認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の「中ボケ」の症状と記憶障害との関係&2 (B-21)

2014-10-01 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

   

年取れば 日ごと気になる 物忘れ 

            肝心なのは 脳の働き  By kinukototadao

     

&1「中等度認知症」(中ボケ)の段階で発現する症状と脳の機能

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(「時」の見当識を基準にして説明すると、「中ボケ」の段階で起きてくるのは、「今日が(何日)なのか、平成の(何年)なのか、(何月)なのか、今の(季節)が何なのか」が分からなくて言えなくなっていくのです。然も、脳機能の衰えにリンクした症状の進行につれて、この順番に分からなくなっていくのです。但し、昼夜の区別もつかなくなるのは、末期の段階の「大ボケ」になってからのことなのですが)。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳機能の低下と症状の進行との関係を「二段階方式」の手技を活用して調べていくと、単純な「記憶障害」と片付けてはならないことに気が付くのです。「前頭葉」の各種個別認知機能の認知度及び発揮度を左右していて、「三本柱」の機能と私たちが名付けている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくのに連動する形で、対象となる情報の「記銘」に関わる記銘度自体が衰えていくことが分かるのです(ここを「クリック」してください)。

    

□ 簡単な計算もできない(買い物に行くと、「三本柱」の機能の低下が原因で、(支払うべき金額をそれなりに暗算した上で)支払をするのが難しくなり、大きな額のお札ばかりで支払いをするために、やたらと小銭がたまるようになるのです)。

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ(目の前の1つのテーマを追うので精いっぱいになっていて、複数のテーマを処理することができないのです)。

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(4~6歳の幼児程度の思考及び判断力しかないので、部屋の片づけや洗濯物の整理、食後の片付け、畑や庭仕事などについて言うと、「簡単な用事」程度のことでさえもきちんと出来なくなっているのです)。

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している(「記銘」する機能の発揮度が高かった昔のことについては比較的よく覚えているのに対して、廃用性の加速度的で異常な機能低下により、「記銘」する機能の発揮度が低くなってしまったせいで、想起することが難しくなっているのです。それがために、昔に記銘した古いことの方が記銘度が高い頃の記憶であるがために覚えていて想起しやすくて、最近記銘した新しいことの方が、記銘度が低いために覚えていなくて、想起するのが難しくなっているのです)。

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない(「前頭葉」を含む脳の機能の廃用性の加速度的で異常な低下が原因で判断力が低下してきているので、どの薬を食前に何粒飲んで、どの薬を食後に何粒飲んでといった程度のことがきちんとできなくなっていて、飲み忘れたり、いい加減に飲んでしまったりするのです。「記憶の障害」が原因ではないのです)。

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着てみたり、裏表や前後ろに着たり、入浴前に着ていた下着の上に入浴後新しい下着を着たりするようになるのです)。

□ 入浴時の温度管理が出来ず、身体を洗わないとか、石鹸が身体についたままで居たりするようになる(身体を洗うことを忘れているから起きてくる症状ではないのです。司令塔の「前頭葉」の働き並びに左脳及び右脳までもが異常なレベルに衰えてきた直接の結果として「状況の判断」が悪くなってきている、入浴したら何をどのようにすべきなのかの判断力が衰えてきているせいなのです)。

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない(上記に同じ)。

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になるのが特徴です。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べるようになります。「記憶の倉庫」に照らして評価する働きをする「前頭葉」の「評価の物差し」が僅かにしか機能しなくなってきている結果起きてくる症状なのです)。

□ (自分の子供)の現在の居住場所、その生まれ順、その数の説明が、(この順番に)きちんとできなくなります(これも、「人の見当識」が異常なレベルに衰えてきていることが直接の原因であって、忘れているから起きてくる症状ではないのです)。

□ 今の季節が何かが分からなくなる(「記憶の障害」が原因なのではなくて、今の季節がなんなのか、どのような状態としての季節なのか、「状況判断」ができない結果として、夏にセーターを着るなど、季節違いの服を平気で着るようになるのです)。ここまでが「中ボケ」のレベルであって、昼夜の区別がつかなくなる症状は、次の「大ボケ」の段階になって発現してくるのです。

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう(「前頭葉」を含む脳の廃用性の加速度的で異常な機能低下が直接の原因であって、「記銘」する機能自体が極めて衰えてきているために、保持も想起も出来なくなっていて、それが原因で起きてくる症状なのです。「想起」する以前の問題であって、「記銘度」が極めて低いか/又は「記銘」自体ができていないのです。「中ボケ」の特徴は、昔のことは比較的よく覚えているのに対し、新しいことを覚えていないのが特徴です)。

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を記銘できていないがために想起することができず、相手が隠したとか盗んだとか言うとか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある。上記に同じ)。

    

 &2 脳の機能レベル(メカニズム)から見た「中ボケ」の症状

「中ボケ」の段階での症状が進行する(症状が重くなっていく)メカニズムと言うか直接の原因は、「前頭葉」の三本柱の機能ともいうべき「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が加速度的で異常な機能低下を進行させていくことにより、「前頭葉」に備わる発想、考察、企画、計画、工夫、推理、洞察等の種々の「個別認知機能」の発揮能力自体が衰えてきてしまい、更には、後天的に獲得され自身の思考や行動の在り方を決定する規範としての働きを有する「評価の物差し」の機能及びこれまでの人生での実体験や伝聞体験に基づく知識や情景など様々な種類及び態様による情報が蓄積された「記憶の倉庫」の機能並びに「前頭葉」のコントロールのもとにその下部機構として働く「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」などの機能を発揮する能力が衰えてきてしまっていることにあるのです。

「アルツハイマー型認知症」の各段階での症状(段階的な症状)は、それに対応する、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合の直接のアウトプットに過ぎないことを、私たちが「二段階方式」の手技を駆使して集積してきた極めて多数の「脳機能データ」が証明しているのです。言い換えると、「中ボケ」の段階で発現してくるそれらの症状は、廃用性の加速度的で異常な機能低下状態にある「前頭葉」並びに「左脳及び右脳」の機能障害を一次的で直接の原因としているのであって、且つその反映として付随的に惹き起こされる「記憶の障害」が二次的に絡んでいるだけなのだということに、認知症の専門家とされる人達が未だに気づいていないことが問題なのです。

    

&3 上に列記した症状は、私たちの区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階だけにみられる特有な症状ばかりなのです。

なお、「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを直接反映した症状が発現しているものなので、症状全体で言えば、「中ボケ」の段階になると、「小ボケ」の段階に特有にみられる症状に加えて、「中ボケ」の段階に特有にみられる症状が併発して発現してくることになりますので、注意してください。但し、この段階では、「大ボケ」の段階に特有にみられる症状(特に、「DSM-4」が診断の第二の要件として要求している失語や失行や失認と言った症状)はそのカケラさえも認められないことにも注意していただきたいのです。

世間で認知症の専門家とされる人達は(某テレビ局で名医として紹介されている人達を含めて)、この程度のことさえも知らないで、「前頭葉」並びに「左脳及び右脳」の働きまでもが廃用性の加速度的で異常な機能低下により異常なレベルに衰えてきているのが「中ボケ」の段階なのであって、且つそのことが症状を発現させている直接の原因であることに気づかないでいるのです。そうした「前頭葉」を含む脳の廃用性の加速度的で異常な機能低下の問題(メカニズム)に気付かないで/或いは知らないで、単純に「記憶の障害」に直接起因する症状だと誤解してしまっている(片づけている)のです。

「中ボケ」及び「大ボケ」の段階で発現してくる様々な症状及びそれらの態様は、「前頭葉」並びに「左脳」及び「右脳」の働き具合が異常なレベルに衰えてきていることこそが直接の原因なのであって、「記憶の障害」はそのことが反映されただけの「付随的な原因」に過ぎないのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状について、私たちのように「三つの段階」に区分けることもしないで(できないで)、全ての症状を「記憶障害」が直接の原因と誤解したまま、いろいろな症状をアトランダムに並べ立てているだけなのです。更には、彼らがしばしば用いる「中核症状」とか「周辺症状」とかいう区分も、意味がありそうで実は意味のない区分に過ぎないのです。

     

 上述した症状を並べられると皆さんは、それらのどの症状も「記憶の障害」が直接の原因なのかなと思うでしょう。「アルツハイマー型認知症」の専門家とされる人達でさえ、そう考えているのですから、皆さんがそのような誤解に陥るのも無理ないことと思うのです。こうした症状の発現の根底には、「記憶の障害」以前の、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を起こしてきているという「脳の働き具合と言う構造的な問題」が潜んでいるのです。そのことに気づかないがために、「アルツハイマー型認知症」の診断の第一の要件を「記憶の障害」と単純に考えてしまう、「DSM-4」のような誤りを犯すことになってしまっているのです。

     

&4 「軽度認知障害」(MCI)と言う概念の問題点

「アルツハイマー型認知症」の症状でありながら、認知症を専門とする医師達でさえ、私たちの区分で言う「小ボケ」や「中ボケ」の段階の症状を「老化現象」との区別さえもつけられないでいる、それが今日の医療現場の実態なのです。「中ボケ」の症状を発現させている「前頭葉」を含む脳の機能とそのレベルと言う視点を持たない限り正しい診断はできないのです。「軽度認知障害」(MCI)等と言う響きだけが専門的で内容があいまい過ぎて早期段階の診断基準にはならない概念を持ち出してきたところで、私たちのように、回復させることが可能な本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階(「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクさせた私たち独自の区分)を的確に見つける(判定する)ことは、無理な相談だと言いたいのです。

      

&5  意識的な世界を支配している「前頭葉」の働きの概観

このブログでたびたび取り上げて説明してきているように、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」には、自ら様々なことに取り組むための「自発性」、色々なテーマを思いつくための「発想」、実行しようとする内容を組み立てる上で必要な「理解」や「計画」や「工夫」、実行内容をシミュレーションする上で必要な「考察」や「分析」や「予見」、実行した場合の結果の推測に必要な「推理」や「想像」や「洞察」、予期しない状況に対応するための「機転」や「修正」、状況や実行内容の「判断」、感情の高ぶりを抑えるための「抑制」、実施を指令するための「指示」、その他、「創造」、「感動」といった機能等、私たち人間だけに備わる様々な働きが詰まっています。更に「前頭葉」には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークした上で、実行テーマの内容や実行の仕方を最終的に選択し決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きも備わっています。全ては、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働して、「周りの状況を判断し、テーマを企画し、何をどのようにするかをケースワークした上で決定し、且つそれらに必要な指令を出して、実行させている」のです。

これが、「意識的な行為」における「脳の働き方」のメカニズムの概観なのです。言い換えれば、運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつりつつ、状況判断に合った「テーマ」とその目的に沿った「内容」の実行を目指す「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです。

  

60歳を超える年齢の「高齢者」が、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものさえもない、言わば、ナイナイ尽くしの「単調な生活」と言う「生活習慣」(脳の使い方としての生活習慣)を継続したままで居ると、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」並びにそのコントロール下で協働して働いている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」までもが、使われる機会が極端に少ないことに起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてくることになるのです。そうした脳全体の働き具合(「前頭葉」を含む脳全体の機能レベル)が加速度的に衰えていき異常なレベルにまで機能が低下したことの直接のアウトプットとして、「アルツハイマー型認知症」の「中ボケ」段階の症状が発現してくることになるのです。

     

&6 「前頭葉」の三本柱の機能に組み込まれた正常老化の性質

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、感動したり、抑制を働かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右しているのが、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです。ところが、それらの働きには、「加齢と共に誰でもその機能が老化し衰えていく」という重要なしかし専門家達からは見過ごされている性質があるのです(ここを「クリック」してください)。

