診断と誤診の問題

「脳血管性認知症」とは、「脳を養っている大小の血管の障害である脳梗塞や脳出血に起因しておきる認知症」を言うものと定義されています。脳を養っている大小の血管が閉塞して十分に血液を脳に送れなくなったために、脳の働きが全般的(左右両側性)に低下して、認知症の症状を起こしてくる「閉塞性血管障害のもの」が最も多く、一部に「出血性のもの」があります。

どの種類の認知症であれ、「脳の器質的な障害を含む何らかの脳機能の障害によって、正常なレベルとされる程度にいったん完成された知的機能が、全般的(左右両側性)且つ継続的に機能低下した状態にあることにより、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てきている状態」を認知症と言うとするのが、一般的な認知症の定義の仕方です。

 従って、「何らかの脳機能の障害」という直接の(原因)により「知的機能の全般的(左右両側性)且つ継続的な機能低下」という(結果)をきたしており「認知症の症状」を呈しているという、「原因」と「結果」との間に「相当因果関係」が確認されることが不可欠になるのです。

 「脳機能の障害」(原因)が認められると言うためには、脳のある領域に血流の低下が確認され、且つその血流低下を惹き起こしている原因血管が確認されることが必要です。次いで、その血流障害がもたらしている「脳機能の低下部位」と認知症の症状を発現させている「脳機能低下の範囲」とが合致(結果)していることの確認も必要です。

( ここで、コーヒー・ブレイク) 逆に言えば、脳機能の障害という直接の(原因)認知症の症状という(結果)との間の相当因果関係が確認されていなければ、認知症と診断してはいけないのです。(今回の報告は、専門的すぎてすみません)。

実際の診察の現場では、「局部的な脳出血や脳梗塞」があると、左脳又は右脳の片側の脳の機能障害による後遺症としての記憶障害、或いは言語の障害や手足の身体的な不具合を伴う症状、又は後遺症を基にした種々の生活上の不便さえ認められれば、「脳機能の全般且つ継続的な低下」の確認及び原因と結果との間の「相当因果関係」の確認を行うこともなく、「脳血管性認知症」と診断しているケースが多いのです。 そのために、血管性認知症の認知症全体に占める割合が15~20%もの大きな数値になっているのです。

「脳血管性認知症」とされるケースで、脳出血や脳梗塞の後、直ぐに認知症と認められるような程度や態様の症状が出てくるケースは、実際にはとても少ないのです。

左半球に大きな梗塞巣が出来て、左半球が高度に障害されると高度の失語症を起こし、生活面に重大な支障をもたらすことになります。この場合、「神経心理機能テスト」で調べさえすれば、「脳機能の全般的な低下」が起きているかどうかは、容易に確認することができるのです。テスト結果から、右半球の機能は良く保たれていて、「脳機能の全般且つ継続的な低下」が起きていないことを簡単に知ることが出来るのですが、「神経心理機能テスト」で調べるという手間をかけていないのです。

注)本著作物(このブログA-10に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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