認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症について権威が語る内容は、全てが誤り(F-02)

2021-02-01 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

&1アルツハイマー型認知症の原因、対処方法について権威達が語る内容は、全てが誤り

Ⅰ.DSM4の規程の「第一要件」も「第二要件」も、両者共に規定内容が誤り(DSM-5は、用語をアトランダムに並べているだけで、基準とは名ばかりなので、取り上げません)。

1.第一要件の規定内容は、「アルツハイマー型認知症」が記憶障害に起因して発病すると規定しています。この規定は、発病患者の発言や行為や行動を単に外観的に観察しての推測や憶測に基づいたものに過ぎないのです。記憶の障害が発病を惹き起こしているとする客観的な証拠データが存在していないのです。言い換えると、発病との間の因果関係の存在を客観的な証拠データで証明することが出来ていないものなのです。私たちが二段階方式を活用して集積した「MMSE下位項目の項目困難度」、小ボケ及び中ボケの期間に関する「標準的な滞留期間」の存在、「脳の老化のスピード差をもたらす生活習慣の要因」等の脳機能データから、第一要件の規定内容が誤りであることが、立証されているのです。

2.第二要件の規定内容は、失語や失認や失行の症状が「アルツハイマー型認知症」発病の初期症状であると規定しているものです。私たち「二段階方式」の実施データによると、失語や失認や失行の症状が発現して来るのは、発病の末期の段階、前頭葉の機能テストである「かなひろいテスト」に不合格の者であって、且つ、MMSEの換算後の総得点が一桁の得点、10点未満となるお年寄り達、末期の段階である「大ボケ」の後期の段階に在ると判定されたお年寄り達だけに確認される症状、「極めて重度の症状」なのです。

Ⅱ.発病原因に関する「4つの仮説」の主張内容は、全てが誤りなのです

1.「アルツハイマー型認知症」の発病原因(メカニズム)に関して提示されている「4つの仮説」は、主張内容が全て誤りなのです。4つの仮説の全てが、『「DSM4」の第一要件の規定内容が、正しいもの』との前提で提示された主張内容だからです。発病との因果関係の立証を未だに出来ないでいて、仮説の儘なのです。『権威が主張したり、支持する内容が、常に正しいわけではない』の典型的な事例なのです。

2.「アミロイドβ仮説」とは「アルツハイマー型認知症」の発症についての仮説であり、2002年に提唱されたもの。アルツハイマー型認知症の原因と考えられている仮説(4つ)の中でも、世界的に現在も通説(支持する学者数が最多の意味)とされているのです。

(1)たんぱく質を分解する酵素の働きの変化により、蓄積しやすいアミロイドβの割合が増えて脳に溜まり始め、アミロイドβの毒性により、神経細胞やシナプスが傷つけられていき、傷ついた神経細胞が次々と死んでいくことにより、脳が委縮し、記憶障害が引き起こされることで認知症を発症する(想定=発病との因果関係の立証は無い儘との仮説です

(2)アミロイドβ仮説に基づいて実施された、新薬開発の試みは、全てが失敗に終わっている結果、現在の主流は、アミロイドβが脳内に僅かでも検知された段階で、それを除去する方法の開発に向かおうとしている。このアミロイドβ仮説の他にも、タウタンパク仮説やアセチルコリン仮説や脳の萎縮仮説などの仮説が提示されています。

(3)アミロイドβが溜まって「老人斑」ができ、「神経原線維変化」が起こると、必ず認知機能が低下してしまうのでしょうか。実はそうではないのです。老人斑や神経原線維変化は、アルツハイマー型認知症の人に特徴的な変化として現れますが、アルツハイマー型認知症ではない人にも見られます。「老人斑」や「神経原線維変化」は、あくまでも結果なのです。発症し、重症化が進行して行き、末期の段階にまで症状が進行して行ったその結果に過ぎないのです(アミロイドβ説の支持者は、小ボケ及び中ボケの段階の症状について無知)。

3.三段階に区分される「段階的な症状」が存在することに関する誤解と無知

我が国だけでなくて、未だに世界的に権威を保っている米国精神医学会が策定した「アルツハイマー型認知症」の診断規定である「DSM4」の第二要件が、発症の初期症状であるとして確認を要求している失語失認失行の症状は、上述したように、「アルツハイマー型認知症」発病患者の末期の段階である「大ボケ」の後期の段階で初めて確認される『極めて重度の症状』なのです。もっと軽い段階であり、「脳のリハビリ」の実施により回復させることが可能である『本当の意味での早期の段階』、私たち「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階の症状が見落とされているのです(気づいてもいない)。彼らは、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定出来る手技を持たないので、見落としているのです。MMSEは、左脳と右脳の機能レベルの判定用具であって、前頭葉の機能レベルの判定は出来ないにもかかわらず、認知機能検査では、MMSEしか実施できていないのです。

「DSM-4」の規定に権威がありすぎて、「アルツハイマー型認知症」の研究に従事する世界中の権威達(学者、医師、研究者)が、未だに同じ誤りを犯していることに気づかないでいるのです。昨日まで、友人達と趣味や遊びや交遊を楽しんで暮らしていたお年寄りが、一晩寝て起きたら、「日常の簡単な会話」もままならなくて、娘の顔も分からなくて、ズボンを頭から被ったり、歯ブラシを握ったまま立ち尽くしている等ということにはならないのです。様々な程度及び態様での発現が確認される「アルツハイマー型認知症」の症状は、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした、三段階に区分される段階的な症状(私たちの区分で言う「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」)が発現して来るのが特徴なのです。加えて、その症状は、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものが無い)が継続されている条件下で、何年間もかけて、徐々に、重症化が進行して行くのが特徴。世界中の権威達は、この程度のことさえ知らないのです。廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行を特徴とする「アルツハイマー型認知症」の場合は、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順番に衰えて行くのが特徴です。

