認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の症状は、こんな風に段階的に現れるものなの(A-75)

2013-02-01 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、認知症の大多数、90%以上を占めているの。皆さんが普段見かける「認知症のお年寄り」は、その大半が「アルツハイマー型認知症」の人達ということなの。「アルツハイマー型認知症」を発病する対象となる人達って、60歳以降の「高齢者」と呼ばれる年齢の人達だけなのよ。早いと30歳代から、遅くても50歳代の年齢の人達だけを対象として発病する「若年性アルツハイマー病」と混同している人達がいるのだけど(両者をまとめて、「アルツハイマー病」と呼ぶ人達のこと)、両者は性質自体がまったく異なるものなので注意してね。

 「若年性アルツハイマー病」は、特定の「遺伝子」に生まれつき異常がある人しか発病しない特殊なタイプの認知症で、認知症全体に占める割合も1%程度のものなの。「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送っている「高齢者」で、生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もないという、ナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っている「お年寄り」だけが対象となる、廃用症候群に属する「生活習慣病」の一種なのよ。

ところで、私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、その「テーマ」に関わる行為や行動や思考は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」が、左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、且つそれらを主導して、実行されているものだということを御存知かしら?私達が意識的に何かの「テーマ」を実行しようとするとき、いろいろな原因というか、何か「特定」の原因によって、「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含む脳の機能が異常なレベルに機能低下したことにより、日常の生活面に支障が出てくる(認知症の症状が出てくる)病気のことを「認知症」と言うの。脳の機能を全般的(両側性)に異常なレベルに低下させている原因によって、どんなタイプの認知症であるか、その種類が分類されているのよ。ただ、認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」だけは、「原因がわからないし、治すことができないし、予防することもできない」とするのが認知症の専門家と言われる人達のこれまでの考えなの。私達は、第二の人生での生活習慣(脳の使い方)が原因で、「高齢者」だけを対象に発病してくる、廃用症候群に属する「生活習慣病」だと考えているの(ここを「クリック」してみて。もうすこし、詳しい説明があるから)。

日常のどんな「生活面」で支障が出てくる(認知症としての「症状」が出てくる)のかは、高度なレベルから順に、「社会生活面」、「家庭生活面」、「セルフケア面」の3つに区分されるのが普通なの。どんな内容、レベルのものであっても、「社会生活面」で要求される脳の機能レベルというものは「家庭生活面」で要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されるし、「家庭生活面」で要求される脳の機能レベルというものは「セルフケア面」で要求される脳の機能レベルよりも高いものが要求されることについては、誰しも異論はないと思うの。

「脳の機能が異常なレベルに低下している」ことが「直接の原因」となって、3つに区分されるその「生活面」に「支障」があるとされる程度とは、言い換えれば、支障が「病的な症状」として認められるレベルのものと言うことなの(例えば、30歳代の後半から誰にでも起きてきて、加齢とともにその頻度や程度が進んでいく、いわゆる「物忘れ」の症状は、「前頭葉」の基礎的機能である三本柱の「意欲、注意の集中力及び注意の分配力」という機能が、加齢とともに機能低下を起こしてくる性質に起因するものなの。つまりは、これもまた「前頭葉」の機能障害に起因する症状ということなの。但し、「前頭葉」の機能障害(機能の低下に付随して起きてくる症状)なのだけど、こうした程度態様のものは、「病的な症状」とは言わないの。機能のレベルが衰えてきているとはいえ、「前頭葉」の機能レベル自体がまだ正常なレベルを維持していることがその理由なの。ところが、「前頭葉」の機能レベル自体が異常なレベルに衰えてきた結果として発現してくる「記憶障害」の症状は、病的な症状としてとらえないといけないの。したがって、問題となる「記憶障害の症状」が、病的な症状であるかどうかは、「前頭葉」の機能が正常なレベルであるのか、それとも異常なレベルであるのかを正しく判定する必要があるということになるの。唯一の例外として、脳の変性に起因する「側頭葉性健忘症」という病気があるの。この病気に起因する記憶障害の症状だけは、「前頭葉」の機能レベルが正常なレベルであっても、記憶障害の症状の程度態様が、「病的な症状」(しかも、この病気の場合の特徴として、高度の記憶障害で且つ新しい記憶だけが形成されないという症状を示すの)として発現してくるので、専門家もこの点だけは注意が必要になるの。「側頭葉性健忘症」を「アルツハイマー型認知症」であると誤診しているケースがとても多いの)。

私達は、こうした視点に立って、この3つの生活区分に対応する「脳の機能レベル」とそれにリンクした「症状」について、データをたくさん蓄積してきたの。蓄積されたたくさんのデータを分析し、「アルツハイマー型認知症」の「脳の機能の衰え方」とそれにリンクし対応した「症状」、つまり私たちの基準で、「3つの段階」に区分され、且つ、それぞれに「グループ分け」された「段階的症状」をパターン化して整理してきたの。たくさんのデータを集積して分かったこと、それは、3つの段階に区分される「脳の機能レベル」が3つに区分される「段階的な特有の症状」として発現してくるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴ということなの。

脳全体の司令塔の 役割をしている「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきている人達、言い換えると、「認知症の症状」を発現している人達は、「脳の働き具合のレベル」とそれに対応した「症状のレベル」から言うと、軽いほうから軽度認知症「小ボケ」(社会生活面に支障)、中等度認知症「中ボケ」(家庭生活面に支障)、重度認知症「大ボケ」(セルフケア面に支障)の「三つの段階」に区分されるの。回復の可能性(治せるか否か)という視点から区分すると、最初の段階である「軽度認知症」は回復が容易で、中期の段階である「中等度認知症」は回復が未だ可能で、末期の段階である「重度認知症」は回復が困難ということなの。 

 

上に掲げた図に示された「3つの段階」は、協働しながら働く「前頭葉」と(左脳及び右脳)の働き具合が、同時に進行し且つ加速度的に衰えていくときのその衰え方を、私達が開発した「二段階方式」と呼称している「神経心理機能テスト」を使って調べた結果を示しているの。北海道から九州までの地域にわたる極めて多数が集積されたこれらのデータから、認知症の専門家達から「治せない」とされている「アルツハイマー型認知症」には、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階に始まって、次いで、回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階があって、最後に、回復が困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階があることが分かってきたのよ。

専門家達が、「治すことができない」と言っているのは、末期段階の「重度認知症」の段階でしか「アルツハイマー型認知症」を見つけることができない基準になっている米国精神医学会の診断基準(「DSM-4」)を金科玉条として、診断の拠り所にしているせいなの(この問題点については、いずれ、詳しく説明するわね)。

