(プロローグ)様々な種類が数有る認知症の内の90%以上を占めているのが『アルツハイマー型認知症』。権威が有るとされる世界中の専門機関は、「アルツハイマー型認知症」について、「記憶障害」(「物忘れの症状」)の程度がひどくなったことが原因で発病してくるものとの重大な誤解をしている為、末期の段階の症状、私たち「二段階方式」の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の後期の段階で発現してくる症状の事しか知らないのです。
本当の意味での早期の段階であり、『脳のリハビリ』の実践により治すことが出来るし、治せない場合でも症状の進行を遅らせることが可能である「軽度認知症」(小ボケ)及び「中等度認知症」(中ボケ)の段階の症状については、専門機関は、無知で無関心なのです。その結果、アルツハイマー型認知症が認知症全体に占める割合を70%程度だと誤解しているのです。皆さんが普段お目にかかる認知症は、その大多数が『アルツハイマー型認知症』なのです([三段階の症状]については「G-10」を参照)。
『アルツハイマー型認知症』については、米国のハーバード大学を筆頭に、我が国では、東大、京大、理化学研究所等の権威ある機関が、『発病の原因が分からないし、一旦発病すると治すことが出来ないし、症状の進行を抑制する方法もないし、発病を予防することが出来ない』と主張していて、発病の原因については、世界的に通説であるアミロイドベータ仮説や、少数説のタウタンパク仮説や異説のアセチルコリン仮説、或いは、脳の萎縮仮説などと言った『4つの仮説』(発病との間の因果関係の実証が出来ていない為に、未だに、仮説の扱いを受けている)が提示されているだけなのです。
それら仮説は、単なる「憶測の類」に過ぎないのです。世界中で唯一、私たち『二段階方式』だけが、『発病の原因を解明し、市町村での実践活動を指導してきた』のです。『アルツハイマー型認知症の本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の単なる『生活習慣病』に過ぎないのです。生活習慣と言っても、食生活とは無関係のものであり、『第二の人生』を送る上での日々の脳の使い方としての生活習慣の在り方、生き方が発病の引き金を引くか/否かを決定することになるのです。その結果、60歳を超える年齢の「高齢者」だけが、発病の対象となる認知症(『老年発症』が特徴)となるのです。
仕事とは無縁の暮らしとなる『第二の人生』を送る高齢者が、自分なりに追求する特定のテーマが無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無いナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』を続けていると、加齢の進行による脳の機能低下の基盤要因に、廃用性の異常な機能低下と言う要因が加重されることに因って、異なる二つの要因が同時に存在し充足される相剰効果に因り、『前頭葉を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく先に、『アルツハイマー型認知症』発病及び症状の更なる進行が待っているのです。『アルツハイマー型認知症』は、仕事とは無縁の日々となる『第二の人生』での日々の過ごし方、即ち、『脳の使い方』としての生活習慣の在り方、個々のお年寄りの『第二の人生での生き方』が問われる認知症と言うことなのです。発病のメカニズムからも、発病の予防には、『自助努力が必要不可欠の条件となる』のです。
私たち「二段階方式」は、1995年に活動を開始し、介護保険制度が制度化され、オレンジプランが施行された頃までの間(アミロイドベータ仮説が登場する以前が活動の中心期間)に、『発病の予防、症状を治すこと及び症状の進行を抑制する方法を開発し、実務化』し、北海道から九州に跨る452の市町村での個別の10年間の有償契約の締結に基づく『住民参加型の地域予防活動』として、アルツハイマー型認知症に特化した発病の予防及び早期診断による回復を明確な目的とした世界で初めての実践活動を指導し、主張内容が正しいことを疫学的方法により実証し顕著な成果を挙げていたのです。介護保険の制度化とオレンジプラン、新オレンジプラン、更には、アミロイドβ仮説を隠れ蓑とした『介護の予防』(ボケても安心な社会づくり)という川下対策が、国策として制度化され、市町村で実施される中で、予算の獲得も、人員の配置もなくなっていき、活動自体が消えて行ったのです。レポート記事によると、『政府大綱』を策定する有識者会議が『アルツハイマー型認知症の発病の予防』の国策化による実施を提案した際に、(認知症の人と家族を守る会)が猛反対し、公明党がそれに同調したそうなのです。結果、政府大綱の第一条で発病の予防は棚上げにされ、介護の予防が主題とされたそうなのです。
⇔ ①アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」に過ぎない。②『第二の人生』を送る60歳を超える年齢の「高齢者」だけが、発病の対象となるのです。③「仕事」の遂行と言うテーマとは無縁の日々となる『第二の人生』での日々の暮らし方、「脳の使い方」としての『生活習慣』の在り様が問われる病気なのです。④アルツハイマー型認知症の予防には、自分なりの特定の「テーマ」の選択と追求、創意、工夫、シミュレーションして、『前頭葉が活性化する生活習慣』への改善と継続的な実践とが要求されるのです。⑤家の外に出て行き、人と親しく交わり、自分なりの喜びや楽しみや生き甲斐が得られるテーマを見つけて、追及する「生活習慣」を継続して頂きたいのです。⑥アミロイドベータ仮説は、100%誤りであり、治療薬が開発されることは、未来永劫有り得ないのです。
持続可能な超高齢社会を構築し、維持していく上で、『アルツハイマー型認知症』の発病の予防は、必要不可欠のテーマです。発病のメカニズムに照らして、発病を予防出来たり、症状を治せたり、症状の進行を抑制できる薬が開発されることは、未来永劫有り得ない事なのです。薬を開発したなどと言っている製薬会社は、効能の評価が杜撰であるか/評価の仕方を誤っているだけ。発病の予防は、我が国の財政の健全化に資する上に、極めて有益なのです。
医療費(末期の段階での発病の診断と効きもしない薬の処方)及び介護の為の費用に対して、単年度ベースで(一般会計と特別会計の総額で)天文学的な規模での税金が支出されているのです(両者を併せると、20兆円超え)。
