棋楽庵の九州将棋ふまわり日記

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■「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO12」(第21回アマチュア竜王戦全国大会観戦記6:平成20年)

2009年06月25日 | ◆由太郎ノート
★「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.12」
 (第21回アマチュア竜王戦全国大会観戦記6:平成20年)

                        主催:読売新聞社

[観戦記:山崎由太郎]
 (編集責任)棋楽庵



<準々決勝>(平成20年6月29日)>
▲古崎宏二(富山県)
△早咲誠和(大分県)



=第1譜=


(指し手 1~20)
▲7六歩  △8四歩  
▲6六歩  △6二銀  
▲7八銀  △5四歩  
▲6七銀  △3二銀  
▲7七角  △3一角(第1図)  
▲8八飛  △5三角  
▲5八金左 △4二玉  
▲4八玉  △3一玉  
▲5六銀  △8五歩  
▲4五銀  △8四飛(第2図)

 準々決勝の相手は富山県代表の古崎
宏二さんです。戦形は早咲さんの引き
角に対して古崎さんの向かい飛車によ
る戦いです。

 今回のアマ竜王戦で早咲さんの相手
は引き角に対し穴熊に組んでいました
が、古崎さんは銀を進出させ早々と早
咲さんに圧力をかけてきました。かな
り、嫌な手です。嫌な手ですが、将棋
的にはちょっと無理気味ではないかと
思ってます。

 今の僕の将棋観ではこのような歩の
からまない銀はあまりいい手ではない
ような気がしてます。本当に嫌なのは
嫌なんですけどね。また、こういう手
は好きではあるんですが。…なんか矛
盾してきてしまいましたね。(苦笑)

 さて、この後の二人の構想に注目し
てみましょう。



=第2譜=


(指し手 21~40)
▲6五歩  △2二玉  
▲3八銀  △7四歩  
▲5四銀  △4四角  
▲4五銀  △7七角成 
▲同 桂  △7五歩  
▲同 歩  △2八角  
▲4六角  △7三桂  
▲3六歩  △4六角成 
▲同 歩  △5五角  
▲6七金  △6五桂(第3図)

 感想戦や局後の話から▲3八銀を見
て、早咲さんは「?」と感じ、古崎さ
んは「…危ない? …大丈夫か」と感
じたとのことです。強い人は具体例に
行く前の「?」や「!」と感じる時が
早いように感じます。

 全然関係のない話なのですが、僕が
中学1年生くらいの時、つまり10年
くらい前の時、早咲さんから詰め将棋
を出題されたことがあります。僕以外
にも人が集まっていてみんなでその詰
め将棋を解くことになりました。しか
し、いくら考えても詰みません。そこ
で、諦めの早い僕達は早咲さんにヒン
トをもらうことに。そこで言われた早
咲さんの言葉は今でもはっきり覚えて
います。「詰むとわかっているだけで
大ヒント」。

 はじめは冗談かとも思いましたが
(笑)、今考えると深い言葉だと思っ
ています。つまり、何がいいたいかと
いうと、「?」や「!」と感じられる
だけで、感じない人と比べその人はか
なり遠くの世界にいるということです。

 ▲3八銀を見て「?」と感じた早咲
さんですが、その「?」を具体例にす
べく動いていきます。「?」「!」と
感じられるだけでも凄いと思うのです
が、早咲さんはその「?」「!」を具
体例にして実現させる力が半端ではあ
りません。これがアマトップたる所以
なのでしょう。

 古崎さんの「…危ない? …大丈夫
か」は△2八角の筋が「危ない」で、
▲4六角の筋が「大丈夫」と推察しま
す。普通は2八に角を打たれたら悪い
はずなのですが、今回は▲4六角があ
るので部分的には受かっているようで
す。そう「部分的」には。

 しかし、全体を見るとどうでしょう
か。それでは早咲さんの手を追ってみ
ましょう。あと、ちなみに古崎さんが
▲3八玉としていればこんなことには
なりませんでした。これは感想戦でも
言われていましたが確かにそうです。
そうなんですが、ここはそこよりも▲
3八銀を疑問手にすべく動いた早咲さ
んがすごすぎるんです。



=第3譜=


(指し手 41~60)
▲6六歩  △7七桂成 
▲同 金  △4六角  
▲3七銀  △7三角  
▲9五角  △5二金右 
▲6五桂  △3七角成 
▲同 玉  △9四飛  
▲9六歩  △7六歩  
▲6七金  △5五桂  
▲5六金  △6七桂成 
▲3五歩  △4四歩(第4図)

 △7六歩(参考1図)が痛打! ▲
同金には△9五飛車~△6七角です。
第4図ではちょっと差がつきつつあり
ます。





 

                 



=第4譜=


(指し手 61~74)
▲3六銀  △7七歩成 
▲9八飛  △7六と  
▲4六金  △6六と  
▲4二歩  △同金上  
▲7三桂成 △5三銀  
▲6三成桂 △同 金  
▲5一角成 △5七成桂(第5図)

                  



=最終譜=


(指し手 75~84)
▲7二角  △6二歩  
▲5五金  △4一金  
▲6一馬  △5六と  
▲5四歩  △同 金  
▲同 金  △同 飛(最終図)
まで、84手で早咲さんの勝ち

 △7六と~△6六とで早咲さんの攻
めは切れなくなりました。古崎さんも
▲5一角成、▲7二角といやらしくせ
まりますが、△6二歩、△4一金(参
考2図)が冷静で、84手目の△5四
同飛を見て古崎さん戦意喪失、投了と
なりました。

 古崎さんの疑問手を疑問手にして、
そのまま優位を拡大し早咲さん快勝。
準決勝に駒を進めました。





 


 

◆関連リンク
「第21回アマチュア竜王戦全国大会」結果-NO.1(平成20年6月28・29日:東京都「チサンホテル浜松町」)
 ・決勝トーナメント
 ・九州・沖繩・山口各県代表選手成績
「第21回アマチュア竜王戦全国大会」結果-NO.2(平成20年6月28・29日:東京都「チサンホテル浜松町」)
 ・予選リーグ成績  1組~ 5組
「第21回アマチュア竜王戦全国大会」結果-NO.3(平成20年6月28・29日:東京都「チサンホテル浜松町」)
 ・予選リーグ成績  6組~10組
「第21回アマチュア竜王戦全国大会」結果-NO.4(平成20年6月28・29日:東京都「チサンホテル浜松町」)
 ・予選リーグ成績 11組~15組



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