★「由太郎ノートNO.019-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:有段者編」
▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
棋譜解説:平成21年全日本アマチュア将棋名人 山崎由太郎
編集責任:棋楽庵
▲県名人 早咲誠和
△挑戦者 神品和男
=第1譜=
=第2譜=
=第3譜=
=第4譜=
◆関連リンク
→「由太郎ノートNO.015-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:級位者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.016-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:有段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.017-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:高段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.018-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:級位者編」 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
→「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.1(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
→「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.2(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
▲▲ ナビ犬京香のまったりINFORMATION △△
▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
棋譜解説:平成21年全日本アマチュア将棋名人 山崎由太郎
編集責任:棋楽庵
▲県名人 早咲誠和
△挑戦者 神品和男
=第1譜=
(指し手 1~29) ▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △5四歩 ▲6八玉(第1図) △4三銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲7八銀 △3二金 ▲7九玉 △8四歩 ▲4六歩 △6二銀 ▲4七銀 △5三銀 ▲5六銀 △5二金 ▲3六歩 △4一玉 ▲3八飛(第2図) |
この戦型は、このクラスの方が一番 興味を持って見てたかもしれません。 雁木に右四間と力自慢のおじさん達が よく使いそうな戦型です。 実は、この戦型は僕もこのクラスの 時にかなり指し込みました。どちらも 有力と思いましたが、なんと言うので しょうか、一般的な定跡形の方がより 有力と思い始め、無理に自分から形を 決めることはないということで、いつ のまにかやめてしまいました。 ただ、早咲さんの指した▲3八飛は 見えた方がいなかったのではないでしょ うか。やはり、みなさんは▲4八飛を 予想されたでしょう。 実は、この局面は攻勢をとるなら4 つの形があるのです。まずは、みなさ んが大好きな右四間▲4八飛。玄人好 みの▲3八飛、▲2六飛。また、今回 は△4五歩の反撃があるので成立しま せんが、▲7七角~▲5九角~▲2六 角の3手角もあります。いずれも、有 力で早咲さんは今回、▲3八飛を選ん だということです。 強くなると言うのは、迷わなくなる のではなく、迷うようになるものだと 思っています。このクラスの人たちは 「なぜ▲4八飛と指さないのだろう?」 でしょうが、上手い人達は「▲4八飛、 ▲3八飛、▲2六飛いずれも有力、さ てどうしよう」ということになります。 ただ、もう1つ上の領域があり、こ れは僕より遥かに上の世界ですが、こ の局面では▲3八飛の一手という考え です。下の者から上の者なんて評価で きませんからわかりませんが、早咲さ んはその世界にいるのかもしれません。 これは、ある有名なプロ棋士が言っ た言葉ですが、「強いというのはどれ だけ読めるかではなくどれだけ省ける か」だそうです。これは、個人的には 好きな言葉でいい言葉だと思います。 |
=第2譜=
(指し手 30~48) △8五歩 ▲7七角 △7四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 飛 △3四歩 ▲3六飛 △7二飛 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 飛 △7五歩 ▲3四歩 △5一角 ▲6六角 △7六歩 ▲8五飛 △8二歩(第3図) |
おそらく、このクラスが一番自爆す る局面が第3図でしょう。僕は、この クラスにいたことが長かったのでよく わかります。 ありがちなパターンなのが、第3図 から▲7五飛△同飛▲同角で飛車を打 ち合って、最後に7六の拠点に泣かさ れるというというものです。 ▲7五飛が良いか悪いかはさておき、 後手の△5一角(飛車の打ち込みに強 い)、△7六歩(7七にぶち込む拠点) を活かすような指しては避けたいとこ ろです。 では、どうするのか。皆さん、将棋 は何からでしたか? |