4.認知症全体に占める割合の誤解とその理由

(1) 杜撰な『脳血管性認知症』の診断の横行とその結果

ところで、「脳血管性認知症」は、「脳を養っている大小の血管の障害」である脳梗塞や脳出血に直接起因しておきる認知症を言うものと定義されています。実態面から言えば、脳を養っている大小の血管が閉塞して十分な量の血液を脳に送れなくなったために、脳の働きが全般的(左右の脳の両側性)に低下して、そのことを直接の原因として認知症の症状を起こしてくる「閉塞性血管障害」のものが最も多く、一部に「出血性」のものがあります。どの種類の認知症であれ、「脳の器質的な障害を含む何らかの脳機能の障害によって、正常なレベルとされる程度にいったん完成された知的機能が、全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的に機能低下した状態にあることにより、社会生活や家庭生活やセルフケアに支障が出てきている状態を認知症と言う」とするのが、一般的な認知症の定義の仕方です。「何らかの脳機能の障害」という直接の(原因)により「知的機能の全般的(左右の脳の両側性)且つ継続的な機能低下」という(結果)をきたして「認知症の症状」を呈しているという、「原因」と「結果」との間に直接の「因果関係」が確認されることが必要不可欠なのです。 「脳機能の障害」(原因)が認められると言う為には、脳のある領域に血流の低下が確認され、且つその血流低下を惹き起こしている原因血管が確認されることが必要。次いで、その血流障害がもたらしている「脳機能の低下部位」と認知症の症状を発現させている「脳機能低下の範囲」とが合致(結果)していることの確認も必要。逆に言えば、脳機能の障害という直接の(原因)と認知症の症状という(結果)との間の「因果関係」を厳密に確認することもなく、認知症と診断してはいけない(杜撰に過ぎる)ということなのです。

ところが、「脳血管性認知症」については、数値の問題だけでなくて「診断内容」自体にも、認知症の専門家達の主張には、大きな問題があると言わざるを得ないのです。実際の診察の現場では、「局部的な脳出血や脳梗塞」がある場合(或いは、脳梗塞や脳出血の既往さえあれば)、左脳又は右脳の片側の脳の機能障害による「後遺症」としての記憶障害、或いは言語の障害や手足の身体的な不具合を伴う症状、又は「後遺症」を基にした種々の生活上の不便が認められると、「脳機能の全般且つ継続的な低下」の確認及び原因と結果との間の直接の「因果関係」の確認を行うこともなく、「脳血管性認知症」と診断しているケースが極めて多いのです。その結果、「脳血管性認知症」の認知症全体に占める割合が20%もの大きな数値になっているのです(杜撰な誤診の結果としての数値。5%が正しい数値なのです)。

(2) 本当の意味での「早期の段階が存在する」ことへの無知の結果

我が国の実態で言うと、医療機関での診断では、「DSM-4」の第二要件の規定の影響が未だに強くて、末期の段階の症状が初期症状であると誤解しているのです。大病院になると、CTやらMRIやら、果てはPETまで繰り出して、末期の段階で発病を見つけているのです(機器を総動員することに因って、高額の診断費用を稼ぐことが出来るものの、早期診断とは無縁であって、単に発病のレッテル張りをしているだけの診断なのです)。そのうえ、症状を改善させたり、症状の進行を抑制する効能は有していなくて、症状の発現の程度を抑制したり、昂進させる効能しか有していない対症療法薬を処方して、これまた、診断費用を膨らませているのです。マスコミも野党も問題にしないので、やりたい放題なのです。私たち「二段階方式」が、「アルツハイマー型認知症」の症状を三段階に区分して判定していることには、実は、重大な意味があるのです。「小ボケ」は、「脳のリハビリ」の実施に因り、脳全体の機能レベルを比較的容易に正常なレベルに回復させることが出来る(症状を治すことが出来る)のです。「中ボケ」は、「脳のリハビリ」の実施に因り回復させることが未だ可能なのです。「大ボケ」の段階で発病を見つけても、最早手遅れ、回復させることが困難となるのです。どれだけの権威が有ろうとも、支持する学者の数がどれだけ多かろうとも、「4つの仮説」の主張内容は、全てが誤りなのです。

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病(但し、食生活は無関係のものであり、「第二の人生」を過ごす上での、脳の使い方としての生活習慣であることに留意する)に過ぎないというのが、二段階方式の主張なのです。私たち「二段階方式」の主張内容が正しいことは、北海道から九州に跨る452の市町村での『「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復、介護の予防、更には、発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型の地域予防活動』の実践指導により、疫学的方法により、実証済みなのです。カロリンスカ研究所やランセット委員会等に未だ論文を提出していない為に、陽の目を見ていない、注目されていないだけなのです。

(3) 両者を勘案すれば、様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めていることになるのです。皆さんが、日頃、耳にしたり、目にする認知症のほとんどが、アルツハイマー型認知症なのです。そのアルツハイマー型認知症について、権威とされる人達が異口同音に、『発病の原因が分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病自体を予防することが出来ないタイプの認知症である』と主張しているので、政府大綱では、「発病の予防と早期診断による回復」については、将来の研究課題という位置づけであり、何等の対策が打ち出されない儘に、放置されているのです。当面は、『介護の予防』が、国策としてのテーマであり、マスコミも取り上げないし、野党も問題にしないでいて、単年度ベースで、『介護の費用だけで10兆円』、『末期の段階で発病を見つけている(発病のレッテル張りをするだけのもの)診断と効きもしない薬の処方の費用が10兆円』を超えてきているのです。野党とマスコミが何年間も追い続けている「桜の花見会」どころの騒ぎではないはずなのです。主張内容が根本的に誤ったものであるアミロイドベータ説が世界的に通説の地位に在り続けていて、米国では、ハーバード大学が、我が国では、東大、京大、理化学研究所がその牙城であるという権威とその権勢に気圧され、手も足も出ないというのでしょうか。