我が国は、65歳以上の年齢の高齢者が3627万人も居るのです。単年度で20兆円もの税金を垂れ流しにさせている反対勢力の抵抗を排除し、発病自体の予防を国策として制度化し実行することが、持続可能な超高齢社会の維持に不可欠のテーマとなるのです。
&1.脳の働きとそのアウトプットである発言、動作、行為や行動(「症状」)との関係
- 脳の各部の機能とその概要
頭のてっぺんの所には、身体を動かす指令を出す運動の脳があります。脳の後ろの左側部分には、勉強や仕事などをする為の左脳があります。左脳は、言葉や計算や論理や場合分けなど、「デジタルな情報」を処理しています。脳の後ろの右側部分には、趣味や遊びや人付きあいなどを楽しむ為の右脳があります。右脳は、色や形や空間や時の経過や感情など、「アナログな情報」を処理しています。額のところには、『前頭葉』(前頭前野に局在)という「複合機能体」があります。前頭葉には、状況を分析したり、発想したり、計画したり、工夫したり、決断したり、意欲を高め、注意を集中し、注意を分配する色々な働きが詰まっているだけでなく、もう一つ、脳全体の『司令塔の役割』という大事な働きがあります。私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」、意識的で目的的な何等かの「テーマ」を発想し、実行に移す際に、社会生活の面や家庭生活の面やセルフケアの面で、様々な支障(症状)が出てくるのが、「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。
- 脳全体の『司令塔』の役割を担っているのが「前頭葉」という脳機能
自分が置かれている周りの状況を分析し、理解し、判断して、どのようなテーマをどのように実行するのか、運動の脳を、どのような目的の為にどのように使うのか(身体を動かすテーマ)、左脳をどのような目的の為にどのように使うのか(言葉や計算や論理や、場合分け等のテーマ)、右脳をどのような目的の為にどのように使うのか(色や形や空間や感情などのテーマ)、全ては、司令塔の『前頭葉』が決めているのです。人間だけに特有な「意識的(目的的)な世界」、意識的に何かのテーマを発想して、実行に移す世界は、「前頭葉」の機能(就中、『注意の分配力』の機能)の働きにより、構築され、統合され、統括され、管理され、コントロールされているのです。
⇒老人会でゲートボールを楽しむ時も、お茶を飲みながら友達と趣味や遊びや家庭問題などの世間話に花を咲かせる時も、家の周りに樹木を植えたり草花を咲かせたりして楽しむ時も、脳全体の司令塔の『前頭葉』が周りの状況を分析し、理解し、判断して、状況判断に沿った「テーマを発想し、何をどのようにするのかの実行の内容を企画し、計画して、実行結果をシミュレーションした上で、最終的な実行内容を(程度及び態様を含む)決め、実行の決断を下して、実行の指令を出しているのです。
これが、『意識的な発言、行為や行動』における脳の働き方のメカニズムなのです。言い換えれば、左脳、右脳、運動の脳が牽引する三頭建ての馬車をあやつる御者の役割をしているのが『前頭葉』なのです。三頭の馬を十分に働かせられるのも、不十分にしか働かせられないのも、「前頭葉」の働き方次第ということなのです。
ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に起因した廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が原因で、前頭葉を含む脳全体の働きが異常なレベルに衰えてきて、その為に社会生活や、家庭生活やセルフケアにも支障が起きてくるのが「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症なのです。脳の司令塔の「前頭葉」がちゃんと働かなくなった(『前頭葉』の機能が、異常な機能レベルに衰えてきた)段階で、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、そのことさえ思い出せないような「重度の記憶障害の症状」が出てくるようになる、はるか前の段階で、『アルツハイマー型認知症』はもう始まっているのです(認知症としての症状が発現してきている=「小ボケ」の段階=アミロイドβ仮説の権威に惑わされて、専門の医師達が見落としていることが、重大問題)。
⇒ 左脳、右脳及び運動の脳という、馬車を牽引する「三頭の馬」が未だ正常な機能レベルに在ろうとも、三頭の馬を操る『御者』である前頭葉の機能が異常なレベルに衰えてきたその時(その段階)から、意識的な世界のアウトプットは全て異常なものとなる、「アルツハイマー型認知症」の症状の発現であると考えるべきなのです。アルツハイマー型認知症の原因を見つけるにも、早い段階で見つけて治すにも、発病自体を予防するにも、前頭葉を含む脳全体の機能レベルを精緻に判定することが出来る『脳の働きという物差し』が不可欠になるのです(「二段階方式」の手技は、世界中でも比類のない、極めて高度で精緻な判定の為の唯一の手技なのです)。
「アルツハイマー型認知症」研究(診断)の専門家としての学者や医師は、認知機能の判定に、『MMSE』(或いは、我が国では長谷川式)を活用しているだけであり、脳の後半領域の働きにしか注目していないのです。更なる問題点は、現在までの所、「前頭葉」の機能レベルを精緻に判定することが出来る手技を持っていないのです。意識的な世界における、脳全体の司令塔の働きをしている『前頭葉』の機能レベルを精緻に判定しない限り、脳のリハビリにより回復させることが出来る本当の意味での『早期の段階』(小ボケ及び中ボケの段階)の症状を鑑別することは出来ないのです。
※我が国だけでなくて、世界中のアルツハイマー型認知症の専門家とされる機関や人達はと言うと、意識的な世界の要である「前頭葉」の機能構造、就中、『注意の分配力』の機能構造に注目することをしないで、前頭葉の機能も、注意の分配力の機能も備わっていない「マウス(アルツハイマーマウス)やマーモセット」が檻の中で餌を探して彷徨するだけの動きの研究を基礎とした憶測に基づいただけの主張、間違った主張を垂れ流し続けているのです。
⇒ 彼等は、意識を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールしているのが注意の分配力の機能であることを知らないでいるのです。