=第3譜=
(指し手 49~59) ▲4五歩 △3三歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲3七桂 △3四歩 ▲4四歩 △同銀右 ▲2二歩 △同 金 ▲4五銀(第4図) |
「将棋は歩から」ということで▲4 五歩。そして、神品さんも同じく将棋 は歩からということで、△3三歩。こ こですよ。有段者が高段者に騙される 局面というのが。 高段者は有段者に「アレ? 調子良 いと思ったんだけど、俺の攻めってあ んまりうまくいってなかったのかな?」 という疑心を持たせる指し方をしてく るのです。そして、9割方が以下有段 者側が自信を失って自爆というパター ンです。 ▲2四歩~▲2二歩は高級な手筋で す。おそらく、四段の人も見えてなかっ たのではないですか。▲3七桂は高段 者なら第一感なんですが、2筋の絡み を入れられるかどうかがポイントです。 有段者の人には今の攻めは難し過ぎ るでしょうから、流れと▲3七桂とい う全ての駒を働かせようとする感覚を 学んで欲しいです。あと出来れば、 「手順に」全ての駒を働かせるという ことを学んで欲しいです。 言い方が難しいのですが、早咲さん の攻めは、手順として繋がっていませ んか?ブチッ、ブチッと攻めが途切れ てません。 注目してほしいのは ・▲4五歩の「将棋は歩から」 ・2筋の絡みで、角に活を入れる ・▲3七桂は遊んでた桂馬の活用+銀 に活を入れる という点です。 気が付きましたか? はじめは歩だ けの絡みだったのに手順が進めば飛・ 角・銀・桂と攻めの理想形になってい ます。 これぞ、早咲マジック!! 早咲さんの攻めというのは、はじめ は歩だけでも、気が付いたら攻め理想 形になっているのです。この理由は僕 の実力不足でまだ解明出来てません。 お伝えできなくてごめんなさい。 「まだ、歩だけの攻めだ」→「! 飛車、角が来たな、だが、大駒だけの 攻めは怖くない」→「うっ、銀がきや がった」→「げげげ、桂・香まで働き はじめた」→「ぐはっ、…投了」この 思考回路を対早咲戦で何回繰り返した ことか、ううっ。(T_T) 手順はまだ続きますが、以下は高段 者編に飛びます。 |
=第4譜=
(指し手 60~133) △5五銀 ▲4四歩 △6六銀 ▲同 歩 △3二銀 ▲6一銀 △9三桂 ▲6五飛 △7四飛 ▲3四銀 △6四歩 ▲2三歩 △1二金 ▲3五飛 △3三歩 ▲5二銀成 △同 玉 ▲4三銀不成△同 銀 ▲同歩成 △同 玉 ▲4四銀 △同 玉 ▲4五飛 △5三玉 ▲4一飛成 △8四角 ▲4五桂 △6三玉 ▲6一竜 △7三玉 ▲7二金 △8三玉 ▲6三竜 △7三銀 ▲5三桂成 △4一角 ▲6一竜 △6六角 ▲6三成桂 △8八銀 ▲6八玉 △7七歩成 ▲5九玉 △8四銀 ▲9一竜 △7六飛 ▲7七銀 △同銀成 ▲4一竜 △6七銀 ▲同 金 △同成銀 ▲5六角 △6五銀 ▲6七角 △5七角成 ▲7六角 △同 銀 ▲5八銀 △7五馬 ▲4三竜 △3七角 ▲4八歩 △同角成 ▲同 竜 △同 馬 ▲同 玉 △4三飛 ▲4七角 △5六金 ▲8二金 △同 玉 ▲7二飛(投了図) まで、133手で早咲さんの 勝ち |
っと、思いましたが、1つだけ言い たいことがありました。 「知る者は言わず言う者は知らず」 (老子) 良い言葉ですね。僕の好きな言葉の1 つです。 131手目(▲8二金)では▲9二 角で詰みとわかった方は強い。強いで すが、それを口にする人は僕の経験か ら言えることは、九分九厘、弱い人で す。 ちなみに、本譜132手目△7四玉 なら後手玉は詰みませんが、▲8三角 以下5六金を抜かれて終わり。 なんと言うのでしょうか、今回はど うでもいい事でもあるのですが、強く なってくると、「実戦心理」というも のを考えるようになります。つまり強 くなってくると相手の間違いというも のをあまり指摘しなくなってきますし、 指摘する場合でも、指摘する側が申し 訳なさそうに言っています。 感想戦などで第3者などの言動を見 ておけば、その人が強いか強くないか わかって結構面白いです。以上、豆知 識?でした。 |
◆関連リンク
→「由太郎ノートNO.015-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:級位者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.016-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:有段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.017-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第1局解説:高段者編」 ▲神品和男 対 △早咲誠和(平成21年7月12日対局)
→「由太郎ノートNO.018-第63期大分合同アマ将棋名人戦3番勝負第2局解説:級位者編」 ▲早咲誠和 対 △神品和男(平成21年7月12日対局)
→「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.1(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
→「第63期大分合同アマ将棋名人戦三番勝負」結果-NO.2(平成21年7月12日:大分市「割烹 百合」)
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