Ⅲ.回復させることも、発病の予防も、困難とする権威達の主張は誤り

(1) 『治すことが出来ない』との主張の誤りの核心的な原因

世界中の権威とされる機関や専門家達は、「DSM-4」の第二要件の規定内容が(正しくは、末期の段階である「大ボケ」の後期の段階になって初めて発現して来る極めて重度の症状なのです)失語や失認や失行の症状が初期症状であると規定していて、医学会では、未だに権威がある為に、その規定を鵜呑みにしているので、それよりも軽い段階の症状に関心が行かない儘なのです。末期の段階であることに気づかないでいて、DSM4が確認を要求する基準に依拠した判定と診断がまかり通っているだけなのです。末期の段階、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の症状が発現して来るまでに前頭葉を含む脳全体の機能レベルが廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきたお年寄りの脳は、最早回復させることが出来ないのです。その意味で言えば、治すことが出来ないということは間違ってはいないのですが、もっと軽い段階、本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で発病を見つけて、「脳のリハビリ」を実行すれば、『治すことが出来る』ことを知らないし、その経験も無いのです。

最近になって、MCI(軽度認知障害)という視点と基準が提起されてきて、もっと軽い段階に目が向けられたとは言うものの、「DSM-4」の規定の『第一要件』の規定内容も、『第二要件』の規定内容も、正しいものとの前提で提示されているに過ぎないのです。MCIの判定基準は、外観から観察される記憶障害の症状の確認を基礎として、認知機能について、左脳と右脳の機能レベルの判定を目的とした手技であるMMSE又は、長谷川式)による判定のみであって、肝心かなめの『前頭葉』の機能レベルについては、無関心なのです

MCIの判定基準を満たす場合は、「アルツハイマー型認知症」発病の前駆的状態であると説明しつつ、客観的な基準も、肝心の発病との因果関係を立証する何等の証拠データも提示されていない、意味不明の基準なのです。物知り顔にMCIの基準を持ち出す人は、権威はあろうとも、『アルツハイマー型認知症』については、無知の人というしかないのです。

アミロイドベータ仮説」を支持していて、MCIの基準を持ち出す医師や学者が多いのですが、惑わされないで頂きたいのです。ほんの数年が経過すれば、重大な間違いの内容であったとして、消えていく説なのですから。「発病の予防とか早期診断による回復」を国家のテーマに据えるのは時期尚早と主張しながら、アミロイドベータ説を信望していながら、運動したり、家の外に出て行き交遊を楽しんだりすることが、「介護の予防」に効果的であると説いてもいるのです。彼等の論理の流れからすれば、『介護の予防』に「発病の予防」が含まれていない以上、症状が三段階に区分されることも知らないで、発病者を対象としての、運動や、外出や、交遊を推奨していることになるのです。

運動や、外出や、交遊の機会を持つことに因り、アミロイドベータの蓄積量が減少し、或いは蓄積そのものが予防され、種々の情報を連絡する役割を担っている神経細胞の死滅が防げることになるメカニズムと科学的で客観的な根拠は、どこに有るのでしょうか。

(2) 『予防することが出来ない』とする主張の誤りの核心的な原因

アミロイドベータ」が蓄積されることに因り、老人斑が生じて、その毒性に因り、脳内の情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死が引き起こされることが原因で、アルツハイマー型認知症が発病するという仮説が正しいのであれば、発病の予防が困難という主張にもうなづけるのです。真実はと言うと、『アミロイドベータ説は、発病の原因に関する主張内容が間違っているもの』であり、『その仮説の主張者達は、未だに、発病の予防方法を考えつくことが出来ていない』というだけのことに過ぎないのです。アミロイドベータ説に拘泥する限り、『発病の予防が可能であると主張することは、自己矛盾となる』からなのでしょう。発病のメカニズムについての彼等の主張の内容からも、更には、発病の予防方法について無知な彼等が、発病の予防について挑戦したとは考えられないのです。『発病の予防が可能であり、早期診断と脳のリハビリの実施により回復が可能である』と主張し、北海道から九州に跨る452の市町村で、住民参加型の地域予防活動の実践展開を指導し、顕著な成果の実績を残してきているのは、日本だけでなく、世界中を探してみても、私たち「二段階方式」以外には存在していないのです。『発病の原因が、分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病を予防することも出来ないタイプの認知症である』とする世界中の権威達の主張とは根本的に異なり、『アルツハイマー型認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病であり、早期診断により治せるし、発病自体の予防が可能である』と主張し、主張内容が正しいことを疫学的な方法により実証してきているのは、私たち、「二段階方式」だけなのです。私たちの主張内容と治療方法と予防の方法とが、近い将来に、世界標準となる確信を持っているのです。あとは、時間の問題。

(3) 政府大綱が掲げる「介護の予防」の定義の(解釈上の)見直しの知恵

政府大綱が掲げる「介護の予防」は、発病自体の予防と早期診断による回復については、今後の研究課題であるとして、当面は、追及のテーマとはしないと明記しています。背後にどのような事情や岩盤(利益集団)が存在しているのかは知りませんが、『介護の費用』だけでも単年度ベースで10兆円を超えてきているのです(イメージが湧かない人に。毎日100万円を使い続けて、27400年もかかるという程の、天文学的な規模なのです)。このまま放置しておいていいのでしょうか。政府大綱の審議の過程に関する資料を調べてみたところ、協議の基礎に提示され、会議をリードしたのは、アミロイドベータ説MCIの基準だったことが分かっているのです。明言しておきます。アミロイドベータ説とMCIの基準を支持して、持ち出す人達は、どれだけの権威が有ろうとも、アルツハイマー型認知症については、無知の人達なのです。あと数年も経過すれば、そのことが常識となっているはずなのです。発病のメカニズムについても解き明かしていて、早期診断による回復の方法も、発病自体の予防の方法も、実践して提示してきているのです。その上、マニュアル化していて、保健師さんが活動全体を一元的に管理し、実践展開できるものなのです。

ご存知のように、末期の段階である大ボケの段階にまで症状が進行してくると、日常の生活面でも、セルフケアにも重大な支障が出てくるので、介護が不可欠のものとなるのです。「介護の予防」とは、言い換えると、日常の生活面で介護が不可欠のものとなる「大ボケ」の段階にまでは症状が進まないことを目的とするということになります。その意味では、発病自体の予防も、早期診断による回復も、両者ともに、「介護の予防」という当面の最終的な目的を達成することが出来る訳なのです。発病自体の予防とか、早期診断による回復とかの用語の使用を避けて、『両者共に、「介護の予防」を効果的に達成できる手段としての位置付けで良い』のではないでしょうか。『頭は、使いよう』なのですから。

