「重度認知症」(大ボケ)は、司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含む脳全体の働きが「中等度認知症」の段階よりも更に異常なレベルに衰えてきています。左脳と右脳の働きも、部分的な機能がわずかに残っている程度である上に、「前頭葉」は殆ど機能しなくなっています。「前頭葉」が寝たきりの状態になっているため、これまでの人生で何度となく体験して体に浸み込んでいるような「言葉」や「テーマ」或いは「状況」に対しては或る程度の対応ができるのですが、折々に直面する新しい状況や経験がないテーマに対しては殆ど対応できないのです。「重度認知症」(大ボケ)の脳の働きは、3歳児以下のレベルと考えて下さい。4歳児以下のレベルといっても、症状が進行するにつれて、「脳機能年齢」は急速に0歳に向かって衰えて行くことになり、同時に「症状」が重くなっていきます。
「重度認知症」(大ボケ)の段階だけに認められる「特有な症状」には、こんなものがあります。
3つ以上に○が付くときは、「重度認知症」(大ボケ)を疑うことになります。
□ 着ている服を脱ぎたがらず、汚れた下着をそのまま平気で着ている
□ 風呂に入ってもただ入るだけで、身体を洗わず、洗髪もしない
□ いま住んでいる自宅の方向が、たびたびわからなくなる
□ 食事やあいさつをしたことなど、直前に起きたこともすぐに忘れてしまう
□ 服を正しく着られず、ズボンを頭からかぶったり上着に足を通したりする
□ 便で汚れていても平気でいたり、トイレ以外の場所で用を足したりする
□ 主に夕方になると、落ち着かなくなり「家に帰る」などと訴える
□ 同居している家族との関係を、夫を自分の息子のように(子供のように)間違える
□ 昼夜の別が分からなくて、夜中に起きてきたり、外に出て行くと騒いだりする
□ 風呂に入ることをとても嫌がり、胸までつからない
□ 同居している家族の名前も顔もわからない(家族かどうかも分からない)
□ 着衣、食事、排泄、入浴など、家庭生活面での全面的な介助が必要
□ 痛んで腐りかけたものや熱すぎるものを平気で食べ、食べ物でない物も口にする
□ 何を言っているのかが分からない、独り言や同じ言葉の繰り返しが目立つ
□ せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」が出てくる人がいる
注1)せん妄、妄想、徘徊、便コネ等の「問題行動」は、大ボケの誰にでも出てくる症状ではありません。前頭葉は寝たきり状態でほとんど働かず、左脳も極めて不十分な働きしかしなくなっているレベルで、右脳の感情の機能だけは未だそれなりに働くので、介護や介助してくれる人との「人間関係」や「対応の仕方」に不満や不安を感じていると、こうした「問題行動」を症状として出すことが多いのです。
注2)大ボケレベルでも、その前期のころは、日常生活の自立度自体は低くても、 言語能力はそれなりに保たれていることが多いので、身体にしみこんだ日常の挨拶程度の簡単な内容のやり取りは可能です。但し、前頭葉の状況判断や理解の機能がほとんど働かなくなってきているので、状況に即した的確な応答はもはや困難です。身体に染み付いたような状況やテーマでの、言葉の単なるやり取り程度のものでしか対応は出来ていないのです。
注3)これらは、認知症の重症度別の症状であって、アルツハイマー型認知症であるかどうかの判定は、「脳機能の衰え方のパターン」を基礎とした「二段階方式」による別のチェックが必要です。
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