認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

物忘れの多発はアルツハイマー型認知症発病の前駆的状態ではない(F-15)

2021-12-01 | アルツハイマー型認知症発病の真の原因

  年とれば 堰切るごとに 物忘れ    アレよアレよと 言葉を知らず  

&1 物忘れの症状の多発が,.『アルツハイマー型認知症』発病の前駆的状態との考えは誤り

(1) 「物忘れの症状」とは? 夕ご飯の支度をしている際に、冷蔵庫の扉を開けて、「あれっ!私、何を取ろうとしてたんだっけ?」。お友達と世間話をしている際に、『アレよ、ほら、アレ!』。必死に思い出そうとしても、肝心の言葉が中々出てこないのです。第二の人生を送る高齢者の皆さんなら、日常茶飯事のことでしょう!

今日は、皆さんが日常体験されていて、『物忘れの多発は、ボケの前駆的状態』とか言われると不安感を覚えておられるあの「物忘れの症状」が発現するメカニズムについて、脳の機能面からの詳しい説明をしましょう。『物忘れの症状の発現は、ボケの発症(アルツハイマー型認知症の発病)とは、直結していない』のです!『アルツハイマー型認知症』の発病に直結する廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に起因した『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルについての知見が無くて、外観から観察するだけの方法で、発現してくるその程度や態様の差だけに着目して、両者が直結するものと誤解した格言に過ぎないのです。総体としての「前頭葉」の機能について、就中、注意の分配力の機能や実行機能との関係についての深い知見が無かった時代の、過去の遺物に過ぎないのです。 「物忘れの症状」は、「第二の人生」を送っている「高齢者」の皆さんであれば、誰もが自覚されている症状なのですが、30歳代も後半にもなると既にその症状が発現してきて、年をとればとるほど「物忘れの症状」が発現する頻度が高く、その程度も重くなっていくものなのです。

そうした症状は、脳の機能面から説明すると、単なる「加齢現象」に過ぎないのです。「二段階方式」の手技を活用して判定すると、『前頭葉』が正常な機能レベルに在ることが分かるからなのです。脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が正常であれば、その物忘れの症状は、単なる加齢現象なのです。前頭葉の機能が異常なレベルであれば、その記憶障害の症状は、認知症、『アルツハイマー型認知症』の発病としての症状なのです。このように、脳の機能面から厳密に鑑別できるものなのです。

 (2) 皆さんは、「物忘れドック」なるものがあるのをご存知でしょうか?比較的小さな病院では余り見受けられないのですが、大きな病院では、「物忘れドック」と銘打って、ホームページなどで診察を勧誘しているのです。その引き込みとしての売りである目玉はと言うと、『アルツハイマー型認知症』の早期発見につながる診断と言う触れ込みなのです。ところが、その広告文言を子細に読んでみると、肝心の「アルツハイマー型認知症」については、基本的に良く分かっていないということが良く分かるのです。そこで今日のこのブログで、「物忘れの症状」が発現してくるメカニズム(機序)について、脳の機能面、就中、「前頭葉」の三本柱の機能との関係について、関連する「脳機能データ」にも触れながら、詳細に説明することにしたのです。

(3) 様々な種類が数有る認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めて居ながら、世界中の認知症の専門家達から現在も猶、『アルツハイマー型認知症は、発病の原因が分からないし、症状を治す方法がないし、発病を予防することも出来ない』とされているのです。いくつか主張されている学説も、主張の内容と発病との間の因果関係が立証できない「仮説」のままというのが現状なのです。発病のメカニズムを解明し、『アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の単なる生活習慣病である』【但し、仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る上で継続される『脳の使い方』としての生活習慣を言い、食生活とは無縁】と主張し、市町村での実践展開により、主張内容が正しいことを疫学的に実証できているのは、世界中で唯一、私たち、エイジングライフ研究所だけなのです。その掲げる独自の手技が、「二段階方式」なのです。

先の「物忘れドック」では、「医学的・科学的にしっかりと検証された検査をして診断していきます」との説明がなされてもいるのです。どんな検査をするのかというと、通常のお決まりのコースでは、『MRI検査や問診』とあります。病院によっては、若干の違いが有りますが、検査としては、まず「MRI」で脳内に異常(脳梗塞や脳出血や脳の萎縮の有無とその程度等)がないかどうかを調べます。また、「海馬」という部位の萎縮の度合いを測定する検査をします。次いで、「記憶力テスト」や「認知機能テスト」を行い(但し、彼らが使用している認知機能テストは、脳の後半領域の働き具合を判定する為のもので、肝心の「前頭葉」の働き具合を判定することは出来ないのです)、「記憶や認知機能」が低下しているかどうかを調べるというものなのです(『意識的な世界』における、脳全体の司令塔の役割を担っている肝心の「前頭葉」の機能について、無知なのでしょう。「前頭葉」と言われても、その機能構造を知らないし、「前頭葉」の活性化という言葉を使用していても、活性化のメカニズムを知らないのです)。

 (4) そうした検査を受けることが、患者の今後の『アルツハイマー型認知症』の発病のリスクの指針となる(「早期診断」となる)とも謳っているのです。「物忘れドック」が診断の大前提としていること、それは、『記憶障害の症状が、様々な内容、程度及び態様の下で発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状の根幹(基礎)となる要因であり、その程度により、「アルツハイマー型認知症」の発病の危険度を判定できる』ということだそうなのです。実はこれこそが「重大な誤り」なのです。『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズム(機序)に関する学説である「アミロイドβ仮説=通説」や「タウ蛋白仮説=少数説」や「アセチルコリン仮説=異説」等の仮説と同じく、米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規程である『DSM-Ⅳ』の第一要件の規定内容(記憶の障害に起因して発病すると明記してある=重大な誤った規定内容)の考え方及び内容が正しいものとして、単に踏襲しただけのものなのです。