&2 意識、認知の機能構造と「アルツハイマー型認知症」の発病との相互関係

1意識、認知と『実行機能』と「アルツハイマー型認知症」との関係

「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム(原因)及び症状の重症化が進行するメカニズム(機序)の研究について、世界中で研究している機関や人達の数は、蟻の数ほどにもなると考えられるのです。それでいて、未だになお、『発病の原因が分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症である』とする誤った主張が幅を利かせ続けているのでしょうか。それは、「アルツハイマー型認知症」だけが、私達人間だけに特有なものである「意識」が関わるものだからなのです。意識の機能構造について古今東西、未だに誰一人として解明が出来ていないのです。

私たち二段階方式では、「前頭葉の三本柱の機能」(意欲、注意集中力及び注意分配力)が実行機能の発揮度を支配し、下支えしていること(機能発揮上の二重構造)に早くから気付き、そのことが基礎に在って、『廃用性の機能低下』という加重要因の存在を解明することができたのです(私たち「二段階方式」による世界で初の発見)。

(1)『意識(いしき、Consciousness)とは、「起きている状態にあること(覚醒)」又は、「自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識できている状態のこと」を指す』と一般的には紹介されています。『認知とは、理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念をいう』と定義されます。

(2)『実行機能は、ある目標を達成させる為に計画的に段取りをつけて行動する為に不可欠の個別の認知機能の総称であって、人が社会的、自立的、創造的な活動を行うのに極めて重要とされている脳機能なのです。

(3) 私たち「二段階方式」の考えでは、DNAの99%が人間と同じであるとされているチンパンジーにさえも認められていない世界、私たち人間だけに特有な世界である『意識的な世界』とは、意識的に何かの「テーマ」を発想し、目標を設定し、実行の仕方を計画して、実行の結果をシミュレーションして、実行の内容と仕方を比較し選択し、最終的な内容を決定し、実行を決断して実行に移す世界のことをいうことになります。その意識的な世界について、「アルツハイマー型認知症」の発病者の場合は、意識的に何かの「テーマ」を発想して、目標を設定し、実行の仕方を計画して、実行の結果をシミュレーションして、実行の内容と仕方を比較し選択し、最終的な内容を決定し、実行を決断して、最終的に実行に移す場面、意識的な世界における様々な場面での、様々な程度態様による『支障(アルツハイマー型認知症の発病としての症状)が出てくる』のです。その核心的な原因が、権威が主張する「記憶の障害」という要因に起因して起きてくる訳のものではなく一つには、加齢に因る機能低下という要因及びもう一つの要因がナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下という要因であると、私たち「二段階方式」は、主張し、住民参加型の地域予防活動で実証してきたのです(世界に類例のない考え方)。

異なるこの二つの要因同時に存在し、充足されることに因る相乗効果に因り、前頭葉を含む脳全体の機能が廃用性加速度的異常な機能低下を進行させていくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行が待っていると主張しているのです。加えて、前頭葉を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状(私たち独自の区分で言うところの三つの段階、「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の段階)が存在し、確認されることになると主張しているのです。その実行機能(Executive Function )の発揮度を左右し、下支えている機能が、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能(前頭葉の三本柱の機能と呼ぶことにします)なのです。この関係を私たちは、「機能発揮上の二重構造」の関係と名付けています。前頭葉の三本柱の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り、異常なレベルに衰えてくると、機能発揮上の二重構造の関係から、実行機能の発揮度が異常なレベルのものとなるために、「アルツハイマー型認知症」の症状が発現して来ることになるのです。そこには、器質的な原因病変というものが存在していないのです。様々な種類が数ある認知症の内の大多数、90%以上の割合を占めて居ながら、発病の原因が不明であり、症状を治すことも、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症であるとされたままで居るのは、「アルツハイマー型認知症」の様々な症状が、「意識のメカニズム」と密接不可分の関係に在る為に、解明することが極めて難しいものとなっているからなのです。何故なら、「意識のメカニズム」については、未だに、誰一人として解明できていない代物だからなのです。私たち「二段階方式」は、活動開始の初期から、意識のメカニズムとの関連という独自の視点から、「アルツハイマー型認知症」の発病原因の解明について、挑戦して来た世界唯一の研究機関でもあるのです。

この視点を持ったことが、次のテーマである(『機能発揮上の二重構造』の関係の存在という「テーマ」に気づくことに繋がり第二の人生」を送る上での脳の使い方としての生活習慣に起因した廃用性の機能低下の進行という要因の解明に繋がった。個別の『実行機能』の機能低下を直接に判定することなく、「前頭葉」の三本柱の機能の機能低下のレベルを判定することに因り、『前頭葉』の機能レベルを、精緻に客観的に、判定できるのです。

2.『機能発揮上の二重構造』の関係の存在

意識的な世界では、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が全ての基礎に在るのです。意欲の機能が発揮されない限り、ことは起きてこないのです。注意の集中力が発揮されない限り、全てが中途半端な結果となるのです。注意の分配力の機能が発揮されない限り、テーマの発想も、目標の設定も、創意や工夫をする努力も期待不可能となるのです。意識的な世界において、実行機能を発揮させるには、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の関与が不可欠となるのです。この二重構造、実行機能の発揮度を左右し、下支えているのが、『前頭葉の三本柱の機能=意欲、注意の集中力及び注意の分配力』であることを理解しない限り、真の原因解明は、前に進まないのです。

