★「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.2」
(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ2回戦>:
平成19年9月16日)
[観戦記:山 由太郎]
※筆者については予選リーグ1回戦の観戦記で詳しく紹介しています。
予選2回戦は早咲さんと首藤さんの対戦です。1回戦の観戦記とは違った書き方を
してみたいと思います。まずは、僕が棋譜採り中に考えていることをよりリアルに
感じてもらうために、観戦中に僕が思ったことを羅列していこうと思います。そし
て、次にまとめの文を書いていくという形式です。
<予選リーグ2回戦>
▲首藤正人
△早咲誠和
◆関連リンク
→「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.1」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ1回戦>:平成19年9月16日)
→「第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会」結果-NO.1(平成19年9月16日:大分市「稙田公民館」)
・入賞者
・A級~C級成績詳細
→「第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会」結果-NO.2(平成19年9月16日:大分市「稙田公民館」)
・改元大会成績詳細
・熱戦譜 [A級決勝]▲早咲誠和 対 △泉翔太
・ミニミニ写真館
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(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ2回戦>:
平成19年9月16日)
[観戦記:山 由太郎]
※筆者については予選リーグ1回戦の観戦記で詳しく紹介しています。
予選2回戦は早咲さんと首藤さんの対戦です。1回戦の観戦記とは違った書き方を
してみたいと思います。まずは、僕が棋譜採り中に考えていることをよりリアルに
感じてもらうために、観戦中に僕が思ったことを羅列していこうと思います。そし
て、次にまとめの文を書いていくという形式です。
<予選リーグ2回戦>
▲首藤正人
△早咲誠和
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲6八銀 △6二銀 ▲4六歩(第1図) |
[観戦中] 「首藤さんが相手か、早咲さんの立石流対策が見れるな。どう指 すかな。」 ▲2六歩 「あれれ?僕が知らない間に棋風を変えたのかな?首藤さんが居 飛車なんて見たことないな」 △3四歩▲7六歩△4四歩▲4八銀△4二銀▲5六歩△5四歩▲ 6八銀△6二銀 「う~ん 本格矢倉に進みそうだな。早咲さんは△8四歩を突い てない一手をどう活かすんだろう?」 ▲4六歩 「!なるほどね、右玉か陽動か。首藤さんなら陽動かな。」 [解説] 本譜のオープニングにはかなり衝撃を受けました。僕が大分に居 たころで、首藤さんの初手▲2六歩は見たことがなかったからで す。また、僕は過去に数局首藤さんとは指しているはずですが、全 て首藤さんの立石流だったはずです。はじめは完全に居飛車党に転 身されたのかと思いましたが、どうやら違ったようです。 僕は右玉、陽動振り飛車ともに、序盤をなんとなくで指している 戦形なので、首藤さんがどちらの戦形を選ぼうとも早咲さんの対策 が楽しみでした。ただ、首藤さんが振り飛車党ということを考える と、陽動振り飛車の可能性が高そうです。 |
△3二金 ▲4七銀 △5二金 ▲3六歩 △8四歩 ▲5七銀 △4一玉 ▲1六歩 △1四歩 ▲3七桂 △4三金右 ▲7七角 △3三銀 ▲8八飛 △3一角 ▲4八玉(第2図) |