(5)  私たち「二段階方式」は、『アルツハイマー型認知症』の段階的な症状(「脳のリハビリ」により正常な機能レベルに「前頭葉」を含む脳全体の機能を回復させ得る可能性の有無及び程度により、三段階に区分している症状の類型としての「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の各段階の症状)を生きた人間の「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状の面から客観的に判定し、鑑別するのです。他方で、世界中の認知症の専門家とされる人達(学者、研究者、医師)は、単に外観からの「物忘れの症状」のみを観察し、MCI(軽度認知障害)とかの判定基準を持ち出してきて、「その基準に該当するお年寄りは、アルツハイマー型認知症発病の前駆的状態に在る」とかの誤った情報を発信しているのです。

客観的で科学的な根拠データもなく、想像や推測や憶測により、権威だけを傘に着て、自説を展開しているに過ぎないのです。末期の段階である「大ボケ」の段階の症状を外観的に観察し、「記憶の障害」の症状が根幹をなしているとの誤解をしていることにも気づかないでいる、そうした研究態度からは、回復させることが可能なレベルとしての視点から私たちが本当の意味での早期の段階として区分し、取り上げている「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状に気づくことが出来ないのです。

  『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの問題から、「 脳のリハビリ」の実施が困難となり、最早『治すことが困難となる』末期の段階、「大ボケ」の症状、 例えば、「着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている」、「風呂に入るのを嫌がる」、「服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり、上着に足を通したりする」、「家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)」、「自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる」、「大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)」、「今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)」、「痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものでも口にする」とか「独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ」等と言った症状が発現している原因は、権威が有るとされる学説が主張する考え方、「記憶の障害」に在るとの考えは、誤りなのです。『覚えていられないとか、忘れてしまった』ことが原因ではなくて、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの問題から、『何を、どのように組み立て、どのように実行すれば良いのかが、分からない』ことが、直接の原因で起きてきている症状なのです。

「アルツハイマー型認知症」の発病原因が不明とされる最も重要な要因、それは、私たち人間だけに特有な世界、意識的な世界(且つ、目的的な世界であることが特徴)が関わるタイプの認知症であることに、世界中の権威達が未だに気づいていないことに在るのです。「仕事とは無縁の日々」となる「第二の人生」を送る高齢者だけが発病の対象者となるものなのであり、追及する特定のテーマがなく、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が発病を惹き起こす唯一の原因なのです。直前に例示列記した症状は、異常なレベルにまで衰えが進行してきた『前頭葉』(就中、注意の分配力の機能)を含む脳全体の機能レベル直接的な反映としての症状、末期の段階で初めて発現して来る症状に過ぎないのです。米国のハーバード大学、我が国では、東大を筆頭にして、世界中の権威と呼ばれる機関の専門家達の誰一人として、未だに、そのことに気が付いていないのです。『意識的な世界』における脳全体の「司令塔」の働きをしている『前頭葉』について惹起されてくる廃用性の機能低下の進行と言う要因に気付かないでいる限り、何処をどれだけ掘ろうとも、発病及び症状の重症化が進行するメカニズムを解明することは出来ないのです。

 脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉の機能だけ』が異常なレベルに衰えて来た直接の反映が、アルツハイマー型認知症の発病(小ボケ)であり、次いで、大脳後半領域の機能である左脳、右脳、運動の脳の順に異常なレベルに衰えてきたことの直接の反映(中ボケ、大ボケ)が、三段階に区分される症状として発現してくるのです。『前頭葉』の機能レベルを精緻に判定できる手技を持たない為に、「重度の物忘れの症状」だけを診断の対象にしていて、『末期の段階』でしか発病を見つけることが出来ない権威とされる人達は、『3密の回避』下での「小ボケ」の激増と言う社会現象にも気が付かないのです。身体が持つお年寄りの場合は、発病した3年後には「中ボケ」となり、更に其の2~3年後には「大ボケ」になって、『介護』が不可欠となるのです。「小ボケ」と「中ボケ」までの早期の段階で発病を見つければ、「脳のリハビリ」により治す/症状の進行を抑制することが可能であるのに、末期の段階の「大ボケ」で発病を見つけて居たのでは、治すことはおろか/症状の進行の抑制さえもが最早困難となるのであり、為す術が何も残されていなくて、「介護」する途しか残されていないのです。

(6)「物忘れドック」の謳い文句の一つに、「アルツハイマー型認知症」発病の早期診断というテーマがあるのですが、以下に例示列挙する「小ボケ」の段階の症状(左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在って、司令塔である「前頭葉」の機能だけが異常な機能レベルに在る下で発現してくる『前頭葉』の機能障害に起因した症状)を観察してみると明らかなように、「記憶の障害」の症状はその欠片も確認されないのです。即ち、その謳い文句とは異なり、「記憶の障害」の症状に焦点を定めた「物忘れドック」の診断では、本当の意味での「早期の段階を」鑑別することは無理な相談だということが、以下に例示列挙する「小ボケ」の段階の症状の類型をみても容易に理解できることと思うのです。

(7)   末期の段階である「大ボケ」の段階の症状が発現してくると、日常生活面での「介護」が必要不可欠のものとなるのに対して、発病の最初の段階である「小ボケ」の段階では、「家庭生活面」にも何等の支障がなくて、家の外に出て行って、人と交わり何らかのテーマの遂行が要求される「社会生活面」での重大な支障が出てくるようになるだけなのです。そうした両者の差異は、「記憶障害」の症状の程度の差異にあるのではなくて、ましてや、アミロイドβ仮説という仮説が根拠としているアミロイドβというタンパク質の蓄積量の差異に起因している訳でもないのです。廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に起因した前頭葉を含む脳全体の機能レベルの差異(働き具合の差異)に起因しているものなのです。

 &2「小ボケ」の段階で確認される特有な症状の類型とその特徴

 ○社会生活の面で支障が出てくるようになる。人と交わり、コミュニケーションをとりながら何らかの目的に沿った行動が要求される家庭の外での生活、「社会生活」の面で、重大な支障が出てくるようになるのです。その原因は、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能が、就中、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきていることにあるのです(『MCI』等とか言う基準を持ち出して訳が分から無い説明、発病の前駆的状態とか言っている人達は、発病のメカニズムについて、何一つ分かっていない素人と言うしかないのです)。