3.複数の意識の同時存在と『意識の覚醒度』との関係

私たち人間には、チンパンジーにさえも備わっていない、注意の分配力という脳機能が備わっています。この注意の分配力という機能こそ、『意識』の存在にとって不可欠の機能なのです。注意の分配力の機能とは、『3つ以上の異なる複数のテーマを同時に並行して処理する上で不可欠の機能』なのです。言い換えると、3つ以上の覚醒の度合い(覚醒度)が異なる複数の意識を構築し、統合し、その覚醒度の変化を統括し、管理し、コントロールし、追及する機能を担っているのが注意の分配力の機能だと考えているのです。注意の分配力の機能の働きがあって初めて、覚醒度が異なる多重で、多層の複数の意識の同時存在という世界が構築され、存続し、維持されているのです。加えて言うと、様々な対象や内容に対する認知の度合いもまた、前頭葉の三本柱の機能に左右され、下支えられていると考えるのです。古希を迎えた私達が、お友達を運転席の脇に乗せて、BGMを流してそれを楽しみながら、同時に並行して、お友達との会話を楽しみながら、且つ、行き交う車の状況や道路の状況や信号の変化等にも注意を配分しながら、その上、通り過ぎる景色の変化も楽しみながら、事故を起こすことも無く、側溝に脱輪させることも無く、安全に車を運転することが出来るのは、この注意の分配力の機能が正常なレベルで機能しているおかげなのです(これらもまた、複数の意識の同時存在とそのコントロールの事象事例と言えるのです)。

車を運転していて、信号無視や歩道に乗り入れて、人身事故や車の損傷事故を起こす「お年寄り」が多いのは、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきている(小ボケ中ボケの段階に在る)お年寄りだからなのです。運動能力の衰えの問題以前に、『注意の分配力』の機能の衰えが、主たる原因なのです。「アルツハイマー型認知症」を発病して末期の段階にあるお年寄りが、ズボンを頭から被ったり、歯ブラシの使い方が分からなくなるのは、記憶の障害が原因ではなくて、注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきていることが原因で起きてきていることに、権威ある専門家達が、早く気付いて欲しいのです。

猶、複数同時に存在する「意識」の個々の覚醒度の違いは、前頭葉の三本柱の機能の関わりに左右されていて、就中、注意の分配力の機能の配分の度合いに左右されていることについては、詳細を後述します。このこともまた、意識を理解する上で、極めて重要なテーマとなるのです。注)脳の活性化とは、「前頭葉の活性化」ということになるのです。私たち人間だけに特有なものである意識的な世界は、「三頭立ての馬車」(左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車を言います)の運行に例えると分かり易いと思うのです。三頭立ての馬車の「御者」の役割、意識的な世界における脳全体の「司令塔」の役割を担っているのが、「前頭葉」(前頭前野に局在)という脳機能なのです。

「前頭葉」の機能が活性化するということは、「実行機能」が活性化することを意味することになります。その実行機能の発揮の度合いを左右し、支配しているのが、「前頭葉の三本柱」の機能なのです。意識的な世界では、何か単一のテーマに意識が集中される状態を作り出すことは極めて困難(特別の鍛錬が不可欠となる)なのであって、一般的にはと言うか常に、複数の多層で多重の意識が混在している状態にあるのです。その多重で多層の「意識」を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールする上で必要不可欠の機能が、前頭葉の三本柱の核心をなす機能である『注意の分配力』という機能なのです。

この『注意の分配力』の機能とは、「3つ以上の異なる複数のテーマ」を同時に並行して処理する上で必要不可欠の機能なのです。創意、工夫、洞察、推理、シミュレーション、検索、比較、評価、選択、企画、計画、理解、決定、決断等の実行機能の構成要素であるそれらの機能が十分に、且つ、的確に働く上で、『注意の分配力』の機能の出番が不可欠のものとなることがお分かりいただけるでしょうか。

『脳が活性化する』ことは、『前頭葉が活性化する』ことであり、機能構造的には、『注意の分配力の機能の出番が多くなるようなテーマの実行と処理』が行われている状況のことを言うことになる訳なのです。最近、「脳の活性化」というテーマが取り上げられる場面で、「デュアル・タスク」(異なる二つのテーマの同時実行)が提唱されているのですが、理解が今一つ足りないことがお分かりいただけるでしょうか。「アルツハイマー型認知症」の発病の初期段階、私たち「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」の段階で発現が確認される類型的で典型的な症状の一つに、『3つ以上のテーマを同時に並行して処理できなくなる』という症状が挙げられているのです(「30項目問診票」として様式化されている)。

4.ホムンクルスの小人の正体

(1)「ホムンクルス」というのは、もとは古代ヨーロッパの錬金術で作れられるという、小人のことを言いました。カナダの脳神経外科医ペンフィールドによると、私たちの脳の中には、グロテスクな小人――ホムンクルスが住んでいるということなのだそうです(私の脳の中に居る;もう一人の私のイメージ)。

人間だけに特有な世界、私たちが意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す世界、『意識的な世界』では、『実行機能』(Executive Function)という機能が働くことが不可欠となります。その時自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿ったテーマを発想し、テーマを実現する際の目標を設定し並びに実行の内容と実行の程度や態様と方法を計画し、創意工夫し、実行結果を洞察し、推理し、シミュレーションして、シミュレーションの結果を比較し、最終的な内容を選択し、実行の決断をして、左脳、右脳、運動の脳の各部に実行の指令を出すということになるのです(実行機能とは総称であって、太字で示した機能が、個別の「実行機能」の例示です)。

例示した各々の実行機能が働くには、常に、必ず、評価の物差し記憶の倉庫の関りが不可欠となること並びに個別の実行機能の発揮の度合いは、前頭葉の三本柱の機能が左右し、下支えていること、言い換えると個別の実行機能の機能発揮上の二重構造の問題が存在していることを理解しておく必要があります。

実行機能が発揮されることになる場面では、常に、必ず、その前提条件であり、前段階の機能である『評価の物差し』と『記憶の倉庫』の働き並びに前頭葉の三本柱の機能が構造上関わる機能発揮上の二重構造の理解が、意識の機能構造の理解において不可欠の条件となるのです(私たち二段階方式が推定し、構想する「意識の機能構造」)。

その意識的な世界の顕現の過程で、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルという問題が存在していて、そのこととの関係で、廃用性の機能低下の進行という視点を持つことが、アルツハイマー型認知症の発病のメカニズム(原因)及び症状が重症化するメカニズム(機序)を解明する上で必要不可欠の条件となるからなのです。このことに気づかないで、「記憶障害に起因して発病する」という「DSM-4」の第一要件の規定の誤りにも気付かないで、今猶その要件に拘泥し、『器質的な原因病変』ばかりを追求して、アミロイドベータの蓄積とか、早い段階でのその除去というテーマを追い求めていて、更には、マウス(アルツ・ハイマーマウスを含む)の尻を追いかけ続けていたのでは、何時まで経っても、発病の原因及び症状の重症化が進行する原因の解明には行き着かないのです。