「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、他のタイプの認知症とは異なり、「前頭葉を含む脳の機能レベル」がそのまま「認知症の症状」として発現してくるものなの(他の例として、「脳血管性認知症」の場合を挙げて説明するわね。脳血管性認知症の場合は、脳のどの範囲の部位の血管がどの程度に障害されたのかによって、認知症の症状の程度が決まるの)。今回のブログでは、「3つの段階」に区分される「症状」について詳しく説明するけど、次回(2月11日記載予定)は症状を発現している元となる「脳の機能レベル」とその構成について、詳しく説明するつもりだから読んでみてね。

「年齢相応」の程度態様であるとは言え、それなりに 「社会生活」が支障なくできていた「高齢者」(60歳以上の年齢のお年寄り)が、或る「出来事」の発生を「キッカケ」として(ここを「クリック」して)、ナイナイ尽くしの「単調な生活」(キャッチ・コピー的に言い換えると、「生き甲斐」なく、「趣味」なく、「交友」なく、「運動」もせず、「目標」もない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」のことを言うのよ)が、日々繰り返され継続されることにより、「前頭葉を含む脳の機能」の老化が加速され、廃用性の異常な機能低下(「機能の退化」とも言うべきもの)が進んでいくのが、「アルツハイマー型認知症」というものなの。

私達が開発した「二段階方式」の手技を活用して、脳の機能の衰え方を詳しく調べてみると、「脳の機能」が廃用性の衰えを示していく(使われる機会が、極端に少ないことにより機能が異常なレベルに低下していくことを言うの)そのとき、面白いことに、「規則的な衰え方の順序がある」の。「アルツハイマー型認知症」の場合には、脳全体の司令塔の「前頭葉」を含む脳の機能の衰え方に対応する「段階的な症状」が発現してくるのが特徴なの。突然「重い症状」が出てくるのではなくて、それともわからない程に軽いものから、次第に段階的に重いものになっていくという、「症状」の発現の仕方にも明らかな特徴があるの。若年性の「アルツハイマー病」とも、「脳血管性認知症」とも、症状の発現の仕方が全く異なっていることを皆さんに知っていて欲しいの。

「アルツハイマー型認知症」の場合は、脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」から先に衰えていくのが「第一の特徴」なの。次いで、「前頭葉」と相互に情報のやり取りをしている「左脳」と「右脳」が衰えていき、その「脳の機能」の衰え方の程度に応じて、症状が段階的に発現してきて、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」へと「症状」が進んで重くなっていくの。このとき、何年もかけて徐々に衰えていくとは言え、全ての脳の機能の衰え方は、直線的ではなくて加速度的なカーブを描きつつ衰えていくのが特徴なの。

更に、専門的になるので、もっと先のブログで説明するつもりなのだけど、左脳と右脳の衰え方にも「規則性がある」(MMSという「神経心理機能テスト」で計測される下位項目が衰えていくときの順序とパターンが決まっている)のが「第二の特徴」なの。このことは、日本中だけでなくて、世界広しといえど未だ誰も知らない(私達以外には、誰も気づいていない)ことなのよ。すごいでしょ!!

こうした「脳の機能の衰え方の規則性」は、「アルツハイマー型認知症」に特有のものなので、認知症の症状を発現している人が、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかの判定・鑑別(或いは、「認知症」と紛らわしい病気との鑑別)の強力な武器ともなるのよ。

ところで、認知症にも、たくさんの種類があることをご存じかしら?正しい診断に基づいて集積された「データ」をたくさん収集し、分析すれば、「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」とで95%ほどを占めてしまうことになるの。「アルツハイマー型認知症」だけで90%以上を占めている。もっと大事なこと、それは、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治せない」というのは誤りで、「回復させる(治す)ことも、予防することも可能」なのよ。このブログをしっかり読んで、ぜひ皆さんに、そのことを理解して欲しいと思ってるの。(ここまで、話し言葉で書いてみたのだけど、とても疲れるのよね。この先は、いつもの、書き言葉に戻しても良いかしら?)

これまでのブログの中で何度も言及してきたように、「アルツハイマー型認知症」について専門家と言われている人達は皆さん、「原因も分からないし、治すこともできないし、予防することもできない」と言っています。それは、「重度の記憶障害」を認知症診断の第一の要件と考える過ち(米国精神医学会の規定である『DSM-4』に規定された診断規定の誤り)により、「見つけている段階が遅すぎる」だけなのです。末期の段階の「重度認知症」の段階しか見つけられないでいる結果、「原因もわからないし、治せないし、予防できない」だけなのです。本来の性質からすれば、廃用症候群に属する「生活習慣病」にすぎないのです。「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」の出番が極端に少ない生活習慣(生き甲斐なく、趣味なく、交友なく、運動もせず、目標もない、ナイナイ尽くしの『単調な生活』)が継続する中で、廃用性の脳機能の異常な低下が加速度的に起きてくることが原因で、認知症の症状が発現してくる病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なのです。加齢とともに衰えていく性質を内包しているとはいえ、それなりに使ってやっていれば、そこそこ機能がもつのに、使ってやる機会が極端に少ない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を続けているために、機能が異常なレベルに加速度的に衰えていくだけのことなのです(「アミロイドベータ」も、「タウタンパク」も、「脳の委縮」も、発病の原因とは関係がないのです)。

加速度的なカーブを描いて急速に衰えていきつつ、「廃用性の異常な機能低下」(機能の退化)が原因で発病する「アルツハイマー型認知症」(老年性の「アルツハイマー病」と呼称する人達もいます)は、(遺伝子の異常が生まれつき備わっている人達だけを対象に発病)して、極めて短期間に症状が進行していく若年性の「アルツハイマー病」とは異なり、症状が何年もかけて、「徐々に段階的に」進んでいくのが特徴なのです。最初に回復が容易な「小ボケ」の段階があって、次いで回復が未だ可能な「中ボケ」の段階があって、最後に回復が困難な「大ボケ」の段階がくるのです。 昨日まで正常だったお年寄りが、一晩寝たら、突然自分の家が分からなくなったり、同居している孫娘の顔も分からなくなったりはしないのです(「脳血管性認知症」の場合にのみ、且つ、障害された脳血管の部位と程度と範囲との関係では、こうしたことも起きてくるのですが)。

「キッカケ」を契機にして、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々継続するようになって、「小ボケ」の期間が「キッカケ」の発生から0.5~3年、「中ボケ」の期間が4~5年、6年経つと「大ボケ」になるのが大原則なのです。だからこそ、東日本大震災を被災した「高齢者」の状況を、私たちはとても心配しているのです。「不活発病」などと言う訳の分からない病名などつけて、放置しておかないで欲しいのです。東日本大震災の被災を『キッカケ』に始まった、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が日々営まれる生活を継続している大量の「お年寄り」が、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、「軽度認知症」(小ボケ)の段階にあるのです。