おしゃれに関心がなくなる

  • 眼の光がどんよりしていて、表情に力がなく、無表情、無感動の様子が見て取れる
  • 問いかけに対する反応が遅くて、生き生きした笑顔が見られない

  (何かをしようとする意欲が出てこない様子)

   (何をするにも億劫で、面倒がるようになる)

 (何事につけても、直ぐに人を頼りにする)

  (外出するのを面倒がり、嫌がるようになる)

   (新しい道具を使うのを面倒がるようになる)

 ○此処と言うときに、その「テーマ」についての「発想」が湧いてこなくなる

 (何をしたいのかを思いつかない様子)

  (会議などで、意見やアイデアを思いつかない)

  (料理の献立が単調になる)

  (いつも同じパターンの食材ばかりを買ってくる)

 ○肝心の「意欲」自体が出てこなくて、自分で何かを始めようとしなくなる

  (色々なことを自分で計画するのが面倒になる)

  (買い物に行くと、お札ばかり使うので、小銭がやたらと貯まるようになる)

  (料理の献立を考えるのが面倒になる)

  (家人に指示されると、草むしりや洗濯や片付けなど家庭内の用事程度のことはこなせるが、

 自分から  やろうとはしなくなる)

  ○「根気」が続かなくなり、何かをやり始めても、すぐに投げ出してしまう

 (テレビを見ていても、同じ番組を続けて見ていられなくて、チャンネルを直ぐに変えるよう

 になる)

  ○歩く時も前かがみの姿勢となり、小股でトボトボと歩く

  ○毎日ボンヤリとして過ごし、居眠りばかりするようになる

  ○食事の支度をしていて、鍋を度々焦がすようになる

  ○自動車を運転すると、軽微な自損事故が目立って増えてくる

  (歩道に乗り上げる、こする、バックの確認をしないでぶつかる)

  (信号無視や右折/左折のウインカーの指示を忘れる)

   ○話の流れに乗れず、話の輪にも入っていけなくて、主題とは関係のない話を自分勝手に唐突

 に話す

 ○同じ話を何度も繰り返して話していて、本人はそのことに気付かないでいる

&3 「アルツハイマー型認知症」の発病と「意識的な世界」との関わり

(1)  意識的な世界、私たち人間だけに特有な世界である目的的な世界、自分が置かれている状況を分析し、状況判断に沿った「何等かのテーマ」を発想し、目的及び目標を定めて、実行の内容及び実行の仕方を計画する機能、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野に局在する機能総合体を言う。以下、同じ)の働きには加齢とともに老化していく性質があります。私たちのデータによると正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合が20歳代の頃に比べて半分程度にまで衰えてきています。(加齢による前頭葉の「正常老化」)。そして、加齢による前頭葉の正常老化のカーブは、下図に示す通り、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、直線的ではあるが正常な範囲内で緩やかに「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴です。

○ 前頭葉の「三本柱」の加齢に起因した「正常老化」のカーブ(下図)に『廃用性の機能低下』が加重される為に発病するのです。

  

キッカケ後の発病と三段階に区分される重症化の進行が「アルツハイマー型認知症」の特徴

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正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化の進行により、前頭葉の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年代の「お年寄り」(発病の「第一の要件)が、何等かのキッカケの発生を契機にして、脳を積極的には使わない生活、追及すべき特定のテーマが無く、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」を日々続けていると(発病の「第二の要件)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った『前頭葉』が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、注意の分配力の機能を筆頭にして『前頭葉』の老化が加速されていくのです。『前頭葉』の働きが加速度的に衰えていくその先に、『アルツハイマー型認知症』の発病が待っているのです。新型コロナの国内感染をキッカケとして、感染回避策としての『3密の回避』に徹した生活習慣が1年半の長期にわたって継続されてきていて、高齢者の間で、アルツハイマー型認知症の発病者の激増と言う社会現象が起きてきているのです。

(2) 第一の要件と第二の要件とが同時に充足される相剰効果により、廃用性の異常な機能低下が進むときは、直線的ではなくて/放物線を描いて加速度的に脳の機能が衰えていくことになるのです(加速度的で異常な機能低下の進行)。 その場合に、「意識が覚醒した目的的な世界に於ける脳全体の司令塔の役割りを担っていて」、複合機能体であり、最高次機能の『前頭葉』の機能が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで高次機能の左脳や右脳や運動の脳がその順番に、異常なレベルに衰えていくのです。

更に、「アルツハイマー型認知症」の発病者である場合には、「高次機能」の衰え方にも規則性がある(衰えていく順番がある)ことが重要な特徴です。前頭葉と高次機能のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症あるいは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

(3)脳全体の『司令塔』で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが『前頭葉』なのです。中でも、意識的に何かをする場面で、前頭葉の各種の機能を発揮する上で不可欠で基礎的な働きをする「実行機能」を正常に発揮させるには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。脳の機能についての専門家と世間で言われている人達でさえ未だ気づいていないのですが、実行機能に因る認知度を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです。この三本柱には、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があることは、問題提起した通りなのです。

(4)対象となるものが何であれ、私たちが意識的に何かを考え、発言し、行為し、或いは行動しようとする際に、無くてはならない脳機能、それが、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」という三頭の馬と協働しつつ、それらを自在に操る三頭立ての馬車の「御者」、言い換えると、脳全体の「司令塔」の役割を担っている『前頭葉』という脳機能であり、私たち人間だけに備わっている脳機能でもあるのです。「前頭葉」と言う脳機能は、私たち人間だけに特有な世界である『意識的で、且つ、目的的な世界』(意識的に何等かのテーマを選択的に実行しようとする世界)を構築し、支配し、統括し、コントロールしている機能なのです。自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿って為すべき「テーマ」を発想し、発想したテーマの実行内容を組み立て、その実行による結果を推測し、比較し、シミュレーションして必要な修正を加え、最終的な実行の内容、程度及び態様を選択して、決定し、実行の決断に基づいて脳の各部に実行の指令を出すと共に、実行の過程を終始観察し、統括し、分割し、管理し、コントロールしているのです。