⇒ 彼等は、実行機能(分析、理解、判断、計画、企画、洞察、推理、シミュレーション、比較、選択、決定、決断、抑制、感動等、『前頭葉』の個別認知機能を総称して、このように呼びます=Executive Function)の機能の発揮度が、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能に左右され、下支えられていること、『機能発揮上の二重構造という依存関係』にあることに、未だに気づいていないのです。「アルツハイマー型認知症」の発病のメカニズム並びに症状の重症化が進行していく機序が、「加齢」に起因した機能低下という要因を基盤要因としていて、更には、その要因に加重される要因である、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した「廃用性の異常な機能低下」の進行という要因の存在に気づいていないのです。
⇒ 60歳を超える年齢の『高齢者』が、『第二の人生』を送る日々での「脳の使い方」としての生活習慣、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い、単調な日々の暮らし方)の継続に起因して、『前頭葉』(「注意の分配力」の機能が核)についての『廃用性の加速度的で異常な機能低下』が進行してくることが、『発病を惹き起こす原因』であることに未だに気づいていないのです。
⇒ 最近流行りの「AI技術」を駆使して膨大なデータを検索し、解析しようとも、対象となるデータそのものの中に、脳の使い方としての生活習慣であり、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」としての構成内容が含まれていない限り、学歴とか、地中海料理やカレー料理とか、糖尿病の発病等とか言った要因、発病との間に因果関係が存在していない要因が取り上げられていたりする(原因とは無関係の、間違い要因)のです。
⇒ 孤独な生活を送ることが危険因子であるとか、運動や交遊を楽しむことが発病の予防に効果があるとかの主張をしていながら、返す刀で、アミロイドベータ仮説を発病の根拠に挙げたりするのです。『因果関係の有無』について、無知、杜撰なのです。
&2 加齢による「正常老化」と『アルツハイマー型認知症』の発病に因る症状との脳機能面での差異
- 「前頭葉」の老化曲線(正常老化)の存在とその意味
脳全体の司令塔で、状況を分析し、理解し、判断したり、状況判断に沿った「テーマ」を発想し、実行する為の計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している前頭葉の機能(『実行機能』)、中でも、『実行機能』を正常に発揮させる上でとりわけ重要な働き、実行機能の発揮度を左右する三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能には、「加齢」の進行に連れて働きが老化し衰えていくという性質(「正常老化の性質」)があるのです。18歳から22歳までがピークで、23歳を過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、直線的に衰えていくのです。「第二の人生」が始まる60代半ばになると、前頭葉の働き具合は、ピーク時の18歳から22歳の頃に比べ、働きが半分以下になっているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとる程、『前頭葉』の働きが更に衰えていく。正常な機能範囲内とはいえ、どんどん低空飛行になっていくのです。
アルツハイマー型認知症の正体は、加齢に起因した「脳の老化」という要因が基盤にあるのです。『加齢に起因した脳の老化』という問題が基盤にあるから、アルツハイマー型認知症の発病は、若者には関係なくて、「60歳代以降の『お年寄りだけ』が、発病の対象になる」(老年発症が特徴)のです(⇒「若年性アルツハイマー型認知症」という病気は、実在していないのです。「側頭葉性健忘症」との異同の要素を知らない医師達が、誤診しているだけなのです)。⇒ 側頭葉性健忘症は、若年で発症するケースが殆ど。「重度の記銘力の障害」に起因した記憶障害の症状を伴うこと(記銘度が低い為に、直前の記憶は想起できるが、短期及び長期の記憶が想起できない)及び「海馬の萎縮」が確認されるのが特徴であり並びに「前頭葉」の機能レベルが正常な機能レベルに在るのが特徴です。これに対し、「アルツハイマー型認知症」の発病である場合は、「前頭葉」の機能が(から)真っ先に異常なレベルに衰えてくるのが特徴なのです。⇒ 「アルツハイマー型認知症」の発病は、単に、「加齢」の延長線上にあるものではないのです。加齢に起因した機能低下という基盤要因とは別の要因、「廃用性の異常な機能低下」という別の要因が加重されることが、発病に不可欠の条件なのです。
注)「意欲、注意集中力と注意分配力」の加齢による老化のカーブ(正常老化の曲線) が示しているように、『加齢』という要因に起因した「前頭葉」の機能低下は、正常な機能範囲の中で、徐々に緩やかに低下して行くという性質が確認されるのです。
2.アルツハイマー型認知症発病者の廃用性の加速度的で異常な機能低下
(1) 厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2020年12月末現在で、600万人超といわれています(⇒「3密の回避」の徹底下で、発病者が大幅に増加)。600万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなくなったり、同居の家族の名前や顔も分からなかったり、ズボンを頭から被ってみたり、トイレの後始末も自分でできないで、セルフケアにも介助が要る、認知症の末期段階の人達なのであり、私たち「二段階方式」の区分で言う重度認知症(「大ボケ」)の人達だけの数なのです。⇒ アルツハイマー型認知症の早期段階として私たちが問題にしている軽度認知症(「小ボケ」)と中等度認知症(「中ボケ」)は、その数に入ってはいないのです。
(2) 『アルツハイマー型認知症』は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病が本態なのであり、症状が徐々に段階的に進むのが特徴です。
昨日まで正常だった人が、いきなり、アルツハイマー型認知症を発病した途端に、同居の家族の名前や顔も分からなかったり、ズボンを頭から被ってみたり、トイレの後始末も自分でできないで、セルフ・ケアにも支障が出て介助が要るようにはならないのです。「前頭葉」を含む脳全体の働き具合を二段階方式のテストで調べてみると、軽い方から順に、「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」の三段階に分かれていることが分かるのです。