その人達が、「アルツハイマー型認知症」をよく知らない人達から、「不活発病」のレッテルを張られただけで放置されているのです。「小ボケ」の段階にあるそのお年寄り達は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続するままに、日々を無為に過ごしていると、次の段階である「中等度認知症」の段階に向かって、「脳の機能」がさらに低下して行っているのです。このまま放置していて、あと2~3年もすると、速い人では「重度認知症」の段階が始まりその症状が出てくるので、認知症の専門家とされる人達が、大騒ぎする状況になるのです。「マヤ暦」の予言は外れましたが、残念ながら、私達の予言は的中してしまうことになるでしょう。

 私達の定義に言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は、脳の後半領域の左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあって、脳全体の司令塔の「前頭葉」の機能だけが異常なレベルに衰えてきているのです。認知症の現行の定義からすると、私たちが言う「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階は脳全体が異常なレベルにあることにならないので、認知症を発病していることにならないのではないかと考えた人は、なかなか鋭い人と言えるのですが、「今一歩」なのです。何故かと言うと、脳の機能面から考えると、脳の後半領域の機能である左脳も右脳も運動の脳も、「意識的な行為」の世界では、必ず司令塔の「前頭葉」のコントロールのもとに働いているのです。従って、そのアウト・プットとしての行為は、機能が異常なレベルに衰えている「前頭葉」の(機能障害を伴ったアウト・プット)になってしまうのです。御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルにあって、左脳、右脳、運動の脳という「三頭の馬」を制御しているので、アウト・プットとしての行為や行動は、「前頭葉」の機能障害が反映されたものになってしまうのです。

 このように、意識的な行為(行動、或いは思考)は全て、必ずその時点での「前頭葉を含む脳の機能レベル」を反映したものとなるのです。「前頭葉」の機能だけが異常なレベルにあって「左脳、右脳及び運動の脳」は未だ正常な機能レベルにあるこの「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳全体の機能レベルのアウト・プットとして、「社会生活に支障が出てきている症状」を必ず確認することができるのです。つまり、「脳全体の機能」が異常なレベルにあることとする現行の定義自体に誤りがある(或いは、不正確な記述と言ってもいいのですが)のであって、「前頭葉の機能」が異常なレベルにあるとする定義が正しいのです。定義自体を変えてやらないと(米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」のように、「重度の段階の症状」を診断基準としていたのでは)、早期の段階、回復が容易な「軽度認知症」(小ボケ)の段階及び回復が未だ可能な「中等度認知症」(中ボケ)の段階を見落としてしまうことになるのです。近年、「軽度認知障害」という概念が提案されていますが、相変わらず「記憶」を中心とした「症状」からのアプローチとなっていて、「前頭葉」の機能障害という視点を欠いているために、対象領域があいまいすぎて使い物にならないのです。

  ところで、「前頭葉」は、意欲、注意の集中力及び注意の分配力を「三本柱」として、自発性、発想、計画性、工夫、理解、判断、機転、洞察力、推理、創造力、好奇心、感動、抑制力といった、私達が「社会生活」を送る上でなくてはならない極めて高度な機能を集積しています。「軽度認知症」(小ボケ)は、この「前頭葉」の機能が異常なレベルにあるために、上述したような(「前頭葉」の高度な機能)の障害が小ボケの「症状」として現れてくるというメカニズムなのです。認知症の専門家や医師達は、このことに気づく必要があるのです。文末に整理してある「軽度認知症」(小ボケ)の症状を、この視点からよく観察してみていただきたいのです。

 軽度認知症(「小ボケ」)の次の段階を私たちは、「中等度認知症」(「中ボケ」)と呼んで、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階と区別しています。認知症の専門家とされる人達は、「DSM-4」の基準に依拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行うので、末期段階の「重度認知症」(「大ボケ」)の段階にならないと認知症とは診断しないのです。ところが、「軽度認知症」の段階なら「回復が容易」で、「中等度認知症」の段階なら「回復が可能」であるのに対し、「重度認知症」の段階になると「回復は困難」になるのです。回復が困難な末期段階(私たちの区分で言う「重度認知症」の段階)になって初めて「アルツハイマー型認知症」を見つけている「診察の現状」に何の意味があるのか、疑問を呈しておきたいのです。

    

最後になりますが、以下に「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の順にそれぞれの段階に「特有な症状」をまとめて順番に並べて表示しておきます。「アルツハイマー型認知症」の症状(「前頭葉」を含む脳の機能レベルにリンクした症状)の進行具合が明確に読み取れることと思います。脳の機能が、前頭葉の三本柱の「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の異常な衰えに始まり、次第に左脳、右脳、運動の脳と異常な衰えが進んでいくことの結果として、症状が出てきて、その症状も次第に重くなっていく(「段階的な症状」を示していく)ことが分かることと思います。専門家達が考えているような、情報を連絡する神経線維が(アミロイドベータやタウ蛋白によって侵されていく)ことにより、認知症の「症状」が重くなっていくわけではないことに、早く気付いて欲しいと願うのです。

○  [ 小ボケのチェックリスト](「軽度認知症」(小ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

☆脳の機能としては、 「前頭葉」の機能の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が異常なレベルに衰えてきたことのアウトプットとしての「症状」を示すのが特徴です(この段階では、左脳や右脳及び運動の脳は、未だ正常レベルにあるのです。そのトータルの脳機能レベルのアウトプットが、この段階の症状なのです)。

(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□ 何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□  同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

         

○ 【中ボケのチェックリスト】(「中等度認知症」(中ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

 ☆この段階になると、脳の機能としては、 「前頭葉」の機能の三本柱である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が「小ボケの段階」よりも更に加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉の各種機能」の衰えに加えて、左脳や、右脳も異常なレベルに衰えてきています。「中ボケの段階での症状」は、そのトータルの脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです。

 (4つ以上に該当していると、「中ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 何度教えても日付けがあいまいになる

□ 簡単な計算ができない(お札ばかりで買い物をし、やたらと小銭がたまる)

□ 電気やガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

□ 家庭内の簡単な用事程度のこともきちんとできない(部屋や洗濯物の

整理、食後の片付け、畑や庭仕事などがきちんとできなくなる)

□ お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探している

□ 自分が飲む2~3種類の服薬管理ができない

□ 服の着方に無頓着で、重ね着が目立つ(セーターの上からシャツを着

る。裏表や前後ろに着る。入浴後、着ていた下着の上に新しい下着を着

る)

□ 入浴時の温度管理が出来ず、体を洗わないとか石鹸がついたままとかする

□ 周りを汚したり流してないなど、トイレの後始末がきちんとできない

□ 料理の味付けが変になる(特に、塩加減が極端に変になる。塩辛す

ぎて、周りが食べられないようなものを作り、本人だけが平気で食べる)