 &4 アルツハイマー型認知症を発病させる根本原因

1.『意識的な世界の認知』と脳の機能構造

(1) その機能構造の要の機能が、「前頭葉の三本柱」の機能(意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能を総称して、二段階方式が名づけているもの)なのです。その要の機能である『注意の分配力』の機能なしには、こうした現象は起きてこないことについて、世界中の、脳科学者も哲学者も認知症の研究者も、未だに気づいていないことが、『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズムが不明とされている一番の理由なのです。アルツハイマー型認知症は、意識が関わるタイプの認知症であり、意識を構築し、統合し、分割し、管理し、コントロールしている要の機能が、『注意の分配力』という脳機能だからなのです。

(2) 『注意の分配力』の機能は、『3つ以上の、内容及び覚醒度が異なる、多層で多重の複数のテーマ及び意識を同時に並行して処理する為に不可欠の機能なのであり、あの人は頭の回転が速いという言葉があるように、咄嗟の判断と処理を行う上でも不可欠の機能』なのです。同時に並行して行われるのが特徴である、①複数の対象の認知にも、②複数の意識の構築、統合、分割、管理にも、この『注意の分配力』の機能が関わることが不可欠となるのです。

(3) 私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」、即ち、自分が置かれている状況の判断に沿った『テーマ』を発想し、目標を定めて、実行に移していく世界である「目的的な世界」では、個々の認知を行う機能であり、『実行機能』(Executive Function)と総称される機能の発揮度を下支えし、支配し、管理している脳機能が、『注意の分配力』の機能なのです。

分析、理解、判断、計画、洞察、推理、検索、シミュレーション、比較、選択、抑制、感動、決断等の個別認知機能群(総称して実行機能と言う)が働く場面では、内容と覚醒の度合いとが異なる『複数の意識』が同時存在しており、その働きを可能にさせている要の機能が注意の分配力の機能なのです(注意の分配力を支えているのが注意の集中力であり、注意の集中力を支えているのが意欲と言う多重で多層の機能構造が存在してもいるのです)。

言い換えると、「注意の分配力」の機能の関与が無いと、実行機能は働くことが出来ないという機能構造(このことを、二段階方式では、実行機能の機能発揮上の二重構造の問題と呼んでいるのです)が存在しているのです。この構造の上で更に、注意の分配力の機能が廃用性の機能低下に因り異常な機能レベルに衰えてくると、実行機能の発揮度が異常なレベルのものになってしまうことに直結して行くのです。

2.『アルツハイマー型認知症』の発病と「意識の世界」との関わり

(1) 私たち「二段階方式」だけが気付いていて、世界中の専門家とされる人達が未だに気づいていないことなのですが、アルツハイマー型認知症の発病及び症状は、私たち人間だけに特有な『意識』が関わるタイプの認知症なのです。様々な程度及び態様による発現が確認される『アルツハイマー型認知症』の症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状、『脳のリハビリ』の実施に因る回復の可能性の有無及び程度により「三段階に区分」される症状が発現してくるのが特徴なのです。『前頭葉』の構成機能の一つである『実行機能』を下支えていて、支配し、管理している機能である「前頭葉の三本柱」の要の働きをしている機能である『注意の分配力』の機能が、仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性加速度的異常な機能低下の進行に因り、異常な機能レベルに衰えてきたことに因り、『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』の直接的な反映であるアウトプットが、『アルツハイマー型認知症』の症状として発現して来るのです。

(2)『アルツハイマー型認知症』を発病した最初の段階(脳の機能面から定義すると、左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在って、「意識的な世界」、即ち、「目的的な世界」における脳全体の司令塔である『前頭葉』の機能だけが異常な機能レべルに在るのが特徴)である『小ボケ』の段階では、「記憶障害」の症状はその欠片も確認されなくて、全てが「前頭葉」の機能障害の症状だけなのです(「前頭葉」を含む脳全体の機能とその廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行の度合いに厳密にリンクしたものとして、私たちが類型化した三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状については、「G-14&3」を参照して下さい。各段階の症状が発現する基礎となっている「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルについて、「二段階方式」のような精緻な神経心理機能テストを活用して確認すれば、一見した限りでは「記憶障害」の症状を呈しているのかと誤解しそうな「中ボケ」及び「大ボケ」の段階の症状も、「記憶障害」の症状が「アルツハイマー型認知症」の根幹となる症状であると主張する「権威ある人達」の主張内容が誤りであることを容易に理解することが出来るのです)。

(3)「前頭葉」の機能構造や「意識的な世界」の機能構造や「前頭葉」の三本柱の機能と「前頭葉」の個別認知機能群である『実行機能』との機能発揮面での「二重構造」の関係に目が行き、そのことを理解することが出来れば、『アルツハイマー型認知症』の症状の発現のメカニズム(機序)が、私たちが独自に規定した発病の「第二の要件」に掲げている内容、仕事とは無縁の日々となる第二の人生を送る上で展開される生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因したものであることを容易に理解できる(分かってしまえば、コロンブスの卵程度の物)のに、『器質的な病変が発病の原因である』との誤った前提に立脚している上に、『「記憶障害」の症状が根幹をなす』との誤解に基づいた前提条件だけにしがみついていて、マウス(注意の分配力、実行機能、前頭葉の機能が備わっていない)を追いかけていたのでは、何時まで経っても、発病の真の原因に迫ることは出来ないし、「仮説」の域から脱出することも出来ないのです。権威を自任する人達は、その一方で、カロリンスカ研究所がAI技術の駆使による大量の比較データの解析により、交遊や運動などの生活習慣が発病の危険因子と考えられるとの論文を発表すると、(アミロイドβの蓄積により生成される老人斑の持つ毒性により、神経細胞の大量死が惹起され発病すると主張する)アミロイドβ仮説を支持していながら、運動や交遊が発病を予防すると主張したりするのです。運動や交遊が、神経細胞の大量死を予防することになるとかの科学的なメカニズムを説明して欲しいのです。