注)脳の機能レベルを調べて確認される認知症の三段階を示すデータ
私たち「二段階方式」には、『前頭葉』の機能レベルを「改訂版かなひろいテスト」により、左脳と右脳の機能レベルを「MMSE」により判定した14689例にも及ぶアルツハイマー型認知症の発病者(小ボケ、中ボケ及び大ボケの全ての段階を含む)の「脳機能データ」があります。
私達が問題にしているのは、「大ボケ」に先立つ「小ボケ」と「中ボケ」の段階の存在が見落とされていることなのです。年のせいと言われたり、不活発病の名前を冠せられたり、『MCI(軽度認知障害)』という極めて曖昧な基準の適用対象にされていたりしている段階の「小ボケ」と「中ボケ」とを併せると、その数は、「大ボケ」と同等、或いはそれ以上の数になるのです。大ボケ(厚労省推計600万人)に小ボケと中ボケとを加えると、「アルツハイマー型認知症」の発病者数は、優に1000万人を超える規模になっていると考えられるのです(推定値)。➡発病者の全てが、「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の『高齢者』であることに注意して下さい(加齢による正常老化の要因が基盤に在るため、若年では発症しないのが特徴なのです)。
&3.「アルツハイマー型認知症」の年齢別発生頻度
エイジングライフ研究所(二段階方式)がこれまで集積してきた多数の脳機能データの分析によると、アルツハイマー型認知症を発病する「お年寄り」達の年齢別の割合は、60歳を超える年齢の高齢者で、且つ、第二の人生を送っているお年寄りだけを対象としていて、年をとるにつれて、どんどん増加していくのが特徴です。その割合は、60歳代では12%、70歳代では30%、80歳代では50%、90歳代では75%、100歳代では97%にも上るのです。注)但し、発病する対象となるのは、「第二の人生」を送る高齢者であり、現職で「仕事」(左脳が専管)に従事しているお年寄りは、発病しないことに注意。
※ 仕事に従事している場合であれば、必ず達成すべき目標とその期限とが有り、何時迄に何をどのように為すべきかのシミュレーションが必要となり、状況の分析や理解とその判断、仕事の内容の決定及び実行の仕方の計画や工夫、更には、折々に要求される決断等、『注意の分配力』の機能の出番が多いので、「前頭葉」が活性化する機会が多く、「廃用性の機能低下」が起きてこないのです。山の斜面の畑を耕して暮らす高齢のお年寄りが発病しないのは、その一例なのです。⇔現職で『仕事というテーマ』に従事している限り(名前だけの名誉職は除く)、アルツハイマー型認知症を発病することはないのです。この事象の事実からして、定年退職後の『パート勤務による再雇用』の制度化を検討すべきものなのです。
※上述(前頁)のデータから、次の「三つのことが分かる」のです:
- 『アルツハイマー型認知症』の発病は、50歳代以下の若い人達には関係がなくて、『第二の人生を送っている60歳代以降の「お年寄り」だけが発病の対象になる』のが特徴なのです=『老年発症』が特徴なのです(加齢に起因した前頭葉の機能低下の進行が基盤要因なので、必ず老年発症となるのです=加齢による発病割合数の増加)。
- 年をとる程発病者の割合が増えていき、身体も限界の100歳代では、ほとんどの人(97%)が「アルツハイマー型認知症」を発病しているのです。
- アルツハイマー型認知症のお年寄りの年代ごとの割合が、北海道、東北、関東、東海、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州と日本のどの地域をとってみても、どこもみな殆ど同じであり、基本的に「地域差が認められない」のです。
=極めて多数の症例に基づくこのデータは、脳の使い方と言う視点から見た『生活習慣』要因が、アルツハイマー型認知症の発病、症状の更なる進行、進行の抑制、又は症状からの回復と極めて密接な関係がある(要因)ことを示しているのです。
※アルツハイマー型認知症の発病の要因と考えられるもので、上記4つの条件が全てあてはまるものは、食べ物でも学歴でもない、ましてやアミロイドベータとかタウタンパクとかの蓄積ではなくて、後述するように、①「加齢による脳の正常老化」という問題と② ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に因る廃用性の異常な機能低下の進行という異なる二つの要因が、核心的要因なのです。
加齢による「脳機能の老化」がアルツハイマー型認知症の発病の第一の要因であり、脳の使い方としての単調な「生活習慣」(生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な日々の暮らし方)の継続による廃用性の異常な機能低下の進行が発病の第二の要因であるとエイジングライフ研究所は考えています。第一の要因と第二の要因の同時存在に因る『相剰効果』に因り、前頭葉を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことが、発病及び症状が進行していく原因であり、メカニズムであると考えるのです。即ち、「アルツハイマー型認知症」は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」なのです。それ故、「アルツハイマー型認知症」の症状の進行を抑制したり、症状を治す効能を有する「薬の開発」は、有り得ない事と主張しているのです。
私たち「二段階方式」の考え方及び手技の活用に因る、北海道から九州まで、日本全国452の市町村で展開した「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復、進行の抑制及び発病自体の予防を目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践により実証(疫学的な手法により実証)されているのです。
&4.『アルツハイマー型認知症』の症状の進行の機序と特徴
- 『意識的な世界』(思索や発言や行為や行動の面)における「前頭葉」の役割
「意識的に何かのテーマを発想し、実行に移す」ことは、三頭建ての馬車を運行していくようなものであり、御者なくしては、どんなに立派な馬をつないだところで、馬車は動きようもありません。御者の働きが『前頭葉」の働きだと考えると、分かり易いと思います(「意識」の構造と「前頭葉」の機能の理解が不可欠となります)。意識的(目的的)に何かの「テーマ」を実行する場面では、『前頭葉』が脳全体の司令塔の役割を担っているのです。「アルツハイマー型認知症」の段階的な症状が発現してくる核心的な原因要因が、前頭葉の廃用性の異常な機能低下という要因、『加齢』に起因した機能低下という基盤要因に加重される要因の存在なのです(症状が「記憶障害」に起因して発現すると想定している内容、米国精神医学会が策定した診断規定である『DSM―4』の「第一要件」の規定内容は、重大な誤りを犯しているのです。