□ 行き慣れている所に行くのに、スムーズに行けない(行き先の違う乗

り物に乗ったり、行き道を間違えたりする)

□ 自分の子供の数、生まれ順、居住場所の説明がきちんとできない

□ 季節が分からなくなる(夏にセーターなど、季節違いの服を平気で着

る)

□ 昨日の出来事をすっかり忘れてしまう

□ 物盗られ妄想(物の置き場所を忘れて、相手が隠したとか盗んだとか

言う)とか、世話をしてくれる人に対して口汚くののしる行為とかがある

        

 ○【大ボケのチェックリスト】(「重度認知症」(大ボケ)に特有の症状を列記しておきます)

 ☆この段階になると、脳の機能としては、前頭葉の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能が加速度的に衰えてきたことによる「前頭葉の各種機能」の更なる衰えにより、前頭葉の機能がわずかにしか機能していない(殆ど機能していないような状態)に加えて、「左脳や、右脳や運動の脳」の機能も更に異常なレベルに衰えてきています。。「大ボケの段階での症状」は、そのトータルの脳機能レベルのアウトプットとしての「症状」を示しているのです。

  (3つ以上に該当していると、「大ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 着ている服を脱ぎたがらず、便で汚れた下着をそのまま平気で着ている

□ 風呂に入るのを嫌がる

□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□ 家族の名前を間違えたり、子供を配偶者と間違えたりする

□ 食事やあいさつをしたことなど直前に起きたことをすぐに忘れてしまう

□ 家庭生活に全面的な介助が必要(食事、入浴、排泄)

□ 自宅に居ても落ちつかず、出て行きたがる

□ 大小便を失敗しても、後の処置ができない(大小便で汚れた下着を、押し入れなどに隠すようなこともあります)

□ 自宅の方向が、たびたびわからなくなる

□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□ 今は昼なのか夜なのかがわからなくて、夜中に騒ぐ(夜中に起きてくる、家中の電気をつけて回る、会社に行くとか田んぼに行くとか言い張る)

□ 痛んだものを平気で食べ、食べ物でないものを口にする

□ 独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

□ 誰も居ないのに「人が居る」と言ったりする  

        

(最後に、コーヒー・ブレイク) 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被るとか;自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になるとか;同居してる家族の顔も分からないとか;失禁した服を平気で着ていたりしたら、自信を持って、その人はボケてると皆さんは思うのではないでしょうか。正確に言うと、これは、「アルツハイマー型認知症」の末期の段階の症状なのです。こうした症状が出てくるもっと前の「軽い段階」(回復が容易な「小ボケ」及び回復が未だ可能な「中ボケ」の段階)があるのを専門家の精神科医でさえ見落としているだけなのです。「アルツハイマー型認知症」は、脳の機能レベル(「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の機能レベル)に対応する段階的な症状(「小ボケの症状、「中ボケ」の症状及び「大ボケ」の症状)を発現してくるのだということを理解しておいてほしいのです。「或る日は、小ボケの症状を示し、次の日には中ボケの症状や大ボケの症状を示すようなことは、絶対にない」のです。

注)本著作物(このブログA-75に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

 脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「重度認知症」(大ボケ)に特有の症状(A-21)

2012-03-30 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「重度認知症」(大ボケ)は、司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、部分的な機能がわずかに残っている程度である上に、「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。「前頭葉」が寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下のレベルと考えて下さい。4歳児以下のレベルといっても、症状が進行するにつれて、「脳機能年齢」は急速に0歳に向かって衰えて行くことになり、同時に「症状」が重くなっていきます。

「重度認知症」(大ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

3つ以上に○が付くときは、「重度認知症」(大ボケ)を疑うことになります。

□  着ている服を脱ぎたがらず、汚れた下着をそのまま平気で着ている

□  風呂に入ってもただ入るだけで、身体を洗わず、洗髪もしない

□  いま住んでいる自宅の方向が、たびたびわからなくなる 

□  食事やあいさつをしたことなど、直前に起きたこともすぐに忘れてしまう

□  服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする

□  便で汚れていても平気でいたり、トイレ以外の場所で用を足したりする

□ 主に夕方になると、落ち着かなくなり「家に帰る」などと訴える

□ 同居している家族との関係を、夫を自分の息子のように(子供のように)間違える

□ 昼夜の別が分からなくて、夜中に起きてきたり、外に出て行くと騒いだりする 

□  風呂に入ることをとても嫌がり、胸までつからない 

□  同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)

□  着衣、食事、排泄、入浴など、家庭生活面での全面的な介助が必要

  痛んで腐りかけたものや熱すぎるものを平気で食べ、食べ物でない物も口にする

  何を言っているのかが分からない、独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ

  せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」が出てくる人がいる

1)せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」は、大ボケの誰にでも出てくる症状ではありません。前頭葉は寝たきり状態でほとんど働かず、左脳も極めて不十分な働きしかしなくなっているレベルで、右脳の感情の機能だけは未だそれなりに働くので、介護や介助してくれる人との「人間関係」や「対応の仕方」に不満や不安を感じていると、こうした「問題行動」を症状として出すことが多いのです。

 注2)大ボケレベルでも、その前期のころは、日常生活の自立度自体は低くても、 言語能力はそれなりに保たれていることが多いので、身体にしみこんだ日常の挨拶程度の簡単な内容のやり取りは可能です。但し、前頭葉の状況判断や理解の機能がほとんど働かなくなってきているので、状況に即した的確な応答はもはや困難です。身体に染み付いたような状況やテーマでの、言葉の単なるやり取り程度のものでしか対応は出来ていないのです。

 注3)これらは、認知症の重症度別の症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「脳機能の衰え方のパターン」を基礎とした「二段階方式」による別のチェックが必要です。

注)本著作物(このブログA-21に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「重度認知症」(大ボケ)と脳の働き具合(A-20)

2012-03-28 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

中等度認知症(中ボケ)の段階になっても手をこまねいていて、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な毎日」を送っていると、脳全体の廃用性の機能低下が更に加速度的に進んでいきます。「アルツハイマー型認知症」の末期の段階である「重度認知症」(大ボケ)は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、幼稚なレベルの機能が残っている程度である上に、脳の司令塔の「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。そのため、意識の認知度を左右する「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」がほとんど働いていない状態なのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下のレベルと考えて下さい。前頭葉、左脳、右脳の機能の衰えが進行していく中で、MMSの得点が一桁の点数になってくるあたりから、運動の脳も異常なレベルに衰えてきて、重度認知症の症状が更に進行していくのです。 