※1『アルツハイマー型認知症』の症状は、「前頭葉を含む脳全体の機能レベル」に厳密にリンクした三段階に区分される症状(小ボケ、中ボケ、大ボケの症状)が発現して来るのが特徴なのです。末期の段階である「大ボケ」の段階にまで症状が進行して来ると、意識的に何かのテーマを発想し、実行することが出来なくなるのです。それは、記憶障害が原因ではないのです。「注意の分配力」の機能が働かないことにリンクして、実行機能が働かないこと、即ち、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り異常な機能レベルに在る為、殆ど機能出来なくなってきていることが、真の原因なのです。

※2様々な種類が数ある認知症の内で、その大多数、90%以上の割合を『アルツハイマー型認知症』が占めているのです(小ボケ、中ボケ及び大ボケの全ての段階を含めた場合のこと)。発病者数が600万人を超えたとしている厚労省の予測数値には、「小ボケ」及び「中ボケ」の人数は含まれていないのです(専門家達が、失語や失認や失行(紛い)の症状が初期症状であると規定している「DSM-Ⅳ」の第二要件の規定内容の誤りに気づいていなくて、極めて重度の症状だけにしか注意が行っていなくて、小ボケと中ボケの人数が含まれていないのです)。

※3 権威が主張する内容『アルツハイマー型認知症は、発病の原因が不明で、治すことも発病自体を予防することも困難なタイプの認知症である』を鵜呑みにしていて、失語や失認や失行(紛い)の症状が「極めて重度の症状」であることも知らないで、末期の段階で発病を見つけて、発病のレッテル張りしかしていなくて、治療の効能も無く、症状の進行を抑制する効能も無く、単に、「症状の発現の仕方を抑制させたり、昂進させたりする効能しか有していない」単なる興奮型/又は抑制型の「対症療法薬」である「アリセプトに代表される4種の薬」を処方するだけなのが医療現場での診断の実態なのです。早期診断による回復(「小ボケ」と「中ボケ」の早期の段階で発病を見つけて、「脳のリハビリ」の実践により回復させる、症状を治すこと)が、対象となっていなくて、発病自体の予防も対象となっていなくて、何時発病したのかも分からないままに放置されていて(本当の意味での「早期診断」が行われていない)、セルフケアにも支障が出てくるようになり、介護が不可欠のお年寄りの介護の為の費用だけでも単年度ベースで10兆円を超える規模(一般会計分と特別会計分との合計額)になっているのです。更なる問題を提起すると、新型コロナ対策としての「3密の回避」の生活習慣継続の下で、発病者が激増してきてもいるのです。

&5 「二段階方式」を立ち上げた経緯(浜松方式との混同を避ける為の説明)

1.『アルツハイマー型認知症』の診断は、元々は、精神科の専門領域とされていたのです。「重度の記憶障害の症状」に焦点が当てられて、症状が精神症状と誤解されて精神科のみが診断を行っていたのです。我が国で厚労省が、「アルツハイマー型認知症」の発病患者の診断のための専門病院の指定に際して、精神科を有する地域の総合病院を『老人性痴呆疾患センター』という形で、僅かな数を指定したのが始まりなのです。「食事をしたばかりなのに、そのことも忘れている」と言った「重度の記憶障害」の症状や「夜中に騒ぐ」とか、「徘徊」等の症状や行動ばかりが取り上げられていたのです。その為、発病者を抱えることになった家族は、発病を疑っても病院に連れて行かないで、手に負えなくなって初めて病院、精神科に連れて行くことが常態化して行き、『アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないタイプの認知症である』という誤解が、我が国を含めて、世界中の隅々にまで浸透して行ったのです(注:アルツハイマー型認知症は老年発症が特徴なのであり、超高齢社会に到達した社会で初めて、社会問題となる程の大量の発病者が出てくるものなのです)。

2.浜松医療センターは、『老人性痴呆疾患センター』の中では唯一、精神科の精神科医ではなくて、脳外科の脳外科医が診断を行った為に(加齢で、複雑な脳外科手術が困難となってきていた副院長の金子医師が、然も、脳外科医としては極めて例外的な考え方である「外科手術の成功には、同時に、社会復帰できる脳機能が確認されているべきもの」との信念から、脳機能の働き具合を判定する神経心理機能テストの活用に積極的で、様々な神経心理機能テストを判定に活用し、実務の責任者が高槻絹子(Kinuko)でした。その内、既存のものでは足りなくなり、新規の開発に取り組み、種々のテストを開発したうちの1つが、かなひろいテストだったのです。診断先が精神科でなくて脳外科と言うことで、(周りの目を気にしないで受診できる為に)、種々の段階の患者が日本全国から、静岡県の浜松医療センターの脳外科へと受診に殺到してきたのです。

3.軽い物忘れが気になる正常下限のお年寄りから、軽い初期段階の症状、重い記憶障害を抱えている中等度の症状の発病者から、徘徊する重度の症状までを含めた、日本全国の患者(正常者から、軽度、中等度、重度の発病者)を診察する機会を得たのです(脳外科で脳外科医の金子医師の診断の下で、高槻絹子が種々の「神経心理機能テスト」を開発し、4人の部下と一緒に患者に実施し、判定し、その判定結果を金子医師が家族に伝えるという協業態勢で診察)。