※『前頭葉』の個別認知機能(『実行機能』=Executive Functionと総称されている。分析、理解、評価、判断、発想、企画、計画、考察、洞察、推理、検索、憶測、シミュレーション、比較、検討、選択、決定、決断、抑制、感動等=個別の認知機能の例示)が発揮されるには、意欲、注意の集中力及び『注意の分配力』の機能が関わることが構造的に必要となるのです)。
※『評価の物差しと実行機能』の機能の発揮及び発揮度は、意欲、注意の集中力及び『注意の分配力』(前頭葉の三本柱の機能)の機能、就中、注意の分配力の機能に支配され/下支えられているという『機能発揮上の二重構造』が存在しているのです(「二段階方式」が、世界で初めて解明)。
※『注意の分配力』の機能とは、『3つ以上の』異なる複数の意識的なテーマを同時に並行して、且つ、重層的に処理する為に不可欠の機能であり、異なる複数の同時に並存している意識を構築し、統合し、統括し、管理し、コントロールしている機能なのです。⇒行き慣れた道を運転しているときのことと想像してみて下さい。 「枝道が左方向に伸びたT字路」になっていて、右に緩やかに曲がっている交差点を通過し、自分は右方向に曲がって行きたいと考えていて、進行してきていると考えてください。『注意の分配力』の機能が低下していると(小ボケや中ボケのレベル)、事故が起きやすいのです。信号が赤に変わったとき、赤だなと認識はするのです。実は、その後が問題なのです。本来は、停止すべきなのです。運転している本人は、信号に差し掛かる前から、何か心に引っかかるテーマをずっと考えて運転してきている状態を想像して下さい。①信号が赤であるという認識と理解と認識の保持、②赤なので停車して待っていないといけないという理解と認識の保持、③自分は交差点を右方向に通過して行くという目的と認識の保持等、種々雑多な意識が混在しているのです。それらの異なる複数の意識を、「注意の分配力」の機能が、統合し、管理し、更には、右に向かっていきたいという意欲を抑制し、コントロールしつつ、信号が青に変わるのを待っていることが、適切に行える為には、『注意の分配力』の機能が正常な機能レベルで働くことが必要不可欠のものとなるのです(極めて重要な視点なのです)。廃用性の異常な機能低下の進行により、「注意の分配力」の機能が異常な機能レベルに在ると、赤との認識が有りながら、停車せずに進行して行ってしまうのです。これは、運動神経の問題ではなくて、注意の分配力の機能の廃用性の異常な機能低下の問題なのです。「第二の人生」を送っている高齢者が、アルツハイマー型認知症を発病していて、「小ボケ」(「中ボケ」の前期のケースさえある)のお年寄りが、咄嗟の認知や判断や処理が出来なくなっていて、小さな事故を繰り返している世界なのです(道路の中央寄りを、30kmほどの速度で、ノロノロ運転し、後ろに車を何台も従えていることにも気づかないで運転しているのです)。 ところが、意識の機能構造については未だに解明されていなくて、定説が無く、ましてや、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化の進行と深くかかわるテーマであることが、未だに気づかれていない為、加齢による運動機能の老化の問題と誤解されているのです。
- 単調な「生活習慣」の継続と『アルツハイマー型認知症』の発病
「前頭葉」の働きには加齢と共に機能が低下(正常老化)していく性質があり、正常な老化の場合でも、「第二の人生」が始まった60歳代半ばになると働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えてきているのです(二段階方式の手技の活用により集積した脳機能データ=「正常老化の性質」が、事象事実としての証拠資料なのです)。
「第二の人生」を送っている、60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りが、脳を積極的には使わないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」(自分なりに追求する特定のテーマがなく、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない単調な『生活習慣』)を日々続けていると、廃用性の異常な機能低下が惹起され、『前頭葉』を核心とする脳全体の機能の老化が加速され、異常なレベルに加速度的に衰えていくことに因り、「アルツハイマー型認知症」を発病し、症状が進行していくのです。「アルツハイマー型認知症」の本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の『生活習慣病』に過ぎないのです(「二段階方式」独自の主張=世界で初めて解明)。
3「アルツハイマー型認知症」の重症度分類(「三段階」に区分される症状)
前述のように「アルツハイマー型認知症」は、日々の脳の使い方としての視点で言う生活習慣、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続が発病及び症状の進行を左右する最も重要で核心的な要因となる意味での「生活習慣病」なのです。
「加齢に因る脳の正常老化の進行」と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に因る廃用性の異常な機能低下の進行」という「異なる二つの要因」が重なることに因り、その相剰効果で、「前頭葉」を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させることに起因して発病し、症状が進行していく「アルツハイマー型認知症」は、『前頭葉』を含む脳全体の機能の衰え方にも明確な特徴があります。これは事象事実であり、「4つの仮説」の主張は全てが誤りであることの『決定的な証拠資料』なのです。
その「衰え方の特徴」とは:最高次機能である『前頭葉の働き』が、最初に、異常なレベルに衰えていくこと。次いで、高次機能である「左脳と右脳と運動の脳の働き」がその順番に異常なレベルに衰えていくこと。更に、MMSEで判定される高次機能(左脳と右脳)には「衰えていく厳密な順番」があること。
