認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

回復可能なアルツハイマー型認知症の初期の症状とその特徴ーその1(小ボケ  B-32 )

2015-03-15 | アルツハイマー型認知症の早期診断

 5月の連休までには、屋内の全面的なリフォームが完成し、脳活性化研究所としての活動が開始される見通しです。高齢者が800世帯も定住しているこの別荘地で、脳を活性化させる「生活習慣」と言う「テーマ」を交流を通じて具体的に追及し、その類型化及びパターン化を図りたいと考えています。

    

    これは何 年のせいなの 病気のせいなの

                   回復可能な 本当の初期       By kinukototadao


&「アルツハイマー型認知症」の発病原因(発病のメカニズム)に関わる3つの「仮説」

テレビでよく認知症の専門家とか認知症の名医とかのふれこみで登場する人達がいます。「アルツハイマー型認知症」の診断についてその人達が語る内容を聞いていると、この人達にはプライドが全く無いのかと疑いたくなるのです。「アルツハイマー型認知症」の本質について、全く知らないのではないかと言うしかない内容なのに、如何にも深く理解しているかのような断定的な口ぶりで語るのです。加齢に伴い発現してくる老化現象としての記憶の障害の症状と「アルツハイマー型認知症」の症状としての記憶の障害の症状との判別の仕方も知らないで、程度や態様の如何を問わず、「アルツハイマー型認知症」診断の要件としての「記憶の障害」と言う要素に拘泥する内容なのです。

  私のブログを熱心に読んでくださっている皆さんなら既にお気づきのことと思いますが、程度及び態様の如何を問わず、「記憶障害」の症状が老化現象としての症状ではなくて「アルツハイマー型認知症」の症状としての症状である為には、私たちが開発した「二段階方式」のような精緻な神経心理機能テストの実施の結果として、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の機能レベルが異常なレベルにあると判定されることが不可欠の条件となるのです(ここを「クリック」してください)。

 私自身は詳しいメカニズムについては何もわかっていないのだけど、「〇〇〇」の説に従って言うと、「×××」と言うことになるようです。

自分なりのプライドがあるのであれば、このような話し方で、説明すべきではないのでしょうか。「アルツハイマー型認知症」は、米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」が規定するような「記憶の障害」が第一の要件となる訳でもないのです。ましてや、食べ物や飲み物や魚介類等に多く含まれているとされる不飽和脂肪酸(DHA)などが発病を予防する効能を有する訳でもないのです。メタボであることや糖尿病を発病していることが、「アルツハイマー型認知症」の発病との間での直接の因果関係が認められるという訳でもないのです。

      


 今回は、認知症の専門家とされる人達が気付かないままに(或いは、まったく知らないで)、見落としている「アルツハイマー型認知症」の最初の段階と言うか、本当の意味での「初期」の段階、私たちの区分で言うところの「軽度認知症」(小ボケ)の段階について、症状の特徴を含め詳しく話してみることにしましょう。この段階の症状に気づかないで(目が向かないで)、重度の記憶障害の症状ばかりに目が向いていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムを解明することは出来ないのです。

 アー、嘆かわしや!今日も、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での初期の段階を見つける条件を解明しようとして、若くて有能な多くの研究者達が、アルツハイマー・マウスとかの迷路での行動の追跡に夢中になっている姿を哀しく想像してしまうのです。どんなに努力しようとも、月日が何時まで経とうとも、結果は出ないことも知らないで。

     

 

「アルツハイマー型認知症」について幾らかなりとも関心がある皆さんであればご存知のように、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムについては、日本を含めて世界中の認知症の専門家達から、未だに「不明」とされているのです。アルツハイマー病の患者の死後の脳の解剖所見と末期の段階にまで症状が進行していた「アルツハイマー型認知症」の患者の死後の脳の解剖所見とで共通の構造物として確認されるアミロイドベータの蓄積に起因するとされる老人斑及びタウ蛋白の蓄積に起因するとされる神経原線維変化並びに脳の委縮のそれぞれに着目していて、且つそれが発病の原因であると主張する仮説である、アミロイドベータ説、タウ蛋白説及び脳の委縮説の3つの説が主張されています。但し、それら3つの主張は、ともに、原因と結果との間に要求される「因果関係の証明」は未だに行われていない、「単なる仮説」にすぎないのです。

更に言うと、アミロイドベータの蓄積に起因するとされる老人斑の沈着もタウ蛋白の蓄積に起因するとされる神経原線維変化も、更には脳の委縮も「アルツハイマー型認知症」の発病の原因ではなくて結果に過ぎないのです。それらの要素は全て、「アルツハイマー型認知症」を発病して以降、末期の段階、私たちの区分で言うところの「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで認知症の症状が進行した(身体が持った)人達の脳に見られる特徴、末期段階にまで症状が進行したその結果としての「副産物」に過ぎないのです。

      


&「アルツハイマー型認知症」の症状の発現の仕方とその特徴

〇 意識的な世界と「前頭葉」を含む脳の働き具合

 ベッドから起き上がる、洗面所で顔を洗う、洋服を着る、家族に挨拶する、食事の準備をする、料理をする、食事を摂る、外出する、切符を買う、電車に乗る、友達と会う、家に帰るなど、全ての意識的な行為や行動は、「前頭葉」を含む脳の働き具合(脳の機能レベル)に左右されているのです。この場合、「前頭葉」の働き具合が正常なレベルに保たれていることが、状況の判断やテーマの発想やテーマに沿った行動内容の企画や計画、その実行の決断等に必要不可欠の条件となるのです。「前頭葉」の働き具合が異常なレベルに衰えてくると、その「アウトプット」としての状況の判断やテーマの発想やテーマに沿った行動内容の企画や計画、その実行の決断等の全てが異常なレベルのものになってしまうのです。

 ベッドから起き上がり、洗面所で顔を洗うといった、身体を動かす場面で、今日の行動目的に沿った且つ季節及び自分に合った服装をするにも、或いは、友達と会う約束の目的地に約束の時間までに到着できるよう適切な電車の乗継の選択と切符を購入する等、状況と目的に沿った思考や動作や行動をするには、「前頭葉」を含む脳の機能が正常な機能レベルにあることが不可欠の条件となるのです。「前頭葉」を含む脳の機能がどのような機能レベルにあるかにより、そのアウトプット自体が変わってしまうのです。認知症の専門家とされる人達でさえ未だにこのことに気づいていないのですが、「アルツハイマー型認知症」の症状、回復の可能性と言う視点から私たちが3つに区分している段階的な症状は、まさにこの条件と直結した関係にあるのです。

   


〇「意識的な世界」における「脳の働き方」のメカニズム

私たちの頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す「運動の脳」があります。脳卒中で、半身麻痺になる人がいます。運動の脳の左の部分が壊れると、右半身麻痺が起きます。右の部分が壊れると、左半身麻痺が起きます。運動の脳の左の部分が右半身を動かしていて、右の部分が左半身を動かしているのです。

 脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為に不可欠の「左脳」があります。左脳は、言葉や計算や論理や場合分けによるシミュレーションなど「デジタルな情報」を処理しているのです。 脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為に必要な「右脳」があります。右脳は、色や形や空間の認知や感情の処理など「アナログな情報」を処理しているのです。

額のところには、脳全体の司令塔の役割をつかさどる「前頭葉」があります。私たちが意識的に何かのテーマを実行しようとするとき、どのような「テーマ」をどのように実行するか、「運動の脳」をどのような目的の為にどのように働かせるか」(身体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的の為にどのように働かせるか」(言葉や計算や論理や場合分けなどのテーマ)、「右脳」をどのような目的の為にどのように働かせるか」(色や形や空間認識や感情の処理などのテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が周りの状況を判断して決定し、指令を出しているのです。その「前頭葉」には、発想したり、計画したり、工夫したり、推理やら洞察をしたり、或いは機転を利かせたりするなどの様々な働きが詰まっています。更には、自分の置かれている状況を判断し、種々ケースワークした上で、実行テーマの内容や実行の仕方を選択して、最終的に決定するために必要な「評価の物差し」という大事な働きがあります。この状況の判断に伴うテーマや実行内容、或いは実行の仕方やその程度及び態様を選択する機能こそ、私たち人間に特有の機能でもあるのです。

    


〇 「三頭建ての馬車」の御者の役割を担うのが「前頭葉」

運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつる御者の役割をしているのが、「前頭葉」なのです。三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き次第ということなのです。御者が居眠りを始めたり、眠り込んでしまったら、馬はどこへどのようにして行ったらいいのか分からなくて道に迷ってしまうでしょう。生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの単調な生活の継続と言う脳の使い方としての生活習慣に起因して、言い換えると、使われる機会が極端に少ないことに起因し発生する廃用性の加速度的な機能低下を直接の原因として司令塔の「前頭葉」の働きを含む脳の働きが異常なレベルに衰えてきて、その結果の直接の反映として社会生活や家庭生活やセルフ・ケアなどに支障が起きてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超える年齢の「高齢者」だけを対象として発症する「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです(「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。

 〇 意識的な世界での「認知度」を左右しているもの

意識的に何かの「テーマ」を実行しようとする場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、批判、想像、理解、了解、興味、関心、発想、連想、妄想、企画、計画、創意、工夫、予測、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断と決断など、「前頭葉」の個別機能を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となります。

「認知度」が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が、自分が置かれている状況と実行すべき目的とに適う必要なレベルでは、発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ或いは低さそのものを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。「前頭葉」の個別認知機能の機能レベルが正常なレベルを維持していても、「前頭葉」の三本柱の機能が正常な機能レベルに無いときは、アウトプットそれ自体も正常なレベルのものではなくなってしまうのです。「前頭葉」の個別認知機能の機能レベルが異常なレベルに劣えてきていて、「前頭葉」の三本柱の機能も異常な機能レベルに劣えてきているときは、そのアウトプットは更に異常なレベルのものになってしまうのです。

〇 「前頭葉」を含む脳の機能の発揮と「二重構造」の問題

「前頭葉」を中核の機能として、有機的な連携のもとに左脳や右脳や運動の脳も参加して、脳全体で何をどのように実行するのかを組み立てるには(実行すべきテーマをいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容を組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮し、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮も必要になるのです。上述のようにその「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能の構成要素である「個別機能」によるその認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別機能を十分に発揮するに際しての「二重構造」の関係(私たちのネーミング)が存在しているのです。 

    


〇 「前頭葉」を含む脳の機能から見る「アルツハイマー型認知症」の症状の段階

私たちは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状を「二段階方式」と呼ぶ神経心理機能テストで判定し、軽いほうから、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の3つの段階に区分します。「脳のリハビリ」を実行することにより、正常なレベルに回復させることが可能かどうかの視点から、3つの段階に区分しているのです。

 3段階に区分される「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルと「二重構造」との関係にあって「前頭葉」を含む脳の働き具合を下支えしている「前頭葉」の三本柱の機能の働き具合との組み合わせによる「相乗効果」としての脳の働き具合のアウトプットに過ぎないのです。それらは、以下のパターンに見るような3通りの組み合わせとなるのです。

①   「軽度認知症」(小ボケ):「前頭葉」の機能レベルだけが異常なレベルにあって、左脳も右脳も運動の脳も正常な機能レベル

②   「中等度認知症」(中ボケ):「前頭葉」の機能レベルが小ボケのレベルよりも更に異常なレベルにあって、且つ左脳も右脳も運動の脳も異常な機能レベル

③  「重度認知症」(大ボケ):「前頭葉」の機能レベルが中ボケのレベルよりも更に異常なレベルにあって、且つ左脳も右脳も運動の脳も中ボケのレベルよりも更に異常な機能レベル

注)小ボケ、中ボケ及び大ボケの脳の機能レベルは、「前頭葉」については「かなひろいテスト」の実施による基準点により、左脳及び右脳の機能レベルについては、MMSテストの実施による基準点(テストの粗点ではなくて、換算点を基準)により、判定します。

   

注)症状の段階(脳の機能レベル)と回復の可能性

① 小ボケの段階であれば、脳のリハビリにより正常なレベルに回復させることが容易なのです。

② 中ボケの段階であれば、脳のリハビリにより正常なレベルに回復させることが未だ可能なのです。

③ 大ボケの段階になると、正常なレベルに回復させることだけでなく、中ボケの段階に回復させることさえも困難になるのです。

④ 「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムから考えて、飲むだけで(或いは、貼るだけで)「前頭葉」を含む脳の機能レベルが回復するような薬(「アルツハイマー型認知症」の治療薬)が開発可能とは考えられないのです。

(コーヒー・ブレイク)

欧米の主要な製薬メーカーからは、新規の治療薬開発の根拠とはならないとして既に否定されている説なのですが、我が国では、著名な独立行政法人を先頭にして、アミロイドベータ説が主流です。ところが、アミロイドベータの蓄積は、「アルツハイマー型認知症」の発病とは関係がないのです。アミロイドベータの蓄積は、「アルツハイマー型認知症」の発病原因ではなくて、発病し末期の段階にまで重症化が進行した結果としての「副産物」に過ぎないのです。

アミロイドベータの蓄積を早期の段階から検知できる方法や機器を開発できたからと言って、「アルツハイマー型認知症」の本当の意味での初期の段階を検知できることにはならないのです。時間の無駄遣い、税金の無駄遣い、人材の無駄遣いに終わってしまうのです。

    


& 症状が段階的に進行していき、重症化していく主たる原因は、「前頭葉」を含む脳全体の廃用性の機能低下にあるのです

     

〇 小ボケ、中ボケ、大ボケと症状が進行していく原因は、脳の機能レベルの低下にあるのです

上述した3つの段階の組み合わせに見る「前頭葉」を含む脳の機能レベルの低下の中で、全ての脳の機能レベルが段階ごとの症状の発現及び進行に関係しているのですが、最も重要な要素は、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標もないというナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(私たちが定義する「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)に起因する脳全体の廃用性の機能低下、特に、「前頭葉」の加速度的な機能低下の進行にあるということが症状の中身を理解する上で極めて重要なことなのです。

 意識的に何かの「テーマ」を実行する上で、状況を判断するにも、状況の判断に沿った「テーマ」を発想するにも、「テーマ」の内容を組み立てるにも、実行内容の結果をシミュレーションするにも、シミュレーションの結果に基づいて必要な修正を加えて変更を行うにも、実行の判断及び決断を行うにも、場合によっては必要な抑制を行うにも、全て及び常に、「前頭葉」による全体及び個別のコントロールが不可欠となるのです。