4.米国精神医学会が策定した「DSM-4」の第二要件がアルツハイマー型認知症の発病の「初期症状」であると規定している失語や失認や失行の症状は、11の下位項目で構成されていて、30点が満点であるMMSEの総得点が、9点以下になって初めて発現が確認される極めて重度の症状であることさえ、精神科医達には、認識されていなかったのです。それが「初期症状である」と第二要件が規定していたので、それらの症状よりも更に重い症状ばかりに目が行っていたのです。診察する対象者は、失語や失認や失行の症状、又は、それ等より更に重い症状ばかりの「お年寄りだけ」だったのです。症状を治す効能を有する薬は無いし、発病のレッテル張りをしていただけなのです。失語や失認や失行(紛い)の症状が「初期症状」であると規定されている為に、それより軽い段階の症状(「二段階方式」の区分で言う小ボケ及び中ボケの段階で発現が確認される症状)が存在していることについて、専門家達でさえ未だに考えていないし、知らないのです(「DSM-Ⅳ」の第一要件の『重度の記憶障害』が起点に在る為)。

5.そうした状況の中で、金子医師が、失語や失認や失行の症状が確認される段階よりももっと軽い段階があり、その段階で発病を見つければ、脳のリハビリの実施により回復させることが出来ることを近隣の病院と提携して実施したのです。その過程で、軽い段階(小ボケと中ボケ)が存在することを、世の中(市町村ではなくて、医療機関)に浸透させていくこととなり、「浜松方式」が誕生し、その後で、(Tad)が関わりを持つに至ったのです。

6.ところが、当時も今も学歴と肩書が極めて重視される医学界に在って、長崎大学卒であること、浜松と言う地方の病院の医師であること、専門が、精神科医でなくて門外漢脳外科医であること、前頭葉への着眼は良かったが内容の理解が浅かった等の問題点があり、医学界に思うようには浸透して行かなかったのです。

7.そうした状況の中、門外漢ではあるものの、海外諸国での合弁事業や国際訴訟が専門で、経験が豊富であった高槻忠男が、「前頭葉」への関心とより軽い症状と発病の予防というテーマに関心が向き、市町村への展開を企図し、二段階方式と言う名称で展開することとなり、1995年秋に活動を立ち上げたのです(現職に在任の儘二足の草鞋で、論理的な思考が得意なTadが以降全てのマニュアルを書いた)。630億円の規模で当時世界最大と騒がれた米国との移転価格訴訟と米国での数種類の巨額訴訟及び欧州、東南アジア、オーストラリア等での数百億円規模の経済摩擦がらみの国際訴訟の対策で、10戦10勝無敗だったのです。論理的な思考や分析と因果関係に厳しい立証を得意としたTadの目が、「予防」に関心が向いたことが出発点でした。

8.金子医師との協議の結果、浜松方式は医療機関をターゲットに、二段階方式は市町村をターゲットに展開していく「基本的な合意」がなされたのです。高槻絹子は、浜松医療センターで金子医師の下で勤務しながら同時に「二段階方式」の普及の為の新会社の副所長を兼務という状況でした。退職し、「二段階方式」の業務に専念したのは、1997年秋の事でした。

⇔「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らないタイプの認知症である」とするのが、当時も現在も、「世界中の権威が一致して主張していること」なのですが、「中ボケ」の前期(かなひろいが不合格で、MMSEが20点以上)のお年寄りが、集団に因る「脳のリハビリ」の実施により、症状が回復する実態を見て、権威達の主張が間違っていると実感したことが、Tadの出発点でした。活動開始の最初の1年半は、試行錯誤の連続でしたが、2年目以降からは、全てが順調で、導入先が増加して行き、企業業績も大幅な黒字に転換したのです。僅か1年半の試行錯誤の期間中に、「新しい独自の理論」の完成を見ることが出来たのです。

※『脳のリハビリ』(実行機能を使う必要性が多いテーマの選択と継続的な実践)により、「注意の分配力」の機能の出番が多い「生活習慣」が確保され、維持継続されていくことに因り、症状を治すことが出来る(=前頭葉を含む脳全体の機能を正常なレベルに回復させることが出来る)ということを実体験し、確信したTadが、『脳の使い方としての生活習慣』要因が、早期診断による回復にも発病自体の予防にも直結することを確信し、理論的に体系化し、実務化した。

&6 二段階方式の独自性(浜松方式とは、完成度が全く異なる「別次元の内容」)

Ⅰ.浜松方式(後に、「浜松二段階方式」に名称だけを変更の内容

(Ⅰ) 金子満雄医師が着想し、高槻絹子(部下4名のチームリーダー)が、テスト結果のデータを収集し、基準化の作業を完成させたもの。特定の町や村及び超100歳老人のデータ並びに「前頭葉の老化曲線」のデータの収集(テストの実施を含む)は、高槻絹子が大半を単独で実施し、解析し、基準化した。

(Ⅱ) マニュアルの特徴(高槻絹子が著作者)