[観戦中] 「陽動には何しようかな。ひとまず矢倉に組んで、△3五歩突け たらいいんだけど。」 △3二金▲4七銀△5二金▲3六歩 「う~ん やっぱり突くよね。矢倉に組んで右銀どう使おう、攻 めの陣形は・・・、できたら穴熊に組みたいな。」 △8四歩▲5七銀△4一玉▲1六歩△1四歩▲3七桂△4三金右 ▲7七角△3三銀▲8八飛△3一角▲4八玉 「考えがまとまらん」 [解説] 首藤さんが▲8八飛車とするまでは、当然右玉の可能性も考えら れますが、こういうときは、首藤さんの棋風から陽動と決め付け構 想を練っていきます。自分が指すわけではないので、局面に納得し ていなくても局面はバタバタと進んでいきます。その進む局面の中 で、自分の考えをまとめながら早咲さんの構想と比べていきます。 自分のペースで手を読んでいると解答をみるだけになってしまいま すから。とはいっても、上記のように考えがまとまらないこともか なりありますが。(苦笑) 僕が「△3五歩をつけたらいいな」といったのは、陽動振り飛車 に玉頭位取りができたらいいなということです。ただ、理論的な考 えではなく、経験則からですが。僕は、玉頭位取りができれば居飛 車が指しやすくなると思っています。 「穴熊」と書いたのは、矢倉に入城した後に、△1二香~1一玉 ~2二銀とできたらいいなということです。ただ、これは先手の角 の筋に入ってくるのでかなり実現は厳しそうです。 「矢倉」「穴熊」というキーワードがでてきましたが、早咲さん の構想はまったく異なるものでした。 |
△2二銀 ▲5八金左 △3三桂 ▲3九玉 △4二角 ▲3八銀 △3一玉 ▲4七金 △2一玉 ▲2八玉 △5三銀(第3図) |
[観戦中] △2二銀 「ん? は~ なるほど、そう組むものですか。しかし、組み上 がったらどうしよう、この囲い、横がスカスカで感覚がよくわかん ないんだよな。できれば右銀を△3一までもっていきたいが間に合 うか。」 ▲5八金左△3三桂▲3九玉△4二角▲3八銀△3一玉▲4七金 △2一玉▲2八玉△5三銀 「う~ん まーこんな感じになるよね。さて、どうするか、しか し、横が気になる。」 [解説] △2二銀はなるほどと思いました。今度から、陽動には使ってみ ようかなと思っています。ただ、この囲い、「王様の囲いは金銀三 枚」という格言からいくと横がスカスカで気持ち悪いんですよね。 「気持ち悪い」とか感情論で局面を眺めてはいけないと思っていま すが、これは気持ち悪い(笑)。こう思う人は結構いるのではない のでしょうか。 「右銀を3一までもっていきたいが間に合うか」というのは、第 3図の△5三の銀を△3一までもっていきたいということです。今 は△4二角が邪魔しているので、角を動かしてひきつけることにな ります。 また、△2二銀の局面からだと△5三角とあがって銀を5一~4 二~3一ともっていくコースもありました。ただ、これらの手順は 玉が固くなるのですが手数がかかります。王様固めても相手に完璧 な攻撃陣を敷かれて攻め潰されたら意味がありません。だから、僕 は、△2二銀の局面から手数計算をしていましたが・・・考えがま とまる前に手が進んでいきます(涙)。ま~仕方のないことです が。しかし、後で説明しますが、早咲さんには既に何かが「見えて いる」のでしょう。 |
▲5五歩 △同 歩 ▲同 角 △5四銀 ▲7七角 △6五銀 ▲4五歩 △同 桂 ▲同 桂 △7六銀 ▲5五角 △5四歩 ▲3七角 △4五歩 ▲7四歩 △5五桂 ▲7三歩成 △4七桂成 ▲同 銀 △7三桂 ▲同角成 △6四角 ▲同 馬 △同 歩(第4図) |
[観戦中] ▲5五歩 「ふ~ん ここで突きますか。ん? △6五銀にはどうするんだ ?・・・なるほど、そこで▲4五歩か、しかし、△同桂で銀でて桂 馬とって・・・あ、そうかそこで▲7四歩か。う~ん△5五桂、い や~どうかな、わからん。」 ▲同角△5四銀▲7七角△6五銀▲4五歩△同桂▲同桂△7六銀 ▲5五角△5四歩▲3七角△4五歩▲7四歩 「そうそう、ここなんだよね、どう指すんだろ?」 △5五桂 「そこで、7三歩成」 ▲7三歩成 「そうそう」 △4七桂成 「?・・・あ、そうか、角ぶつけか」 ▲同銀△7三桂▲同角成△6四角▲同馬△同歩 「なるほどね。これは後手が良さそうだな。」 [解説] さて、右銀の使用方法を僕が考えていたところ、首藤さんが仕掛 けてきました。こうなると少し読みやすくなるので、読むスピード が大幅に上がります。上記のことはできるだけ、当時を思い出して 再現してみました。 僕が2・3段の頃「4段の人はどういう思考をしているのだろ う」と思っていました。その解答がこんな感じですね。ただ、数十 秒の間にという条件つきですが。「途中の手順とばしてないか?」 と言われる方がいるかもしれませんが、実際そんな感じです。「読 む」というよりかは「見える」「流れる」といった感じでしょう か。