「前頭葉」の各種認知機能の発揮度を左右しているこの「三本柱」の機能には、18歳から20歳代の半ばまでがピークで、20歳代の半ばを過ぎるころから100歳に向かって緩やかではあるが、一直線に衰えていく性質があるのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる年齢、「高齢者」の仲間入りをしたばかりの60歳代半ばにもなると、脳の使い方としての生活習慣の如何に関わらず、「前頭葉」の三本柱の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳代の半ばの頃に比べて、半分以下のレベルにまで衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、「前頭葉」の三本柱の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん「低空飛行」になっていくのが特徴なのです。

     

&7 「記銘」と「想起」の機能(思い出す働き)との関係

上述したように、記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくると言う経路をたどります。「はっきりと記憶している」とか「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持されていて、想起されたのかという、個々の要素の機能レベルが相乗的に影響していると私たちは考えているのです。

その中でも、「記銘」するときの記銘の度合い(「記銘度」)が最も重要だと考えています。認知の対象となり海馬に集められた情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えているのです。

  

「記銘」する(覚える)ときの「記銘度」が高い(よく記銘される)情報は、よく「保持」され、よく「想起」される(思い出される)のです。このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なのです。更に、よく「記銘」された(「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されるのです。専門家が言うような、(海馬が「選択」して、短期記憶と長期記憶とに区別して記憶している)からなどとは、考えられないのです。私たちがこれまでに「二段階方式」を活用して集積してきた脳機能データの解析によると、MMSの下位項目である「想起」の得点(満点は、3点)について言うと、「中ボケ」の段階における分布は、0点となる人達が殆どであって、1点になる人達が僅かに10~20%いるに過ぎないのです。認知の対象となった情報の記銘度が極端に低くなっていることが原因で(「三本柱」の機能の劣化が直接の原因で)、5分後には想起することができないのです。

     

 更に付け加えると、私たちのデータによれば、MMSの下位項目中、「想起」の機能が最も早く加齢により衰えていく項目なのです。そもそも、「記銘」自体が「意欲」、「注意の集中力」、「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の働き具合に直接的に大きな影響を受けるからです。そして、この「三本柱」の各々の機能には、上述したように「加齢と共に誰でもその機能が衰えていく」と言う性質が備わっているのです。そのため、年をとるにつれて、「覚える」こと(記銘)自体が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくことは、皆さん経験済みのことでしょう。私たちが「正常老化の性質」と名付けているもの、加齢により誰でも機能が衰えていくという「三本柱の機能」の性質が、高齢者である皆さんが日常的に体験している「物忘れ」と直接的で密接な関係があるということなのです。私たちが集積した「脳機能データ」によると、「中ボケ」の次の段階である「大ボケ」、すなわち「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」の段階の更に後半の段階に入ってくると、(□ 食事をしたことをすぐに忘れるとか、□ しばしば自宅の方向が分からなくなる)等といったたぐいの症状が出てくるようになります。この人達の脳では実は、「想起」することができない前に、既に「記銘」すること自体が出来なくなっていることが分かるのです。こうした症状を示している人達の「脳機能データ」によると、MMSの下位項目である「記銘」の得点(満点は、3点)自体が、大半の人達が0点か1点となってきているからなのです。

     

&8 「アルツハイマー型認知症」の「段階的症状」

脳全体の司令塔である「前頭葉」の働き具合(機能レベル)が異常なレベルに衰えてきたとき、その直接の結果として、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現してくるのです。その最初の段階が「小ボケ」の段階(脳リハビリにより回復させることが容易な段階)であり、次いで、「中ボケ」の段階(脳リハビリにより回復させることが未だ可能な段階)であり、最後に末期の段階である「大ボケ」の段階(回復させることは、もはや困難な段階)があるのです。

私たちは回復させることが可能であるかどうかという視点から、「二段階方式」の活用により「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれに直接リンクさせた「アルツハイマー型認知症」の症状を精緻に判定した上で、このように「3つの段階」に区分しているのです。

  

私たちが推奨している「脳のリハビリ」とは、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の出番ができるだけ多くなるような、社会活動や、趣味や遊びや人付き合いと言ったその人なりの「テーマ」を実践することなのです。日常生活面で密に、そうした脳のリハビリを実施することによって、「小ボケ」の段階であれば、比較的容易に正常な機能レベルに回復させることができるし、「中ボケ」の段階であっても、正常なレベルに回復させることが未だ可能なのです。極めて多数に上る、こうした「脳リハビリ」の実施による正常な機能レベルへの回復症例を、私たちは、「二段階方式」の成果として獲得しているのです。そうした「脳リハビリ」によって、「前頭葉」を含む脳の機能が正常な機能レベルに回復してくるということからして、「中ボケ」も「小ボケ」も、アミロイドベータの蓄積による老人斑の生成とか、タウ蛋白の蓄積による神経原線維変化等と言った器質的な変化は未だ起きてきていないと考えられるのです。なぜなら、いったん消滅した神経細胞が、脳リハビリによって回復してくることなどはあり得ないからです。「小ボケ」及び「中ボケ」までの段階では、器質的な変化は未だ起きてきていなくて、単に廃用性の加速度的で異常な機能低下が起きてきているに過ぎないと考えるべきなのではないでしょうか。

    

「中ボケ」の段階で発現してくる症状についてもう少し厳密な言い方をすれば、「記憶の障害」が絡んだ症状ではあるが、根本的にはその前段として、「前頭葉」の働きが「軽度認知症」(小ボケ)の段階の時に比べて更に異常なレベルに衰えてきていること並びに「小ボケ」の段階では未だ正常なレベルにあった「左脳」及び「右脳」の働きまでもが異常なレベルに衰えてきていることの相乗効果によって、こうした症状が発現してきているということなのです。

このことについて、意識的な世界における「前頭葉」の働き方(三頭立ての馬車)とそのアウトプットとしての症状の発現の仕方並びに「前頭葉」の機能の発揮度を直接左右している「前頭葉」の三本柱の機能の衰え方の問題について順を追ってその外観を説明した上で、具体的な例示をしつつ分かり易く説明しておきたいと思います。

     

 それではここで、例示して分かり易く説明してみましょう。発現してくる「記憶障害」が二次的に絡む(関わる)その症状についての「中ボケ」の段階における特徴として、昔の出来事、言い換えると昔記憶(記銘)したことはかなり正確に覚えている(「想起」することができる)のに対し、最近の新しい出来事を余り覚えていないで(記銘できていないので)想起することができないのです。つまり、「記銘」するときに必要な、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が「小ボケ」の段階の時より更に異常なレベルにまで衰えてきていること並びに「小ボケ」の段階では未だ正常なベルに合った「左脳及び右脳」の働きまでもが異常なレベルに衰えてきているその相乗効果としての「中ボケ」段階の症状の発現となっているのです。

すなわち、「前頭葉」の各種の個別認知機能である、状況の判断、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び決断など、各種の個別の認知機能が発揮される対象となる情報の処理や思考の際の「認知度」及び「発揮度」が並びに「左脳及び右脳」の機能の発揮度が「三本柱」の機能の衰え具合に左右される結果、「中ボケ」の段階では、全ての機能がちゃんとした機能を発揮できなくなってきているのです。そうした脳全体の働き具合の結果として、上述した「中ボケ」の段階の症状が発現してきているということなのです。

&9 脳機能の加速度的な機能低下の進行にリンクした症状の重症化

        

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」(小ボケ)のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになってきているのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてきている、それが「中ボケ」の段階なのです。その中でも注目されるのは、上掲してある図にみられるように、「小ボケ」から「中ボケ」、「中ボケ」から「大ボケ」へと進んでいくにつれて、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が、加速度的に衰えていくことが分かるのです。脳の機能レベルの加速度的な衰えの進行につれて、「アルツハイマー型認知症」の「症状」が重くなっていく(いろいろなことができなくなっていく、できることが減っていく)のです。

「左脳及び右脳」の働き具合までもが異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。 自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。

「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、更には自分が置かれている状況の判断等にも、「社会生活」を送る上で要求される機能レベルよりもはるかに要求レベルが低くなる「家庭生活」を送る上でのトラブルが起きてくるようになる(「家庭生活」面で種々の支障が出てくる)、それが「中ボケ」の段階なのです。

    

  何時まで待ったら、認知症の専門家とされる人達が、「前頭葉」を含む脳の機能レベルと「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムと言うテーマに目を向けてくれるようになるのでしょうか。あの「東日本大震災」の被災地の「高齢者」達に起きてきている未曽有の人災、研究者達から「不活発病」と意味不明の名前を冠されたままで居たり、或いは、認知症を専門とする医師達から「老化現象」と誤解されたままで放置されていて、何等の調査も対策も施されないままに時間だけが経っている状態なのです。

被災から3年半が過ぎたということは、私たちの「脳機能データ」から推測すると、「小ボケ」や「中ボケ」の段階の人達が皆さんの想像を絶するほどの規模で存在し、且つその症状が進行していて、更には症状の進行が速い人達の場合はそろそろ「大ボケ」の段階に進んできているはずなのです。然も、今日も、復興がなかなか進まない被災地の全ての地域で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちが出てきているはずなのです。

このまま放置された状態のままで居て、この先1年半から2年と言う時間が経過すると、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の人達(「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の人達で、認知症の専門家達が「アルツハイマー型認知症」と認める人達)が、街中にあふれかえることになるのです。このブログで何度も問題提起してきているように、「大ボケ」の段階にまで症状が進んだときは(「前頭葉」を含む脳の機能がそこまで衰えてきてしまった場合は)、もはや手遅れ、「大ボケ」の段階の中で更に症状が進んでいくのを介護して見守るしか途はなくなるのです。「脳のリハビリ」により、正常なレベルに回復させることができるのは、「中ボケ」の段階までの人達だからです。

 注)本著作物(このブログB-21に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

       脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

      

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脳の老化現象とアルツハイマー型認知症の初期症状との差異  (B-04)

2014-02-15 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

   物忘れ 他人の名前が 出なくとも

            反省と工夫が効けば 年のせい (4)  By  kinukototadao

 〇 人の脳のメカニズムを知るのに、専門家はマウスの行動で測るの?  