脳全体の司令塔の役割をしている「前頭葉」がほとんど寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や体に浸みこむほどの経験がないテーマに対しては、理解することも対応することもできないのです。精神科医が「アルツハイマー型認知症」であると診断する第一の要件である「重度の記憶障害」の症状は、「認知」それ自体と「記銘」、「保持」及び「想起」の機能が極めて不十分にしか働かない為に起きてくるものなのです。脳の司令塔の「前頭葉」は、殆ど働かなくなっている上に、左脳や右脳や運動の脳も極めて不十分にしか働かない「大ボケ」は、自分の身の回りのことをする「セルフ・ケア」にも支障が出てきます。食事をしたり、服を着たり脱いだり、お風呂に入ったり、トイレの後始末をしたりといった、身の回りのことも自分でできなくなり、日常生活に「介助」が要るようになります。

   

そもそも、記憶は、「記銘」して、「保持」して、「想起」してくるという経路をたどるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の段階になると、昔のこと(認知症の重い症状が出ている人とは、とても思えない程の)かなりなレベルで、はっきりと思い出すことが出来ます。その一方で、最近の新しいことについての記憶が困難になるのです。その理由は、「意欲」、「注意集中力」と「注意分配力」の機能が不十分にしか働かなくなっているため、「記銘」するときの記銘度が低いことが第一の原因なのです。昔の記憶は、年が若くて「記銘度」が高かったころの記憶なので(記銘度が高いと、長期に保存されるので)、今でも思い出す(想起する)ことが出来るのです。

(コーヒー・ブレイク) 次のグラフは、加齢とともに機能が衰えていく、「前頭葉」の3本柱の「衰えていき方のカーブ」です(縦軸が機能レベルで、横軸が年齢です)。

アラサーとかアラフォーとかの世代でも、「物忘れ」が起きてきます。物忘れが気になる程度に起きている年齢の人は、(N-07)で提案している「速足の散歩」を日課にすることをお勧めします。お友達と一緒に、おしゃべりを楽しみながら、「速足の散歩」を数カ月継続すると、散歩の効果が出てきて「物忘れ」の回数がはっきりと減ってきます。そのメカニズムは、おしゃべりを楽しみながら「速足の散歩」をすることにより、「前頭葉」の3本柱であり、加齢によって次第に衰え始めていた「意欲」、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能が、頻繁に且つしっかりと使われることで、機能回復してくるからなのです。

(再度、コーヒー・ブレイク) この「重度認知症」のレベルになって初めて、精神科医は「アルツハイマー型認知症」と診断しているのです。それでいて、「アルツハイマー型認知症」になっても(ここでは、「重度認知症」のレベルのこと)、「人格は保たれている」などと言うのです。「前頭葉」は、脳全体の司令塔であり、状況を判断し、何をどうするかのテーマを企画し、いろいろな視点からシミュレーションした上で、最終的な行動や言動や態度を選択し、左脳、右脳、運動の脳に必要な指示を出して、それを実行させているのです。

最終的な意思決定としての「選択」を行うには、「評価の物差し」が必要不可欠となります。その評価の物差しは、「前頭葉」の重要な機能の一つなのです。「重度認知症」のレベルにまで脳全体の機能が衰えてきている人に、正常なレベルで機能する「評価の物差し」は存在しません。重度認知症のレベルの人の「前頭葉」の働き具合を調べてみれば、すぐに私たちの言う意味が理解できるはずです。

専門家が「人格が保たれている」と言っているのは、「側頭葉性健忘」のケースを重度認知症(大ボケ)レベルの「アルツハイマー型認知症」混同しているのです。「重度認知症」のレベルになった「アルツハイマー型認知症」は、重度の記憶障害の症状だけでなく、「前頭葉」が殆ど働かなくなっているのがもうひとつの特徴です。他方、「側頭葉性健忘」は重度の記憶障害の症状を示しますが、「前頭葉」の働き具合は「正常なレベル」にあるのが特徴なのです。

「新しい記憶」がまったく入っていかないという「重度の記憶障害」を抱えていても「前頭葉」が正常レベルで働いているので、表情が豊かで、状況の判断も的確に出来て、日常頻発する「物忘れの状況」に対する切実な問題としての理解と認識があるのです。重度認知症のレベルの「アルツハイマー型認知症」と「側頭葉性健忘」とは、重度の記憶障害の症状を示す点では共通していますが、前頭葉の働き具合(働きのレベル)が全く異なるのです。両者は、「前頭葉」の働き具合を調べてみれば、直ぐに区別が出来るのです。

権威あるテレビ局の番組でも、「働き盛りの50代で認知症を発病する人が増えてきている」と言うテーマで放送を組んだことがありますが、それも同じ過ちを犯していて、「側頭葉性健忘」のケースを「重度認知症」のレベルの「アルツハイマー型認知症」と混同しているものでした。「側頭葉性健忘」も、その確認がなされないままでいると、原因が分からないまま日常生活上さまざまな支障や出来事が起きてくるために(周囲からは、認知症と間違われて)自信をなくしていき、やがて、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していく中で、60歳を超えてくると、「アルツハイマー型認知症」を併発してくることが多いのです。

 注)本著作物(このブログA-20に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「中等度認知症」(中ボケ)に特有の症状(A-19)

2012-03-26 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、「脳全体の働き具合」が異常なレベルになっています。

脳全体の衰えが「軽度認知症」の時に比べて加速度的に速まるので、「症状」の出方の程度や幅も広く深くなります。中ボケは、小ボケ(MMSの換算値は、24点以上)と大ボケ(MMSの換算値は、14点以下)の中間にあり、むしろ中ボケの前期と後期とに区分」した方が「症状」も判定し易いのです。MMSの換算値が20点以上であれば、「集団の中での脳リハビリ」でも効果があるのに対し、20点を切ると手間暇コストの負担が相当に必要な「個別の脳リハビリ」でないと効果が期待できなくなります。20点以上と19点以下との間のたった1点の差なのに、回復の可能性という視点からは、ここに深い溝があるのです。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、4~6歳児のレベルと考えて下さい。

「中度認知症」(中ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

4つ以上に○が付くときは、中等度認知症(中ボケ)を疑うことになります。

□ 日付けが分からなくなり、何度教えても今日が何日なのか、何年なのか、何月       

   なのかが言えない

□  電気の消し忘れ、ガスの消し忘れ、水道の蛇口の閉め忘れなどが目立つ

 行き先が違う便に乗る、行き道を間違える、慣れている所に行くのにも間違う

    などといった「間違い」が、しばしば起きる 

□ 身だしなみに無頓着になり、やたらと重ね着になったり、前後、裏表など着方

   がいいかげんになる 

□   洗濯物の整理、食後の片付けなど、以前はできていた家庭内の簡単な用事

    もきちんとできない

□  自分が飲まないといけない2~3種類の服薬管理ができないので、家族が注

    意する必要がある    

□ パジャマや寝巻きを着たまま、平気で表に出て行くようになる

□ 「塩辛すぎる」など料理の味付けがおかしくなり、周りが食べられない程なの

    に、本人は平気 でそれを食べる

□  お金や持ち物のしまい場所をすっかり忘れてしまい、一日中探して騒ぐ

□  財布や通帳を自分がどこかに置き忘れ、盗まれたといって騒ぐ

□  季節違いの服装をしたり、特別な目的であってもそれに合った服が選べない

□  便器の周りが汚れても、流していないなど、トイレの後始末ができていない

□  他人のものでも平気で持って帰ってくるようになる

□  昨日の出来事でもすっかり忘れて、買い物や食事に行ったことも覚えていない

注1) アルツハイマー型認知症の場合、「時の見当識」は、「日」、「年」、「月」、「季節」、「昼夜」の順に衰えていきます。

中ボケの前期の段階(MMSの換算値が23点~20点)で「日」と「年」が分からなくなります。中ボケの後期の段階(MMSの換算値が19点~15点)になると「月」も分からなくなります。