1. B6判で、総量28ページ。

(1) テストの仕方の記述、テストの「粗点」に因る採点及び「30項目問診票」による「生活実態」の確認作業の記述という「3点セット」だけの内容。

ⅰ)前頭葉の機能テストの特徴

① かなひろいテスト

② 特徴は、「拾ったかなの数及び物語の概要の記憶だけで、合否を判定」

ⅱ)左脳右脳の機能テスト(MMSEテスト)の特徴

① テストの「粗点」だけで、「三段階の段階区分」を判定

②「脳の使い方としての生活習慣」という要因に起因した、廃用性の機能低下の進行が、発病を惹き起こし、症状の重症化を進行させていく核心的な要因であることに気づいていなかった為に、「生活歴」(キッカケを契機に開始され、継続されたナイナイ尽くしの単調な生活習慣)の聞き取り及びその評価は実施していなかった(アルツハイマー型認知症が「意識」と関わりがあるタイプの認知症であり、意識下での実行機能が働く基礎が注意の分配力の機能であることにも気付いていなかった為に、極めて単純な評価方法しか採用していない)。医学界に浸透して行かない浜松方式の弱点を補う形で始まった二段階方式の事業展開に際し使用した最初のマニュアルである『老年期痴呆の早期診断と治療マニュアル』⦅380ページ)は、金子満雄著作で、エイジングライフ研究所監修となっているが、高槻忠男が著作したものなのです。金子満雄の著作物と高槻絹子の著作物と論文と各種の脳機能データをもとにして、高槻忠男が、本質に対する理解が不十分な儘に、金子満雄と高槻絹子の受け売りの知識だけで、論理的な構成力だけで著作したもの。そのマニュアル以降の内容は、「二段階方式」の事業開始後の試行錯誤の期間中に、高槻忠男が、「意識」との関わりに気づいて、意識が関わる認知症との視点から、理論自体を根本的に構築し直し、新しいマニュアルを著作して、高槻絹子の名前で新規発行した。「第二の人生」を送る上で継続されるナイナイ尽くしの単調な生活習慣に起因した廃用性の機能低下が、発病するかしないか/症状の重症化が進行するかしないかを区分け決定づける「唯一の要因である」ことを確信して、発病自体の予防(「前頭葉」の機能が正常なレベルに在るお年寄りを、第二の人生を送る期間、出来るだけ長く正常なままに保たせる)、即ち、身体が持つ限りも持たせて、前頭葉を含む脳全体が生き生きと働く第二の人生を完走させる為の不可欠のものとして、脳のイキイキ教室の展開を要の手段とする住民参加型の地域予防活動を市町村で展開。予測していた以上の顕著な成果が達成されていき、国保連合会及び国保中央会の支援も得て、急速に、全国に拡大して行ったのです。現在の3分冊版は、平成の大合併が進行する中で、高槻忠男が構築し、体系化を完成させた考え方と理解とに基づいて、高槻忠男が著作したものであるが、高槻忠男が門外漢であること及び市町村の保健師さんが担い手であることを考慮し、受け入れられ易いようにと、高槻絹子を著作者として内容を大改訂し、新規発行した(世界でも唯一の主張内容、アルツハイマー型認知症は『意識との関わり』が核心であることを説くこのブログも、東日本大震災発生の翌年、2012年3月の開始以来、TadがKinukoの名前で書いて来たものなのです。「加齢」による機能低下の進行を第一要件とし、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下の進行を第二要件とする主張内容は、現在も猶、世界で唯一のもの)。

2.「総合判定」の仕方の特徴

①「かなひろい」の数の評価に因る「前頭葉機能の合否判定」だけで、発病の有無を判定

②「かなひろい」の数の評価に因る「前頭葉機能の合否判定」と粗点に因るMMSEの判定との組み合わせだけにより、症状を三段階に区分(小ボケ、中ボケ、大ボケ)していた。

③ 二段階方式との比較で分かるように、前頭葉という機能に着目は出来ていたが、最も重要な要因である第二の人生を送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下の進行」という側面に迄は、当時は、誰も気づいていなかった為に並びに「意識」が関わるタイプの認知症であることに気づいていなかった為に、『注意の分配力』の機能の意識との関わり、実行機能との関わりについての評価が行われていなくて、ひいては「前頭葉の機能の評価」の面において、不十分な評価方法だった(半製品状態)。

(Ⅲ) 導入先の数

①使用料が無料で、副院長の金子医師が主催するも、導入先は2つの町だけに終わる。

②二段階方式が急速に導入先が増えて行ったことに目をつけて、金子医師が、名称だけを「浜松二段階方式」に変更したが、効果なしに終わった。

  左記の図は、「二段階方式」の特徴を端的に示すもの 

=三頭立ての馬車の運行=「意識的な世界」のアウトプットとしての症状

Ⅱ.『二段階方式』独自の内容と特徴

(Ⅰ) 高槻忠男が、意識との関わり、実行機能発揮上の二重構造の存在、注意の分配力の機能が両者との機能構造の面での核心的な機能であることに気づき、発病のメカニズム及び症状の重症化が進行する原因について根本的に考え方を改め、『アルツハイマー型認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病である』と主張し(Tadの見解であり、現在でも、世界で唯一の内容)、理論的に完成させ、体系化し、実務化したものであり、表面的な類似点(かなひろいテスト及びMMSEテストの使用と30項目問診票の使用)以外は、理論も、テスト結果の評価の仕方及び発病の有無の判定も、生活歴の聞き取りの実施と確認も、根本的に異なる内容のものであることに注意。⇔総分量がB6判で28ページの浜松方式とA4判で590ページの二段階方式は、異次元の別物。

(Ⅱ)基本マニュアルの特徴(立ち上がりの最初の基本マニュアルの著作名義は、金子満雄であるが、実際は、高槻忠男が著作した)幾度かの改定が実施されて、現在も、内容の改訂が進捗中である現行版(現在使用している『個別事例判定マニュアル』の各種マニュアルの著作名義は、高槻絹子であるが、実際は、高槻忠男が著作したもの)は、「A4版で総量590ページ」(A、B、Cの三分冊版となっている)及び「マニュアル使用の手引き」(80ページ)。

(1) テスト実施と判定及び基礎データと様式編(マニュアルA)

(2) アルツハイマー型認知症の判定とケース事例解説編(マニュアルB)

(3) アルツハイマー型認知症以外の認知症及び認知症と紛らわしい病気の判定とケース事例解説編(マニュアルC)

2. テスト結果の評価の特徴

(1) 「前頭葉」の機能テスト(改訂版かなひろいテスト)

① 意欲(スピード要素の係数 )、注意の集中力(正確度要素の係数)、注意の分配力(内容把握度の係数)の機能がどの程度、どのように発揮されているかを個別に評価し、且つ三者を総合的に評価し判定する内容に変更されている。

②要因ごとに評価の基準が設定されていて、総合評価についても、年齢別の基準値が置かれている。加えて、経時変化を客観的に評価できるよう基準が設置されているのが特徴です。

(2)「 MMSE」テスト

①テスト結果の粗点でなくて、「時の見当識」を基準とした「評価点」が採用されていて、「評価点」により判定するのが特徴。⇔粗点のままでは、実際の機能レベルとの乖離が生じてくることに気づいて変更したものであり、極めて重要な変更点。