「アルツハイマー型認知症」の第一番目の症状は「記憶障害」だと未だに考えていて、その上、「アルツハイマー型認知症」を発病させる真犯人がアミロイド・ベータとかいうタンパク質だと思い込んでいる或る国立大学の研究者達が、マウスにホップのエキスを混ぜた水を飲ませたら、それらのマウスの記憶力が改善したとの研究成果が得られたとして、「ホップのエキスには、アルツハイマー病(正しくは、「アルツハイマー型認知症」) の発症や進行を抑える効果がある」と米国の或る科学誌に発表したと或る新聞紙が先月末に報道したのです。これでまたまた、市町村の保健師さんによる「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動の全国的な展開を制度化する日が遠のいていくことになると危惧するのです。

そもそも「アルツハイマー型認知症」は、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきたときから認知症の初期症状が発現してくるのです。発症後は、「前頭葉」の更なる異常な機能低下の進行とそれに付随した形で進行する「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」の異常な機能低下とにより、私たちの定義により区分される「3つの段階」{そられは、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能レベルを含む脳全体としての脳の機能レベルなのですが}に対応する各機能レベルでの直接のアウト・プットが、3つの段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の「段階的な症状」として発現するのが特徴なのです。アメリカ精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSMー4」の規定により第一の要件とされている「記憶の障害」が「アルツハイマー型認知症」の本質をなす症状ではないのです。更に言うと、「DSM-4」の規定により第二の要件とされている「失語」や「失行」や「失認」の症状は、(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階の中の更に終盤の所謂「末期の段階」の症状であって、脳の機能レベルとしての別の視点から言えば、「前頭葉」は殆ど機能しなくなっていて且つ「左脳と右脳の機能」が「MMS」の基準で一桁の点数になる末期の段階にならないと発現することがない程の極めて重度の症状だということを、認知症の専門家達は知っておいて欲しいのです(但し、この得点は、或る項目に一定の換算を施した「評価点」の点数なのですが)。

「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが原因となり、そのまま認知症の症状として発現してくる「アルツハイマー型認知症」は、その症状が進行していくにつれて「記憶の障害」の程度も進んでいくので、末期の段階にまで症状が進んでいくと、重度の記憶障害に起因する重度の症状が目についてくるようにはなるのですが、専門家達から見落とされているもっと軽い段階、とりわけ最初の段階であり私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階で確認される認知症の症状は、「前頭葉」の機能障害に直接起因する症状だけがそのまま「アルツハイマー型認知症」の症状となって発現してくるのです(「小ボケ」に始まる「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状については、ここを「クリック」してください)。

(ここで、コーヒー・ブレイク)私達が「アルツハイマー型認知症」に特化して集積してきた「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれに直接リンクした認知症の症状についてのデータの解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性の機能低下を原因として脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に以下に示す「4つの特徴」があることが分かるのです。

○ 最初に、「前頭葉」だけが廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて(使われる機会が極端に少ないことが直接の原因で、当該器官に備わっている本来の機能が異常なレベルに低下していくこと)異常なレベルに衰えていく結果、「社会生活」に支障を起こす症状が出てくるのです(軽度認知症「小ボケ」の段階:この間、左脳と右脳の機能は正常なレベルのままなのです);

 ○ 次いで、「前頭葉」が廃用性の加速度的な機能低下を更に継続していく中で、同時且つ付随的に、「左脳」と「右脳」までもが廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常なレベルに衰えていく結果、「家庭生活」にも支障を起こす症状が出てくるようになるのです(中等度認知症「中ボケ」の段階);

 ○そして終には、「前頭葉」並びに「左脳、右脳及び運動の脳」の機能が廃用性の更なる加速度的な機能低下を同時進行させていく結果、「セルフケア」にも支障を起こす症状が出てくるようになるのです(重度認知症「大ボケ」の段階)。

 ○ そしてもう一つ重要な特徴として、「MMS」で測定される「下位項目」の機能には衰えていく順番に明確な「規則性」が認められるのです(「下位項目」が出来なくなっていく順番とそのパターンの「規則性」)。

意識的な世界を支配し、コントロールする「前頭葉」の働きとそのメカニズム

額のところにある「前頭葉」は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳及び右脳を統括し、「脳全体の司令塔の役割」を担っています。「左脳」が「デジタルな情報の処理」を実行するときも、「右脳」が「アナログな情報の処理」を実行するときも、「運動の脳」が「身体を動かす」指令を出すときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳、運動の脳の三頭の馬)の御者の役割をしている「前頭葉」の全般的なコントロールと指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、必ず「前頭葉」による、支配、関与、判断とその指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」が三頭の馬を主導し、コントロールしつつ、同時に協働して働くというのが、意識的な思考や行為の下で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。

ところで、脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」には人間に特有な数多くの高度な機能が備わっています。その「諸機能」とは、興味、関心、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、発想、企画、計画、工夫、創造、予見、シミュレーション、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等の認知機能A)並びにそれらの認知機能を発揮する上での「機能発揮度」の基礎となる「三本柱」の機能ともいうべき「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能(B)及びそれらに加えて最終的な実行内容を選択し決定する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての「評価の機能」C)などに区分されます。        

「脳を使う」ということは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行することを意味します。意識的に何かの「テーマ」を実行する際の「脳の機能レベル」(働き具合)を考えるには、「前頭葉」の(A)、(B)及び(C)の機能が常に協同しつつ、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」をコントロールしながら働いていることに注意を向ける必要があります。脳の機能レベルが「症状」として発現してくる程度或いは態様は、(Bに下支えされたA及びCの機能の働き具合)としての「前頭葉」の各認知機能と「左脳、右脳及び運動の脳」の各々との協働による「相乗効果」としての脳全体の機能レベルに直結したもの、リンクしたものとなるからです。「前頭葉」を含む「脳の機能レベル」が正常であれば、そのアウト・プットは置かれた状況に照らして適切或いは的確な「言動」や「行動」となり、「脳の機能レベル」が異常であれば、そのアウト・プットは置かれた状況に照らして不適切或いは異常な「言動」や「行動」(「アルツハイマー型認知症の症状」)となるのです。

「意識的な世界」におけるこうした脳の働き方のメカニズムに着眼して、「二段階方式」と呼称する精緻な神経心理機能テストを活用して、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルと直結した症状について極めて多数で且つ精緻な脳機能データを私たちは集積してきたのです。そうしたデータの解析により、「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルに衰えてきたときは、たとえ「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」のすべてが正常な機能レベルにあろうとも、それらの機能レベルの総体としてのアウト・プットである思考や、言動や行為や行動のすべてがもはや正常なものではありえないことを確忍しているのです。「意識的な思考や行為の世界」では、すべての思考、行為、言動及び行動、或いは身体の動静が、脳全体の司令塔である「前頭葉」がコントロールしているので、その働き具合(「前頭葉」の機能レベル)をそのままに反映したアウト・プットになるということなのです。

    

私たちが定義し区分している「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」のすべてが正常な機能レベルにあるが、「前頭葉」の機能レベルだけが異常なレベルにあるのです(ここを「クリック」してください)。私たちは、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定しつつ(私たちが開発した「かなひろいテスト」を使用)並びに「左脳」及び「右脳」の機能レベルも同時に精緻に判定して(「MMS」を活用。但し、或る特定の項目についてはテストの粗点ではなくて、一定の基準に基づき換算を実施した後の「評価点」を使用している)、この段階を「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、「軽度認知症」(小ボケ)の段階として定義し、且つ当該脳の機能レベルの直接のアウト・プットである症状を整理し定型化し、判定の物差しとして体系化しているのです。

 これまでに何度もこのブログで指摘してきているように、60歳を超えた年齢の「高齢者」がナイナイ尽くしの「単調な生活」(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない生活のことを私たちはこのように表現しています)を継続している限りは、今回出てきたホップのエキスを混ぜた水を含むどんな種類の「薬」を飲ませようとも(或いは、どこかの食品メーカーが研究しているとか言う栄養補助食品を摂取しようとも)、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を抑えたり、治したりといった治療効果も、或いは発病の予防効果も期待できるはずがないというのが私たちの考えです。私たちが、20年間にわたる市町村での「地域予防活動」で実践してきたその成果としての極めて多数の「脳機能データ」により確認できているように、「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だからです(脳の使い方という視点からいう生活習慣病)。

60才を超える年齢の「高齢者」であること(私たちが定義する「第一の要件」)とナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(私たちが定義する「第二の要件」)との相乗効果により、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてくることを直接の原因として「アルツハイマー型認知症」を発病するのであって、老人斑に関わりがあるアミロイド・ベータとか(アミロイド・ベータ説)、神経原繊維変化に関わりがあるタウ蛋白とか(タウ蛋白説)、脳の委縮とか(脳の委縮説)が、「アルツハイマー型認知症」を発病させる直接の原因ではない(以前のこのブログで指摘し問題提起したように、それらのいづれもが「副産物」である)と考えているのです。

「前頭葉」は言うに及ばず「左脳」さえも備わっていない動物の、更に言えばその中でも下等なクラスの動物である「マウス」とやらではなくて、生きた人間に飲ませて、その服用が「アルツハイマー型認知症」の発症の予防や回復に直接効くことを確認し、その因果関係を立証した上で発表して欲しいのです。これまでに、こうした「仮説」に私たちは惑わされ振り回わされてきているのですから。

○ 加齢とともに進行する「物忘れ」が意味するものとは  

                    

ところで、加齢とともに症状が頻発するようになり、その程度も重く、その態様がより複雑なものとなるのが、みなさんが日々体験中のあの「物忘れ」なのです。そもそも、そうした物忘れはどうして起きてくるようになるのでしょうか。そのメカニズムを無視して(或いは、知らないで?)、マウスなどにホップのエキスを混ぜた水を飲ませて、箱の中を走らせてみた程度のことで、「アルツハイマー型認知症」の発症を抑えられるとか言って騒ぐなど(新たな「仮説」を主張する)、胸を張って発表する程のものなのでしょうか。

 上の図は、「前頭葉」によるコントロールの下で協働しながら働く「脳の働き」の衰え方を、「二段階方式」に基づく「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。「社会生活」が支障なくできていた脳の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続により老化が加速されることで、正常な老化の域を超えて「異常な機能レベル」加速度的に脳の機能が衰えていくとき、「衰え方の順序がある」のです。上述したように、最初に「社会生活」に支障が出てきて、次いで「家庭生活」に支障が出てきて、終いには「セルフケア」に支障が出てくるようになるのです。そうした「段階的な症状」が発現する直接の原因である「脳の機能の衰え方に順序がある」こと及び脳の機能の衰えの段階ごとに「特有の症状がある」ことが分かるのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が先に衰えていきます。次いで、「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が、そして最後に「運動の脳」が衰えていくのです。私たちの重要なノウハウとなっているので、ここでその詳細を記述するのは避けますが、大まかにいうと、以下に述べるような「左脳及び右脳についても機能低下の明確な規則性がある」のです

 一例を挙げて示すと、  或いは、 など。

 私たちがこれまでに集積してきた15000例に上る「前頭葉」機能を含む脳機能データの解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合は、上述した「脳機能の衰え方の順序」に加えて、「MMS」で測定される左脳及び右脳の機能についても、[MMS下位項目]の衰え方に明確な順序がある、言い換えると規則性があることが分かるのです。「アルツハイマー型認知症」の発病原因について、アミロイド・ベータであるとか、タウ淡白であるとか、脳の萎縮であるとかの「仮説」を主張されている人達は、この「衰え方の明確な規則性」の存在をどのように説明できると言うのでしょうか。更にもうひとつ重要なことがあります。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている中で、「前頭葉」の働きが衰えてきてその働き具合が「異常なレベル」になっている人達、言い換えると「アルツハイマー型認知症」の症状を発現している人達は、脳の働き具合とそれに対応した特有な症状のレベル及び回復の可能性という視点から区分すると、軽いほうから「軽度認知症」(小ボケ:社会生活に支障:回復させることが容易)、「中等度認知症」(中ボケ:家庭生活に支障:回復させることが未だ可能)及び「重度認知症」(大ボケ:セルフケアに支障:回復させることが困難)の「三つの段階」に区分されるのです。

なお、私たちが主張し実践に活用している「回復させる方法」とは、脳のリハビリ(本人の過去の体験、趣味や遊びの傾向、その価値観、おかれた周囲の環境等を考慮したうえで、本人の意欲が出てきて、注意の集中力が高まり、注意の分配力が回復することを直接企図したテーマの実践、言い換えると脳の使い方という視点での「生活習慣」の改善)を言うものであり、何かの薬とか栄養補助食品とかを飲ませたり摂取させたりするような考えとは根本的に異なるものなのです(脳を活性化させる生活習慣については、ここを「クリック」してください)。