従って、①脳の機能がどこまで衰えているのか及び②その脳の機能レベルでは、どんな症状を特徴的に示すのかを調べることで、アルツハイマー型認知症を発病している人の認知障害のレベル(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」)を『客観的に判定することができる』のです。
エイジングライフ研究所が開発した「二段階方式」の手技は、御者の働きをする前頭葉の働き具合を『改訂版かなひろいテスト』で判定し、馬の働きをする左脳と右脳の働き具合を『MMSE』で判定し、両者の機能レベルを個別に/及び総合的に判定することにより、『アルツハイマー型認知症』の発病の有無及び重症度を客観的で精緻に判定できます。更には、回復が困難で介護するだけの「大ボケ」と回復可能な早期の段階の「小ボケ」と「中ボケ」を明確に区別して、脳の機能レベル毎の適切な対応が出来る工夫がされているのです。
※即ち、「小ボケ」と「中ボケ」に対しては、第一義的には、脳のリハビリの実施に因る正常な機能レベルへの回復を目的とし、回復が困難な(症状を治すことが出来ない)場合でも、第二義的には、症状の進行の抑制により、介護が不可欠となる「大ボケ」の段階には進行させない『介護の予防』の達成を目的としているのです。
〇世界中の権威とされる機関や人達の間では、『アルツハイマー型認知症』の発病については、発病との間の因果関係の存在を立証できていないアミロイドベータ仮説が通説の地位にあって、失語や失認や失行紛いの症状が発病の初期症状だと誤解した儘で、本人と家族の申告及び医師が「物忘れの症状」を外観から主観的に観測しただけの判定基準に過ぎない「MCI」(軽度認知障害) という基準が幅を利かせていて、『アルツハイマー型認知症の発病の前駆的状態』とする誤りの内容の説明が横行しているのです。
「アルツハイマー型認知症」の本態は、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」に過ぎないのです。「アルツハイマー型認知症」は、第二の人生を送る上での日々の『脳の使い方』としての視点で言う『生活習慣』、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続が発病及び症状の進行を左右する最も重要で核心的な要因となる意味での『生活習慣病』なのです。
「加齢に因る脳の老化」と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続に因る廃用性の機能低下の進行」という「異なる二つの要因」が重なることに因り、その相剰効果で、『前頭葉』を含む脳全体の機能が廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていく「衰え方の特徴」とは:①『前頭葉の働き』だけが、最初に、異常なレベルに衰えていくこと。次いで、②「前頭葉の働き」が、更に異常なレベルに衰えていきつつ同時に並行して、「左脳と右脳と運動の脳の働き」が異常なレベルに衰えていくことなのです。従って、『前頭葉』を含む脳全体の機能がどこまで衰えているのか及びその脳の機能レベルでは、どんな症状を特徴的に示すのかを調べることで、アルツハイマー型認知症を発病している人の認知症のレベル(「小ボケ」、「中ボケ」、「大ボケ」)を判定することができるのです。エイジングライフ研究所が開発した「二段階方式」の手技は、御者の働きをする前頭葉の働き具合を『改訂版かなひろいテスト』で判定し、馬の働きをする左脳と右脳の働き具合を『MMSE』で判定し、両者の機能レベルを個別に/及び総合的に判定することにより、『アルツハイマー型認知症』の発病の有無及び三段階に区分される重症度を精緻に鑑別し判定できるのです。
&5. 症状を『三段階』に区分する基準とその意味
(1)「小ボケ」の段階
①「前頭葉」の機能レベルが、異常なレベルであること(「改訂版かなひろいテスト」の実施結果が不合格と判定されること)並びに②左脳及び右脳の機能レベルが正常なレベルであること(MMSEの換算値が24点以上と判定されること)であり、「脳のリハビリ」により症状を治すこと及び進行の抑制が比較的に容易な段階
(2)「中ボケ」の段階
①「前頭葉」の機能レベルが、異常なレベルであること(「かなひろいテスト」の実施結果が不合格と判定されること)並びに②左脳及び右脳の機能レベルが異常なレベルであること(MMSEの換算値が23点以下15点以上と判定されること)であり、「脳のリハビリ」により症状を治すこと及び進行の抑制が未だ可能な段階。
(3)「大ボケ」の段階
①「前頭葉」の機能レベルが、異常なレベルであること(「かなひろいテスト」の実施結果が不合格と判定されること)並びに②左脳及び右脳の機能レベルが更に異常なレベル(MMSEの換算値が14点以下と判定されること)であり、「脳のリハビリ」による症状の進行の抑制さえも最早困難な段階。
&6 ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まる契機となる「キッカケ」の発生
(1)「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要因」である「加齢による脳の老化」という条件は誰にでも共通した条件なのですが、「第二の要因」である『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣』の継続による廃用性の異常な機能低下の進行という条件は、「第二の人生」を送る個々人によって違います。自分なりのテーマに挑戦する「意欲」を喪失させ、脳の老化を速める「キッカケ」となる生活状況や出来事を大まかに分類すると下記(2)の通り。
※本人の生きる意欲を支えてきた「それまでの生活習慣(楽しみや喜びや生き甲斐の元)を継続できなくなる」ことがキッカケで心が折れてしまい、挑戦していく『意欲』を何事に対しても喪失して行くことになるのです(その結果、『ボケーとした暮らし方』=「脳の使い方」としての単調な『生活習慣』が継続されていくことになるのです)。
- 趣味も遊びも交友もなく、「仕事一筋の人生」を送ってきた人にとっての「定年退職」;
- 趣味だけが生き甲斐の人が、その趣味を中止せざるを得なくなること;
- 親や兄弟、子や孫、友人、ペットなど大事な人や動物との離別や死別;
- 自身の重い病気や大きなけがなど肉体的に困難な状況の発生と継続;
- 子供の失業や借金問題、孫の不登校など家庭内に重大な問題の継続;
- 配偶者や家族の看病や介護に追われるだけの毎日の暮らし方etc.