大ボケの前期の段階(MMSの換算値が14点~11点)で「季節」も分からなくなり、後期の段階(MMSの換算値が10点以下)になると「昼夜」さえも分からなくなります。

注2) 上記の症状は、認知症の中ボケの症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。)の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方のパターン」の判定を基礎とした、「二段階方式」による別のチェックが必要です。

次回は、「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告します。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。

 注)本著作物(このブログA-19に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。     

     エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「中等度認知症」(中ボケ)と脳の働き具合(A-18)

2012-03-25 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「アルツハイマー型認知症」は、発病後の症状の進行が緩やかで、何年もかけて徐々にしか進んでいかないのが特徴です。発病後1~2年で寝たきり状態になる「狭義のアルツハイマー病」とは、発病原因だけでなく症状の進行度合いも全く異なるのです。

「脳の機能レベル」のアウトプットが「症状」なので、同時に脳の働き具合もリンクさせて調べると、症状は3つのグループ、「3段階」に区分されるのです。「軽度認知症」(小ボケ)と「重度認知症」(大ボケ)の中間が「中等度認知症」(中ボケ)です。例えば「脳血管性認知症」の症状の発現とは異なり、「アルツハイマー型認知症」は、いきなり「中ボケ」とか「大ボケ」の段階の症状が発現してくることは絶対に無いのです。「小ボケ」、「中ボケ」、そして「大ボケ」へと、必ずその順番に症状が進行していくのが特徴なのです。「アルツハイマー型認知症」を発病して(小ボケの段階)、相変わらずナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続していると、脳全体の廃用性の機能低下が更に進んでいき、「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに入っていきます。然もその症状の進行具合は、極めて緩やかにしか進行していかないのが特徴なのです(ここを「クリック」してください)。

「中等度認知症」は、脳の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きが「軽度認知症」のときより更に異常なレベルに加速度的に衰えてきている上に、「軽度認知症」のときは未だ正常だった「左脳」と「右脳」の働きも異常なレベルに衰えてきていて、脳全体の働き具合が異常なレベルになっています。「中等度認知症」(中ボケ)の脳の働きは、4~6歳児のレベルと考えて下さい。

意識の認知度を左右する意欲、注意集中力と注意分配力が「軽度認知症」のレベルよりも更に不十分にしか働かなくなります。その結果、認知それ自体とその記銘、保持及び想起の機能の発揮が更に不十分なものとなります。左脳がらみの論理的思考や計算、或いは言葉に対する理解や判断力、更には右脳がらみの色や形や時間や空間などに対する認知能力にも支障が出てきています。状況の判断、物ごとの理解や見通し等の判断が「幼稚園児」の程度となる結果、「家庭生活」にトラブルが起きてくるようになります。「家庭生活面」で支障が出てくるとは言え、食事、大小便、入浴など身の回りのこと(セルフケア)は自分で一応できるので、家族に迷惑をかけることはあまりないのです。

   

「中ボケ」になると、食器の片付けや、洗濯物の取り込み、庭の草むしりといった、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできなくなります。「4~6歳の幼児」がやる程度にしかできないのです。せっかく洗ってくれたお茶碗はもう一度洗いなおさないといけないし、庭の草取りをしてもらうと花の苗まで抜いてしまいます。この程度にまで脳の機能が衰えてきていても、「重度の記憶障害」の症状が出てきていないと、家族が病院に連れて行っても、認知症とは診断されないのです。

 「中ボケ」のイメージは、家庭内の簡単な用事程度のこともちゃんとできないのに、口だけは一人前、「言い訳の上手い幼稚園児」が特徴です。

前頭葉の機能が異常なレベルに衰えてきているとはいえ、「小ボケ」には、自覚があります。「意欲もわかないし、根気が続かないし、てきぱき出来ないし、発想も湧かないし、物事に感動することもないし・・・」と感じていて、「以前の自分と比較して、自分のどこかがおかしい」という自覚を明確に持っていて、自分の状態に「不安」を感じているのです。ところが「中ボケ」の段階になると、そうした自覚を持つこと自体が出来なくなります。自分の状態に対する自覚がないので、不安も全く感じていないのです。逆に、家族が「こんなところが、おかしいと」指摘しても、「そんなことはない。私は、ボケてなんかいない」と言い張り、自分のおかしな行動についての、一端の言い訳(ヘリクツの類)ばかりを並べ立てるのが特徴です。

 注)本著作物(このブログA-18に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「軽度認知症」(小ボケ)に特有の症状(Aー17)

2012-03-24 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「軽度認知症」(「小ボケ」)の段階の症状は、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えている(左脳と右脳と運動の脳は正常レベル)ので、「前頭葉」の機能障害の症状と同じなのです。「認知度」と直結していて、認知に不可欠の「意欲」、「注意集中力」及び「注意の分配力」が状況に相応して必要なレベルで働かない、的確に働かないゆえの症状を示します。認知症は、「生活の自立度」がどうであるかを問題にする性質のものなので(社会生活や家庭生活やセルフケアにどのような支障があるかを問題とする)、原因である脳の機能は前頭葉だけが異常なレベルであっても、そのアウトプットである「症状」には、コントロールタワーの前頭葉の機能レベルが直接反映されるので、正常なものではなくなります。この点が、認知症の定義にも反映されるべきだと思います。DSMーⅣの定義を含めて、「アルツハイマー型認知症」を診断する精神科医も治療薬を開発している研究者も、「前頭葉」の機能の仕方及びその衰え方に対する理解が浅いのではないかと思います。