 本当の意味での「早期の段階」である「小ボケ」と「中ボケ」とは、上述した「脳リハビリ」により回復させることが可能なのですが、末期の段階である「大ボケ」の段階になると回復させることが困難になるのです。世間では 「アルツハイマー型認知症」の専門家と言われながらもその人達は、こうしたことも知らないで(そうしたデータさえも持ち合わせていないで)、定義内容(基準)自体に重大な誤りがある「DSMー4」の規定に依拠した基準で診断する結果、末期の段階である「大ボケ」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけられないでいるのです。「前頭葉」を含む脳の機能は、(60才を超えた年齢の高齢者であろうとも)しっかり使ってやる「テーマ」を実践する生活(趣味や遊びや人付き合いや運動を自分なりに楽しむ生活)を継続することで出番を増やしてやれば、機能レベルが改善してくるし、使ってやることが極端に少ないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、廃用性の機能低下により異常なレベルに加速度的に衰えていくものだということに、脳(アルツハイマー型認知症)の専門家と言われる人達が早く気付いてほしいと切に願うのです。なお、インターネットで「早期診断」と銘打っている医療機関の客寄せブログがたくさんありますが、そこで言う早期とは「小ボケ」や「中ボケ」の段階のことではなくて、「大ボケ」の段階の中での比較的早期のことを言っているに過ぎないので注意が必要です。

〇 「物忘れ」が起きてくるメカニズムとは?                                                       「アルツハイマー型認知症」の初期の段階の症状(最初の段階である「軽度認知症」の段階の症状)の中核となるものは、「物忘れ」ではないのですが、そのことはさておいて、上述の研究(新たな「仮説」)でもターゲットにされていて、みなさんも日ごろ気にしている物忘れ、言い換えると「記憶の障害」のメカニズムについて、少し詳しい説明をしておきましょう。

ところで実態面から見た時、「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者は、(極めて僅かな例外を除き)60歳を超える年齢の「高齢者」ばかりなのです。上述したように「加齢による脳の老化」が発病の「第一の要件」だからです(マウスではなくて、或いは「アルツハイマー型認知症」を患った後に死んだ人達の脳を解剖した「解剖所見」に基づく仮説ではなくて、生きた人間の脳の機能レベルとそれに直接リンクした症状の分析に基づく私たちの定義なのですが)。実は、「記憶」に関わる脳の機能障害(「前頭葉」の「老化」による「物忘れ」の症状の発現)自体は60歳を超えるどころか、30代という若い年齢で既に始まっているのです。その「記憶に関わる脳の機能の老化」のメカニズムの中核にあるのが、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」という機能、その中でも各種認知機能を発揮する上でその基礎となる機能とも言うべき「3本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能の老化なのです。とりわけ「注意の分配力」という機能の老化が、早々と30歳代の若さでさえ「物忘れ」の症状が発現する主たる原因なのです。

ここで「注意の分配力」の機能というのは、「異なった2つ以上のテーマ」を同時に遂行する上で不可欠の機能のことなのです。例えば、「A」というテーマを遂行しつつ、同時進行的に「B」や「C」のテーマをも遂行するために必要不可欠な脳の機能であり、「前頭葉」の3本柱の機能の一角を占めている基礎的な機能なのです。 車を運転するあなたなら日常的に体験されているはずの状況を例にとって具体的に説明してみましょう。あなたは今、大好きなMariah CareyのアルバムをBGMにかけて、助手席に乗せているお友達と共通の別のお友達の噂話をしながら、休日で繰り出した人達の車で混んでいる道を車を運転しているのです。だからといって、それほど運転技術が良いわけでもないのに事故を起こすこともなく、トンチンカンではなくそれなりの受け応えをしながら噂話に乗りまくりながら、時にはBGMで聞こえてくるMariah Careyの歌声をも楽しみながら、いま車を安全運転できているのです。この状態を脳の機能面から説明すると、あなたの「注意の分配機能」がちゃんと働いてくれているおかげということになるのです。上述したように、この「注意の分配力」の機能の加齢による老化が実は、高齢者である皆さんに日常的な「物忘れ」を起こさせている「主犯格」ということなのです。ここで主犯格と言ったのは、記銘、保持及び想起という記憶の工程に関わる機能について、想起の機能が加齢とともに最初に衰えていくという私たちの脳機能データから、物忘れを起こすことについては、想起の機能の衰えが「従犯」の地位を占めるという要素が加わるからなのです。

 ○  加齢による「前頭葉」機能の老化の進行

   

上に掲げる左端の図は、「前頭葉」の3本柱の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が加齢とともに衰えていくカーブを示しています。20歳半ばころがピークで、30歳代に入ると早くも衰え始めて、60歳代の半ばになるとピーク時の半分程度に衰えてきて、70歳代、80歳代、90歳代と更に年を取るにつれて、緩やかなカーブを描きつつも、どんどん低空飛行の状態になっていくのです。これこそが、「前頭葉」の3本柱の機能に潜む、本質的に内在する性質、「正常老化」の性質(私たち独自の命名)なのです。ナイナイ尽くしの単調な生活ではなくてというか、それなりに「前頭葉」の出番がある生活習慣の下で日々を暮していても、加齢とともに「前頭葉」の働き具合が衰えていくのです(内在的な性質として「前頭葉」の機能レベル自体が低下していく)。但し、それは正常な機能レベルを保ちつつ徐々に機能レベルが衰えていくだけなので、そのアウト・プットは認知症の症状ではなくて「老化現象」に過ぎないのです。上述したように「アルツハイマー型認知症」の症状が発現するには、「前頭葉」の機能レベル自体が異常なレベルに衰えてくることが必要条件だからです。置かれている自分の状況を判断して、自分なりにそれなりの適切な対応を工夫できているのであれば、「前頭葉」が正常なレベルで機能していることを意味します。つまり、物忘れが気になるほどの頻度で起きていようとも「物忘れ、反省と工夫が効けば、年のせい」なのです。物忘れがひどすぎて日常生活面で支障があるのなら、大事なことはメモしておくようにすればいいのです(反省に基づく、自分なりの工夫が実行できることが必要となる)。

ところで高齢者である皆さんが日々の生活体験の中で気にされている「物忘れ」は、「記憶の機能の障害」が原因で発現してくる症状なのです。その「記憶」は、記銘して、保持して、想起するという3つの機能の段階により構成されています。思い出せない(想起ができない)ということは、覚えていられない(保持ができていない)ことを意味し、そのそもそもの原因は、きちんと記銘できていない(覚え込めていない)ことと深い関係があるのです。この「記銘」の段階を分かりやすく説明すると、新品の印鑑を使うと苗字が鮮明に映るのに対し、使い古した印鑑を使うと不鮮明で苗字を読み取り難くなるでしょう。加齢による「前頭葉」機能の老化のせいで記憶の最初の段階である「記銘」の記銘度自体が低いと、「保持」されにくくなり、「想起」も出来にくくなるのです。 その「記銘」する時の、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の関わり方、発揮の程度により、「記名度」自体が左右され、そのことが「保持」及び「想起」にも大きく影響してくることになるのです。このことは、私たちが集積してきた極めて多数の脳機能データに関する「MMS下位項目」の項目分析の結果により確認されているのです。

これが、加齢とともに「物忘れ」の症状の程度や態様や頻度が重くなってくることの原因、脳のメカニズムなのです。つまり、加齢とともに物忘れの症状が重くなっていく(頻度、程度及び態様が次第に重くなっていく)原因は、「前頭葉」の「3本柱」の機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能に「正常老化」の性質が内在していることと直接の関係があるということなのです。「高齢者」であるあなたの場合、脳が壊れてもいないのに(脳梗塞や脳出血、或いは脳の変性疾患等が確認されないのに)、物忘れの症状が多発するときは、「前頭葉」の廃用性の機能障害を疑う必要があります。その背後には、必ず、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続があるはずなのです。「前頭葉」の機能レベルが正常であるかどうか及び何かを「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした単調な生活が継続する生活環境に陥っていないかをチェックしてもらうことをお勧めします。但し、「前頭葉」の機能レベルは、CTやMRIでは精緻な判定ができないことを念のため付言しておきますので、注意してください。

上述した「前頭葉」の機能に内在する「正常老化の性質」の問題に加えて、記銘するときの「置かれている状況」の問題が、これから説明する「注意の分配力」の機能の関与の仕方や程度が「物忘れ」の症状の発現に与える影響の問題なのです。「記銘」するときの状況の中で「注意の分配力」がどの程度に、どのように関与していたのかが、その時の「記銘度」自体を決定づけるので、そのことがその後の「保持」及び「想起」に直接影響するという問題です。そのことを、具体的に例示する状況設定により分かり易く説明してみましょう。みなさんに分かり易くと言うか、(あなただけでなく、60歳代以降の年齢の高齢者は愚か、50歳代の人でさえ誰でもが日常的に体験していることなのですが)日々の生活の中で頻繁に体験している事例を取り上げてそのメカニズムを分かりやすく解説してみることにします。

1つの条件は、あなたが自動車を運転できるということ、もう1つの条件は、あなたに「重大な心配ごと」があって、そのことがいつもあなたの心を占めている状況にあると考えてください。

 今日は久方ぶりに天気の良い日曜日なのです。20分そこらで行ける近くのスーパーに、あなたは、いつもの通りなれた道を車で買い物に出かけたのです。狭い道を抜けて三叉路の大きな通りに出て、その後何度か交差点で赤信号や青信号に会い、右や左に曲がって行って、事故を起こすこともなくスムーズに目的地に着いたのです。目的地についた時、あなたはふと我に返って思うのです。狭い坂道を登ったところにあるあの交差点を右折して、どうやって交通量が多い広い道に出たのか全く覚えていないのです。信号機は有るもののその交差点は、上下両方からの交通量が多くて、いつも危ない怖い思いをする交差点なのです。今日は日曜日で交通量が多かったはずなのに、どうやってその交差点を安全に出たのか全く覚えていないと言うか、思い出すことができないのです。或る程度年を取った年齢の人なら誰でもこんな経験をお持ちのはずなのです。この体験を起こさせている主犯格が、「注意の分配力」という機能の、さらに言えば、その機能の加齢に伴う「老化」の問題なのです。 或る特定の「重大なテーマ」に気持ちがいつも関わっている(注意力が主に分配されている)状態の下では、それ以外の他のテーマには十分な注意力が分配されない、言い換えると「上の空状態になる」のです。 「心ここにあらざれば、見れども見えず、聞けども聞こえず」と言うでしょう。年をとればとるほど、「注意の分配力」の機能の老化現象として、この傾向が顕著に現れてくることになるのです。

ここで私たちの意識的な行為の世界を、今日のあなた自身の心の状況を元にして分析してみましょう。今日は久方の天気の良い日曜日を、それなりに楽しく過ごせたはずなのです。ああ、それなのに。目の中に入れても痛くない程に可愛がっているあなたの孫息子が今日は中学の受験の日なのです。今日が第一希望の学校の受験日なのです。今朝目覚めてからというもの、あなた自身がまるで自分が受験生であるかのように、いやそれ以上に、今日の受験のことで頭がいっぱいなのです。気が気でないのです。何をしていても何時もそのことが脳裏にこびりついていて、なんにも手がつかないというか、気持ちが他のことに回らない状態なのです。

 そんな気持ちのままに、近くのスーパーに車を運転して、買い物に来たところ。それが今のあなたなのです。車の運転をしている最中にも、上り坂の狭い道から交通量の多い広い道に出る信号待ちをしている時にも、受験している孫息子のことが脳裏にこびりついていて、常にあなたの心をいっぱいに占めていて、そのこと以外のテーマには十分な注意を分配できる心の余裕がないというか、なかったのです。

それでも、赤信号なのに飛び出て事故を起こすこともなく、道で反対車線の車と衝突することもなく、脱輪することもなく、スーパーの敷地内で人を撥ねることもなく、あなたが運転する車が無事にスーパーの店先に着くことができたのです。孫息子の受験というテーマに心が目一杯占められていようとも、あなたの「前頭葉」は正常な機能レベルにあるので、他のテーマにもそれなりに必要となる程度の注意を分配できていて、信号も確認できているし、対抗車線の車も確認できているし、スーパーの敷地内での人の行き来も確認できていたのです。ただ、他のテーマに対する注意の分配の程度が低いために、それらにかかわる「記銘の程度」が低くなっていたということなのです(そのテーマに対する都度の対応はできているが、後で想い出すことができない程度の注意の分配だった)。加齢とともに注意の分配機能は衰えていきます。例示したような状況やテーマでなくて、ちょっとした特定のテーマに心が奪われる(気持ちが拠る)場面で、何か他のテーマをやっていたり、やろうとしていると、そのことを後で思い出せない現象(物忘れ)が、たびたび起きてくるようになります。これこそが、加齢に伴う「前頭葉の正常老化」という原因により、日常的に発生してくるようになる物忘れの症状なのです。こうした「記憶障害」の症状は、アミロイドベータやタウ蛋白や脳の委縮が原因で起きてくるわけではないのです。

「注意の分配」機能自体に加齢による「正常老化」の性質が内在していることから、こうした現象は、加齢が進むほどその頻度や程度や態様が重症化していくことになるのです。それでも、「前頭葉」が正常な機能レベルにある限りは、そうした症状は認知症の症状ではなくて、「老化現象」に過ぎないのです。外観的にそうした症状を観察するだけでは、そうした「老化現象」と「アルツハイマー型認知症」の初期症状とを見分けることは、認知症の専門家にとっても難しいことなのです。的確な判定(診断)を行うには、私たちが開発した「二段階方式」に代表される精緻な神経心理機能テストの活用により、「前頭葉」の機能レベルが正常であるかどうかを測定し判定することが不可欠になるのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルのアウト・プットそれ自体が「認知症の症状」として発現してくるのです(「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについては、ここを「クリック」してください)「前頭葉」が正常な機能レベルにある限り、そのアウト・プットは正常なのであり、「前頭葉」の機能が異常なレベルにある限り左脳や右脳や運動の脳のすべての機能レベルが正常であっても、そのアウト・プットは異常なもの、「アルツハイマー型認知症」の症状そのものなのです。

気になって仕方がない程の程度と態様と頻度で物忘れが発現していようとも、「前頭葉」の機能が正常なレベルにある限り、その物忘れは「アルツハイマー型認知症」の症状ではないのです。その根拠は、「アルツハイマー型認知症」の場合は、上述したように脳が衰えていく明確な順番があるからなのです。

物忘れに限らず、私たちが定義し区分する「軽度認知症」(小ボケ)の症状は、表面的な症状だけを見ていると、「老化現象」と間違い易いのです。認知症の専門家とされる人たちは、「前頭葉」の働き具合を調べることをしないで、CTやMRIなどの機器を使って脳の形だけを調べてみたり、或いは「MMS」という神経心理機能テストで左脳と右脳の働き具合を調べることはあっても、肝心の「前頭葉」の働き具合を精緻なレベルで調べる手段を持たないので、「前頭葉」の機能が正常なレベルを保っている中で発現してくる「老化現象」と異常なレベルに衰えてきたことにより発現してくる「アルツハイマー型認知症」の初期症状(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階の症状)との厳密な差異が分からないのです。

 注)本著作物(このブログB-04に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 

 エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 

    脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

  http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 

 

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認知症の予防と脳を活性化する生活習慣 「一芸を極める」(B-02)

2014-01-15 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

 初春を 迎えし我は  中のボケ

      今日が幾日か 覚えも知らず (2) By kinukototadao

○   退職後の生活で、一番気にかかる不安は、「認知症」になること

私は、長年一筋に勤め上げてきた会社を昨年の11月に定年退職して、第二の人生を歩みだしたばかりなのです。年は、65歳になります。先輩達の話を聞くと、第二の人生で一番気になることは、「アルツハイマー型認知症」と言う病気のことなのだそうです。その病気にかかると、妻だけでなく息子や娘たちまでにも計り知れない迷惑と精神的経済的に多大な負担をかけさせることになるのだそうです。第一の人生を、家族の幸せと人並に豊かな生活の獲得と維持とを目標にして、仕事一筋で突っ走ってきた私です。趣味や遊びに目を向けたり、そうした生活を楽しむ精神的な余裕はありませんでした。仕事人間だった私にとって、仕事とは無縁になる第二の人生をボケとは無縁で生きていくには、何をどのようにしたらいいのか、それが第二の人生の出発点となる今年のお正月の最も大事な関心事なのです。

  kinukototadao」の(N0-101)のブログを読んで、恐れている「アルツハイマー型認知症」と言う病気にかからない方法があると知りました。第二の人生が始まったばかりのこの若さで早々とその病気にかからないためにも、第二の人生を楽しむ中で、脳を活性化する為の生活習慣を構築することを、一年の計ではなくて第二の人生の計として第一の目標にしようと心に決めたのです。

ところが、仕事一筋に、ただがむしゃらに第一の人生を突っ走ってきた私には、元旦の朝そう考えてはみたものの、三ケ日が過ぎても、その先が進まないのです。「そうは言っても、何を、どのようにしたらいいの?」の状態のままで、肝心の私の「前頭葉」が少しも働かないのです。どうしたらいいのでしょうか。

 

それでは、Kinukototadao  からのアドバイスを次のとおり、お取り次ぎします。 まずは、「アルツハイマー型認知症」についての正しい知識を持ちましょう。その上で、脳の働きのメカニズムについて知り、「アルツハイマー型認知症」の発病予防に不可欠である脳を活性化させる「生活習慣」の構築と実践とを、家族の理解と協力も得ながら、自分なりの「テーマ」と自分なりの「やり方」とで日々実行するのです。

第二の人生が始まっているということは、然も何をどうしたらいいかと私にアドバイスを求めてこられたということは、「時間はあり余るのにすることがない」状態にあるのでしょう。逆にそのことを幸いにして、私のこれまでのブログをしっかり読んでください。昨年末のN-100を開いて(12月15日公開)、関心のある読みたいテーマを選んで、まずはそれを読んでみてください。そこで興味が少しわいてきたら、次に読みたい他のナンバーを見つけて読むのです。私としては、Q/A Roomの様式でみなさんの関心がありそうなテーマを取り上げて書いてあるN‐44からN‐65までを一気に読み進むことをお勧めします。

ところで、認知症に対するテレビ等のマスコミの取り上げ方には注意が必要です。視聴率を気にするあまり、テーマのセンセーショナルな取り上げ方をしたり、本当の意味での専門家というよりもマスコミ受けする人を登場させるきらいがあるからです。働き盛りの若い年齢の人達の間に「アルツハイマー型認知症」が増えてきているなどというのがその典型です(それらの大半は、側頭葉性健忘症や感覚性失語症などを認知症だと誤診しているだけなのです。「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働き具合を精緻に測ることさえもしないで、「DSM-4」の第一の要件に引きずられ、重度の「記憶障害」の症状、或いはそれと紛らわしい症状さえ確認されると、なんでも「アルツハイマー型認知症」だと誤診してしまうのです)。色々な種類が数多くある認知症の大多数、90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」と言うタイプの認知症なのです。ありふれた認知症と言うか、皆さんが普段の生活の中でしばしば出くわすのは、殆どがこの「アルツハイマー型認知症」なのです(ここを「クリック」してください)。   

 

「アルツハイマー型認知症」発病の第一の要件は「加齢」にあるのです(具体的な基準を挙げると、60歳以上の「高齢者」であることが必要条件となります)。働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病する人が増えてきているというのは誤りなのです。50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病するケースは、皆無とは言わないまでも極めて稀なのです。50歳代以下の若い年齢で発病するのは、生まれつき特定の遺伝子に(現在、3種類の遺伝子が確認されている)異常がある人だけが発病の対象となる「若年性アルツハイマー病」であるか、或いは「重度の記憶障害」の症状を呈する「側頭葉性健忘症」などの認知症と紛らわしい病気が認知症と誤診されたケースなのです。然もそれらはいづれも、発病数それ自体が僅かなものなのです。従って、高齢化率が30%を超えるような市町村、或いは大都会でも高齢のお年寄りが集まって生活している地域や場所、例えば高齢のお年寄りが大勢生活している大型の古いマンションなどでは、「アルツハイマー型認知症」のお年寄りに遭遇する機会がそれだけ多くなります。

その「アルツハイマー型認知症」の発病原因については、学者達が主張している主要な説で、現在まだ学説として生き残っているものだけでも、「アミロイドベータ説」、「タウ蛋白説」及び「脳の萎縮説」の3つもの説があります(実はそれらの学説の全てが、主張しているその原因と認知症の発病との間の因果関係を説明できていない、全くの「仮説」にすぎないのです)。

 インターネットで検索すると、「早期診断」と銘打った医療機関の多数の客寄せブログに出会うことが出来ます。ところが、認知症の専門家とされる人達(学者や医師や治療薬の研究者達)は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の人達、私達の区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達の症状にしか注目していないのです。

「早期診断」と銘打っておきながら、そこでいう「早期」という意味は、私達が問題提起している本当の意味での早期の段階、回復させることが容易な「軽度認知症」や回復させることが未だ可能な「中等度認知症」ではなくて、もはや回復させることが困難な「重度認知症」の段階の中の比較的早期のことを言っているに過ぎないのです。 「重度認知症」の症状が出てきて、且つアメリカ精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の第二の要件として確認が要求されている「失語」や「失行」や「失認」などの症状が出てくるようになったお年寄りでないと、「アルツハイマー型認知症」を発病しているとは考えようとしないのです。

 

「社会生活」や「家庭生活」に支障が出てくる状態、回復させることが可能な「アルツハイマー型認知症」の早期の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階)の症状が発現しているのに、何事にも意欲が出てこない症状に着目して「不活発病」とか言う病名をつけてみたり、頻繁に出てくるようになる物忘れの症状だけに目をつけて「老化現象」とか言ってみたりして、それら初期の症状を見落としているのです。「セルフケア」にも支障が出てきて日常生活面での介助が要るようにならないと、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現しているとは考えようともしないし、疑ってみようともしないのです。それが医療現場の実状なのです。

その人達は認知症の専門家とされながら、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での「早期の段階」であり、回復させることが容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階のことも、回復させることが未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階のことも知らないのです。権威だけはあるが内容としては極めて重大な過ちを犯していることにも気付かないで、アメリカ精神医学会の診断規定である「DSM-4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行うがために、回復させることが可能な早期の段階を見落としてしまっているのです。医療の現場にいて、様々な程度と態様を呈する「アルツハイマー型認知症」の患者を診察する立場にいながら、「DSM-4」の基準を疑うこともなく、ただそれに盲従しているだけと言うしかないのです。

いろいろな種類がある認知症のうちの大多数、90%以上を占めているにもかかわらず、「アルツハイマー型認知症」は、原因不明で治らないし、発病を予防することもできない病気とするのが世界中の医学会での定説となってしまっているのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の原因についても上述した三つの学説が世界中の定説なのです。ところが、それらの学説の説明内容を詳細に検討してみると、「末期の段階の症状が何年間か続いて」、何らかの他の病気が原因で死亡したお年寄りを解剖して得られる「解剖所見」が示す3つの特徴のうちのいずれかが、「アルツハイマー型認知症」の発病の原因だと勘違いしているのです。「末期段階の症状が何年間か続いた」結果としての産物(副産物)に過ぎない老人斑の生成とか、神経原線維変化とか、脳の萎縮とかを、因果関係の確認も立証もなしに、「アルツハイマー型認知症」を発病させる真犯人だと主張しているのです。

 

「アルツハイマー型認知症」は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットがそのまま段階的な症状として現れてくるだけの病気であり、その本質は「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです。言い換えると、「前頭葉」を含む脳を使う機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続が原因で(私達が定義する発病の「第二の要件」なのですが)、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが異常なレベルに衰えた直接の結果として、認知症の症状が発現してくるだけの病気なのです。

「前頭葉」を含む脳の働き自体が異常なレベルに衰えていることに対応する段階的な認知症の症状が出てくるだけの病気なので、身体が保つのが特徴なのです(「アルツハイマー型認知症」の発病が直接の原因で死ぬことにはならないのです)。「アルツハイマー型認知症」は、器質的な変化ではなくて機能的な低下(退化)を本質とする病気に過ぎないのです。このことは、私達が440を超える市町村でこの20年間にわたって実践してきた成果とそれを根拠づける脳機能データにより実証されているのです。

 

 私達の主張には権威がないと不安に思われる方達は、今後数年もすれば、東日本大震災を被災したことが「キッカケ」となりナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を余儀なくされるにいたった「高齢者」たちの内の多くの人達が、他のどの地域の高齢者の年齢別の発症率と比較しても異次元と言われる程の高率により、「アルツハイマー型認知症」を発病し且つ(その人達の症状の重症化が現在も進行していっているので)、私達が問題にしているその時期になると、「中等度認知症」の後半の段階から「重度認知症」の段階の症状を示すようになっているはずなのです(ここを「クリック」してください)。

そうした事象が誰の目にも明らかになってくるような規模になると、認知症の専門家達が初めて問題にし、マスコミが取り上げることにもなり、私たちの主張が疫学的に立証されたことが確認されることにもなるのです。「キッカケ」が発生してからナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり継続していく中で、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から半年から3年の間続き、「中ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から4~5年経つまでの間続き、「キッカケ」の発生から6年が経つと「大ボケ」の段階が始まるからなのです(ここを「クリック」してください)。なお、「大ボケ」の期間というのは、「大ボケ」の段階の症状が発現してから何らかの他の病気が原因で死亡するまでの期間ということになります。「大ボケ」の段階にまで症状が重症化してくると、症状を発現させている原因である「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルの異常な低下が進行してしまっているので、治すことは困難になってしまうからです。身体が保つ限り(命が続く限り)、症状が更に進行していくだけになるのです。従って「大ボケ」の期間は、人により様々なものとなるのです。

 

○  生活の中で日々しっかり使ってやれば、「異常な機能低下」は防げるのです

何かを「キッカケ」として、「趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もなく、生き甲斐もない」、ナイナイ尽くしの「単調な日々」を送る生活習慣の下で、言い換えると「前頭葉」を含む脳の出番が極端に少ない日々が続くうちに、使われる機会が極端に減った「前頭葉」を含む脳全体の機能が加速度的な機能の低下、「異常老化」を起こしてくることになるのです(ここを「クリック」してください)。 

言い換えると、「アルツハイマー型認知症」の本質は、廃用症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないので、脳を活性化する「生活習慣」の構築と日々の実践によりその発病を「予防」することが出来るのです。

ところで、意識的に何かの行動を起こすには、先ずは、考えることが先決となります。何をどうするのかそのテーマを考えて(色々な可能性のテーマをシミュレーションして)、その考えたテーマの中からこれと思うものを選択して、その選択したテーマの実行計画を立てて、立てた計画のやり方を工夫しつつ行動に移す。それが、私たち人間だけが獲得した特権なのです。

ここで、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能、「意識的な世界」を支配している「前頭葉」の働き方について概説しておきましょう。私達人間だけが有する「前頭葉」の機能を中核として(わかりやすく表現すると、三頭建ての馬車の「御者」の役割)、私たち人間は、意識的に何かの「テーマ」を考え、その内容を計画し、いくつかのケース・シミュレーションを経て、個々人ごとに異なる「前頭葉」の「評価の物差し」に照らして、最終的な判断による決断をして、左脳や右脳や運動の脳に対し指令を出して実行しているのです。

最終的な判断或いは決断に至る過程では、様々なケース・シミュレーションが必要となるので、「前頭葉」の三本柱の機能(意欲、注意集中力および注意分配力)の中でも「注意分配力」の機能が働くことで、「主題」となっているテーマを保持しつつ同時に、いくつかの選択肢であるシミュレーションの対象となる「副題」に対しても注意を分配し関係する機能が発揮されるのです。その場合、「注意の分配機能」の分配された度合いに応じて当該副題に対する「認知度」及び「意識度」が高くも低くもなるということなのです(「認知及び意識の多重及び多層構造」の問題)。

 

○   前頭葉の「3本柱」の機能に潜む「正常老化」の性質

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、「前頭葉」の各種認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。

「前頭葉」を中核の機能として、左脳や右脳や運動の脳も参加して、脳全体で何をどのようにするかを決めるには(テーマを選択し、実行計画を立て、実行に移す)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。様々な状況を考慮し、いくつものケースシミュレーションを経た上で、最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の発揮も必要になるのです。上述のようにその「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」と言う脳の働きの「3本柱」の機能と言えるのです。 

ところが、私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、加齢とともにその働きが衰えていく「正常老化曲線」の性質が内在されているのです。そのカーブは、私たちが「二段階方式」に基づく「かなひろいテスト」の実施により集積した年齢別の機能レベルの推移を示す下図のとおりなのです。

        

脳の司令塔は「前頭葉」であり、その「前頭葉」の三本柱の機能に加齢と共に働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が内在していることが「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で不可欠の重要な指標となるのです。

原因が分からないとされている「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムを解明する上で重要なのは、肝心要のこの「前頭葉」の三本柱の機能には、「20歳を過ぎると、年をとるにつれて100歳に向かって、緩やかではあるが徐々に働きが衰えていく」という特徴を有する老化曲線、言い換えると「正常老化曲線」があることなのです。それなりに「前頭葉」の出番がある「生活習慣」を維持していても、加齢とともに機能が緩やかに衰えて行くという性質があるのです。「高齢者」の入口である65歳頃には、「前頭葉」の「三本柱」の機能レベルが最も高い20歳頃のほぼ半分くらいにまで衰えてきていることが注目すべき要因なのです。実態面からも明らかなように、「アルツハイマー型認知症」は、60歳以降の「高齢者」が発病の対象となり、70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と高齢になればなるほど、発病する人の年齢別の割合が、どんどん増えて行くのです。

この「前頭葉」の老化曲線のカーブの傾きの度合いは、60歳を過ぎた高齢者と言われる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きである左脳、右脳及び運動の脳から送られてくる情報の質と量次第で、「前頭葉」の老化の曲線は、「緩やかに低下するカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くことになるのです。 

たくさんの量と質のよい情報が送られてくるような「生活習慣」が継続されているお年寄りは、老化の曲線は緩やかなものとなり、身体が保つ限り脳も保てる、「かくしゃく老人」への道が開けてきます。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されていて、量も少なく質も劣る情報しか送られてこない「生活習慣」が継続されているお年寄りは(私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)、老化の曲線が加速度的な低下の曲線を描いて、急速に低空飛行になっていくことになります。その行き着く先には、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです。    

上述した概説からお分かりのように、「アルツハイマー型認知症」の本質は、脳の使い方という視点で言うところの廃用症候群に属する「生活習慣病」なのです。本来的な性質として内在している「前頭葉」の「正常老化の曲線」の問題(発病の「第一の要件」)と第二の人生に入って、何かを「キッカケ」にして、「右脳」も「運動の脳」も使う機会が極端に少なくなるような生活、「生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない」ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まり、そうした生活が日々継続していくと(発病の「第二の要件」)、出番が極端に少なくなった「前頭葉」が「第一の要件」と「第二の要件」との「相乗効果」により廃用性の機能低下を起こしてきて老化を加速させていき、「アルツハイマー型認知症」発病への道を歩みだすことになるのです(ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」については、ここを「クリック」してください)。 

  

○   脳全体をしっかりと使い、脳が生き生きと働く生活習慣を継続することが、「アルツハイマー型認知症」発病の予防になるのです。

高齢になったお年寄りが、何かをキッカケにして、歩行する機会が極端に少なくなると、膝の筋肉が廃用性の機能低下を起こして来て歩けなくなります。「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムは、高齢者の膝の筋肉が廃用性の加速度的な機能低下を起こしていくのと同じメカニズムと考えられるのです。従って、廃用性の生活習慣病がその本質と考えられる「アルツハイマー型認知症」の発病を予防するには、脳をしっかり使う自分なりの「生活習慣」の構築と維持が不可欠だと言うことになるのです。

「アルツハイマー型認知症」を予防するには、日常生活のいろいろな場面で、「前頭葉」を含む脳全体を「しっかりと使ってやる」ことが必要不可欠の条件なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」には、そもそも、加齢とともに働きが衰えていくという性質があるからです。「アルツハイマー型認知症」を発病しないためには、老化のカーブ(上述した「正常老化」のカーブ)を支えていくこと(下支えする「生活習慣」を構築し、維持すること)が不可欠の条件となるのです。

自分なりの「目標」がある生活、その「目標」を達成することで「生き甲斐」や「喜び」や「感動」が得られることが、その過程での「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」という「前頭葉」の三本柱の出番を多くすることになり、「脳を活性化」させ、廃用性の老化を防止することになるのです。そうした「前頭葉」の三本柱の出番が多い「生活習慣」の下では、発想、創意、企画、構成、計画、工夫、観察、分析、理解、把握、考察、洞察、推理、予見、シミュレーション、組み換え、修正、変更、整理、機転、興味、創造、感動、評価、判断、抑制忍耐、及び決断等の「前頭葉」の高度な諸機能が、それなりに働く機会が与えられることで、「年齢相応」の自分なりの「正常な機能のレベル」を維持することが出来ることになるのです。

   

○   「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状は、「前頭葉」を含む脳全体の働き具合の直接のアウトプットなのです。

世の中の専門家達から原因がわからないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により(使われる機会が極端に少ないために、機能が衰えてくることにより)、加速度的に異常なレベルに衰えてくることが直接の原因で発病し、認知症の症状が発現してくるのです。

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能が異常なレベルに衰えてきたことの直接のアウトプットにすぎないのです。従って、「前頭葉」の出番が多い「生活習慣」を維持することによりその機能が正常なレベルに保たれている限り、「アルツハイマー型認知症」を発病することはないのです

自分なりの「テーマ」とその達成に関わる「目標」がある生活、その目標を達成する過程及び結果により「達成感」や「喜び」や「感動」や「生き甲斐」が得られる生活を送ることで、「三本柱」の機能を含む「前頭葉」の諸機能の「出番を増やしてやる」(しっかりと使ってやる)ことしか他に、「アルツハイマー型認知症」の発病を予防する方法はないし、回復可能な早期の段階(回復が容易な「小ボケ」の段階及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)からの回復の方法もないと言うのが、データと実践に裏付けられた私達の考えなのです。従って、「前頭葉」の働き方及び異常なレベルへの機能の低下のメカニズムから考えると、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するままで居て、異常なレベルに衰えた「前頭葉」を含む脳全体の機能を、飲むだけで(或いは、貼るだけで)正常なレベルに機能回復させることができる薬(「アルツハイマー型認知症」の治療薬)を開発することができるなどというのは、不可能なこと、絵空事だとしか思えないのです。

    

○   脳を活性化させる上で、第二の人生での「テーマ」となるものとは

そうした視点から言えば、第二の人生では仕事(「左脳」が中心となる)がらみの「テーマ」を目標とすることは一般的には無いことなので、仕事以外の「テーマ」、「趣味」や「遊び」や「人づきあい」(「右脳」が中心となる)や「運動」(「運動の脳」が中心となる)、或いは「社会活動」等を「テーマ」として、それを自分なりの「目標」の設定と自分なりの「やり方」で実行し、且つそうした生き方を自分なりに「楽しむ」という生活を「習慣化」することが、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」する必要不可欠の条件ということになるのです。

やることが楽しくて、「意欲」が自然と湧いて来て、熱中できるような、自分なりの「目標」となる「テーマ」、「注意を集中」したり「注意を分配」(複数の異なったテーマを同時並行して実行する前頭葉の機能)したりすることができるだけ多い「テーマ」に取り組む「生活習慣」を継続する中で、自分らしい「生き方」、自分らしい「生活の楽しみ方」を追及し、そうした暮らし方(脳の使い方としての「生活の仕方」、すなわち、「生活習慣」)が、「アルツハイマー型認知症」の発病を「予防」してくれることになるのです。

 ○  意欲が湧き、その意欲がまた他のテーマの遂行に向かう循環が大切

その為には、周りを気にせず、自分の置かれた諸環境と条件とを考慮した上で、自分なりの楽しみが得られ、自分なりの夢を追うことが出来る「テーマ」を見つけて、自分なりのやり方で実行し、その遂行の過程と結果とが自分なりの基準で評価し満足することが出来るようなものであること、言い換えると、「自分の身の丈に合った、自分なりの幸せや生き甲斐や目標を追求する生き方」が不可欠となるのです。周りと比較して、自分が負けているとか勝っているとかいう価値基準にはきっぱりと決別することが必要不可欠の条件となるのです。

「テーマ」が「仕事」の実行であった第一の人生では、皆さん誰でも、周りと比較して自分が負けてるとか勝ってるとかを問題にし、重要視してきたのです。少なくとも人並みと言える程度の経済的に豊かな生活を追求し、獲得することが世間一般に求められ、そのことを家族に保証することが価値とされてきたのです。それが当たり前の価値基準だと思い、周りもそれを求めてきたのです。

ところが第二の人生では、「仕事」のテーマに代わって、「趣味」や「遊び」や「運動」や「人づき合い」や「社会活動」がテーマとなるのです。そうした場では、第一の人生での価値基準を放棄してしまい、忘れ去ってしまうことが必要不可欠となるのです。

周りを見て、周りと同じようなテーマややり方を選択し、周りと比較して自分が勝っているかどうかを評価する従来の「価値基準」のままでいたのでは、肝心の脳が活性化されないのです。勝っていればいいけど、負けていると感じると、やる気が続かなくなるからです。そのテーマを日々実行していく為に必要な「意欲」が出てこなくなるからです。そうした価値基準ではなくて、「自分なりのテーマを自分なりに実行し、その遂行の過程自体を楽しみ、その結果自体をそのままに受け入れて満足する」と言う新しい価値基準の適用が大原則となるところが、「仕事」をテーマとして選択するときとは根本的に異なることに注意が必要なのです。

   

○   すべてのお年寄りに共通の脳を活性化させる生活習慣としての第一番目の「テーマ」となる生活習慣は、「速歩の散歩」なのです。

ところで、「脳を使う」と言うと皆さんは直ぐに「左脳」を使う(仕事や勉強をする)イメージをお持ちだと思いますが、「アルツハイマー型認知症」を予防するための「脳を活性化」させるエース・ピッチャーは、実は「右脳」なのです。皆さんは、「時間が、あっという間に経ってしまう、楽しい体験」をお持ちでしょう。こんな時間こそ、脳全体が極めて活性化している、イキイキと働いている時間なのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になるのです。「趣味や遊びや人づきあい」などを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、脳全体の機能が正常レベルに維持されることになるのです。趣味や遊びや人付き合いが苦手な人は、「運動の脳」を使うことが脳を活性化させる上で意外と効果的です(ここを「クリック」してください)。

  

○   第二のテーマとなる生活習慣は、「一芸を極める」ことです【その一】

第一の人生で、仕事一筋の仕事人間であったあなた、趣味や遊びに目が行かず体験したこともないあなたに、いきなり、アノ趣味をとかコノ遊びをとか言っても始まらないでしょう。多芸多趣味は、理想的ではあるのですが、誰にでも達成できる訳のものではありません。そこで、今日はあなたに、「一芸を極める」やり方を提案したいと思います。多芸ではないが、さりとて、無芸ではない道の追求です。

誤解がないように最初に忠告しておきますが、「一芸を極める」生活習慣とは、「一芸に秀でる」生活習慣とは本質的に異なる価値基準が必要となるのです。周りの人と自分とを比較してみてください。「一芸に秀でよう」としても、親から引き継いだDNAも、生まれ育った環境も、第一の人生での種々の体験も、現在の生活環境も、経済環境も、人的環境も、全てが異なるのです。或るものについてはそれなりに優位であっても、大多数については逆の状況にあるでしょう。比較優位ではないそうした諸環境及び諸条件のなかで、どうしたらあなたの「脳を活性化させる」ことが出来るテーマを見つけられると言うのでしょうか。

その「唯一つ無二の方法」とは、「周りの人達とは比較しない」と言うことなのです。周りの人達と比べて、「勝ってるとか負けてるとか」を問題にしている限り、あなたの脳が活性化されることはないのです。必ず、あなたより勝っている人が周りに居るはずだからです。周りと比較して、負けているのを知って、肝心の「意欲」を落としてしまうことになるのです。

周りの人と比較して負けてるとか勝ってるとか言わないで、自分のやり方で、自分なりにそのテーマを追求し、「その追及の過程自体を楽しみ、その結果を受け入れる」やり方、第一の人生でのそれとは本質的に異なる「価値基準」が、あなたの脳を活性化させ、そのテーマを追求し続ける「意欲」を拡大させ継続させてくれることになるのです。その時、「そのテーマは、あなたの脳を活性化させる生活習慣になっている」はずなのです。

 注)本著作物(このブログB-02に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

脳機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

 

 

 

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それとは知れず密かに忍び寄るボケがアルツハイマー型認知症(A-99)

2013-12-01 | 認知症初期の症状と老化現象との区別の方法

抜き足、差し足、忍び足  

     居眠る間に忍び寄る  脳の老化と認知症

                                      By kinukototadao

○   医療機関は、「前頭葉」の機能レベルの計測及び判定を手抜かっている

認知症の専門家とされる医師達が「アルツハイマー型認知症」と診断するのは、このブログで何度も指摘してきたように、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階、回復が困難な末期の段階の症状を確認してのことなのです。

食事をしたばかりなのにもうそのことさえ忘れてしまっているような重度の「記憶障害」の症状(=「DSM-4」の第一の要件)及び失語や失行や失認といった「重度認知症」の段階でもその後半(MMSの得点が一桁のレベル)にならないと発現してこないような極めて重い症状(=「DSM-4」の第二の要件)に着目しているがために、見つけることに何の意味もないのです。この段階になって見つけたところで治す{症状を発現させている源である「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能を正常なレベルに回復させる}ことはもはや期待できない(困難)からです。

回復させることが可能な本当の意味での「早期の段階」は、私たちの区分で言う「軽度認知症」(回復させることが容易な「小ボケ」)及び「中等度認知症」(回復させることが未だ可能な「中ボケ」)の段階までなのです。但し、この早期の段階を見つけるには、「DSM-4」の診断規定にあるような重度の「症状」だけで見つける方法では、無理なのです。「アルツハイマー型認知症」の回復可能な早期の段階の症状と単なる「老化現象」とを的確に鑑別し見分けるには、私たちが実践し提案している方法、私たちが開発した「二段階方式」のような神経心理機能テストの活用により「前頭葉」を含む脳の機能のレベルを計測し判定することが不可欠なのです。

その場合、独力による能力レベルとしての「生活の自立度」を判定するには、「前頭葉」の機能レベル自体を的確に計測し判定することが不可欠となります。ところが、現実の医療の現場では、「前頭葉」を含む脳の働き具合の判定が不可欠の「テーマ」となることにも気づかないで(判定を可能とするレベルでの「神経心理機能テスト」という「手技」を持たないので)、脳の機能レベルではなくて「脳の形」を見ることが主体となる「CTやMRI」などの「画像診断」で、末期の段階を見つけているだけなのです。より早期の段階を見つけようとする動きの中で(その意気込みだけは評価したいのですが)、二次元又は三次元のどんなに精緻な「脳の形」を得られようとも、或いは「アミロイド・ベータ」の沈着度や沈着範囲を敏感に計測出来るようになろうとも、的確な判定は期待できないということを指摘しておきたいのです。

 

○アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の進行に対する重大な誤解

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

みなさんは、こんな症状が見られるようになると、その人は「アルツハイマー型認知症」だと考えるのではないでしょうか。 正確に言うと、こんな症状が出ている人は、「アルツハイマー型認知症」の「末期段階」の人(私たちの区分で言う「重度認知症」の人)なのです。こんな「重度の症状」(末期の段階の症状)が出てくるもっと前の本当の意味での早期の段階、言い換えると回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があることを、認知症の専門家たるべき精神科医自身が見落としているのです。

回復可能な「軽い段階の症状」(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階の症状)が見落とされていて、回復困難な重度の「末期の段階の症状」(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階の症状)だけに焦点が当てられている結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない」という精神科医の「誤った見解」が世間一般の常識になってしまっているのです。

「アルツハイマー型認知症」を発病した「お年寄り」と発病の前から同居し生活を共にしていた家族なら納得し理解できるように、昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しんでいた「お年寄り」が、一夜明けたら、「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。

色々なタイプがある認知症の大多数90%以上を占めていて、原因も分からないし治らないとされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のが一つの特徴なのです。精神科医が早期診断を呼びかけ、「初期の症状」と言っているのは、実は私たちの区分で言う末期の段階の「重度認知症」(大ボケ)の症状の中の初期の症状(MMSの換算値で言えば、14~10点のレベル)のことなのです。この段階になって見つけていたのでは、せっかく見つけても手遅れ、もはや治すことはできないのです。

○   「前頭葉」の正常老化による老化のカーブ

私たちの意識的な世界を支配している脳の司令塔の「前頭葉」の働きには、加齢とともに老化していくという内在的な性質があります。私たちが集積してきた脳機能データによると、脳機能の「正常な老化」(それなりに「前頭葉」を含む脳全体を使ってやる機会がある「生活習慣」の下で進行していく脳機能の老化のこと)の場合でも、「高齢者」と呼ばれる年齢の65歳頃になると誰でも、その働き具合が20歳代の半ば頃に比べて半分程度にまで衰えてきているのです(加齢による「前頭葉」の「正常老化」の性質)。そして、加齢による「前頭葉」の正常老化のカーブは、後述する図に示す通り、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、緩やかではあるが直線的に「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです。

 

○ 「アルツハイマー型認知症発病」のメカニズム

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた「高齢者」と呼ばれる年齢の「お年寄り」(発病の「第一の要件」)、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(発病の「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、「前頭葉」の老化が加速されていくのです。「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病)の発病が待っているのです。

「アルツハイマー型認知症」の場合は他の如何なる種類の認知症とも異なり、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」だけが異常なレベルに最初に衰えていき、次いで、「左脳や右脳や運動の脳」が順次異常なレベルに衰えていくという衰え方の順番があるのが特徴なのです。更には、「アルツハイマー型認知症」の場合には、「左脳及び右脳」の衰え方にも明確な規則性がある(衰えていく順番がある)ことが重要な特徴です。すなわち、MMSで計測される「MMSの下位項目」の衰え方についても衰える規則的な順番があるのです。こうした「前頭葉」を含む脳の規則的な衰え方が、他の種類の認知症或いは認知症と紛らわしい病気(「アルツハイマー型認知症」と誤診されていることが多い、側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

私たちは、「二段階方式」を活用して集積した15000例を超える「アルツハイマー型認知症」発病者(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の総数)の脳機能データの解析により、(日本だけでなく、世界でも初めてのことなのですが)このことを突き止めたのです。この「規則性」が顕著に認められることから考えても、「老人班」の生成に関わるアミロイドベータや「神経原線維変化」に関わるタウ蛋白や或いは「脳の萎縮」は、「アルツハイマー型認知症」を発病させる原因なのではなくて、発病による症状の進行(重症化)とその期間の継続(特に私たちの区分で言う末期の段階の「重度認知症」の期間の継続)による結果(副産物)に過ぎないと考えているのです(ここを「クリック」してください)。

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。中でも、意識的に何かの「テーマ」を実行をする場面で、「前頭葉」の各種の機能を発揮する上で不可欠で基礎的な働きをする「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。その「認知度」を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中」及び「注意の分配」の働きなのです。然もこの三本柱には、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があるのです(ここを「クリック」してください)。

生き甲斐となることや目標となるものもなく、趣味や遊びや人付きあいを楽しむこともなく、運動もしない、或いは何らかの社会活動に参加する機会もない、文字通りナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言い換えると、「前頭葉」を構成する各種機能の中で最も基礎的且つ不可欠な機能であり、「認知度」や「意識度」或いは機能の「発揮度」を左右する働きをしている意欲、注意集中力及び注意分配力という「三本柱」の働きの出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。脳を活性化する「生活習慣」の実践の程度の如何に関わらず、もともと「加齢」により機能が衰えていくという性質を持っている「三本柱」の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々繰り返していく中で、膝の筋肉と同じように、「廃用性の機能低下」を併発して起こしてくることになるのです。

 

○   「アルツハイマー型認知症」の発病とその特徴である「段階的症状」

私達の意識的な思考や言動或いは行動は、脳の司令塔の「前頭葉」が左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導するというメカニズムの下で実行されているのです。

ところで、脳の機能が何らかの原因で全般的に機能低下したことにより、私達が意識的に何かを実行しようとするとき、生活面に支障が出てくる病気のことを一般的に「認知症」と言います。どんな生活面での自立に支障が出ているのかは、高度なレベルから順に「社会生活」、「家庭生活」及び「セルフケア」の3つに区分されています。但し、認知症を定義するについては支障が出てくる生活の段階を3つに区分していながら、認知症の症状については何の区分もしていないのが学会の現状なのです。

どんな内容、レベルのものであれ、「社会生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「家庭生活」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活」を行うのに要求される脳の機能レベルは「セルフケア」に要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰も異論はないことと思います。また、「脳の機能」が異常なレベルに低下していることが直接の原因で各生活面での自立に「支障」があると言うことは、その支障の程度及び態様が病的なレベルの「症状」として認められると言うことです。

私たちは、こうした視点から、この3つの生活区分に対応した「脳の機能レベルに直接リンクした症状」について、データを蓄積してきたのです。蓄積されたデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方とそれにリンクし且つ対応した「認知症の症状」について、「3段階に区分」され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化しているのです。

脳全体の司令塔の 「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると認知症の症状を示している人達は、脳の働き具合とそれに対応した症状のレベルという視点及び回復の可能性とその程度という視点からの区分で、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活に支障)及び重度認知症「大ボケ」(セルフケアに支障)の「三つの段階」に区分しているのです。 

 

 「上の図」は、協働しながら働く「前頭葉」と「左脳及び右脳」の働きが、同時進行且つ加速度的に衰えていくその衰え方を私たちが開発した「二段階方式」という「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しています。

「 社会生活」が支障なくできていた脳の働きが、何かを「キッカケ」としてナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されることにより、老化が加速され、廃用性の機能の異常な低下が進行していくとき、「衰え方の順序がある」ことが分かってきたのです。脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」だけが最初に衰えていきます。次いで、「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」がその順番で衰えていくのです。この場合、全ての脳の衰え方は、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、直線的ではなくて加速度的に衰えていくのが特徴なのです。更に、専門的になるのですが、「左脳と右脳」の衰え方にも「規則性がある」のが特徴なのです。こうした「衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別の強力な武器ともなるのです。

認知症にも、たくさんの種類があります。とはいえ、「アルツハイマー型認知症」と脳血管性認知症とで95%ほどを占めてしまうのです。回復させることも、予防することも可能な「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めているのです(ここを「クリック」してください)。

この「ブログ」の中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家と言われる医師達は、「原因も分からないし、治すこともできない病気」と言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の「第一の要件」と考え、更には、「失語や失行や失認」等という末期の段階の「重度認知症」でもその後半にならないと発現してくることがない極めて重度の症状を「第二の要件」とする米国精神医学会の診断規定(「DSM-4」)を信奉する過ちを犯していることに気づかないで、見つけている段階が遅すぎる結果なのであって、本来の性質からすれば、「アルツハイマー型認知症」は廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」にすぎないのです(現在の時点で言えば、この主張は世界中で私たちだけなのですが)。

但し、あと2~3年もすると、東日本大震災の被災地の「高齢者」たちが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が来る日も来る日も継続される下で「アルツハイマー型認知症」を発病し及びその症状が重症化していき、私たちの区分で言う「中等度認知症」の後半から「重度認知症」の前半の段階にまで症状が進行していく事態が起きてくることになるのです。更に言えば、日本中の他の地域の「高齢者」との比較におけるその年齢別の発病の割合の際立った高さと発病者数の余りの多さにより私たちの主張が疫学的に証明される結果、認知症の専門家とされる人達が驚き、或いはマスコミにも取り上げられ大問題となることによって、私たちの主張の正しさが学問的にも或いは社会的にも認知されることになると考えているのです。

○   「アルツハイマー型認知症」の入口(発病後の最初の段階)

「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないために(使われる機会が少なすぎるために)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが発病の直接の原因となる病気であって、上述したように、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の異常な機能レベルの反映が直接認知症の段階的な症状となって発現してくるのです。

認知症の初期の段階(最初の入口)である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳も右脳も運動の脳も全て正常レベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。

 そのため、「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」或いは「前頭葉」の各構成機能の「発揮度」左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が的確、且つ十分には働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、日常の「社会生活」面で発生してくる種々の「テーマ」を実行する上で必要となるレベルでの認知機能が十分には或いは的確には機能していない状態に在るのです。その結果、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、様々に展開が予測されるケース・シミュレーション、機転や見通し或いはその変更及び決断等が的確にできなくなるのです。 こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、そもそもチューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(ここを「クリック」してください)。

 

「アルツハイマー型認知症」の初期(入口)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳と右脳と運動の脳は正常な機能レベルに在るのですが、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのことをもう少し詳しく説明すると、「前頭葉」の機能のうち最も重要で基礎的な働きを担う「三本柱」の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能が的確に発揮されなくなっているのです。「三本柱」の機能がいろいろな認知面で的確に発揮されなくなる(「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えた)その反映が、状況の判断や発想や企画や計画や洞察やケース・シミュレーションや機転や感動や抑制或いは決断といった、「前頭葉」の各種構成機能の「認知度」及び「発揮度」に影響するために、対象となる情報や思考の認知及び記銘やその保持や想起並びに処理の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなり、思考、言動或いは行動の面に現れてくるのです。

そのため、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになるのです。勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからなのです。

○「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見られる認知症の中核的症状

「軽度認知症」(小ボケ)の「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つです。

)自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

)発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

)何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

)何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

)その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

 

○ 「小ボケ」(指示待ち人)の段階で現れてくる認知症の症状の類型 

「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであって、「左脳も右脳も運動の脳も」未だ正常な機能レベルにある「小ボケ」の段階で発現してくる「認知症の症状」は、「前頭葉」の根幹(基礎)をなす働きである「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下したことのアウト・プットそのものなのです。以下に列記するのは、単なる「老化現象」とは脳の機能レベルが本質的に異なる「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見られる「特有の症状」です(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。単なる「老化現象」の場合は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能レベルが正常な下で発現するものであるのに対し、「軽度認知症」の症状の場合は「前頭葉」の機能レベル自体が異常なレベルにある下で発現していることが確認されるのです。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□ 同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

 ○   脳の機能面からの確認とそのデータ

世の中では、「アルツハイマー型認知症」の診断に際して「MMS」という神経心理機能テストと「CTやMRI」といった「画像診断」とを組み合わせる方法を採用している医療機関が多いのですが、実は、「MMS」の得点が満点の人たちの内に「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルに衰えてしまっている人たちが多数いることが重大問題なのです。言い換えると、MMSのテストと結果だけからでは、「前頭葉」の機能レベルが異常なレベルにある人たち(その直接の結果として、「軽度認知症」の症状が発現している人たち)を見落としてしまうということになるのです。

つまり、単なる「老化現象」ではなくて、れっきとした「アルツハイマー型認知症」の症状が発現している人たちを見落としてしまっているということなのです。たとえ保険点数が極めて低いものであろうとも、「前頭葉」の機能レベルを的確に計測し判定する以外に方法はないのです(繰り返しになりますが、CTやMRIによる「画像診断」ではなくて、「二段階方式」のような「神経心理機能テスト」を採用しない限り、本当の意味での「早期の段階」を見つけることはできないのです)。

○   単なる「老化現象」と「軽度認知症」(小ボケ)の症状との見分け方

「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムは、その概要について上述したように、私たちが規定する「第一の要件」(加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた「高齢者」と呼ばれる年齢の「お年寄り」であること)と「第二の要件」(脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていること)とが重なり合うことによるその「相乗効果」として、「前頭葉」を含む脳の機能が異常な老化を加速させ進行させていくことなのです。

つまり、「第一の要件」の充足だけ及び「第二の要件」の充足だけでは、「アルツハイマー型認知症」を発病することにはならないし、「アルツハイマー型認知症」の症状が重症化していく(更に重い段階の症状へと進行していく)ことにもならないのです。すなわち、「二つの要件」が同時に充足されることの相乗効果として、「前頭葉」を含む脳機能の加速度的な衰えの進行を起こしてくることが発病及び症状の重症化の原因なのです。

気になる「物忘れ」の症状が見られたり、或いはその頻度が気になる程度であろうとも、更には「認知症」ではないかと疑われるような何らかの異常な言動や行動が見られようとも、年齢要件を満たしていない場合は又は年齢要件を満たしていてもナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されている「生活状況」にない場合は、それらは「アルツハイマー型認知症」の症状ではないのです。単なる「老化現象」そのものであったり、「アルツハイマー型認知症」とは異なるタイプの認知症であったり、或いは認知症と紛らわしい病気であったりするのです。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の異常な老化を原因とする、「前頭葉」を含む脳全体の異常な機能低下のアウトプットが三段階に区分される症状となって発現してくるものなのです。従って、もっと的確にその区別を知りたい人は、「前頭葉」を含む脳の機能レベル、特に脳全体の司令塔である「前頭葉」の機能レベルが異常であるか否かを的確に計測でき、判定できる「二段階方式」のようなキチンとしたレベルの「神経心理機能テスト」で正確に判定してもらうことをお勧めしておきます。

注)本著作物(このブログA-99に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

    http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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