- 重大な災害の発生で、財産や家族や友人や近隣関係や職場を失うこと
- 同居の息子が結婚し、自分の役割を失うこと
※とはいえ、同じような状況になっても、受け止め方は異なるので、一人一人の生活習慣(日々の脳の使い方)の変化の有無と程度は、それぞれに違うことになります。心が折れて意欲を失うことになるか/ならないかは、「キッカケ」となるか、/ならないかは、『本人の受け止め方次第』なのです。
(3)『キッカケ』が、どんなものであるかは、重要ではないのです。『その人』にとっては、そのことが「キッカケになった」という程度の意味でしかないのです。重要なことは、「キッカケ」の発生と継続を契機にして、心が折れてしまい、『意欲を喪失』してしまうことなのです。意欲を喪失してしまった結果として、『趣味であれ、人付き合いであれ、運動であれ、何らかの社会活動に対する参加であれ、何事に対しても、挑戦しようとしなくなっていった』ということが、『廃用性の機能低下の進行』という視点から、極めて重要なことなのです。その状況変化により、「第二の人生」を送る上で展開されてきたその人の『脳の使い方』としての「生活習慣」がどのように変わったのかが、極めて重要なのです。『キッカケ』の発生を契機に、その人なりの喜びや楽しみや生き甲斐の基礎となっていた「これまでの生活」が無くなり、日々の営みに対して意欲を喪失した結果、前頭葉の出番が極端に少ない生活習慣に変わってしまうことで、その人の『前頭葉』が、廃用性の機能低下を進行させていくことになるのです。
(4) これまでの生活実態を具体的に聞き出し、単調な生活習慣が継続していたことを確認し、廃用性の機能低下の進行により脳の老化が加速された現在の状態について、本人や家族に対し明確にさせることが、生活改善(脳のリハビリ)指導のスタートでもあり、生活指導の根幹をなすものでもあるのです。脳の使い方としての「生活習慣」と言う視点からその人の生活を具体的に振り返り、何を「キッカケ」にして、意欲を喪失して、単調な生活習慣に変わり、前頭葉の出番が極端に少ないナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」=注意の分配力の出番が減ってしまい実行機能の使い方が減ってしまった生活習慣の継続の実態を具体的に確認することが重要不可欠の作業となるのです。
(5)「キッカケ」の発生後から検査時に至るまでの期間の生活実態を具体的に聞き取り、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が継続されてきたことを確認し、「二段階方式」のテスト結果が示している「前頭葉」を含む脳全体の機能について、脳の老化が加速されてきた結果としての現在の状態(「脳の機能レベル」及びその反映としての「症状」)について、本人や家族に対し明確にさせることが、今後の生活改善(「脳のリハビリ」)の実施指導のスタートでもあり、生活指導の根幹をなすものでもあるのです。
(1)「二段階方式」の実施の目的と意義は、早期診断による回復(本当の意味での早期の段階である「小ボケ」及び「中ボケ」の段階で発病を見つけて、脳のリハビリの実践指導により、「アルツハイマー型認知症」の発病患者を治して見せること)の実績を積むことに因り、「介護の予防」(症状を「大ボケ」の段階にまで進行させないこと)だけでなく、第一次予防となる「発病自体の予防」という「テーマ」について、地域住民、当該市町村の首長、更には、国政に携わる官僚や政治家たち、最終的には、国民全体に情報発信していき、我が国が国策として実施すべき命題であることを理解させ、努力させることにあるのです(治らないのは、医師達が見つけている段階が遅すぎる為なのです)。早期診断(小ボケ及び中ボケの段階で見つける)に基づいた「脳のリハビリ」の実践の指導により、実際に治して見せることが出来ないで、発病の予防の為の「脳イキイキ教室」を運営しているだけというのでは、不十分というしかないのです。教室で見つけた「小ボケ」は、教室で治して見せるべきなのです。
(2)『一定規模の売上高を稼ぎ出すことが至上命題』である医療機関には、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復を目的とする業務も、発病自体の予防を目的とする業務も、両業務共に、医療機関には期待することが出来ないという問題を認識して頂きたいのです。医療機関が発病の診断と称して使いまくっているCTやMRIやSPECTやPET等の機器の使用が、早期診断に不必要であり(「二段階方式」という神経心理機能テストの活用だけで早期診断が可能)、薬の処方も要らない(「脳のリハビリ」の実施のみが、症状を治すことが出来る唯一の方法であり、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病が本態であるアルツハイマー型認知症の場合は、症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、発病を予防することが出来る効能を有する薬が開発されることは未来永劫有り得ない)のです。早期診断による回復の業務も、発病自体の予防業務も、両者共に、売り上げを稼ぎ出すことが命題とならない市町村の業務となるべきものであり、その実践の指導(政府に提言を企図している、「二段階方式」の考え方に基づいた及び二段階方式の手技を活用した、「アルツハイマー型認知症」の早期診断による回復及び発病の予防を明確な目的とした住民参加型の「地域予防活動」の実践展開)を担うことが出来る人達は、市町村の保健師さん達しかいないことを理解し、自覚して欲しいのです。発病の予防事業は、地方の地域の活性化にも繋がることになるのです。