「軽度認知症」の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。

4つ以上に○が付くときは、軽度認知症(小ボケ)を疑うことになります。

□  複数のことに注意を分配できなくて、3つの用事を同時に並行してさばけない

□  何かに感動することがなくなり、顔つきが無表情で目の光がどんよりしている

□  発想する力が乏しくなり、何事にも画一的な行動が目立つようになる

□  料理の献立が単調になり、同じ食材ばかりを買ってくる

□  することを何も思いつかない様子で、一日や一週間の生活面の計画を自分で

  立てようとはしない、

□  根気が続かなくなり、中途半端なことを繰り返すようになり、やりかけの状態   が目立つ

□  歩行や手の動きなどの動作がもたもたして、足腰が悪くはないのに、階段を

   ゆっくりとしか下りられない

□  ぼんやりしていることが多くなり、自分からは何もしようとしないが、指示される

  とできる「指示待ち人」になる

□  歩くときは前屈みになり、小股でトボトボ歩き、反応が遅く動作がもたもたする

□  自分に自信がなくなってきて、何かにつけて人を頼ろうとする

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、やたらと昼間に居眠りする

□  本人はそのことに気づかないで、同じ内容を繰り返し話したり尋ねたりする

□  思い込みや思い違いをすることが多くなり、一旦言い出したら、間違いを指摘

  されても訂正や変更ができない

□ 自分が言いたいことだけを一方的に言い、相手の話を聞こうとはしない

□ 簡単な計算ができなくなり、お札ばかりで買い物をするために、やたらと小銭が  たま る

注1)    小ボケの脳の機能レベルのアウトプットが、小ボケの症状なのです。情報を連絡する神経線    維に器質的な変化が起きて、支障が出てきている訳ではないのです。

注2)  上記は、認知症の小ボケの症状です。アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「前    頭葉」の機能レベルの判定及び「脳機能の衰え方 のパターン」を基礎とした「二段階方式」によ    る別のチェックが必要です。

   来週は、「中等度認知症」と「重度認知症」に特有に見られる症状について整理したものを報告し   ます。確定的な診断の基準にはなりませんが、一応の目安としては利用できるはずです。

 注)本著作物(このブログA-17に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。


     エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「軽度認知症」(小ボケ)と脳の働き具合(A-16)

2012-03-23 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

「アルツハイマー型認知症」は、日常生活を送る中で出番が極端に少ないため(使われる機会が少なすぎる)「廃用性の機能の低下」が起きてくることが原因の病気であって、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化が起きてくることが原因の病気ではないのです。私たちは、老人斑の生成とか神経原線維変化等の器質の変化は、「廃用性の機能の退化」の進行の副産物(「結果」)だと考えています(N-05を読み返してみてください)。

認知症の初期の段階である「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。

 そのため、前頭葉の機能の中で最も基礎的で且つ重要な働きであり、意識の構成要素に対する認知度」を左右している「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」が的確、且つ十分に働かなくなっているのです。その結果、行為の目的であるテーマ自体とテーマの中身を構築している構成要素に対する認知機能が正常なレベルで働いていないのです。更には、認知している各構成要素の内容について、「記銘」、「保持」及び「想起」の機能の発揮も不十分なものとなっているのです。簡単に言うと、日常の「社会生活」面で発生してくる種々のテーマを実行するのに必要となるレベルでの認知機能が十分機能していないのです。こうした条件下で行われるため、状況の判断、実行テーマの計画と内容の工夫、機転や見通し及び決断等が的確にできなくなるのです。 こうした事態は、「空気ポンプ」に例をとって説明すれば、空気をチューブに送る役割のゴム管部分に支障があるからではなくて、そもそもチューブに空気を送り込む働きをするポンプの部分の機能がちゃんと働いていないせいなのです(N-15を読み返してください)。

  10棟30人ほどが暮らしている、或る「仮設住宅」地を訪問してみたとしましょう。役場の人がやってきて、「1人当り3000円の給付金を渡すので、みんなが元気になるような催し物をやってください。内容は、自由です」と言う話なのです。リーダー格3人を選んで、催し物の企画を練ってもらうのです。3人の共同企画ではなくて、それぞれが企画した案を出してもらうのです。3人が出してきた案は、「3人3様」で、それぞれの「人柄の特徴」(その人独自の評価基準の表れ)があふれ出ている内容でした。

 役場が費用を負担してくれるかどうかは置いといて、似たような経験を皆さんお持ちでしょう。「置かれている状況を判断して、何をどのようにするかを企画し、あれこれの視点からシミュレーションしたうえで、最終的な内容を選択し実行する」それが「前頭葉」の機能だと言いました。それは、前頭葉に内在する「評価の基準」の機能が確立されていてきちんと働いているおかげでもあるのです。こうした意思決定のいろいろな過程で必要となる「前頭葉」の機能の働き方が揺らいできている段階が、「軽度認知症」(小ボケ)のレベルなのです。余談になりますが、「自我の確立」という見方があります。私たちは、そのことを脳の機能と言う視点から言えば、「前頭葉の評価及び意思決定機能の確立」であると考えています。そんな働きをする前頭葉が、壊れてもいないのに異常なレベルに機能が衰えてきたとき(私たちの見解では、不十分にしか使われないことで、異常なレベルに廃用性の機能退化が進んできているとき)、薬さえ飲めば元の正常な機能レベルに回復できるなど理解できないのです。

  

「軽度認知症」(小ボケ)のレベルでは、「社会生活」にトラブルが出てくるようになるのです。

「軽度認知症」(小ボケ)のレベルになると、発想が湧いてこないし、見通しも立たないし、何をどうするのかという「テーマの構想と計画や工夫」が的確に出来なくなるのです。意欲が出てこなくなって、毎日ボンヤリと過ごし、居眠りばかりするようにもなります。その人らしい生活態度が消えていき「こんな人ではなかった」と、周りから言われるように「人柄の本質」自体が変わっていくような症状を示してきます。

「小ボケ」のイメージは、何事も人を頼るようになって、一日や一週間の計画も立てられず、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」が特徴です。

小ボケに特有の具体的な症状は、次回に整理して報告します。

 注)本著作物(このブログA-16に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルツハイマー型認知症は、治せる防げる(A-15)

2012-03-22 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、症状が軽い段階、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)の段階で見つければ、脳のリハビリ(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」を改善すること)によって回復させることが出来るのです。早期発見・早期治療が鍵の「生活習慣病」なのです。その上、「予防」することもできるのです。

アルツハイマー型認知症に対する「予防」や「回復」が、国民的なテーマとして認識され、「個人や家族単位」或いは「地域単位」で、全国レベルで「生活習慣」の改善に取り組むことになれば、破綻の危機にある介護保険の財政状況を大きく改善させることも可能になるのです。

世間一般の人たちは、どうしても「権威に弱い」と言う傾向があります。有名大学の医学部の教授とかが出てきて、テレビの番組で話すと、内容の実際のレベルはさておいて、その人が話したことを「正しいもの」と信じてしまいます。まして、認知症に関してとなると、その傾向はいっそう強まります。世間で権威があるとか、専門家であるとか言われている人たちの誰もが、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」だと書物で書いているし、権威のあるテレビ局の番組に出てきてそのように語っていますが、それは間違った見解なのです。