「二段階方式」による「前頭葉」を含む脳の働き具合のテスト結果を図示した上記図にみられるように、「小ボケ」から「中ボケ」、中ボケから「大ボケ」へと症状が進行し重症化していく中で、その主たる原因として、「前頭葉」の機能レベルが加速度的に低下して行っていることが分かるのです。「前頭葉」は、3頭建ての馬車の御者、脳全体のコントロールタワーの役割を担っているのです。その「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくということは、『状況を判断する機能、状況の判断に沿って「テーマ」を発想する機能、「テーマ」の内容を組み立てる機能、実行内容の結果をシミュレーションする機能、シミュレーションの結果に基づいて必要な修正を加えて変更を行う機能、実行の判断及び決断を行う機能、場合によっては必要な抑制を行う機能』と言ったすべての機能の働き具合が加速度的に低下して行くことを意味しているのです。

 [DSM-4]の規定を疑うこともなく盲信している認知症の専門家とされる人達が、「アルツハイマー型認知症」の症状として認める初めての段階、私たちの区分で言う末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階になると、例えば、言葉を通じたやり取り(相手の言葉を理解し、自分の考えを相手に伝える)といったようなことも、自分の表情や感情の表出も、相手の表情や感情の理解も、態度も言動も行動も全て、肝心の「前頭葉」自体が眠り込んでしまっていて殆ど機能していない状態に在る下での表出(表現)なのだということを、私たち、家族や介護者は理解しておくことが必要不可欠のことになってくるのです。色々な言葉、身体に浸み込んだレベルの言葉や単語を発してはいても、それらは適切な/或いは必要なレベルでの状況判断や理解とは無関係のものに過ぎないのです。肝心の「前頭葉」が殆ど機能していない下での、言葉の表現であり、態度や行動の表出に過ぎないのですから。それなりに働いているのは、感情の脳である「右脳」と身体を動かす「運動の脳」だけであり、且つそれらの脳までもが症状の更なる進行の下で働かなくなっていくのです。

   


(再び、コーヒー・ブレイク)

「前頭葉」を含む脳の機能レベルと言う視点から考えてみた場合、 「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで症状が進行してしまった人達こそ、介護保険の全面的な適用で手厚く介護すべきなのです。「家族介護」などもってのほかの施策(政策)と言うべきなのです。「脳はちゃんと働いているのに、身体がちゃんと働かない人」よりは、「身体はちゃんと動くのに、脳がちゃんと働かない人」にこそ、介護保険を適用すべきなのです。

 この先、認知症発病者の膨大な数の増加が見込まれることを危惧して、財政面からの介護保険制度の破たんを危惧して、家族介護を制度化するのであれば、もっと素晴らしい別の方法があるのです。開きっぱなしにされたままの蛇口を閉めればいいのです。これこそがBestの方策であり、施策であり、政策なのです。色々な種類が数ある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」が認知症全体の90%以上を占めているのです。その上、「アルツハイマー型認知症」は、発病自体を「予防」することが出来るタイプの認知症であり、「早期の段階」で発見すると治すことも出来るのです。「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病であり、早期の段階(私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)で見つけて、「脳のリハビリ」を実践すれば治すことも出来る病気だからです。

 「早期の段階」を見つけるとかいう名目で、費用ばかりが高額であって発見に寄与していないCTやMRIやPETの使用を診断に用いたがる医師達にそれらの使用を中止させるのです(どうしても使用するのであれば、その使用は「混合診療」の対象とするのです)。「二段階方式」のような精緻な神経心理機能テストであれば、費用自体が格安であるうえに、極めて精緻なレベルでの判定が可能だからです。その場合、判定は医師である必要もないのです。「アルツハイマー型認知症」の発病の予防を「市町村」が「地域予防活動」により実践し、本当の意味での「早期」の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)の判定及び「脳のリハビリ」による「生活習慣」の改善指導を調剤薬局やコンビニが主体となって展開するのです。「アルツハイマー型認知症」を発病する対象は、60歳を超える年齢の「高齢者」(私たちが定義する、「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」)が殆どだからです(極めて稀なケースとして、50歳代後半での発症がみられるだけなのです)。

    


& 「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の症状の特徴

以下に列挙された症状は、「DSM-4」の規定に基づいて診断を行う人たち、認知症の専門家とされる人達からは見落とされている「軽度認知症」(小ボケ)の段階に特有な症状ばかりなのです。「小ボケ」の段階では、「中ボケ」の段階に特有な症状並びに「大ボケ」の段階に特有な症状は確認されないのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルのアウトプットそれ自体が認知症の症状として発現するからなのです。「前頭葉」を含む脳の機能レベルが異なれば、異なったレベル、段階の症状を示す、それが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。加齢に伴い発現してくる記憶障害の症状、所謂「物忘れ」の症状以外の病的な記憶障害の症状は全く確認されていないことに注意していただきたいのです。「小ボケ」の段階では、「前頭葉」の機能障害を示す症状だけしか発現してこないのです。「記憶の障害」の症状が発現してくるのは、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階からなのですが、「中ボケ」の段階更には「大ボケ」の段階での「記憶の障害」の症状とみられている症状の根幹にあるのは、主として、異常なレベルに機能が衰えてしまった「前頭葉」の働き具合に起因した理解力及び判断力並びに意欲及び集中力の機能の低下を基礎として発現する「記憶障害」の症状であることを専門家達が理解することが、「アルツハイマー型認知症」の発現のメカニズム及びその本質並びに症状を正しく理解する上で極めて重要なことなのです。「覚えていない」というだけの単純なメカニズムとは違うのです。それが故に、「前頭葉」と言う機能自体が備わってもいないラットとか、マウスとか、或いは、アルツハイマー・マウスとかを追いかけまわしていたのでは、何時まで経っても、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムやその本質を理解することは出来ないのです。

□ 発想が乏しくなり、画一的な行動が目立つようになってきた

□ 何事をするにも億劫で、何かをやろうという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が立てられず、テーマを自分で思いつかない

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと昼間に居眠りしている

□ これまでなら感動していたことにも感動しなくなった

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

□ 根気が続かず、中途半端な繰り返しや、やりかけの家事が目立つ

□ ぼんやりしていることが多く、何もしないが指示されるとできる

□ お化粧や髪の手入れや服装など、おしゃれに無関心になってくる

□ 自分に自信がなくて、何かにつけ人を頼ろうとするようになった

□ 歩くとき前屈みの姿勢になり、小股でトボトボと歩く

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情になった

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかないでいる

    

 注)本著作物(このブログB-32に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 

 エイジングライフ研究所のHP左の部分を「クリック」してください)

 

  脳機能から見た認知症(具体例をベースとしたもう一つのブログです)


 

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東日本大震災の被災地の高齢者とアルツハイマー型認知症の発病との関係(B-07)

2014-04-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

   

 緩やかに それとは知れず 進みゆく

   老化かボケか おみくじに聞く (7) By kinukototadao  

老化の症状なのか、ボケの症状(「アルツハイマー型認知症」の初期症状)なのか、専門家とされる人達が全く分かっていないので、揶揄して上のように表現してみたのです。

「アルツハイマー型認知症  初期症状」とパソコンに入力して、インターネットで検索してみてください。数えきれないほどたくさんのホームページが開設されているのです。それらの内容を読み進んでいくに連れて、余りのひどさに呆れ果ててしまうのです。そこに載せられている「アルツハイマー型認知症」の発病原因については「仮説」を並べるだけで、他人の説をうのみにしただけのもの、他人(特に、権威があるとされる学者や組織)が主張している内容を、その内容に重大な誤りがあることさえも知らないで単に引用したものばかりなのです。「初期症状」についても、肝心の「前頭葉」の機能レベルを精緻に測定し、判定する手技を持たないだけでなく、症状が段階的に発現してくることさえも知らないで、記憶障害に起因する症状を中心に色々なレベルの症状を言葉の遊びのように、あいまいな表現でランダムにまとめてあるだけなのです。

皆さんは、大学の先生とかお医者さんとか、或いはそれなりに名のある研究機関や団体や製薬会社が発表していることは、どんなことでも正しいことを言っていると思っているでしょう。ところが、このブログの主題である「アルツハイマー型認知症」についていうと、それとは全く逆の状況があるのです。全く信頼できないのですここを「クリック」してください)。

  

「 東日本大震災」の被災地に住む60才を超える年齢の高齢者たちの間、「アルツハイマー型認知症」を発病している人たちの年齢別の割合が、或いはその症状が更に重症化していっているお年寄りたちの人数が、被災していない他のどの地域のお年寄りたちのそれらと比較した場合にも、比較にならないほどの極めて高い発病率を示すこと及び想像を絶するほどの多くの人数となることを私たちは今から2年前のこのブログで明確に指摘し、問題を提起していました(ここを「クリック」してください)。今回のこのブログの中盤で紹介する東北大学の調査チームによる「気仙沼市」の仮設住宅に住む高齢者を対象とした、且つ「簡易な手法」による調査の結果にさえも外観とその概要とが大ざっぱながらも明確に現われてきているように、「東日本大震災」の被災地全域の高齢者を対象としたもっと大規模で、私たちの「二段階方式」に代表されるような神経心理機能テストの活用によるもっと「精緻な調査」が今後実施されるにつれて、私たちの問題提起と「アルツハイマー型認知症」の発病原因についての主張の正しいことが次第に明らかになってくるはずなのです。高齢になるにつれて、発病する割合がどんどん高くなることも確認できるはずなのです。

更には、そこで確認されることになる認知症の殆ど90%以上を占めるのが「アルツハイマー型認知症」であり、且つその症状のレベルは、私たちの区分で言えば最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階の人たちが想像を絶するほどいて、次いで「中等度認知症」(中ボケ)の段階の人たちが極めて多人数いて、最後に末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階の人たちが相当な規模での人数になる、そうした規模での「3つの段階」のひとたちがいるはずなのです(ここを「クリック」してください)。その状況をもっと詳しく言えば、「アルツハイマー型認知症」を新規に発病する人(「軽度認知症」の段階の人)が毎日多数発生してきている状況の下で、「軽度認知症」の段階から次の段階である「中等度認知症」の段階に進んでいく人たちが多数いて、更には、末期の段階である「重度認知症」の段階にまで症状が進行していっている人たちも相当な規模の数出てきているはずなのです。

  

ところが、認知症の専門家とされる人達は、権威はあるが内容に重大な誤りがある米国精神医学会が定義する「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の診断規定に従って診断をおこなうがために、私たちが提唱している本当の意味での早期の段階、回復させることが可能な「軽度認知症」の段階の人たちも、「中等度認知症」の段階の人たちも見落としてしまっているのです。最近は、「軽度認知障害」(MCI)とかいう考え方が提起されてきてはいるのですが、いかんせん肝心要の「前頭葉」の機能の異常な低下という視点を持たないので、どうしても外観症状で目に付きやすい「記憶の障害」が中心になってしまうのです。「DSM-4」が見落としている(より早期の段階の症状)に目が向けられていること自体は評価すべきとは思うのですが、定義があいまいすぎる上に、「前頭葉」を含む脳の機能レベルという考えがないこと及びその働き具合を精緻に計測し判定する手技にも無関心なのでは、いつまで経っても、回復させることが可能な段階である「本当の意味での早期の段階」を見落としてしまうことになるのです。

「東日本大震災」は未曽有の大災害でした。とはいえ、未曽有の大災害で終わらせてしまってはいけないのです。「東日本大震災」の被災地に居住する60歳を超える年齢の全ての「高齢者」を対象として、「前頭葉」の機能レベルを含む脳の働き具合を精緻に計測し判定できる手法を活用して、本格的で専門的な調査を大規模に実施して、「アルツハイマー型認知症」は、(発病原因が、学説が主張しているようなアミロイド・ベータやタウ蛋白や脳の委縮などとは無関係のものであって)、廃用性症候群に属する単なる「生活習慣病」に過ぎないことを確認していただきたいのです(こうした手法を疫学的証明と言います)。但し、脳の形や萎縮の度合いしか計測できないCTやMRIでは、膨大なコストがかかるにも拘わらず何の役にも立たないのです。たとえ、fーMRIやPETを持ち出してこようとも、私たちの「二段階方式」のような精緻なレベルで、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能レベル、つまりは何かの「テーマ」を意識的に組立て実行しようとする際に確認される「前頭葉の機能レベル」(「前頭葉」の各種構成機能が不活性化しつつある状態、言い換えると、「認知度、或いは意識度、更には機能の発揮度」等の「機能レベル」)並びにそれに直接リンクした認知症の症状とを精緻に計測し判定することはできないのです。米国における最先端の画像処理の報道を見ていても、まだまだ困難だと思うのです。

その調査結果による発病原因の解明と確認を出発点として、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期診断による回復とを国民的な課題として、「市町村」が保健師さんを中核として、地域住民と協働して展開する形態での「地域予防活動」を制度化することができれば、共倒れになりかねない「大ボケ」のお年寄りの家族介護の問題も介護保険制度の財政面からの破たんの問題も共に回避することができるのです。                     

   

〇 意識的な世界を支配する「前頭葉」の働きと生活習慣に基づく廃用性の機能低下

置かれている状況を判断し、その状況の中で判断に見合ったテーマを発想し、発想したテーマの内容を企画し、企画及び計画する過程で様々なシミュレーションを行い、結果の洞察や推理の過程を経て、最終的な実行の内容を計画し、脳の各部に指令を出して、計画した内容をシミュレーションし決定した手順と態様と程度に従って実行していく。これが、私たち人間だけが獲得した脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」という脳の働き方のアウトラインなのです。この司令塔の「前頭葉」の機能が、生き甲斐なく趣味なく交友なく運動もせず目標もないナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続される中で「廃用性」の異常な機能低下を起こしてくることが、言い換えると、私たちが発見した「前頭葉」自体に内在する性質である「正常老化の性質」とナイナイ尽くしの「単調な生活」に起因する「廃用性の機能低下」との相乗効果により、「前頭葉」を含む脳全体の機能の低下が加速度的な機能低下を起こしてくることが直接の原因となり、「前頭葉」を含む脳の機能の異常な機能レベルを直接そのままに反映した症状、すなわち、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の症状が発現してくるのです(「アルツハイマー型認知症」を発病するメカニズムについては、ここを「クリック」してください)。