※1 意識的な世界においては、状況や対象の認知に際して、その前段階の機能としてのⅰ)評価の物差しとⅱ)記憶の倉庫の関わりが必要不可欠となります。この両者の関わりがないと、そもそも「認知」自体が機能してこないのです。意識的な世界における認知に際しては、常に、必ず、「評価の物差し」と「記憶の倉庫」の両者が関わることが、機能構造的に要求されていると考えるのです。

『評価の物差し』が第一段階として働く(制御している)機能構造下で、『記憶の倉庫』との照合を経由した後、『実行機能』の働きを介して、自分独自の『認知』が生じてくると考えるのです。加えて、認知の度合い及び実行機能の発揮の度合いは、『前頭葉の三本柱』の機能の発揮の度合いが左右し、下支えている機能発揮上の二重構造という問題が関係し、存在していると考えるのです。

様々な程度及び態様の下で発現して来ることになる認知の発現の度合いも、実行機能の発揮の度合いも、両者共に、『前頭葉の三本柱』の機能の関わり具合に左右され、下支えられている関係に在ると考えるのです(「二段階方式」独自の考え方)。この機能構造の存在及び「第二の人生」を送る上で展開されるナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、自分なりの日々の暮らし方、『脳の使い方』としての「生活習慣」を言うことに留意する)に起因して惹き起こされる廃用性の機能低下の進行こそが、「アルツハイマー型認知症」を発病するか/しないか並びに症状の重症化が進行するか/しないかを区分ける唯一無二の、真の要因であると考えているのです(私たち「二段階方式」独自の考え方)。

※2 権威ある人たちから、無意識の作用と誤解されている殆どの作用が、実は『評価の物差し』が常に関わる意識的な作用なのであり、意識の覚醒の度合いの差のアウトプットに過ぎないことが、単に誤解されているに過ぎないと考えるのです。『意識』の覚醒の度合いが極めて低い状態下に在っては、認知自体とその結果である意識の存在とが、自覚されていないだけであり(関わる血流量も少ないので現行の機器では検知されない)、所謂「無意識が働く結果としてのアウトプット」ではないと考えるのです。猶、「意識」の覚醒の度合いの強弱は、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の発揮の度合いが左右し、下支えていると考えるのです(評価の物差しについては、ブログ「B-83」を参照してください)。

(2) ホムンクルスの小人は、「評価の物差し」及び「記憶の倉庫」が関わる全ての認知並びに『実行機能』の発揮により、何等かのテーマが発想され、実行されていく『意識的な世界』を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールしている「注意の分配力」の機能と「評価の物差し」の機能の共同体を核とする『前頭葉』全体の機能の総合体としての働きであり、『前頭葉』という機能が、左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の『御者の役割』を担っていると考えているのです。

&3 「アルツハイマー型認知症」の正体と正しい知識

(1)「アルツハイマー型認知症」の症状の特徴

「アルツハイマー型認知症」の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される「段階的な症状」が発現して来るのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」は、記憶の障害に起因して発現すると規定する「DSM-4」の第一要件の規定は誤りであり並びに失語や失認や失行の症状が初期症状であると規定する「DSM-4」の第二要件の規定は、本当の意味での早期の段階である小ボケ及び中ボケの段階の存在を見落としているのです。認知症の診断が専門の医師は、「記憶障害に起因して発病する」との誤解から、症状についても、「重度の記憶障害の症状」ばかりに関心があって、何故か早期診断を売りにした、『もの忘れ外来』とかいう看板を掲げている病院が多いのです。

①「軽度認知症」(『小ボケ』)の段階の段階とその特徴

ⅰ)「アルツハイマー型認知症」の発病としての最初の段階である「小ボケ」の段階の症状が発現してきているお年寄りの脳の何処にも、「器質的な原因病変」はその欠片も見当たらないのです。加えて、「記憶障害」に起因したと考えられそうな症状は全く確認できなくてそれらの全てが前頭葉機能障害に起因した症状』(言い換えると、「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下に起因した症状)ばかりなのです。

ⅱ)「小ボケ」の症状は全て「前頭葉」の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する「認知度」及び実行機能の発揮度を左右し/下支えている機能である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能が的確且つ十分には働かなくなってきていることが直接の原因なのです。

ⅲ)私たち人間だけに特有な意識的な世界、私たちが意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す際に不可欠の機能である「実行機能」(Executive functionの発揮は、「前頭葉」の三本柱の機能により左右され/下支えられているという『機能発揮上の二重構造』の問題が存在しているので、「前頭葉」の三本柱の機能、就中、注意の分配力の機能(最も高度な機能であり、3つ以上の異なった「複数のテーマ」を、同時に、並行して処理する上で不可欠の機能)が、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因して、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが「直接の原因」で、『実行機能』の発揮度が低下していくことを厳密に反映しているのが、『小ボケ」の段階の症状の特徴なのです。

②『中ボケ』(中等度認知症)の段階とその特徴

ⅰ)「中ボケ」の段階は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で、『前頭葉』の機能が更に異常なレベルに衰えてきている上に、「小ボケ」の段階では未だ正常な機能レベルにあった左脳、右脳及び運動の脳までもが異常な機能レベルに衰えてきているのです。ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続したままの状況下で、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行していく結果、『中ボケ』の段階に入ると、「前頭葉」を含む脳全体の機能が、異常な機能レベルに衰えてきていることに注意が必要です。『アルツハイマー型認知症』の症状は、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクして/反映した形で、「三段階に区分される症状」が、順次、発現してくるものなのです。

ⅱ)「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲も湧かないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし、抑制が効かない」と感じていて、『以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい』という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。それが、「中ボケ」の段階になると、「『前頭葉』を含む脳全体の機能が、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続してきたことに起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行により、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります(「中ボケ」の特徴)。