② テスト結果により、キッカケの開始時期が提示されるよう制度設計が為されていて、提示される時期以降の「脳の使い方としてのナイナイ尽くしの単調な生活習慣」(生活歴)が継続されてきたことの具体的な聞き取りによる確認が「必須の項目」とされているのが特徴(猶、小ボケ及び中ボケについては、「標準的な滞留期間」が存在していることから、この標準的な滞留期間との差異が確認される個別ケースについては、当該差異を生じさせることとなった「基礎生活」の存在とその影響とを確認するもの)。⇔そのことを整理したものが、「脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣要因」の「脳機能データ」なのです。

3.総合判定

(1) 廃用性の機能低下という要因が発病させ、症状の重症化を進行させる唯一の要因であることのアウトプットとしての「MMSE下位項目の項目困難度」のデータ(14689例のアルツハイマー型認知症発病患者の脳機能データの解析)を基礎とした「基準」を設定しているのが特徴。

被検者に実施した「MMSE」のテスト結果の内容が、この低下順でない場合は、その一事で、アルツハイマー型認知症の発病者ではないとされる極めて重要な基準。➡発病の有無の判定上の最初の関門であり、二段階方式が世界に誇れる基準と手順なのです。

(2) 下位項目の低下順であることが確認された場合に限り次の段階である、「かなひろい」テストの実施と判定作業に入る。「かなひろいテスト」の実施結果については、「前頭葉の三本柱」(意欲、注意集中力及び注意分配力の機能を総称)の機能の機能レベルを判定することに因り、意識的な世界における「実行機能」(Executive Function)の機能レベル、引いては、「脳全体の司令塔の役割」を担っている『前頭葉』の機能レベルを精緻に判定することが出来るよう、制度設計されていて、テスト結果について、意欲、注意の集中力、注意の分配力の機能の機能レベルがどのように反映されているかを、個別に及び総合的に判定できる基準が、創出され、採用されているのが特徴なのです。

Ⅲ.導入先の数

①使用料が有料(現行は、月額10万円/市町村単位で10年間、その後は無料)であるが、累計総数で、全国452の市町村が導入実施した。

②200を超えたところで、厚生省に呼ばれて、当時の尾嵜課長から全国展開を懇請されたが(『国として出来ることは、何でもする』との言葉まで頂いたのですが、Tadが丁寧にお断りした(50代の前半と言う若さで、先が未だ長い自分の人生を『アルツハイマー型認知症』の「発病の予防活動」事業の構築に捧げる決意が出来なくて、お断りした)。

③その後、平成の大合併の進捗、厚労省のオレンジプラン、新オレンジプラン(徘徊老人の対策)、介護の予防(徘徊するまでに重症化が進行する時期を少しでも遅らせるための市町村による取り組みの実施)の事業展開が主流となり、対象者が末期の段階の人達であることも知られないで、在宅介護支援センター、地域包括支援センター等の組織化が進み、新規の導入がなくなって行って、現在に至るもの(政府大綱第一条では、「発病の予防及び早期診断による回復については、世界中の権威ある専門家達が未知の領域としている状況下では、時期尚早であり、民間の活動を含めた情報の収集が当面の課題である」と規定している。)➡ 左脳が専管する「仕事」とは無縁の日々が特徴である「第二の人生」を送る「高齢者」達の間で、「3密の回避」に徹した生活習慣、「脳の使い方」としての単調な『生活習慣』が継続されている状況下で、専門家とされる人達自身が未だ気づいていなくて、野党やマスコミも取り上げない中で、実態的には、アルツハイマー型認知症の新規発病者(「小ボケ」の段階)が激増してきていて、症状の重症化が進行してきているお年寄り達(小ボケは中ボケの前期に、中ボケの前期は中ボケの後期に、中ボケの後期は大ボケの前期に、大ボケの前期は大ボケの後期に進行してきている)が激増してきているはずなのです。

その発現や進行は、「アミロイドβの蓄積に因る老人斑の増加が原因ではない」のです。「3密の回避」に徹した生活習慣の継続、言い換えると、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続により、前頭葉を含む脳全体の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきたことが「直接の原因」なのです。

➡ 現在は実践を継続している市町村も無く、カロリンスカ研究所やランセット委員会等の世界的に権威ある機関への論文の提出もしていないために、世の中に知られてもいないのですが、このブログで公開してきた主張内容及び現行版の「個別事例判定マニュアルABC」で記述している内容が、近い将来に、世界標準になると確信しているのです。一つには、因果関係の連鎖を重視した主張内容の論理的な整合性の高さと、もう一つには、北海道から九州に跨る452の市町村での実践展開指導、極めて多数の市町村での顕著な成果と言う疫学的な方法による実証が為されているからなのです。

⇔ この先は、「新型コロナ問題」の終息後に、「政府大綱」の第一条で、「将来の検討テーマ」と位置付けられているテーマ、早期診断による回復と発病自体の予防というテーマを国が追及する状況が生まれてきたとき、「第一番に、声をかけてもらえる」ことを期待して待つだけなのです。第二の人生を送る高齢者が、「3密の回避」に徹した『生活習慣』を継続しているだけで、アルツハイマー型認知症の発病者が激増したことが明るみに出てくれば、そのことだけで、世界的に通説の地位にある「アミロイドβ仮説」の主張内容が誤りであることの客観的な実証となるからなのです。「権威の主張内容が誤りである」ことが確認されることとなれば、権威と真反対の内容である私たち「二段階方式」の主張内容と提出してある「実証データ」が注目されることになると考えるからなのです。二段階方式の主張内容が、全国に浸透して、第二の人生を自分らしく生きて、身体が持つ限り脳も持たせて、「第二の人生を完走」できる超高齢社会を実現させたいと願っているのです。

 本著作物「F-15」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(特に、医学会に身を置く人達に、お願いします)。 エイジングライフ研究所のHP左の部分をクリック

 

 

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