自分の実戦だと、流れ終わった局面を自分の大局観から判断 し、良いと思ったら手順を確認し、悪いと思ったら途中で変化はな いか考えるといった感じですね。こんなこと語りあったことないの で確証はないですが、強い人ほどこの「見える」過程が早く、長 く、正確なのでしょう。 第3図で僕が、「早咲さんには何か見えている」と表現していま すが、そういう意味です。ただ、いつからこういう思考方法になっ たかは自分では思い出せないですね。いつの間にかとい感じです。 さて、将棋に戻りますが、僕は△7四歩で「見える」のが止まり ました。しかも、そこで自分が悪いのではないかと思ってしまった ので、自分の将棋だったらもしかしたら△5五同歩とも応じなかっ たかもしれないです。しかし、ここで棋譜採りの効果です。早咲さ んが手順を示してくれます。 △5五桂▲7三歩成に△4七桂成!この手が全然見えていません でした。この手順により、自分の直感は間違っていなかったのだと 確認できました。ただ+αが足りなかったのだと。でも、「ただ+ α」っていうのが一番難しいのでしょうが。 さて、▲7三角成のところで再度▲7四歩は△6五桂~△6四角 で、これは金、桂交換になってしまいそうなので、本譜の進行はこ う進むところでしょう。 |
▲5六銀直 △7二飛 ▲7八飛 △4六歩 ▲同 銀 △6九角 ▲3八飛 △6五銀 ▲4四歩 △4二金引 ▲6五銀 △4七角成 ▲5四銀 △4六馬 ▲3七銀 △5五馬 ▲4三銀成(第5図) |
[観戦中] 「△5五角をどう防ぐか」 ▲5六銀直 「なるほど。△5五歩は呼び込みすぎか?」 △7二飛 「なるほど、次に△6五銀ってことかな。」 ▲7八飛 「まー 防ぐよね。」 △4六歩▲同銀△6九角▲3八飛△6五銀「すごい、全ての駒が 働きだした。しかし、▲4四歩の反撃はちょっと気持ち悪いな。」 ▲4四歩 「うん。取るのは後に45とられて桂馬がやだな。三枚持ってる からな、引くかな。」 △4二金引▲6五銀△4七角成▲5四銀△4六馬▲3七銀△5五 馬▲4三銀成 「さてどうしよう」 [解説] ▲5六銀直に対して、直感は△5五歩でしたが、やはり少し呼び 込みすぎなのでしょうか。無視はさすがにできないでしょうし、▲ 4五銀は△4四歩、▲同銀は△5六歩、そこで▲4四歩は△4二金 引、▲4四桂は△4二金寄・・・僕の読みの本線はこうでしたが、 やはり何かこの先に落とし穴があるんでしょうね。 しかし、△7二飛以下はおもしろいように全ての駒が働いてきま すね。やはり、こちらが本筋なのでしょう。しかし、首藤さんも鋭 く攻めてきて第5図。どうしましょう。 |
△4七金 ▲5六歩 △7九飛成 ▲3二成銀 △同 金 ▲3九金打 △5六馬 ▲5九桂 △3七金 ▲同 飛 △4六銀 ▲1七飛 △3七銀打 ▲同 飛 △同銀成 ▲同 玉 △5九竜 ▲4八銀 △5七竜 ▲4七桂 △4六馬 ▲2七玉 △4七竜 ▲同 銀 △3七飛 ▲1八玉 △1七銀 ▲2九玉 △2七飛成 まで108手で早咲さんの勝ち |
[解説] ここからは、当時の自分が何を考えていたか、よく覚えていない ので、解説のみにさせていただきます。▲5六歩、▲5九桂と首藤 さんもなかなか土俵を割りません。しかし、△3七金がそれを打ち 砕く一手だったと思います。ここだけ覚えていますが、▲5九桂と 打たれたときは僕の頭は少々パニクってました(苦笑)。 そして、▲4八銀に対し、△4九竜かなと思いきや、△5七竜。 詰みなんですね、なるほど。本文で「見える」という言葉を使いま したが、早咲さんはいったいどこまで「見えている」のでしょう ね。非常に興味があります。しかし、僕も「見える」ようになった と書きましたが、自分より強い人間と勝負すると見えさせてきれま せん、というより読まさせてもくれません。「そんなことが可能な のか?」と思う人がいるでしょうが、可能なんです。本当に将棋は 奥が深いです。 |
◆関連リンク
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→「第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会」結果-NO.1(平成19年9月16日:大分市「稙田公民館」)
・入賞者
・A級~C級成績詳細
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