⇒働き盛りの若い年齢者で(30~50歳代での発症例が多い)、「重度の記憶障害」の症状の発現が顕著となっていても(この場合、重度の「記銘力障害」であることが特徴)、自分が置かれている状況に対する正しい及び適切な認識と理解が出来ていて、自分が困っていることを的確に言葉で表現できる等と言うのは、アルツハイマー型認知症の発病患者には、絶対に起きてこないことなのです。『側頭葉性健忘症』(海馬の萎縮が確認されるのもこの病気の特徴)が、正しい診断であるものを、アルツハイマー型認知症についても無知であり、側頭葉性健忘症についても無知でありながら、権威が有るだけの医師が、誤診し、『誤った情報』を社会に発信し、垂れ流しているのです。

ⅲ)『末期の段階』である「大ボケ」の段階でなくて、認知症研究の専門家達が未だ発病してはいないと誤解している段階、私たちの区分で言う「中ボケ」の段階で「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルが原因で(就中、「注意の分配力」の機能の低下が原因で)、上記例示したような症状が自分に起きていることさえも理解できない為に、自覚できなくなるのです。『発病者本人の考えを尊重した対応や応対が重要』と主張する人達は、脳の機能レベルという視点が欠けていて、この事実を知らない/理解していないのです。

③「重度認知症」(『大ボケ』)の段階とその特徴

)「中等度認知症」(中ボケ)になっても「老化現象」と勘違いしたりして、気づかないまま手をこまねいて居て、「脳のリハビリ」に励むことなく、相変わらずナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されていると、「前頭葉」を含む脳全体の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下が更に進んでいく為に(中ボケの期間が 2~3年間続いた後は)、末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)の段階に入っていきます(猶、「DSM-4」の規定が、アルツハイマー型認知症と診断する上での十分条件として確認を要求している失語、失認又は失行の症状は、大ボケの段階の後期になって初めて発現が確認される症状、「MMSEの得点が一桁になって初めて発現が確認される」ことになる、『極めて重度の症状』であることに注意して頂きたいのです。「第二の要件」に従って、「アルツハイマー型認知症」発病の有無を診断している限り、せっかく見つけても手遅れ、最早治すことは出来ないのです)。私たちの区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」で見つければ(早期診断)、治すことが出来るのです。

)『大ボケ』になると、「前頭葉」を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきているのです。左脳と右脳と運動の脳の働きも、幼稚なレベルの機能が僅かに残っている程度である上に、脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」は殆ど機能しなくなってきているのです。挨拶程度の日常会話を交わすにも、ハサミとか歯ブラシ等、手に持っているものの用途を理解するにも、ズボンをはくにも、『注意の分配力』の機能が一定レベル以上の機能レベルに在ることが、『不可欠の条件』なのです。「注意の分配力」の機能が、殆ど働くことが出来ない程に、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してきていることが原因で、簡単な日常会話も交わせないし、歯ブラシの使い方も分からないし、ズボンのはき方も分からないのであり、記憶障害が原因で起きているのではないことに、専門家とされる人達が早く気付いて欲しいのです。

ⅲ)『DSM-4』の規定内容に微塵も疑いを持っていない医師達が行う発病の有無の診断、医療の現場では、「第二要件」が規定する失語や失認や失行の症状が初期症状であると誤解しているので、私たちの区分で言う「大ボケ」の段階の前期で発現が確認される症状を誤って、「アルツハイマー型認知症」の初期段階の症状という表現を使用しているのですが、「脳のリハビリ」により実際に「回復させることが可能な」本当の意味での早期の段階は、私たちの区分でいう「小ボケ」及び「中ボケ」の段階までのことなのです(早期診断)。

大ボケ』の段階の症状が発現してくるまでに『前頭葉』を含む脳全体の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行してくると、最早治すことは出来なくなるのです(アルツハイマー型認知症は、性質それ自体として治すことが出来ない訳ではない。極めて重度の症状である「失語や失認や失行の症状」が初期症状だと誤解していて、医師達が見つけて居る段階が遅すぎる為に治せないだけなのです。

※ 脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』(左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する「三頭立ての馬車」の『御者』)が、殆ど働かなくなっている(寝たきり状態に在る)上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない『大ボケ』の段階では、自分の身の回りのことをする『セルフ・ケア』にも支障が出る。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分で出来なくなり、日常生活面での「介助」や『介護』が不可欠の状態となるのです。

ⅳ)失語や失認や失行の症状は、記憶障害に起因し発現する訳ではないのです

私達が服を着るとき、ズボンであるか、上着であるかを判断し、上着であれば裏表がどちらか、ボタンをかけるタイプかどうか、どのような手順で着ればいいか等を的確に見極め、必要な動作を、適切な手順で的確に行っているのです。上掲の『服を正しく着られず、ズボンを頭から被ったり、上着に足を通したり』と言った症状、「アルツハイマー型認知症」としての症状は、「記憶の障害」が原因で服を正しく着ることが出来ない訳ではないのです。

上着とはどういうものであり、どのようにして、どのような手順で着るものなのかを忘れた為に着ることが出来ない訳でもないのです。『前頭葉』の三本柱の機能の中でも最も高度な機能であり最も早く衰えて行く機能である『注意の分配力の機能』(異なる複数の「テーマ」を、同時に並行して処理する為に不可欠の機能)が、殆ど機能しないまでに機能低下してきていることが直接及び核心的な原因で、加えて、左脳、右脳及び運動の脳までもが廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させてきたことが原因で、『服を正しく着ることが出来ない』だけなのです。『家族の名前を間違えたり、配偶者を我が子と間違えたりする』という症状も同じことなのです。「配偶者を我が子と間違える」のは、「記憶障害」に起因している症状ではなくて、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルを反映しただけのもの、就中、『注意の分配力の機能が、殆ど働かないレベルにまで廃用性の機能低下の進行により機能が低下してきている』為。注意の分配力の機能に無知な為、記憶障害に起因して発症と誤解しているだけなのです。