その「前頭葉」には、脳の使い方としての「生活習慣」のいかんにかかわらず、加齢とともに機能が低下していくという性質、言わば「正常老化の性質」私たち独自の命名です)が内在しているがために、「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超えた年齢の「高齢者」だけを対象として発病してくることになるのです。「アルツハイマー型認知症」は、認知症全体の90%以上の割合を占めているので、高齢化率が30%を超えた市町村では、「アルツハイマー型認知症」を発病したお年寄りの姿が目に付くようになってくるのです。ほら、町役場のスピーカーが、家族が知らない間に家を抜け出して行き、そのまま行方が知れなくなった「お年寄り」を探す放送を流している場面によく出会うでしょう。専門の医師たちを含めて皆さんは、こんな症状が出てくるようになったお年寄りを、専門的な言葉を使うと、自分が現在住んで居る家がどこにあったのかも分からないで「徘徊」するようになった人たちを捉えて「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症を発病していると考えているのです。それ自体間違いではないのですが、こうした症状が出てくるようになった人たちは、回復させることが困難な末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで症状が進んでしまった人たちなのです。

    

〇 「大ボケ」レベルにまで症状が進んでしまうと、回復させる手立てがなくなる

実は、この「大ボケ」の段階にまで「症状」が進んでしまうと、意識的な世界を支配しコントロールしている脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含め、左脳も右脳も運動の脳までもが廃用性の異常な機能の低下が原因で機能レベルが極めて低いレベルに衰えてきてしまっているので、せっかく見つけても手遅れということになるのです。特に、脳の司令塔である「前頭葉」の機能が殆ど働かないレベルに衰えてきてしまっていることが最大の問題なのです。脳の機能レベルを改善させるには、「前頭葉」を含む脳の機能の活性化につながるような「テーマ」を、3本柱の機能である「意欲」と「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能が或る程度残存している段階で、且つそれらの機能の出番ができるだけ多くなるような「テーマ」を日々実践させることが必要不可欠なのです。ところが、「大ボケ」のレベルにまで脳の機能が衰えてきてしまっていると、そうしたテーマの実践の意味を理解することも及び活動を支える3本柱の機能自体の発揮も共に困難なレベルになってしまっているので、発病の原因である「前頭葉」を含む脳の機能レベルを元の正常なレベルはおろか、直前の段階である「中ボケ」のレベルにさえ回復させることが困難になるのですこの「大ボケ」の段階にまで認知症の症状が進んできていると、治すことはもはや困難になるのです)。(「大ボケ」の段階にまで衰えてきた脳全体の機能レベルの説明については、ここを「クリック」してください)。

   

〇 「アルツハイマー型認知症」の脳の機能レベルと回復の可能性

3本柱の機能がある程度残存している段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階までに見つけて、脳の使い方としての「生活習慣の改善」、言い換えると「脳のリハビリ」(「前頭葉」を含む脳の活性化を目的とした「テーマ」の実践)を実行しないと、元の正常なレベルに脳の機能を回復させることはできなくなってしまうのです。極めて多数に上る私たちの脳機能データと実践によるその結果から、「アルツハイマー型認知症」の回復には、次のような基準となる「指標」があるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)で見つけると、回復させることは容易

「中等度認知症」(中ボケ)で見つけると、回復させることは未だ可能

「重度認知症」(大ボケ)で見つけると、回復させることは困難

   

〇 東北大学の研究チームによる気仙沼市の実態調査とその問題点

 先月の半ばのことなのですが、NHKのテレビ報道によると、東北大学の研究チームが宮城県の気仙沼市の仮設住宅で生活している65才以上の年齢の被災高齢者700人を対象に「簡易なテスト」を活用して実態を調査したところ、その人達のうちの36%を超える人数の人たちに「認知症の可能性が高い症状」が確認されたということでした(但し、肝心の「前頭葉」の機能レベルは計測されていないままでの、やや雑な判定と考えられるのですが)。

 認知症の専門家とされる人達を含めて皆さんは、この36%という発病割合を示す数値に驚くことかと思いますが、実態はもっと厳しい状況にあるはずなのです。テレビ画面で見ただけなので、その「簡易なテスト」の詳細は分からないのですが、その人達は、私たちが有している「二段階方式」のような、精緻に「前頭葉」の機能レベルを計測し判定する手技を持っていないので、私たちが主張している「軽度認知症」(小ボケ)の段階(「前頭葉」の機能レベルが異常値であって、且つMMSの換算値で24点以上の脳の機能レベルの人たち)は見逃しているはずであり、或いは「中等度認知症」(中ボケ)の段階についても前半の部分(「前頭葉」の機能レベルが異常値であって、且つMMSの換算値で23点から20点までの脳の機能レベルの人たち)については見逃している可能性が高いのではと考えるのです。

おそらくは、「中等度認知症」の後半のレベルの人たち(MMSの換算値で、19点~15点の機能レベルの人たち)と「重度認知症」(大ボケ)のレベルの人たち(MMSの換算値で、14点以下の機能レベルの人たち)だけで、それだけの発症割合となっているのではないかと考えているのです。或いは、「軽度認知障害」(MCI)を主張する学説と同じような基準も動員して判定しているとしたら、「中ボケ」の前半までが入っている可能性はあるのですが、以前のこのブログで種々の問題を指摘してあるように、軽度認知障害の基準にはあいまいな要素が多すぎて、いい加減というか、雑多な概念の基準の下で、且つ外観を基礎とした判定になってしまう危険が高いと言わざるを得ないのです。

   

〇 「アルツハイマー型認知症」の正体は、廃用症候群に属する「生活習慣病」

これまでに何度も指摘してきたように、アミロイド・ベータ(アミロイドベータ仮説)やタウ蛋白(タウ蛋白仮説)や脳の委縮(脳の委縮仮説)が「アルツハイマー型認知症」発病の原因ではないのです。それらは、原因ではなくて「結果」に過ぎないのです(発病の副産物)。原因であると誤解して、いつまでもそれらを追いかけ続けている限り、いつまで経っても発病の原因或いは発病のメカニズムを探り当てることはできないのです。時間の無駄であり、コストの無駄であり、有為な才能を活用する機会の無駄になるだけなのです。

「発病の原因もわからないし、治すこともできないし、発病を予防する方法もわからない」と日本だけでなくて世界中の認知症の専門家達から言われ続けてきている「アルツハイマー型認知症」は、私たちが集積した極めて多数例の「脳機能データ」の解析と「地域予防活動」の実践の成果が示しているように、「廃用症候群に属する単なる生活習慣病」に過ぎないのです。これまでに何度も指摘し問題提起してきたように、「東日本大震災」の被災地の60歳を超える年齢の「高齢者」たちの間に現在起きてきていて、これから先も続くことになる極めて高率での「アルツハイマー型認知症」の発病という事実が、私たちの主張が正しいことを、疫学的に証明してくれることになるのです。

  

〇 「アルツハイマー型認知症」の地域予防活動を国民的な課題に

アミロイド・ベータやタウ蛋白や脳の委縮とやら、或いはマウス等を追いかけ回す暇と資金と人の戦力とがあるのなら、気仙沼市だけでなくて「東日本大震災」の被災地の60才以上の年齢の「高齢者」全員を対象として、「簡易版」やらCTやらMRIとかではなくて、「二段階方式」のような精緻な「神経心理機能テスト」を活用して、肝心の「前頭葉」と左脳と右脳の機能レベルを同時に計測し判定してみていただきたいのです。左脳も右脳もま未だ正常な機能レベルにはあるが肝心の「前頭葉」の機能がすでに異常なレベルに衰えてきている人達(私たちの区分で言う「小ボケ」の人たち)及び「前頭葉」だけでなく左脳も右脳も異常なレベルに機能が衰えてきている人達(私たちの区分で言う「中ボケ」の人たち)が、驚くほどの高い割合で発見されることになるはずなのです。その発病の割合は、日本の他のどの地域にも例がない、比較できない程極めて高い割合であって、且つ世界にも例がない極めて高い数値になることが確認されるはずなのです2年前の予告に加えて、今回再度問題を提起しておきたいのです。東日本大震災の被災地に居住する60歳を超える年齢の「高齢者」達に確認された状況は、(年齢別の発病の割合の高さとその絶対数の規模とが異なるとはいえ)、日本全国の市町村の60歳を超える年齢の「高齢者」たちに現実に起きてきている状況に対する「重大な警鐘」でもあるのです。「アルツハイマー型認知症」は、早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけると治すことができるし、発病を予防することもできる、廃用性症候群に属する「生活習慣病」に過ぎないのです。発病の予防のための何等の対策も打たないで、更には回復させることが困難な末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけているだけ、言い換えると「蛇口を開きっぱなしなし」のままに放置していて将来に禍根を残すことにならないのでしょうか。

上述の実態を確認すれば、認知症の専門家とされる人達だけでなくて、厚生労働省を含む政府関係者も、更には国民のみなさんも、膨大な費用が加速し続けていて財政面からの破たんが目に見えている「介護保険制度」を守り、維持する上でも、「アルツハイマー型認知症」の発病の予防と早期発見による回復というテーマ、特に市町村の保健師さんたちによる「アルツハイマー型認知症」の「地域予防活動」の展開が不可欠という私たちの主張に、目が向くようになる日が来ると思っているのです(「地域予防活動」については、ここを「クリック」してください)。種類ばかりが数多くある認知症の中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちの数は、認知症全体の90%を超える割合になるのですから。

  

 東日本大震災の被災地の高齢者たちに早期診断と回復及び発病の予防対策の実施を

被災から3年が経過しているだけなので、通常のケースでは「小ボケ」の期間が終わってそろそろ「中ボケ」の期間に移行している程度の段階のはずなのですが、「東日本大震災」の場合は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が開始される前提条件としての「キッカケ」となる事象の重層性、輻輳性、或いはその程度や態様や困難さの度合いが他に例がない程の大きさであること等の問題が複雑に折り重なっているがために、「前頭葉」の3本柱の機能である「意欲」を喪失させるマイナス効果が極めて大きかったと考えられるのです。被災後の混沌とした真っ暗な闇の中から立ち上がるために、何かを考えようとしても、何かのテーマを発想して計画しようとしても、肝心の「意欲」自体が出てこないのだと思うのです。それに加えて、復興の足音が全く聞こえてこない、或いは遅々として復興が進んでいかない現実の状況からくる喪失感、或いは絶望感が、立ち上がろうとする意欲を更になえさせてしまうのでしょう。

こうした状況は、「前頭葉」を含む脳の廃用性の異常な機能低下を加速させてしまう大きな要因になってしまうのです(脳の機能にとって、機能レベルを更に低下させる大きな「マイナス効果」がある要因)。その結果、通常のケースで言えば、「キッカケ」の発生から5~6年はかかるはずの「大ボケ」への移行期間が短くなってしまうのです(移行が速くなって、重症化が進んでしまう)。既に、(せっかく見つけても、回復させることが困難な段階である)「大ボケ」の段階にまで症状が進んでしまっている人たちも相当数確認されるのではないかと危惧しているのです(通常のケース事例における発病後の症状の進行具合とその期間については、ここを「クリック」してください)。

     

 (コーヒー・ブレイク)このブログのNー33で例示し、説明した「生活状況」の発生が「キッカケ」となり(ここを「クリック」してください)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まってから半年から3年の間が「小ボケ」の期間、次いで「中ボケ」の期間が2~3年で、発病から5~6年が経つと「大ボケ」になる」というのが通常の生活環境下での「大原則」であり、判定の標準的な「指標」となります。

 「小ボケ」や「中ボケ」のレベルの間であれば、「前頭葉の三本柱」の機能である「意欲」や「注意の集中力」や「注意の分配力」の働きが異常なレベルに衰えてきているとはいえ未だそれなりに機能することが期待できるのです。「前頭葉の三本柱」の機能の出番が増えたり減ったりする個別の具体的な「生活習慣」の影響により、脳の機能レベルの「改善」や「維持」や「悪化」の状態が見られるのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続されているように見えてはいても、実際の生活実態を詳細に聞き取ってみると、個別の生活ではそれなりに「プラス要因」の生活が入り込んでいたり、逆に「マイナス要因」の生活が入り込んでいたりするものなのです。上述の基準に適合しないケースは、そうした「プラス要因」と「マイナス要因」の「生活習慣」の具体的な質と量とが脳に働いて、「アルツハイマー型認知症」の症状の更なる進行やその維持、或いは改善に影響を与えているのです。

     

〇 回復が期待できない「大ボケ」レベルの人たちの「介護」上の注意点

 ところが「大ボケ」の段階になると、正常レベルへの脳機能の回復を期待することはもはや困難となります(とりわけ、「前頭葉」の機能の回復が困難となるのです。施設で、回想法や歌を歌うなどの試みが実践されているのはそれなりの効果と意味があると思うのですが、自分の置かれている状況を判断するのに不可欠な機能である「前頭葉」の機能を回復させることは極めて困難だということの理解が必要だと思うのです)。

その「大ボケ」のレベルの中で、運動の脳や右脳を刺激するテーマの個別的な実践により(「生活改善」)、或る程度の改善或いは症状の維持(進行の停止)がみられることはありますが、「中ボケ」レベルへの改善の見込みさえも極めて低いものになってしまうのです。とはいえ、「大ボケ」レベルで、運動の脳や右脳を刺激する「生活改善」を試みることもなく(但し、左脳の活用は期待できないレベルにあることを理解することが大切であり、必要でもある)、本人の介護をしているだけでは、症状はさらに重いものになっていくだけなので、それなりに「右脳や運動の脳」に対する働きかけを目的とした内容の「脳のリハビリ」(「生活習慣の改善)に取り組む努力をする必要と意味とがあるのです。

「右脳や運動の脳」に対する働きかけさえもせず、いわば何も対策を講じないままでいると、身体が持つ一方で脳の働きは更に衰えていくばかりなのです。実態としては同じ「大ボケ」のレベルといっても、大河の幅のようにその幅は極めて広く症状の発現の程度や態様が次第に複雑なものになっていくのです。「前頭葉」の機能が更に加速度的に衰えていく中で、同時進行的に「左脳」の機能が加速度的に衰えていくにつれて「言葉」を介した相互の意思疎通が次第に困難になっていくのです。また、「右脳」の機能も同時進行的に衰えていくのですが、デジタル機能(左脳)の衰え方よりもアナログ機能(右脳)の衰え方の方が進行が遅いので、介護してくれている人に対する一定のレベルでの感情を抱いたり、或いは一方的な感情を発露したりする機能だけは未だ残っているのです。その結果、何かをきっかけとして介護者に対して悪い感情を抱くようになると、粗暴な行為や不潔な行為などが時として表出してきたりするのです

   

〇 更なる問題の提起

私たちが集積したデータを基礎とした推計によると、「小ボケ」と「中ボケ」とを併せた数は、「大ボケ」の4倍にもなるのです。「二段階方式」のような「前頭葉」を含む脳の機能レベルをもう少し精緻に計測し判定できる神経心理機能テストを活用して、この「小ボケ」と「中ボケ」の前半のレベルの人たちを調査すれば、「アルツハイマー型認知症」を発病している人たちの割合は、実はもっと大きな数値になるはずなのです。                                                                      

最後にもう一度問題を提起し、指摘しておきたいと思います。陸前高田市や山田町や南三陸町などのように、気仙沼市と比較した場合に同等或いはそれ以上に被災の程度が激しく且つ復興が遅々として進んでいない市町村の仮設集宅に住んで居るお年寄りについても調査の範囲を広げ、且つ「二段階方式」のように精緻な「神経心理機能テスト」を活用して「前頭葉」を含む脳の機能レベルとそれにリンクした症状とをより精緻に計測し判定する調査を実施すれば、それら市町村の被災「高齢者」たちが、この気仙沼市の数値よりももっと高い割合で「アルツハイマー型認知症」を発病している事実に遭遇することになるはずなのです。

  

然も、比較的に早期の段階の人たち、具体的には私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階にあると判定される人たちには、アミロイド・ベータの異常な量の蓄積も、タウ蛋白の異常な量の蓄積も、脳の異常な程度の萎縮も確認されないはずなのです。その根拠としては、「前頭葉」を含む脳の活性化という視点からの「生活習慣の改善」という意味での「脳のリハビリ」を実践することにより、「前頭葉」を含む脳の機能を正常な機能レベルに回復させることが可能であることに鑑み、「軽度認知症」及び「中等度認知症」までの段階であれば、「前頭葉」を含む脳の病的で異常な「機能の低下」は起きてきていても、脳の病的で異常な「器質的変化」は未だ起きてきていないと考えられるからです。

「アルツハイマー型認知症」の発病原因について、上述したそれぞれの学説(仮説)を主張している人達は、東日本大震災の被災地のどこか一か所の市町村で十分なので、ここに提起した問題の調査と確認を実行していただきたいと切に願うのです。あなた方には権威があるので、社会に与える影響はとても大きいからです。どこかの大学の先生が、それらの仮説に基づいて、市町村の保健師さんに、「アルツハイマー型認知症」は治すことも予防することもできないなどと声高に言い立てると、それだけで、保健師さんたちは「地域予防活動」の実践や拡大展開を躊躇してしまうことになるのです。

注)本著作物(このブログB-07に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症(IEでないとうまく表示されません

 http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

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アルツハイマー型認知症の回復が可能な本当の意味での初期症状とその正体 (B-06)

2014-03-15 | アルツハイマー型認知症の早期診断

 朝寝して 新聞を見て 昼寝して

     夕さりつかた 水戸の黄門  (6) By  kinukototadao   


        

 アルツハイマー型認知症の症状の発症原因と段階的症状

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能レベル自体が直接「認知症の症状」としてそのまま現れてくるのが特徴なのです。世間では「アルツハイマー型認知症」の発病原因(発病のメカニズム)が未だに分からないでいるせいか(因果関係の立証がなされていない「仮説」の学説ばかりが横行している)、認知症の症状を区分けることさえもしません。極めて幅が広く、且つその程度や態様が複雑に発現してくるにもかかわらず、「記憶の障害」に起因するとみられる物忘れなどの症状を中心に、「外観」から認知症の症状らしく見えるものをアトランダムに単に並べているだけなのです。「アルツハイマー型認知症」の発病原因に関わる最も重要な要素である「前頭葉」の働き方のメカニズム及びその老化(年齢別に調べた極めて多人数の「脳機能データ」の解析により、私たちが世界で初めて気づいた「前頭葉」の機能の「正常老化」の性質と「異常老化」の問題)には、関心も注意も全く向けられていないのです。その一方で、「前頭葉」はおろか「左脳」さえもない、ただ本能的に動いているだけの「マウス」などの活動を追いかけまわしているのです。

私たちは、最も軽い本当の意味での初期の症状から、次第に重くなってくる中期の症状を経て、最後に末期の段階になって見られるようになる極めて重い症状へと、段階的に3つに区分した症状を類型化しています。その視点と基準は、「回復させることが可能か否かにある」のです。認知症の専門家とされる医師達は、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない」という説をうのみにして、治らないことを前提にして、治すことには無関心なのです。米国精神医学会の診断規定である「DSM-4」の基準を盲目的に信頼し信望して、「失語や失行や失認」といった末期の段階の症状、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の更に終盤にならないと発現してこない極めて重度の症状を見つけているだけでいながら、それを「アルツハイマー型認知症」の早期診断などと言ってはばからないのです。

私たちが開発した「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストに基づいた極めて多数の脳機能データの解析を根拠として、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが直接「認知症」の症状として現れてくると考えている私達は、3つの段階に区分される「軽度認知症」(小ボケ)の脳の機能レベル、「中等度認知症」(中ボケ)の脳の機能レベル及び「重度認知症」(大ボケ)の脳の機能レベルに対応しリンクさせて、「軽度認知症」の段階に特有な症状、「中等度認知症」の段階に特有な症状及び「重度認知症」の段階に特有な症状の「3つの段階」に症状を区分し類型化しているのです。

米国精神医学会が定める診断規定である「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」であると診断するための第一の要件を「記憶の障害」としています。そのため医療機関で受診すると、専門の医師は、第一の要件に規定されている「記憶の障害」の症状があるかどうかを先づ確かめようとするのです。次いで、第二の要件として規定されている「失語や失行や失認」などの症状が出ているかどうかを確認しようとするのです。私たちの脳機能データによれば、「失語や失行や失認」などの症状は、末期段階の「重度認知症」の更にその後半に(MMS の換算値が一桁の点数)ならないと発現して来ない極めて重度の症状なのです。第一の要件とされる記憶の障害についての程度や態様についての規定はないのですが、両者は同じ人に発現している診断時の症状ということになるので、「記憶の障害」自体も極めて重い段階の症状ということになるのです。それがために、「ついさっき食事をとったことさえも想い出せない」ような極めて重度の症状が、「記憶の障害」の診断例として取り上げられている始末なのです。こんなレベルでありながら、どこかの大学の先生達が言い立てると、保健師さんたちはその権威に押されて、「前頭葉」を含む脳の活性化という視点からの「アルツハイマー型認知症」の地域予防という活動の展開を躊躇してしまうのです。

「東日本大震災」の発生から3年が経過してしまいました。私たちがこれまでに集積してきた「脳機能データ」からすれば、被災を「キッカケ」として何事に対しても意欲を喪失した状態が続き、『生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない』日々の生活、言わば、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣』が始まって、半年から1年が経過すると「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです(最初の段階である「小ボケ」の段階の症状が出てくる)。「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階は通常は3年間続くので、次の段階である「中等度認知症」(中ボケ)の段階に入った人達が出てきているはずなのです。「中ボケ」の期間は通常のケースでは2年間、程続いた後、末期の段階である「大ボケ」の段階に入っていくのです。ところが今回の被災は、「キッカケ」が様々な要因が輻輳し重層化した要素から構成されているので、通常のケースとは、程度も態様も比較にならない程のものであり、「意欲」自体を喪失させてしまうリスクが極めて高い上に、復興が遅々として進まないことからくる明日への期待の喪失感とも相まって、症状の重症化が速く進んでしまい、小ボケから中ボケへの移行の期間がそれだけ短くなっているのではないかと私たちは危惧しているのです(ここを「クリック」してください)。

このブログで何度も指摘し問題提起してきているように、回復させることが可能なのは「中ボケ」の段階までなのです。この段階までに見つけて、脳のリハビリ(「前頭葉」を含む脳の活性化を目的とした「生活習慣」の改善)を密に重層的に日々実行することができれば、脳の機能を「正常な機能レベルに回復させることが可能」なのです。言い換えると、治すことができるのです。これこそが、本当の意味での「早期発見」なのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点から言うところの「生活習慣病に過ぎない」のです。何度も言いますが、権威は最高でも規定内容に重大な誤りがある「DSM-4」の規定に依拠して、「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけていたのでは、見つけるのが遅すぎて、治すことはできなくなるのです。何の手だても対策も講じないでこのままに放置して、あと2~3年が無為に経過してしまうと、東日本大震災の被災地の高齢者たちが、他のどの地域の高齢者達と比較した場合にも際立って高い割合で「アルツハイマー型認知症」を発症していると、認知症の専門家とされる人達(学者や製薬会社の研究者や認知症専門の医師)が騒ぎ立てることになるのです。「DSM-4」が規定する「アルツハイマー型認知症」の症状(私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状)が発現する段階が始まっているはずだからです。

この状況が確認されることになって、私たちの主張の正しさが、疫学的に証明されることとなり、私たちの主張にこれまでの実績だけでなくて権威という錦の御旗が掲げられることにはなるのですが、いかんせんもう手遅れなのです。あの悲惨な体験(故郷の様々な思いでも、景色も、職場も、交友関係も、住む家や家族さえも奪われるという未曽有の体験)を余儀なくされた人たち、然も60才を超える年齢の高齢者に、このうえ回復させることが困難な「重度認知症」のレッテルまで貼り付けてしまうことになるのです。高齢者たち」だけを対象として、これまでに聞いたことも体験したこともない程の極めて高い割合による「アルツハイマー型認知症」の発症という事態が起きてきてしまうのです。いろいろな仮説が出てくるたびに、その仮説とかマウスによる実験とかの報道を見聞きするたびに、強い憤りを覚えながら、このブログを書き続けているのです(ここを「クリック」してください)。

        

〇 「軽度認知症」(小ボケ)の段階で発現する症状の特徴

□ 発想が乏しくなり、画一的な行動が目立つようになってきた

□ 何事をするにも億劫で、何かをやろうという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が立てられず、テーマを自分で思いつかない

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと昼間に居眠りしている

□ これまでなら感動していたことにも感動しなくなった

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔が見られない

□ 根気が続かず、中途半端な繰り返しや、やりかけの家事が目立つ

□ ぼんやりしていることが多く、何もしないが指示されるとできる

□ お化粧や髪の手入れや服装など、おしゃれに無関心になってくる

□ 自分に自信がなくて、何かにつけ人を頼ろうとするようになった

□ 歩くとき前屈みの姿勢になり、小股でトボトボと歩く

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情になった

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかないでいる

上に挙げた症状はすべて、私たちが定義する「軽度認知症」(小ボケ)の段階に特有な「アルツハイマー型認知症」の症状なのです。上記症状のうちの4つ以上に該当するお年寄りで、年齢が60歳を超える高齢者である場合、「二段階方式」による神経心理機能テストを実施すると、殆どの場合、次のことが必ず確認されることになります。

① 「前頭葉」の機能レベルが、異常なレベルに衰えてきていること。

②  左脳も右脳も運動の脳も全て未だ正常な機能レベルにあること。

③ 何かを「キッカケ」にして(典型的なケースの例示をすると、今回の「東日本大震災」のような大きな災害の被災)、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々繰り返されていること(なお、「キッカケ」の類型については、ここを「クリック」してください)。 

④ ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるその「キッカケ」となった出来事の発生或いは生活状況の変化は、判定時から起算し半年から3年半前の範囲の期間内に起きていること。

上記に列挙した本当の意味での初期症状、すなわち「アルツハイマー型認知症」の最初の段階の症状(「小ボケ」の症状)の殆どは、実は、記憶の障害とは関係がない症状なのです。一番最後に挙げた、「□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかないでいる」という症状だけが、記憶の障害に関わる症状だということにお気づきでしょうか。

      

〇 「軽度認知症」(小ボケ)の段階で確認される脳の機能レベル

「アルツハイマー型認知症」としての「認知症の症状」が現れてくる最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階で認められるそれらの症状は、「DSM-4」が言うようなレベルの「記憶障害」の症状とは全く関係が無いのです。「意欲や注意の集中力や注意の分配力」など、「前頭葉」の機能の根幹(基礎)をなしていて、「前頭葉」の各種の高度な機能の「認知及び発揮」を左右している「三本柱の機能」が異常なレベルに衰えていることの直接の反映が、認知症の症状として現れてくるだけなのです。つまり、「小ボケ」の段階では、「三本柱」の機能障害を反映した症状が「認知症の症状」として現れてくるのです。勿論この段階では、上述の類型化した症状に見る通り、「DSM-4」で第二の要件として規定されている「失語や失行や失認」などの重い症状は、そのカケラさえも認められないのです。

「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階は、左脳と右脳と運動の脳は未だ正常なレベルにあるのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのため、「前頭葉」の機能のうち最も重要な「三本柱」の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」が的確に発揮されなくなります。この「三本柱」の機能の衰え具合の相乗効果としての働き具合いが、いろいろな認知機能の対象となる情報や思考の処理に関わる「認知度」及び「発揮度」を左右しているのです。その結果、「小ボケ」の段階では、この「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてきていることの機能障害を反映した症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるということなのです。

    

「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えたその反映が、状況の判断や、発想や企画や計画や洞察や機転や感動や決定や抑制といった「前頭葉」の各種機能の「認知度」及び「発揮度」に直接影響してくるために、対象となる情報や思考の認知及び記銘やその保持や想起並びに処理の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなるのです。そのため、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになります。「社会生活」面での種々のトラブルが生じてくるようになるのです。勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「前頭葉を含む脳の機能レベル」が全く異なる次元にあるからです。

認知症の専門家とされる人達は、「前頭葉」の機能レベルという視点を持たないか、或いはそれを精緻に計測し判定する手技を持たないので、「症状」という外観だけからしか判定しようとしないのです。そのために、外観から分かり易い「記憶の障害」に関わる症状で且つ程度が重い症状ばかりに目が行くことになるのです。記憶の障害に関わる認知症レベルの症状は、次に説明する、私たちの区分で言う「中等度認知症」(中ボケ)の段階にまで「前頭葉」を含む脳全体の機能が衰えてきて初めて発現してくることになるのです。

震災1年後の陸前高田市

ここで皆さんに注意を喚起しておきたいのは、私たちの区分で言う「小ボケ」の段階に特有なこうした症状は、単なる「老化現象」ではないということなのです。老化現象なのであれば、その人の「前頭葉」の機能は正常なレベルにないといけないからです。医師を含め認知症の専門家とされる人達は、「前頭葉」の機能レベルを精緻に計測し判定する手技を持たないので、症状を外観のみから判断する結果、「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきたことに起因して発現している症状(「アルツハイマー型認知症」の症状)を「前頭葉」の機能が未だ正常なレベルにあって(単に、機能低下の状態に過ぎない段階で)発現してくるのが特徴である「老化現象」と誤解しているだけなのです。

上述した症状は、左脳や右脳や運動の脳が未だ正常な機能レベルにあるとはいえ、脳全体の司令塔の役割を担う「前頭葉」の機能が異常なレベルにあることの直接のアウト・プットとしての症状、言い換えると「アルツハイマー型認知症」の「軽度認知症」(小ボケ)の段階で確認される認知症の初期に特有な症状ばかりなのです。

     

〇 認知症の初期の症状を発現させる原因となっている正体とは

「前頭葉」には、発想したり、計画したり、工夫したり、注意を集中したり、注意を分配したりといったいろいろな働きが詰まっているだけでなくて、もう一つ、脳全体の「司令塔」の役割という大事な働きがあります。周りの状況を判断してどのようなテーマをどのように実行するのか、「運動の脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(身体を動かすテーマ)、「左脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(言葉や計算や論理や場合分けなどのテーマ)、「右脳」をどのような目的のためにどのように働かせるか(色や形や空間認識や感情の発露などのテーマ)、全ては司令塔の「前頭葉」が決めているのです。

老人会でゲートボールを楽しむ時も、お茶を飲みながら友達と趣味や遊びや家庭問題などの世間話に花を咲かせる時も、家の周りに樹木を植えたり草花を咲かせたりして楽しむ時も、脳全体の司令塔の「前頭葉」が、周りの状況を判断して「テーマを選択し、何をどのようにするかを決めて、必要な指令を出している」のです。これが、意識的な行為における「前頭葉」を核とした脳の働き方のメカニズムなのです。言い換えると、運動の脳、左脳、右脳という「三頭建ての馬車」をあやつる「御者」の役割をしているのが「前頭葉」なのです。三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き次第ということなのです。御者が馬をあやつれなくなったら、どうなりますか?馬はどこへ行ったらいいのか分からなくなってしまうでしょう。

 脳の働きが異常なレベルに衰えてきて、そのことが直接の原因となって、最初の段階では「社会生活」(小ボケ)に、次いで「家庭生活」(中ボケ)に、そして最後には「セルフケア」(大ボケ)にも支障が起きてくるようになるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった時点で、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような重度の記憶障害が出てくるようになるはるか前の段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっているのです。「アルツハイマー型認知症」の原因を見つけるにも、早い段階で見つけて治すにも、発病を予防する為にも、「前頭葉を含む脳の働き」という物差しが不可欠になるのです。

          左図は、正常老化のカーブ

〇 前頭葉の三本柱の機能に内在する正常老化の性質

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な認知度や機能の発揮度を直接左右する三本柱の機能である、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」には、以下に説明するように、自分なりの生き甲斐があり、趣味や交友や運動や遊びを自分なりに仲間と楽しむ生活があり、自分なりの目標がある生活(ナイナイ尽くしの[単調な生活]とは裏腹の生活習慣)を送っていても、「加齢とともに老化し、衰えていく」という特別な性質があるのです(私たちは、これを「正常老化の性質」と呼んでいます)。

私たちが集積してきた年齢別の「脳機能データ」を基にして簡潔に説明すると、「三本柱」の機能には、18歳から20代の半ばまでがピークで、20代の半ばを過ぎる頃から100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくという性質があるのです。 60代後半にもなると、「三本柱」の働き具合は、ピーク時の18歳から20代の半ばの頃に比べて、働きが半分以下になっているのです。70代、80代、90代、100歳代と、年をとればとるほど、「三本柱」の働きが更に衰えていって、どんどん低空飛行になっていくのです。認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症の正体は、「脳の正常老化」という問題が基本にあるのです。「脳の正常老化」という問題が基本にあるから、「アルツハイマー型認知症」は、若者には関係なくて、「60代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。

ところで、「働き盛りの50代の人達の間に、「アルツハイマー型認知症」を発病する人達が増えてきているという」テレビ報道を見かけることがありますが、これは事実の誤認による誤った報道なのです。50代の若い年齢で「アルツハイマー型認知症」を発病する人は、皆無とは言いませんが、極めてまれなケースに過ぎないのです。「アルツハイマー型認知症」の診断に際して、「重度の記憶障害」の症状(或いは、それと紛らわしい症状)さえ確認されると、それらをすべて「アルツハイマー型認知症」と診断してしまっているのが原因なのです。例えば、50代での発症例にみられる「側頭葉性健忘症」の場合、発病前の古い記憶は想起できるのですが、「新しい記憶が全く入っていかない」(「記銘」できない)という特徴的な症状を示すのです。又、「感覚性失語症」の場合は、記憶の障害と紛らわしい症状が誤診されることが多いのです。これらの場合、「前頭葉」の働き具合を「二段階方式」に代表される精緻な「神経心理機能テスト」で計測し判定しさえすれば、重度の顕著な「記憶障害」の症状(或いは、それと紛らわしい症状)が確認される一方で、その人の「前頭葉」の働きは「正常な機能レベル」を保っていることが必ず確認されるはずなのです。費用ばかりがかさむ一方で、「前頭葉」の働き具合を精緻に計測し判定することができない、CTやらMRIやらを診断に使っていたのでは、こうした誤診から抜け出すことさえできないのです。

       左図は、年齢別の発症率

〇「中等度認知症」(中ボケ)の段階で発現する症状の特徴

以下に列記する症状は、「中ボケ」の段階だけにみられる特有な症状です(なお、「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを直接反映した症状が発現しているものなので、症状全体で言えば、「中ボケ」の段階になると、「小ボケ」の段階に特有にみられる症状に加えて、「中ボケ」の段階に特有にみられる症状が併発して発現してくることになります)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる(「時の見当識」を基準にして説明すると、今日が何日なのか、平成の何年なのか、何月なのか、今の季節が何なのかが言えなくなっていく、然もこの順番に分からなくなっていくのです。但し、昼夜の区別もつかなくなるのは、末期の段階の「大ボケ」になってからなのです)。

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛すぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

       

〇「中等度認知症」(中ボケ)の段階で確認される脳の機能レベル

「中等度認知症」(中ボケ)は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」(小ボケ)のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体」の働き具合が異常なレベルになってくるのです。三頭建ての馬車の御者だけでなく、3頭の馬さえもが異常なレベルに衰えてくる、それが「中ボケ」の段階なのです。脳全体の働き具合が異常なレベルに入ってきた「中等度認知症」のお年寄りの脳の働き具合は、「4~6歳児」相当のレベルと考えると、実態によく合致します。 自分が置かれている状況の判断も、状況判断に基づく「テーマ」の発想や企画も、「テーマ」を構成する内容の組立或いはそのやり方の工夫も、実行するに際して事前に行われる洞察や推理やシミュレーションも、最終的な実行の決断も、「4~6歳児」相当のレベルの脳が行っているのです。

「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、情報の認知度を左右する「三本柱」の機能である「意欲、注意集中力及び注意分配力」の働き具合が、「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなってしまうのです。従って、上記症状に見るように、「前頭葉」機能の更なる衰えを反映した症状の発現に加えて、(「前頭葉」が正常な機能レベルの下で発現してくる所謂「老化現象」では見られなかった)比較的に重いレベルの「記憶の障害」に起因する症状が目立ってくるようになるのです。「左脳」がらみの論理的思考や計算や言葉に対する理解、或いは「右脳」がらみの色や形や時間や空間などに対する認知、或いは感情の発露など、更には自分が置かれている状況の判断等にも、「社会生活」を送る上で要求される機能レベルよりもはるかに要求レベルが低くなる「家庭生活」を送る上でのトラブルが起きてくるようになる(「家庭生活」面で種々の支障が出てくる)、それが「中ボケ」の段階なのです。

     

ところが、認知症の専門家とされる人達(特に、認知症が専門の医師)は、「前頭葉」を含む脳全体の機能が「中ボケ」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきている人達、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階で発現してくる「失語」や「失行」や「失認」(「DSM-4」が第二の要件として規定している症状)などの重い症状ばかりを見つけて、然もそれこそが「アルツハイマー型認知症」の症状だと勘違いしているのです。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「大ボケ」の段階で見つけていたのでは、「せっかく見つけても手遅れ、治すことはもはや困難」なのです(「大ボケ」の段階の類型的症状については、ここを「クリック」してください)。

「大ボケ」の段階にまで進んでしまうと、食事をしたり、服を着たり脱いだり、風呂に入ったり、或いは大小便の始末などといった「セルフケア」全般にも支障が出てくるので、「介護」だけがテーマになるのです。然も、回復させる方法も可能性もないので、「前頭葉」を含む脳全体の機能が更に異常な低下を続けていく中で、そのアウト・プットとしての症状が進行し更に重症化していくだけなのです。その過程では、「前頭葉」の異常な機能低下が更に進行していきつつ同時に、「左脳」、「右脳」及び「運動の脳」がその順番に(且つ、同時進行的に)、更なる異常な機能低下を続行させていくのです。

「左脳」は、言葉や計算や論理や場合分けなどデジタルな情報を処理する働きをしています。「右脳」は、色や形や音や空間の認知及び表情や感情などアナログな情報を処理する働きをしています。「運動の脳」は、物や動物などの動きの認知及び自分の身体を動かす働きを担当しています。それらの脳の働き具合や働き方を統括し、コントロールしているのが脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きなのです。「アルツハイマー型認知症」は、身体が持つのに脳が持たないのが特徴なのです。「大ボケ」の段階にまで脳の働きが衰えてしまうと、何等かの他の病気が原因で死を迎えることになるその時まで、「前頭葉」を含む脳全体の機能の更なる異常な低下が進行していく中で、相手の言葉の意味の理解や言葉を介して自分の意思を伝える機能が3歳児のレベルから0歳児のレベルに向かって衰えていくのです。その一方で、「右脳は左脳よりも、運動の脳は右脳よりも」働きの衰え方が遅いのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。言葉による相互の意思疎通が次第に困難になっていく状況の中で、相手の感情や態度に対する認知は、左脳よりも比較的に良く働くことに注意が必要です。ちょっとした行き違いをきっかけにして相互の関係の乖離が次第に広がっていく中で、極めて感情的な行為やら、粗暴な行為やら、不潔な行為などが表出してくるようになるのです。

 注)本著作物(このブログB-06に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a


 

 

 

 

 

 

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アルツハイマー型認知症は治らない病気とされる本当の理由(A-90)

2013-07-15 | アルツハイマー型認知症の早期診断

○  「アルツハイマー型認知症」は、原因不明で治らない病気というのは、真実なのでしょうか、それとも何か重大な誤り(誤解、或いは見落とし)があるのでしょうか?

世間では(米国を含め世界中で)認知症の専門家達(医師や研究者達)から、「アルツハイマー型認知症」は、発病の原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできないタイプの認知症(「原因不明で、治らない病気」)とされています。本当にそうなのでしょうか?

私のこの「ブログ」を読んでくださっている方ならもうお気づきのように、「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、そもそも「原因不明とか、治すことができないとか、予防することができないと」いう病気ではないのです。診断に際して、「米国精神医学会」が定めている「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の内容を(信じきっていて疑うこともなく)金科玉条として、その診断基準に依拠して診断していることが原因に過ぎないのです。「見つけるのが遅すぎる」、「末期の段階で見つけるので治せない」、今日は、そのことを、具体的な事例を取り上げながら説明します。

我が家の庭では、ブーゲンビリアが盛りです。「DSM-4」の規定の第二の要件として、「失語や失行や失認」のいづれかの症状が確認されないと、「アルツハイマー型認知症」と診断してはならないと規定されているのです。そこで、それらの症状がどのようなもので、脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能がどの程度に衰えている時に、その症状を確認することができるのかを簡単に説明しておきましょう。認知症の専門家とされる人達は、様々な程度と態様とで現れてくる「アルツハイマー型認知症」の症状をそれなりに知っていても、症状には脳の機能レベルに対応した症状があるということを知らないのです。「アルツハイマー型認知症」の全ての症状が、「重症度区分」という考えもなしに、「十把一絡げ」に扱われているのです。私たちは、「前頭葉」を含む脳の機能レベルに対応した「小ボケ、中ボケ、大ボケのつの段階に区分される症状」として指標化しています。「アルツハイマー型認知症」は、私たちの区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)の段階で見つけると、治すこと(脳の機能を正常なレベルに回復させること)が容易なのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つけると、治すことが未だ可能なのです。最後の、末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階で見つけたのでは、手遅れ、治すことが困難(出来ない)のです。

私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の症状が発現してくるまでに「前頭葉」を含む脳の機能が衰えてくると(脳の機能レベルが低下してくると)、もはや手遅れ、脳の機能を正常なレベルに回復させることは出来ないのです。そればかりか、「小ボケ」のレベルに回復させることも、「中ボケ」のレベルに回復させることさえも出来なくなるのです。「重度認知症」(大ボケ)のレベルにまで脳の機能が衰えてくると、身体が持つ限り認知症の症状が更に重いものになっていくだけで、大ボケのお年寄りを抱えて「介護」する家族の精神的、肉体的及び経済的な負担がどんどん重くなっていくだけなのです。

もうひとつ大切なことは、「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズムから考えてみて、「小ボケ」であれ、「中ボケ」であれ、或いは「大ボケ」であれ、治す(正常な機能レベルに脳の機能を回復させる)ことができる「治療薬」は、ips細胞とか、ワクチンとか、どんな手法を試みようとも、未来永劫開発することはできないのです。世界中の製薬会社が、「アルツハイマー型認知症」の治療薬を開発しようとしのぎを削っていますが、それは研究者達が「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを理解していないからなのです。「アルツハイマー型認知症」を発病させる原因ではなくて、「アルツハイマー型認知症」を発病したその上に「重度認知症」(大ボケ)の段階にまで症状が進んで、更に「重度認知症」の段階を何年も患っていた結果でしかない「老人斑」や「神経原繊維変化」等が発病の原因と誤解し、「アミロイドベータ」とか「タウタンパク」とかが真犯人と考えて、出口のない迷路にはまり込んでいるだけなのです(ここを「クリック」してください)。

「失語」の症状とは、幼時からの経験によって習得した「言語」の理解と表出とが機能障害された状態に起因する症状を言います。「失語症」は、ほとんどが脳を養う血管の障害が原因で引き起こされます。ところが、脳を養う血管に何等の血管障害がなくても脳の機能が障害される場合が、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の症状として確認されるのです。それは、「前頭葉」及び「左脳」の機能が廃用性の異常な機能低下を起こすことが直接の原因なのです。廃用性の機能低下の直接の結果として「前頭葉」を含む脳の機能低下が加速度的に進んでいった最後の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の後半になって、その段階での脳の機能レベルのアウトプットとして、そうした「失語」の症状が発現してくるのです。MMSでは、「命名、復唱、三段階口頭命令、書字命令及び文を書く」の項目がそれらの検査項目となります。これらの項目は、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「重度認知症」(「前頭葉」の機能が異常なレベルに在って、且つMMSの総得点の換算値が14点以下)のレベルにある場合で、MMSが7点を切ってくると、そのうちの大半の人達ができなくなるのです(但し、「文を書く」の項目の分岐点はもう少し高い12点のところにあります)。

「失行」の症状とは、「運動可能な状態であるにもかかわらず、合目的々な運動ができない症状」を言い、観念失行、着衣失行及び構成失行の態様が、「重度認知症」の後半になって初めて確認されるようになるのです(こうした重度の症状は、MMSの総得点が一桁の得点になってこないと、発現してくることはない極めて重い症状なのです:例として「二段階方式」30項目問診票の事例から取り上げると、「服を一人では正しく着られず、上着に足を通したりする」等があります)。それは、「前頭葉」及び「運動の脳」の機能が廃用性の異常な機能低下を起こすことが直接の原因なのです。廃用性の機能低下の直接の結果として脳の機能低下が加速度的に進んでいった最後の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の後半になって、その段階での脳の機能レベルのアウトプットとして、そうした「失行の症状」が発現してくるのです。

「失認」の症状とは、ある一つの感覚を介して対象物を認知することができない症状のことを言います。要素的な一次視覚が保たれているにも関わらず、その対象をひとつのまとまりとして把握できないので、提示された物品が何であるのかが理解できない状態なのです。形態の認知が障害されていて、物品の模写ができず、類似した視覚刺激の異同を判定することもできません。それは、「前頭葉」及び「右脳」の機能が廃用性の異常な機能低下を起こすことが直接の原因なのです。廃用性の機能低下の直接の結果として脳の機能低下が加速度的に進んでいった最後の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の後半になって、その段階での脳の機能レベルのアウトプットとして、そうした「失認の症状」が発現してくるのです。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「重度認知症」の段階に在って、且つMMSが10点を切ってくると、そのうちの8割の人たちが、「五角形の相貫図」(五角形の一部が交わった平面図)を模写する程度のことさえできなくなります。

上記、「失語、失行及び失認」の概要を知った上で、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルにリンクした、脳の機能レベルの直接のアウト・プットとして私たちが指標化している「アルツハイマー型認知症」の症状を読み比べてみてください(「アルツハイマー型認知症」の症状を「前頭葉」を含む脳の機能レベルと直接リンクさせて、三段階に区分し、指標化している内容については、ここを「クリック」して参照してみてください)。私たちの区分でいう、「重度認知症」の症状(回復させることはもはや困難な、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の症状)、その中でも更に後半になってしか発現することが確認されない症状、言い換えると「MMSの換算値が一桁にならないと発現してくることがない」症状が、「アルツハイマー型認知症」であると診断するための要件として世界的に権威があるとされるあの「DSM―4」に規定されているのです(第二の要件)。

こんなに重度の症状、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の症状の発現を確認できるということは、裏返して言えば、そうした症状の「震源」である脳の働きの具合、「前頭葉」を含む脳の機能レベルは、脳全体の司令塔である「前頭葉」自体が殆ど機能しないレベルに衰えてきている上に、様々な場面でその「前頭葉」と協働している左脳(「失語」の症状が確認される)も運動の脳(「失行」の症状が確認される)も右脳(「失認」の症状が確認される)さえも、その機能レベルが極めて低い状態にあるということを意味しているのです。

ここまで説明したら分かっていただけたでしょうか?「アルツハイマー型認知症」は、治すことができない病気ではないのです。治せる段階がある病気なのに、「DSM-4」の第二の要件とされる重すぎるそれらの症状が原因で(「症状」を発現している震源である「脳の機能」が衰えすぎていることが原因で)、治すことができない病気にされてしまっているだけなのです。もっとわかりやすい言葉で言えば、見つけるのが「遅すぎる」だけなのです。もっと軽い段階(私たちの区分で言う、回復させることが容易な「小ボケ」や回復させることが未だ可能な「中ボケ」の段階)の症状を「第二の要件」に取り入れて規定すべきなのです。それこそが、「早期診断」を可能とし、且つ意味あるものとする必要不可欠の条件なのです。

「早期診断」というのは、本来、その段階で見つけることにより治す(「アルツハイマー型認知症」の場合は、「前頭葉」を含む脳の機能を正常なレベルに回復させる)ことを目的としているはずです。インターネットで検索してみればお分かりのように、いろいろな医療機関が「アルツハイマー型認知症」の「早期診断」を取り上げていて、患者の呼び込みをしています。ところがその中身をよく読んでみると、早期診断により「アルツハイマー型認知症」を見つけて、(回復させる効果はないが、症状の進行を1~2年程度遅らせる効果が期待できるかもしれない)とする「薬」を何種類か服用させるだけなのです。これが、医療の現場で行われている治療の実態なのです。見つけている段階は、失語や失行や失認の症状が確認される「アルツハイマー型認知症」の末期段階の「重度認知症」(大ボケ)の段階なのです。この段階で見つけていたのでは遅すぎるのです。早期診断とは名ばかりで、治すことはできないのが診断の実態なのです。

様々な程度と態様とで発現してくる「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルのアウトプットに過ぎないのです。「前頭葉の諸機能」の障害すなわち、色々な認知機能を発揮する上での基礎となる三本柱の「意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能の障害並びに理解、考察、発想、企画、計画、観察、分析、洞察、推理、予見、シミュレーション、工夫、機転、抑制、忍耐、興味、創造、感動及び判断等の機能の障害、更にそれらに加えて最終的な実行内容を選択する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価機能の障害という「各種の前頭葉機能の障害」を基礎として、左脳、右脳及び運動の脳との協働関係による脳全体の機能レベル(機能障害の異常なレベル)のアウトプット自体が「アルツハイマー型認知症の症状」として発現してくることに気づいていないことが最大の問題なのです。

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳全体としての機能レベル自体が認知症の症状として直接発現してくるのが特徴なのです。従って、「前頭葉」を含むどの脳の機能が異常なレベルに衰えると、どのレベルの認知症の症状が発現してくることになるのかという一定の診断基準を持たないと、正しい診断をすることもできないし、回復させることが可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を見つけることもできないのです。

「DSM-4」の内容の改善を目的とするのであれば、最新版の「DSM-5」の規定では、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階にならないと発現してくることがない極めて重度の症状である「失語、失行、失認」という症状を要件として規定している「DSM-4の第二の要件」を削除し、もっと軽い段階を見つけることができるように要件内容を改訂すべきだというのが私たちからの提言です。

○  「アルツハイマー型認知症」の段階的症状と脳の機能レベルとの関係

私たちは、「ラットの記憶」に関する行動を追ってみたり、「脳の萎縮」の度合いを調べてみたり、重度の認知症患者であった人達の脳の「解剖所見」を追ったりはしていないのです。私たちは、生きている人間の「前頭葉」を含む脳の機能レベルとその直接のアウトプットである「認知症の症状」とを、私たちが開発した「二段階方式」と呼称する「神経心理機能テスト」を活用して、20年以上も精緻なデータを取り続け、且つその成果を「アルツハイマー型認知症」に特化した早期診断と回復及び発病の予防を目的とした「マニュアル」として体系化し(マニュアルA、B及びCの三部作からなり、A4版で、総ページ数590ページの大作です。このほかに、「マニュアル使用の手引き」と脳機能データ管理及び評価ソフトがあります)、1995年以来、市町村での「地域予防活動」としての実践を指導してきているのです。そうしたデータを集積した図が、下記に掲げる(平面図と立体図)なのです。

 

この図からも分かるように、脳全体の司令塔である「前頭葉」の機能は、正常下限、「小ボケ」、「中ボケ」、更には「大ボケ」のレベルへと脳全体の機能レベルが低下していくにつれて、加速度的にどんどん働きが衰えていく(落ちていく)ことが読み取れるのです。脳全体の機能レベル(働き具合)が衰えていく結果として、次第に症状が重くなっていく(認知症の症状が重症化していく)ことが分かるのです。脳全体の機能レベルを加速度的に衰えさせている原因は、「アミロイド・ベータ」でもなく、「タウ・タンパク」でもなく、「脳の萎縮」でもなくて、使われる機会が極端に少ないがために起きてくる廃用性の機能低下なのです。その意味で、世間の権威ある人達から「原因不明の病気」と言われている「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」だということが私たちの研究と実践指導とにより分かってきたのです。

生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を繰り返すだけの日々の生活では、使われる機会が極端に少ないが為に出番をなくした「前頭葉」を含む脳の機能が異常な機能低下を加速度的に起こしてくるのです。このことは私たち以外には誰も(認知症のどの専門家も)未だ気づいていないことなのですが、「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳の機能に衰えていく順番があることが、私たちが開発した「二段階方式」の神経心理機能テストの3万例を超えるテスト結果データの解析から明確に確認されているのです。つまり、廃用性の機能低下が発病の原因である「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳全体の司令塔である「前頭葉」が、最初に異常な機能低下を示すのです。次いで、MMSで計測される「左脳及び右脳」の機能項目について、「規則性」の存在というべきレベルでの「機能が衰えていく項目の順番」が明確に確認されるのです。

「アミロイド・ベータ」とか、「タウ・タンパク」とか、「脳の萎縮」とかが「アルツハイマー型認知症」発病の原因だと考えている認知症の専門家達は、この「規則性の存在」についてどう説明できると言うのでしょうか。私たちは、基礎となる脳機能データが極めて精緻なものであり、且つ極めて多数であることから、廃用性の機能低下が「アルツハイマー型認知症」発病の原因であるからこそ、上述したような、「脳機能低下」の順番があるのだと確信を持って主張しているのです。

度々このブログの中で言及し問題提起してきたように、私たちの主張(見解)が正しいことを疫学的に証明してくれることになるのが、「東日本大震災」の被災地の高齢者達に起きてくる、極めて高率で極めて多数の「アルツハイマー型認知症」の患者の発生と症状の重症化の進展という事実なのです。但し、世間では、上述したように、「DSM-4」に規定されている「失語や失行や失認」といった「重度認知症」(大ボケ)の段階でも後半にならないと発現してこない極めて重度の症状の確認を要件としているが為に、「小ボケ」や「中ボケ」の段階で発現して来ている症状を「アルツハイマー型認知症」の症状とは考えないで、「不活発病」とか「老化現象」などと命名し、或いは誤解して見落としているのです。くり返し指摘しているように、「小ボケ」の段階で見つけると回復させることが「容易」であり、「中ボケ」の段階で見つけると回復させることは「未だ可能」であるが家族も本人も大変な努力が必要となり、「大ボケ」の段階で見つけると回復させることはもはや「困難」になるのです。

震災が発生してから2年と4ヶ月が経過した現在、極めて多人数の「小ボケ」や「中ボケ」の人達が既に発生しているはずなのです。この先2~3年が経過すると、その人たちの症状が更に進んできて、「中ボケ」や「大ボケ」の段階の症状を示すことになるのです。その時になって初めて、認知症の専門家達が大騒ぎすることになると思うのですが、「大ボケ」の段階にまで進行させてしまっては、「回復」への道はもはや閉ざされてしまい、「介護」の道だけが残されてしまうことになるのです(「アルツハイマー型認知症」の症状の進行期間については、ここを「クリック」してください)。

注)本著作物(このブログA-90に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/95c2a476097fda6da8f4056b0d03e5ad

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アルツハイマー型認知症の治療と回復に係る問題点 (A-84)

2013-05-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

○   認知症の人達の数とされているのは、末期段階の数なのです:

厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2013年4月末現在300万人超と言われています。300万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなかったり、同居の家族の名前や顔もわからなかったり、ズボンを頭から被ったり、トイレの後始末も自分ではできない、所謂「セルフケア」にも介助が要る人達、言い換えると認知症の末期段階の人達、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達だけの数なのです。

回復可能な早期の段階として私達が提起している、「社会生活」面だけにしか支障が出てきていない「軽度認知症」(小ボケ)とセルフケアには未だ支障がないが「家庭生活」面では支障が出てきている「中等度認知症」(中ボケ)とは、その数の対象には入っていないのです。

○ 権威とされる「診断基準」自体に重大な誤りがあるのです:

これまでのこのブログの中で幾度も指摘し問題にしてきたように、医療機関では、「アルツハイマー型認知症」については、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルの症状が出てきていないと認知症とは診断されません。

米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定に従って診断していることが原因なのです。この「DSM-4」の規定では、記憶の障害を第一の要件とし、失語、失行、失認又は実行機能の障害を第二の要件としています。失語や失行や失認の症状は、回復可能な早期の段階である「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階では絶対に出てくることがないレベルの症状なのです。失語や失行や失認という重度の症状は、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」の段階になって初めて出てくる症状なのです。

世界的な権威があるということだけを頼りにして、疑うこともなく信望して、「DSM-4」の規定を金科玉条として、「アルツハイマー型認知症」の診断を行うので、失語や失行や失認という重度の症状が出てきていないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階の症状が出てきていても、「不活発病」とか「老化現象」だとされ、見過ごされているのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない病気にされてしまっているのです。

元々は「社会生活」を営めて、正常な機能レベルにあった脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により、異常なレベルに衰えてきたその直接の結果として、「認知症の症状」が現れてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。そのまま放置していると(身体は持つのに、脳は持たない)ので、脳の機能レベルの低下に連れて、「軽度認知症」は「中等度認知症」に「中等度認知症」は「重度認知症」に段階的に症状が進んで行くのが特徴なのです。驚くなかれ、私達のデータから推計すると、「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)とを合わせた人数は、「重度認知症」(大ボケ)の人数の4倍にもなるのです。

次回から2回にわたるこのブログの記事で、「アルツハイマー型認知症」からの回復の方法について詳細な説明をする予定なのですが、次の点を肝に銘じておいていただきたいのです(ここを「クリック」してください)。 

治療、回復の可能性という視点から言うと、次のとおりなのです。

  「軽度認知症」(小ボケ)レベル   回復容易

  「中等度認知症」(中ボケ)レベル  回復可能

  「重度認知症」(大ボケ)レベル    回復困難

○ 仮説の内容自体が誤りであり、因果関係の確認がなされていないのです:

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての「生活習慣」が発病や回復を左右する廃用症候群に属する病気であり、早期の段階で見つけると「回復」させることも可能なのです。さらには、「予防」することもできるのです。市販されている専門書を読み漁っても、インターネットで検索してみても、どの書籍もどのブログも、「アルツハイマー型認知症」はアミロイドベータやタウ蛋白によって脳の神経細胞が侵されることが原因で発病する病気なので、治すことも予防することもできない病気だとしか書かれていません。原因不明の病気としながら、アミロイドベータやタウ蛋白が犯人とする他人の仮説をそのまま挙げて説明しているのです(ここを「クリック」してください)。

私達が1995年に活動を開始して以来これまでに集積してきた脳の機能データと市町村での「地域予防活動」を実践指導する中からの体験を基礎にして考察すると、「アルツハイマー型認知症」について医療機関が抱える最大の問題点は、「発見するのが遅すぎる」ことにあるのです。医療機関は、前述した「DSM―4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行っているので、失語や失行や失認の症状が現れてきていないと、つまりは「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が出てきていないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないことに問題があるのです。失語や失行や失認の症状が認められる段階、私達の区分で言う「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから、「原因も分からないし治らない」と誤解されているだけなのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これこそ、「遺伝子」の異常が原因の病気なのです)とアルツハイマー型認知症(これは、単なる「生活習慣病」なのです)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを犯している権威がある人達が居るために、回復可能な軽い段階言い換えると(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、家族も病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、失語や失行や失認の症状が現れてきて、「もうどうにも手に負えない」段階にならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環を繰り返す結果にもなっているのです。

○ 末期の段階である「重度認知症」の段階で見つけることに意味があるのか:

このことについての国民的な確認が必要なのです。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」の改善指導)をやってもらい、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくる、つまり治せるという体験をすることが重要なのです。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、離島の果てにまでも染み込んでいる世の中の誤解も解けてくるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。

このままの状態、悪循環の現状を放置して、「原因も分からないし、治らない病気」のままにしていると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護に振り向けられているのが実情なのです。国全体の収入金額に対するそのあまりにも大きな割合に、その巨額さを皆さんが知ったら仰天するほどの金額に到達しているのに、治療や予防というテーマはどこからも聞こえてこないのが不思議でならないのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠ですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が財政面から破綻し、崩壊してしまう勢いなのです。

○ 早期診断による回復が可能なのです:

「早期診断」による早期治療と回復及び予防という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」とすべきなのです。その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなおアルツハイマー型認知症を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応すべきなのです。インターネットでアルツハイマー型認知症の治療と検索すると、医療機関による種々の解説ページが出てきて、「早期診断」を歌っています。But:その内容は全て、回復の可能性がない「重度認知症」の段階を見つけて、「治すことはできないが、ケースによっては症状の進行が遅くなることが期待できる」とする何種類かの薬を処方するだけの診察なのです。この薬を飲ませたところで回復を期待することはできず、ただ症状が進んでいくだけの薬を処方するのが「早期診断」と言えるのか、疑問を抱くのです。

 第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的です。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、「診断」は、従来行われているようなCTやMRIの「画像」による診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による脳の働き具合を調べる診断が不可欠です。「アルツハイマー型認知症」は、最初に「前頭葉」のみが異常なレベルに衰え(小ボケ)、次いで、「左脳と右脳」が異常なレベルに衰えていく(中ボケ)という衰え方の規則性があります。回復可能な早期の段階を見つけるには、「神経心理機能テスト」で「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含めた脳の働き具合を調べる診断が不可欠なのです。

ところが、医療機関による早期診断については、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定する上で不可欠である「神経心理機能テスト」の使用には保険点数が極端に低いことによる「事業を維持するうえで必要な額としての事業収益が得られない」という問題があります。そのため私達は、代替案として、市町村による早期診断と地域予防活動の展開を提案しているのです(ここを「クリック」してください)。

○ 画像による診断では、回復可能な早期の段階が見つからないのです。

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできないのです。脳の萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の段階的「症状」の発現との間の因果関係)が確認できないのです。私達は、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずだと考えているのです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば脳の萎縮の度合いとのある程度の相関は認められても(万一の「仮定」の話ですが)、「早期診断」の本当の意味がある回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階になると、脳の萎縮の度合いを基準としていたのでは発見が困難なはずだと考えるのです。

CTやMRIなどの機器を使うと高額の医療費を稼ぐことはできるのですが、この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大するだけという途をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。そのことを恐れるが故なのかどうかは分かりませんが、「家族による介護」が制度化されようとしていることに私達は重大な危惧を抱いているのです。 

                                                                                                

「家族による介護」は、制度化ではなくて、本人達の選択に任せるべきものと考えるからです。まだ前途ある若い年齢の人達が、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、しかも末期段階である「重度認知症」の段階にあるお年寄りの介護を続けることに異論があるのです。「脳の機能は衰えていくばかりなのに、身体だけがいつまでももつ」のが、「アルツハイマー型認知症」という病気の特徴だからです。今日は、前置きが長くなってしまって、本題の治療による回復の説明にいたりませんでした(このブログは20000字が限度と制限があるのに、私のブログは、いつも、字数が多すぎて迷惑ばかりおかけしているので、今回はこれで終わりにします)。次回は、「軽度認知症」(小ボケ)の治療方法と回復について説明します。

 注)本著作物(このブログA-84に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

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アルツハイマー型認知症の早期診断(判定)と「二段階方式」(A-40)

2012-05-17 | アルツハイマー型認知症の早期診断

私達の「二段階方式」の手技においては、「アルツハイマー型認知症」を三つの側面から診断(判定)及び評価します。やるべき内容とその手順がパターン化されているのが特徴です。従って、資格も特別の能力も必要とされません。必要で大切なのは、予防活動に対する「意欲」と人に対する「親和性」なのです。「アルツハイマー型認知症」の症状は、個人ごとに発現する程度と態様が異なります。そうした症状は脳の機能レベルとリンクさせ三段階に分類された「30項目問診表」によりパターン化されているので、「マニュアル」と「使用の手引き」の手順どおりに手技を実施することで、診断(判定)と評価については、あらゆるケースを画一的に処理することが出来る(それでいて、内容はとても深い)のです。なお、このブログで診断(判定)という用語を使っているのは、診断は医師が(判定)は医師の資格を持たない人がこの手技を使うことを想定したものです。

       

○  二種類の神経心理機能テストによる「脳機能テスト」の実施と判定(以下、「A」)

○  30項目問診票による生活実態の確認と「生活自立度」の判定(以下、「B」)

○ 「キッカケ」の確認とキッカケ後の過去数年間における脳の使い方という視点からの「生活歴」の聴き取り(以下、「C」)

という3つの面を相互にリンクさせて、総合的に判定し鑑別することが、他に例のないこの手技の特徴です。

「A」の脳機能レベルと「B」の生活自立度とが一致して、更にそれを裏付け説明できる単調な生活の継続「C」という生活歴の確認ができた場合にのみ、「アルツハイマー型認知症」と診断(判定)することになります。(「A」の脳機能レベルの判定に際しては、同時に、脳機能が衰えていく場合のパターンとその項目の組み合わせという「規則性」の確認の作業が行われることは言うまでもありません。)そして、「アルツハイマー型認知症」であると診断(判定)された場合にのみ、個別の「生活改善」指導の対象となります。

「アルツハイマー型認知症」は、廃用性の機能低下により脳機能が加速度的に衰えていくことが原因で発病する「生活習慣病」なので、早期の段階であれば脳を活性化させる「生活改善」により正常レベルに回復させることが出来るからです。なお、認知症を疑われる症状を示す被検査者のうち、「アルツハイマー型認知症」と診断(判定)されるケースの割合は、症例が集積され多数になるにつれて90%を超えることになります。

          

「二段階方式」の手技を活用して「アルツハイマー型認知症」を他の種類の認知症と鑑別し、或いは認知症と紛らわしい病気と鑑別するということは、多数の症例により集積された「脳機能データ」の分析に基づいて手技がパターン化されている「A」、「B」、「C」のおのおのの意味するところが、相互に一致するかどうかを確認していく作業を実施していくことといえます。その結果、「アルツハイマー型認知症」である場合には、必ずA=B=Cが成立することになるのです。

「二段階方式」の手技により「アルツハイマー型認知症」であることが確認されたケースでは、「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)と診断(判定)された場合は、正常レベルへの脳機能の回復を目的とした個別の「生活改善」指導が実施されます。「重度認知症」(大ボケ)と診断(判定)された場合は、症状の進行を抑えることを目的とした個別の「生活改善」指導が実施されます。

       

脳の働き具合(脳の機能レベル「A」)のアウトプットが症状(三段階に分類される症状の程度「B」)として発現してきます。「二段階方式」では、ベースとなるのは脳機能なのです。手技に慣れるにつれて、二種類の神経心理機能テストを実施して脳の機能レベルを計測し判定していく間に、「この脳機能レベルならば、生活実態は~だろう」という予測をたてられるようになります。「アルツハイマー型認知症」の場合には、必ず「A」=「B」が成立します。従って、生活の自立度を確認した時点で、脳の機能レベル(「A」)が生活の自立度(「B」)と一致するかどうかを確認していく作業が必要となるのです。

A=Bが確認されると、減点を構成しているMMSの下位項目が、「アルツハイマー型認知症」の場合の「落ちて行くパターンとその項目」通りであるか否かの確認作業を行います。「否」の場合は、その時点で、被検査者は「アルツハイマー型認知症」ではないことが確定します。

 脳の機能レベルのアウトプットが「生活自立度」として三段階に分類された「症状」に現れる訳なので、「A」が「B」と一致しない場合は何故その状況が起きているのか(防衛的なためか、家族関係の悪さか、或いは他の種類の病気のせいか等)推理を働かせ、確認しておくことが大切になります。背景にある家族関係等の事情も、「生活改善」指導の大切な要素になるからです。A=Bが成立しない、つまりA≠Bとなることが確認されるとその時点で、「アルツハイマー型認知症」ではないことが確定します。

そして最後に、現在の脳機能レベル(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」)をもたらす原因となっているナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という事実の存在について、この数年間の「生活歴」の聴き取り(単調な生活の継続「C」)で確認することになるのです。「アルツハイマー型認知症」であれば、必ず、「A」=「B」=「C」が成立します。生活歴の聞き取りの過程で明らかとなった被験者の脳の使い方の特徴及び問題点を考慮に入れて、脳を活性化させるためのより適切な「生活習慣」の改善を指導していくことが大切なのです。

      

(コーヒー・ブレイク) 平成の大合併では、多い場合には二桁の数の市町村が合併して一つの市や町になりました。この合併により、市や町単位での高齢化率は大幅に低下しました。高齢化率が大幅に低下したことで、認知症に対する関心が低下してきています。ところが、合併後の市や町単位での高齢化率は大幅に低下している一方で、地域単位での高齢化率に目を向けると逆に高齢化が進行しているのです。地域単位でみれば、高齢化率が30%を超えるところはざらにあります。手遅れにならないうちに、「地域予防」に関心を向け、活動を再開し或いは活動を開始して欲しいと願うのです。

 注)本著作物(このブログA-40に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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MMS下位項目の衰え方とその規則性(A-39)

2012-05-14 | アルツハイマー型認知症の早期診断

「コロンブスの卵」という言葉をご存知ですか。人が見つけた後でそのやり方をまねるのは誰にでもできるが、最初にそのやり方を見つけることは難しいという意味で使われます。今日の報告のテーマは、私達がそのやり方を最初に見つけた、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に極めて有用な「コロンブスの卵」の話しです。

世間では、DSM-4の定義以外には「アルツハイマー型認知症」に特有な特徴とされる「指標」が何ら知られていません。然も、DSM-4の定義には重大な欠陥があることは前回の報告で指摘したとおりです。従って、「アルツハイマー型認知症」の診断に際しては、他のタイプの認知症や認知症と紛らわしい病気の特徴とされる要因がないことを一つ一つ丁寧に確認していく方法によってそれらを順番に消していき、最後まで残ったものが「アルツハイマー型認知症」であろうと言う診断がなされているのです。そのために、側頭葉性健忘症や、感覚性失語症や老年期うつ病や緩徐進行性失行などの病気が「アルツハイマー型認知症」と誤診されることが意外と多いのです。テレビによる「アルツハイマー型認知症」の特集番組でも、出演している専門家によるそうした間違いを良く見かけるのです。

       

認知症を疑わせるような症状を示している人が、「アルツハイマー型認知症」なのか、アルツハイマー型認知症以外のタイプの認知症なのか、認知症と紛らわしい病気なのかを診断(判定)する上で、提示する「コロンブスの卵」は新大陸の発見に匹敵する(筆者の誇大妄想癖)とは言わないまでも極めて有用で大きな発見なのです。

私達が提唱している「二段階方式」の場合は、以下に概説する「コロンブスの卵」という絶対的な指標があります。「アルツハイマー型認知症」の場合は、「廃用性の機能低下」により「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が加速度的に衰えていくことが原因で発病し、症状が進行していくので、神経心理機能テストの「MMS」で測定される高次機能の衰え方に特有で厳格な「規則性」が認められるのです。その「規則性」を指標とすることによって、「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が客観的に、且つ精緻に行えるのです。

        

その卵とは???

下図に示すのは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、「MMSで測定される左脳と右脳の機能の衰え方には、衰えていく順番が認められる」、言い換えると脳の機能に衰え方の厳格な「規則性」があるというその順番のことです。ここに言う「衰えていく順番」とは、脳の機能にとって「高度なものから順番に出来なくなっていく」という「規則性」のことなのです。その概要をグラフと表とで説明します。

       

以下は、MMS各下位項目の「項目困難度」を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSの総得点)のグラフを示しています。

50%の横軸とクロスする点が、右に行くほどその項目は難しく、左に行くほどその項目は易しいことになります。下記のデータは、18000例の脳機能データを解析したものです。

 

上に示したMMS下位項目の「項目困難度」のグラフを整理し表示方法を変えたのが、下記の表です。上述の「 項目困難度の順番」は、次の表のようになります。その意味するところは、「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳の機能がこの項目の順番に衰えていく(項目が、この順番にできなくなっていく)という「規則性」を示すのです。このように脳の機能に衰えて行く順番があると言うことは、重大なことを意味するのです「アルツハイマー型認知症」の正体が、廃用症候群に属する生活習慣病であるからこそ、「機能が高度なものから順番に衰えていく」というこの規則性があるのです。老人斑を生成するアミロイドベータや神経原線維変化をもたらすタウ蛋白がアルツハイマー型認知症を発病させる原因だとすると、このような規則性を説明できないと言うことなのです。言い換えると、アミロイドベータやタウ蛋白が原因だとする学説は、間違っているということになるのです。

「二段階方式」による鑑別の方法としては、被験者のMMSのテスト結果を調べるだけで十分なのです。MMSの総得点から減点を算出します。その減点を構成している項目が、この「項目困難度」の順番の通りになっていることを確認すればいいのです。但し、MMSの下位項目は満点が1点から5点まであり均一でないので、減点を構成する「項目とそのパターン」を管理データと照合する作業が必要になります。

「二段階方式」の活用により、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)が、容易に且つ高い確率のもとで行えるのです。その作業手順の概要は、次のようになります。

○ 前頭葉の機能レベルを「かなひろい」テストで判定する。

○ 左脳と右脳の機能レベルをMMSで判定する。

○ 生活実態の聞き取りから「30項目問診票」により生活の自立度を確認する。

○ 脳の機能レベルと生活の自立度との一致を確認する。

○ MMSで測定される下位項目の「衰え方の規則性」の確認を減点を構成する項目とそのパターンのデータと照合する。

○ 「キッカケ」となった「生活状況」を確認する。

○ 「キッカケ」から現在までの過去数年間のナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続とその内容を聴き取る(「生活歴」の聞き取り)。

       

「アルツハイマー型認知症」であることが確認されると、「脳の機能レベル」と脳の機能レベルに対応した「生活の自立度」が確認できるので、「軽度認知症」(小ボケ)、「中等度認知症」(中ボケ)及び「重度認知症」(大ボケ)の三段階に区分された段階的症状が判定されます。そして、「二段階方式」の管理ソフトによる個人別のデータ管理のもとで、定期的に健診(判定)の機会を設けることにより、早期診断(判定)による回復とさらなる症状の進行の防止並びに予防が可能となるのです(ここをクリックしてください)

更に、管理ソフトにより「個人別」、「グループ別」或いは「地域別」にデータを管理することが出来るので、半年或いは1年等一定の期間を対象として、対象期間の最初と最後との比較による脳の機能レベルの変化を判定(改善、維持、悪化)することにより、対象期間中に実施した脳を活性化する「生活改善」のための諸施策(Ex.個別の生活改善指導、或いは脳イキイキ教室参加者に対する脳活性化のための生活改善指導の施策)の効果を判定評価することが出来るのです。

 注)本著作物(このブログA-39に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)






 

 

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アルツハイマー型認知症の脳の衰え方の特徴(A-38)

2012-05-10 | アルツハイマー型認知症の早期診断

いろんな種類がある認知症のうちの大多数90%以上を占めているのが「アルツハイマー型認知症」(老年性アルツハイマー病)です。米国精神医学会の定義であるDSM-4に影響されて「重度の記憶障害」を診断の第一の要件と考えている認知症の専門家たち(研究者や医師)から原因不明で治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」は、「加齢」による脳の老化(第一の要因)とナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続(第二の要因)という二つの要因が重なり合うことにより、その相乗効果として脳の機能が廃用性の機能低下により加速度的に衰えていくことが原因で発病する「生活習慣病」なのです。(ここをクリックしてください)。

(コーヒー・ブレイク) DSM-4の定義を基準にアルツハイマー型認知症を診断していると、回復困難な重度認知症(「大ボケ」)の段階しか見つけることが出来ないのです。DSM-4の定義自体に重大な欠陥があるからです。アルツハイマー型認知症も早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけることが出来れば、脳の使い方としての「生活習慣」の改善により治せる(脳の機能が回復する)のだから、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働き方の特徴に着目して「定義の見直し」を検討すべきだと思うのです。前頭葉は脳全体の司令塔の役割を担っているので、最高次機能の前頭葉の働きが異常なレベルに衰えてくると、高次機能の左脳や右脳は未だ正常なレベルにあっても、前頭葉と高次機能との協働により発現しているアウトプットそのものが異常なレベルのものになるのです。認知それ自体(状況の判断、テーマの企画、内容の計画、発想、好奇心、工夫、洞察、推理、機転、選択、その他)が正常なレベルで働くことが出来ないことによる直接の影響が、アウトプットとしての思索や行為や行動に反映されることになるのです。脳の働き具合とリンクさせた症状のデータを分析していくと、そうした脳の働き具合のアウトプットとしての支障が「社会生活」面で出てくることが分かるのです。高次機能(左脳及び右脳)が正常レベルであっても、最高次機能の前頭葉が異常なレベルにあるこの段階で、既に「アルツハイマー型認知症」を発病している(軽度認知症「小ボケ」)と考えるべきだというのが私達の主張です。(ここをクリックしてください)。

       

私達が集積してきたデータの解析によると、「アルツハイマー型認知症」の場合には、廃用性の機能低下により脳の機能が衰えていくとき、その「衰え方」に4つの特徴があることが分かるのです。

○最高次機能の「前頭葉」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、 最初に、「社会生活」に支障を起こす症状が出てくる度認知症「小ボケ」:この間、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルのまま);

○ 前頭葉が廃用性の加速度的な機能低下を継続する中で、同時に「左脳」と「右脳」が廃用性の加速度的な機能低下を起こしてきて異常レベルに衰えていく結果、次いで、「家庭生活」にも支障を起こす症状が出てくるようになる中等度認知症「中ボケ」);及び

○前頭葉並びに左脳及び右脳が廃用性の加速度的な機能低下が同時並行し更に進行していく結果、 最後は、「セルフケア」にも支障を起こす症状が出てくるようになる(重度認知症「大ボケ」)。

○ 並びに、MMSで測定される「下位項目」には衰えていく順番に「規則性」が認められる(「下位項目」が出来なくなっていく順番の「規則性」とそのパターン)。

「神経心理機能」テストによる上記「4つの特徴」を客観的な指標として活用することにより、「アルツハイマー型認知症」の診断(判定)に際しては、他の種類の認知症との鑑別並びに認知症と紛らわしい病気との鑑別が容易になるのです。

(1)  以下のグラフは、「かなひろい」テスト(前頭葉の機能テスト)とMMS(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した、約15,000人の成績分布を示しています。

 

 

このグラフでは、右に行くほど「かなひろい」テストの成績が良くなり、上に行くほどMMSの成績が良くなることを示しています。

グラフの分布から、「かなひろい」テストの成績良好群(「前頭葉」の機能が正常レベル)には、MMSの成績が悪い(不合格)ケースはないことが分かります。「かなひろい」テストが合格する人達は、MMSの成績も合格するのです。

一方、「かなひろい」テストの成績が悪くなっていくと(合否の基準点を下回るようになると)、MMSの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。このグラフから直接には見え難いのですが、MMSが30点満点でも、「かなひろい」テストが0点のケースが相当数みられるのです。

このことはとても重要なことなのです。なぜなら、通常使われているMMSのような知能検査では、「前頭葉」の機能の衰えは発見できないことを意味しているからです。

「前頭葉」の機能テストを実施しないと、脳機能の老化が加速されて社会生活に支障が出てきている認知症の最初の段階(回復容易な「小ボケ」の段階)をキャッチすることができないのです。

 注)本著作物(このブログA-38に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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「アルツハイマー型認知症」の解説は、どのブログも誤りだらけ ( A-01)

2012-03-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

(プロローグ)
(1) このブログは、様々な種類が数ある認知症の内の大多数90%以上を占めていて、認知症研究の世界中の専門家達から原因もわからないし、治すことも出来ないし、発病の予防も出来ないタイプの認知症とされている『アルツハイマー型認知症』について、先駆的な市町村での自主活動であり、私たち「二段階方式」の考え方に基づいて、「二段階方式」の手技を活用して、「有償/有期の使用許諾契約」の締結の下で実践展開され、主張内容が正しいことが『疫学的方法により実証済みのもの』である種々の内容について、出来るだけ分かりやすく世の中に、(特に東日本大震災を被災された高齢者達とその家族に)知らせたいとの思いから、根拠となる脳機能データの開示を含め、概要を無料で公開するものです。


(2)『アルツハイマー型認知症』の発病のメカニズム、早期発見と早期治療に因る認知症からの回復、症状の進行の抑制及び適切な介護の在りかた、そして地域単位での「住民参加型の地域予防活動」の展開による『アルツハイマー型認知症』の発病の予防(発病時期の先送り)の仕方(脳イキイキ教室の運営が基盤)がテーマです。

(3) マニュアル化され、システム化された「二段階方式」と呼ばれる、そのシステムの使用は、有償/有期となっていますが、(使用許諾契約の対象は、市町村の健康・保健・福祉課、在宅介護支援センター、地域包括支援センターに限定されています)この報告の中で、その概要を逐次みなさんに公開していく予定です。

(4)『アルツハイマー型認知症』については、世界で最も権威があるとされている「米国精神医学会」が策定した「アルツハイマー型認知症」の『診断基準』である『DSM-Ⅳ』における定義で、「重度の記憶障害」の確認を第一の要件としている為に、『アルツハイマー型認知症』の専門家とされる「精神科医」による診断では、認知症が気がかりで訪れる人の診断の際、「重度の記憶障害」の症状を示している場合でないと「アルツハイマー型認知症」とは診断されないと言う結果を導くこととなってしまったのです。

※1 世界中の、アルツハイマー型認知症の権威(機関や精神科医)は、「アルツハイマー型認知症」について、重度の記憶障害の症状の発現を特徴とする「神経変性疾患」だと誤解しているのです(正しい中身/正体/本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病に過ぎないもの=私たち「二段階方式」独自の見解)。

※2  回復/症状の更なる進行の抑制が可能である、本当の意味での早期階階(私たち「二段階方式」独自の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階)を見つけるには、「DSM-Ⅳ」の第二の要件の「失語、失行、失認」の項目を削除した上で、最後に取り上げられている、「実行機能の機能障害」という文言を『注意の分配力の機能障害に起因した実行機能の機能障害を介する/呈する前頭葉の機能障害』という要件を『第二の要件』とすることが、不可欠となるのです。

※3『アルツハイマー型認知症』は「意識が覚醒した世」界であり、目的的な世界が関わる認知症なのです。意欲及び注意の集中力に下支えられた『注意の分配力』の機能が、「評価の物差し(意識の首座=自我)」に因る評価/関心/注意に従い、前頭葉の個別認知機能群である「実行機能(Executive  Function)を駆使して、目標を達成していく上での、重大な支障が起きて来る認知症なのです。
その発病を惹き起こす/症状の進行を加速させていく引き金となる要因(原因)は、「DSM-Ⅳ」がその第一要件で確認を要求している「記憶障害」という要因ではなくて、仕事というテーマの遂行とは無縁の日々の暮らし方となる『第二の人生』を生きる高齢者の日々「脳の使い方」としての生活習慣、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の要因なのです(自分なりに追求する特定のテーマが無く、生き甲斐無く、趣味無く、交遊無く、運動する機会も無く、目標も無く、何かを楽しみ/喜びを感じる機会も無い、単調な生活習慣が継続する為に発病/症状の更なる進行が惹き起こされる老化・廃用型の生活習慣病なのです)。
※4  或る日降って沸いた出来事/状況(キッカケの発生と継続に因り、『今日も、明日も、明後日も、そうした状況が継続して行く暮らし方、「脳の使い方」としての単調な『生活習慣』の継続に対して、自分自身が納得がいかないのに、その状況の解消が出来ないことで、心が折れて意欲を喪失し、何事に対しても挑戦できなくなることに因って、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』開始され、継続されていくことになるのです(『前頭葉』の機能について廃用性の異常な機能低下が進行して行く先に、「アルツハイマー型認知症」の発病が待っているのです=私たち「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」の段階)。

※5 「DSM-Ⅳ」の規定は、第一要件及び第二要件共に、『重大な誤りの内容』の規定なのです。

注)本ブログ中では、「前頭葉」は、前頭前野の穹窿部に局在する「複合機能体」であるとの考え(By Tad)の下で説明して行きます。。

(5) そのベース(重度の記憶障害の発現を特徴とする神経変性疾患との誤解)の上で、家族も重度の記憶障害の症状が出てくるようようになって、どうにも手に負えなくなって初めて精神科医のところに連れていくので、「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない病気」に、されてしまったのです。

(6)『アルツハイマー型認知症』は、治らない病気ではないのです。発病を見つけている段階が遅すぎる、言い換えると、末期の段階(私たち「二段階方式」の区分で言う「大ボケ」の後期で、失語や失認や失行紛いの症状を確認して初めて、発病を見つけている(発病のレッテル貼りをしているだけの診断)から、原因も分からないし、治らないだけなのです。   

(7) その結果、回復/症状の更なる進行の抑制が可能な極めて軽度の認知症の段階は、「不活発病」や「脳のフレイル」や「老化現象」の名前を張られるだけで、見過ごされ、放置されたままなのです。


  


    
(私たち「二段階方式」は、意識との関わりに着目し、『意識が覚醒した世界に於ける脳全体「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定できる手技を独自に開発して、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される「類型的症状」を指標化しているのです』。   

※1「不活発病」/「脳のフレイル」のレッテルを貼られているのが、最も初期の段階の症状(小ボケ=回復/症状の更なる進行の抑制が可能)であり、「老化現象」と混同されているのが中期の段階の症状(中ボケ=症状の更なる進行の抑制が未だ可能)であり、原因も分からないし治らない介護の対象とされているのが末期の段階の症状(大ボケ=症状の進行の抑制さえも、最早困難)なのです。

※2『アルツハイマー型認知症』に関して出版されている本は、その殆どを読みました。「アルツハイマー型認知症」をテーマにしているブログやホームページも、それなりのレベルで書かれているものは、殆ど読みました。

それらの殆どの記事で、『アルツハイマー型認知症』の発病原因や症状の進み方の特徴、或いは、症状の進行の抑制等について書かれている内容は、『誤りだらけ』と言うほかありませんでした

(8) 『アルツハイマー型認知症』のことをテーマにしているこのブログでは、根拠となる多数の脳機能データを開示することにより、専門家を含めて世間の『アルツハイマー型認知症』に対する誤解を解消させていく一助となればと考えています。

(9)開示する内容は、エイジングライフ研究所が1995年の活動開始以来、440を超える市町村で(市町村の保健師さん達との共同により)展開してきた、アルツハイマー型認知症の早期発見と回復及び発病の予防を明確な目的とした「脳イキイキ教室」の運営を主眼とする「集団での地域予防活動」の実践の成果に基づきデータ化され、システム化されているものの概要です。

(10)この記事は、3月11日から、週1回のペースで、テーマに分けて具体的な内容を載せる予定です。 アルツハイマー型認知症について、正しい知識を世の中に広め、早期発見と回復並びに予防と密接な関係がある、日々の『脳の使い方』としての「生活習慣」の改善(猶、食生活は、無関係の要因なので、注意して下さい)に向けて、国民的な関心を呼び起こしたいと考えています。

注)本著作物(このブログN0-01に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。特に、医学会や介護の分野に籍を置く人たちは、一部の(内容や脳機能データや様式)の引用に際しては、著作権法の規定の順守/厳守をお願いします。

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