&8.『アルツハイマー型認知症』の発病者の脳機能の衰え方の特徴
(1) 脳機能低下の「4つの特徴」
アルツハイマー型認知症は、「加齢」による脳の正常老化と「ナイナイ尽くしの単調な生活習慣」の継続に起因した廃用性の異常な機能低下という、異なる二つの要因が重なることにより、その相剰効果としての「廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行」により、『前頭葉』を含む脳全体の機能が衰えを進行させていく際に、「4つの特徴」が確認できるのです。
※個別事例の判定に際し、脳の後半領域(MMSEのテスト結果)が異常なレベルに在る(換算値が23点以下である)のに対して、前頭葉の機能(改訂版かなひろいのテストの結果)が正常なレベルと判定されるケースに出会うことがあります。このケースは、アルツハイマー型認知症ではなくて、『側頭葉性健忘症』を疑います(脳の変性によるもので、新しい記憶が入っていかないことに因る重度の記銘力障害と海馬の萎縮が確認されるものの、前頭葉の機能が正常なレベルに保たれているのが特徴です)。
※「キッカケ」の発生と継続で心が折れて、意欲を喪失し、ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が開始され、半年から1年の経過で発病します。発病から3年の間が『小ボケ』の期間、次いで、2~3年の間が『中ボケ』の期間となります。即ち、発病から5~6年経つと、『大ボケ』になる」が大原則(標準的な滞留期間)なのです。
(2) MMSEで判定する下位項目について、脳機能低下の厳密な規則性が存在
私たち「二段階方式」は、改訂版かなひろいテスト(前頭葉の機能テスト)とMMSE(左脳と右脳の機能テスト)を同時に施行した14,689人のテスト結果の脳機能データを有していて、詳細に解析しています(世界に誇れる内容の脳機能データであり、正常、小ボケ、中ボケ、大ボケの全ての段階が含まれる脳機能データの解析結果)。
(3) 改訂版「かなひろいテスト」の成績良好群には、MMSEの成績が悪いケースはありません。
「かなひろいテスト」の成績が悪くなっていくと、MMSEの成績には満点から0点まで大きな幅が見られます。MMSEの総得点が30点満点でも、かなひろいテストが0点のケースさえ数多くみられるのです。このことはとても重要なことなのです。通常使われているMMSEのような知能検査だけでは、前頭葉機能の衰えは発見できないことを意味しているのです。
※即ち、前頭葉の機能テストを実施してみないと、脳機能の老化が加速された初期の状態(回復可能な早期の段階)をキャッチすることが、できないということなのです。
※医療機関は、テストを実施する場合でもMMSEテストの実施だけで、お茶を濁しているのです(ひどい場合は、外観からの主観的な観察だけが基礎である「軽度認知障害」【MCI】の基準で説明するだけのこともある)。
(4)「MMSEテスト」の実施により確認される『下位項目の低下順』の規則性
『4つの仮説』の主張内容が誤りであることの科学的で客観的で、極めて重要な証拠データを、私たち二段階方式は集積し、持っているのです。「MMSEで測定される高次機能には、衰えていく順番が認められる」という「衰え方の順番の厳密な規則性」が存在することなのです(事象の事実)。
各下位項目の「項目困難度」を示す指標である完全正答率50%(各下位項目について、満点をとる人が50%になる時のMMSEの総得点)のグラフを掲示したいのですが、字数枠の関係で省略しています。
※1 この脳機能データの意味するところは、廃用症候群に属する老化・廃用型の「生活習慣病」(但し、食生活ではなくて、脳の使い方としての生活習慣)が、発病及び症状が重症化していく核心的な原因である認知症、言い換えると、『脳の老化』が加速されたアルツハイマー型認知症の場合には(且つ、その場合に限り)、MMSEで判定される下位項目がこの項目の順番に衰えていく(出来なくなっていく)という厳密な規則性が認められるのです(アミロイドベータの蓄積とは無関係なのです)。
⇒ アルツハイマー型認知症であれば(且つ、その場合に限り)、想起、注意と計算、時の見当識、所の見当識、三段階口頭命令、図形の模写、文を書く、記銘、書字命令、復唱、命名の順番に出来なくなっていきます(衰え方の『基本原則』となります)。※2上記順番と異なるときは、「アルツハイマー型認知症」の発病ではないのです。
※3 MMSEの換算後の総得点が高いのに、減点を構成する項目が、本来であれば項目困難度が極めて低い項目で構成されるケースの場合があります。この場合は、アルツハイマー型認知症ではなくて、失語症や神経症を疑います。
⇒ この衰えていく順番は、「アルツハイマー型認知症」であるか否かの鑑別、「アルツハイマー型認知症」と紛らわしい他の種類の認知症、認知症と紛らわしい他の病気との鑑別に際して、『極めて精緻な鑑別を可能とする客観的な指標』となるのです。