※上記の三段階区分は、14689例に上る「アルツハイマー型認知症」発病患者の脳機能データの解析結果なのです(発病者の認知機能検査において、前頭葉の機能レベルの精緻で客観的な判定が行われているのは、世界中で、「二段階方式」だけなのです。三頭立ての馬車の御者の役割を担っている「前頭葉」の機能レベルを『かなひろいテスト』で判定し、牽引する馬の役割を担っている左脳と右脳の機能レベルを『MMSE』で判定するので、Tadが「二段階の判定」という意味で、「二段階方式」と命名したのです。

(2)「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

新型コロナの感染拡大が止まらない中で、感染予防策としての『3密の回避』が叫ばれています。一方で、第二の人生を送っているお年寄りが、『3密の回避』に徹した生活習慣を継続していると、「アルツハイマー型認知症」の発病者(私たちの区分で言う「小ボケ」の段階のお年寄り)が、顕著な増加を見せてきていて、更には、症状の重症化が進行するお年寄り(小ボケ➡中ボケ。中ボケ➡大ボケ)が顕著な増加を見せてきているのです。『3密の回避』に徹した「生活習慣」が継続されていると、アミロイドベータやタウタンパクの蓄積が加速的に進行するとでもいうのでしょうか。「仮説」の支持者達に聞いてみたいのです。

『仮説の主張内容が誤りである』ことを示す事象の事実、客観的な証拠資料と言えるのです。この事象事実を正しく、且つ、的確に説明できるのは、私たち「二段階方式」の主張だけなのです。私たち「二段階方式」は、『アルツハイマー型認知症は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病であり(但し、脳の使い方としての意味で言う生活習慣なのであって、食生活とは無関係であることに留意する)、早期診断と「脳のリハビリ」の実施により治すことが出来るし、「前頭葉」を含む脳全体の機能が活性化する「生活習慣」の実践とその継続により、発病自体を予防することが出来る』と主張しているのです。

① 基礎要因は、「加齢に因る機能低下」の進行

「アルツハイマー型認知症」の発病の基礎にある要因は、加齢による機能低下の進行という要因なのです。そうであるが故に、『発病の対象となる人達とは、第二の人生を送っている60歳を超えた年齢の高齢者だけに限られる』ことになるのです。我が国で定年退職し、「第二の人生」に入る年齢である時期の前頭葉の機能レベルについての脳機能データでは(正常老化の性質と名付けている)、最盛期である20歳前後の機能レベルのほぼ半分くらいの機能レベルに低下してきているのです。その意味で、若年性アルツハイマー型認知症というタイプの認知症は存在していない架空のものなのです。記憶障害に起因して発病するとの誤った内容である「DSM-4」の第一要件の規定内容を鵜呑みにしていて、「重度の物忘れの症状」の確認と海馬の萎縮の確認だけから、「アルツハイマー型認知症」の発病であると誤診しているだけなのです。「前頭葉」の機能レベルを「かなひろいテスト」を活用して、精緻に判定してみれば、誤診であることが容易に判明するのです。「アルツハイマー型認知症」の発病者であれば、どの段階であろうと(小ボケ、中ボケ、大ボケの三段階の区分)、前頭葉の機能レベルが異常なレベルに在ることを必ず確認できることになるのです。

認知機能のレベルの判定に際して、前頭葉の機能レベルの判定を行わないで、MMSEテスト(又は、長谷川式)の実施に因る左脳と右脳の機能レベルの判定だけでの(お茶を濁した)診断がまかり通っているのです。実態としては、『海馬の萎縮が確認され、極めて重度の記憶障害の症状(脳の変性により、重度の記銘力障害の症状が確認されることになる)が確認されるものの、肝心要の「前頭葉」の機能レベルが正常なものであることが確認される「側頭葉性健忘症」(若年で発症するケースが通常)を誤診して、「若年性アルツハイマー型認知症」と診断する誤診が横行しているのです(緩徐進行性「失語症」を誤診するケースも多々見られる)。

② 「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の機能低下」の進行

「アルツハイマー型認知症」を発病する対象者が、『第二の人生を送っている「お年寄り」だけに限られている』ことの意味を考えてみる必要があります。「第一の人生」を送る場合と「第二の人生」を送る場合との『脳の使い方』としての「生活習慣」の相違という視点が重要なのです。「第一の人生」を送る上での最も重要なテーマは、誰にとっても、「仕事」ということになります(注意して頂きたいのは、「子育てや家事」も、脳の使い方という視点では、「仕事」に相当するということです)。これに対し、「第二の人生」は、仕事の遂行とは無縁の日々を送ることに特徴があるのです。自分が置かれている状況の分析と理解と判断、状況判断に沿った「テーマ」の発想、テーマを実行する為の目標の設定や実行の企画や計画、実行結果の洞察、推理、シミュレーション、シミュレーション結果についての評価、比較と選択、実行の決断、更には、抑制や感動の機能の発揮がしばしば為されることに因り、「前頭葉の三本柱」の機能、就中、注意の分配力の機能の出番が多くなる為、「前頭葉」を含む脳全体の機能が活性化する場面が多くなる結果、廃用性の機能低下の進行という問題が起きてこない生活習慣、脳の使い方としての生活習慣が継続されるのです。他方で、誰もが「仕事」の遂行とは無縁の日々となる「第二の人生」では、仕事以外のテーマ、趣味や遊びや交遊や、地域興しや運動等のテーマを積極的に取り込むことが出来ない「お年寄り」の場合は、何かを「キッカケ」として、意欲自体を喪失すると、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が開始され、継続されて行くことに因り、廃用性の機能低下が進行してくることになるのです。

③ 「相乗効果」による加速度的な機能低下の進行

一つが、「加齢」に起因した機能低下の進行(正常老化)という要因ともう一つが、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下の進行(異常な老化)と言う、異なる二つの要因が同時に存在し充足されることに因る『相乗効果』に因って、「前頭葉」を含む脳全体の機能について、廃用性の加速度的で異常な機能低下が進行して行くこととなり、その先に、「アルツハイマー型認知症」の発病(小ボケの段階)及び症状の重症化の進行(中ボケ及び大ボケの段階)が待っているということなのです。

本著作物「Fー02」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所帰属しています。 

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