 これまでに、このブログで何度も指摘してきたように、最初に注目すべき軽い段階の症状、脳の司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えていて、高次機能の左脳も右脳も未だ正常なレベルにある段階で認知症の症状が発現してくる「軽度認知症」(小ボケ)に注目すべきなのに、そのことに気づいていないのです。「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能が加速度的に衰えていき殆ど機能しなくなってくる段階、そして高次機能も異常なレベルに衰えてきて、いきついた最後の段階、末期の症状を示している「重度認知症」の段階になって初めて、認知症と診断しているのです。「重度の記憶障害」の症状が出ているとか、「失語」とか「失行」とか「失認」とかの末期段階に見られる「重度の症状」が出てくるようになって認知症と診断していたのでは「遅すぎる」のです。せっかく見つけても「アルツハイマー型認知症は、原因も分からないし、治らない」病気という結果になってしまうのです。

私たちのデータと根拠からすれば、「アルツハイマー型認知症」を治せる薬とは、異常なレベルに機能が衰えている前頭葉の機能を正常レベルに引き戻すことが出来る薬と言うことになります。意識的な行為の世界をコントロールしている、脳全体の司令塔の前頭葉の機能から見たとき、そのような効能を持った薬が開発できるとは考えられないのです。自転車のチューブに空気を入れる「空気ポンプ」という機器があります。アルツハイマー型認知症は、空気をチューブに運ぶ紐状のゴム管の部分(脳で言えば、情報を伝達する神経線維)に支障があるのではなくて、ポンプを押して空気を押し出してやる部分(脳で言えば、情報を発信してやる前頭葉等の機能)に支障が起きてきたこと(「廃用性の機能低下」)により、正常に働かなくなったことが原因で発病する(「認知症」の症状がでてくる)病気なのです。「廃用性の機能低下」が原因で異常なレベルに働きが衰えている訳なのだから、正常なレベルに引き戻す方法は、日常生活のいろんな場面で、前頭葉の出番が増えるようなテーマ、趣味や遊びや人づきあいや運動を楽しむこと、目標や生き甲斐がある生活を送ることしかないのです。但し、「重度認知症」の段階にまで脳の機能が衰えたら、回復させることはもう期待できないのです。

「器質的変化」が本質の病気だと誤解しているために、「アルツハイマー型認知症」に効く薬が開発できるかもしれないと研究者たちは考えてしまうのです。多数のデータの分析と根拠に基づき、私たちがこれまでに指摘しているように、「機能的変化」(廃用性の機能低下)が本質の病気だとすれば、脳を十分に使ってやりもしないナイナイ尽くしの「単調な生活」をしていて、飲むだけで効くような、そんな薬はあり得ないのです。

前頭葉は、脳全体の司令塔として、左脳や右脳や運動の脳と協働しつつもそれらを主導して意識的な世界をコントロールしています。

 左脳も右脳も未だ正常な機能レベルにあっても、コントロールタワーである「前頭葉」の働きが異常なレベルにある「軽度認知症」(小ボケ)の段階では、脳の機能レベルのアウトプットである意識的な行為や言動は、既に「認知症」のレベルの「症状」として発現しているのです。専門家と言われる人達は、早くこのことに気付いてほしいのです。認知症に移行する確率が高いとして最近取りざたされるようになった「軽度認知障害」という考え方についても、上記の視点から良く見直してほしいのです。

 

 もしも、認知症の研究を専門にしている人たちがこのブログを読む機会があったなら、脳の「重度の萎縮」が認められるとか、アミロイドベータやタウ淡白による「老人斑の生成や神経原繊維変化」などが認められ,器質的変化が認められるような重度の段階ではなくて、器質的変化は未だ認められないが、「前頭葉の廃用性の機能低下」だけが認められるようになるもっと軽度の段階に焦点を当てて欲しいのです。

 「解剖所見」から出発して「アルツハイマー型認知症」の原因を考えるのではなく、方向を転換して、生きている脳の全般的な機能低下、しかも司令塔の「前頭葉」機能の廃用性の機能低下に注目してほしいのです。その場合は、CTとかMRIとかで脳の形を調べるのではなくて、「神経心理機能テスト」でもかまわないので、脳の働き、特に「前頭葉の働き具合」を、きちんと調べてほしいと思うのです。  

  注)本著作物(このブログA-15に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。    

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精神科医は、回復可能な「軽い段階」を見落としている(A-08)

2012-03-15 | アルツハイマー型認知症の三段階の症状

□ 服を自分で着られなくなり、ズボンを頭から被る;とか

□ 自分の家が分からなくて、徘徊して迷子になる;とか

□ 同居している、家族の顔も分からない;とか

□ お漏らしした服を、平気で着ている;とか

こんな症状が見られるようになると皆さんは、「その人は認知症」だと考えるのではないでしょうか。 

正確に言うと、こんな症状が出ている人は、「認知症の末期段階」の人なのです。

こんな「重度の症状」(末期の症状)が出てくるもっと前の回復可能な「軽い段階」(初期の症状及び中期の症状)があるのを、精神科医が見落としているのです。

回復可能な「軽い段階」が見落とされていて、回復困難な重度の「末期段階」だけに焦点が当てられている結果として、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない」という「誤った見解」が世間の常識になってしまっているのです。

 昨日まで正常で、趣味や遊びや人付き合いを楽しんでいたお年寄りが、一夜明けたら「服を自分で着られなかったり」、「自分の家が分からなかったり」、「家族の顔が分からなかったり」は、しないのです。

 認知症の大多数を占めていて、原因も分からないし治らないとされている 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「何年もかけて、症状が徐々に、段階的に進行していく」(段階的症状を示す)のがもう一つの特徴です。特定の遺伝子の異常が原因で発病する「狭義のアルツハイマー病」とは、進行度合いが全く違うし、発病する原因も全く異なるのです。

精神科医が「初期の症状」と言っているのは、回復困難な末期段階の「重度の症状(大ボケ)」の中の初期の症状(MMSの換算値で14~11点のレベル)のことなのです。だから、せっかく見つけても、治らないのです。

回復可能なもっと軽い段階の「小ボケ」や「中ボケ」の症状(本当の初期症状)については、「認知症のレベルと回復の可能性」に関する脳の機能レベルとリンクしたデータの開示も含めて、次回から、逐次詳細な説明をしていきます。

その前に、(N-05)をもう一度読み返しておいてください。

アルツハイマー型認知症は、「回復容易」な段階、「回復可能」な段階、最後が「回復困難」な段階の「3つの段階」に分かれることが、脳の機能レベルと症状の程度との関係で詳しく説明してあります。

注)本著作物(このブログA-08に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする