棋楽庵の九州将棋ふまわり日記

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■「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.6」(第45回しんぶん赤旗全国将棋大会大分県大会観戦記)

2008年01月20日 | ◆由太郎ノート
★「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.6」
 (第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級決勝>:
  平成19年9月16日)


[観戦記:山 由太郎]

※筆者については予選リーグ1回戦の観戦記で詳しく紹介しています。



<決勝>
▲早咲誠和
△泉翔太

=第1譜=


▲7六歩  △3四歩  
▲9六歩  △9四歩  
▲7五歩  △4四歩  
▲7八飛  △3二銀  
▲7四歩  △同 歩  
▲同 飛(第1図)
      △4三銀  
▲7六飛  △3三角  
▲9七角  △6二銀(第2図)

 いよいよ、決勝戦です。早咲さんの
相手は泉翔太さん。棋風は居飛車党寄
りのオールラウンダーと記憶していま
す。決勝はオールラウンダー同士の対
決、どのような将棋になるのでしょう
か。

 ▲7六歩△3四歩▲9六歩△9四
歩。最初はお互い様子見と言った感じ
で態度を決めません。▲7五歩。早咲
さんが先に戦法を決めました。対する
泉さんは居飛車、振り飛車両方考えら
れます。

 △4四歩▲7八飛△3二銀▲7四歩
△同歩▲同飛△4三銀▲7六飛△3三
角。泉さんはまだ態度を決めません。
泉さんが7筋に歩を打たないのは善悪
とかではなく趣向の領域でしょう。

 ▲9七角。泉さんに居飛車を強制さ
せる手です。△6二銀。ようやく、戦
型が決定しました。早咲さんの三間飛
車VS泉さんの居飛車の対決です。ま
た泉さん側は堅さで勝負するのではな
く、位取りから模様勝ちを目指してく
る将棋になると思います。



=第2譜=


▲6八銀  △4二玉  
▲4八玉  △3二玉  
▲3八玉  △1四歩  
▲2八玉  △1五歩  
▲7七桂  △4五歩  
▲5六歩  △4四角(第3図)

 ▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉
▲3八玉△1四歩。戦形が決まったら
お互い王様を囲います。そして、泉さ
んは△1四歩。端歩は大きいとよくい
いますが、やはり局面、局面で判断し
ていかなければなりません。

 さて、早咲さんの応手は▲2八玉。
早咲さんは端歩を受けませんでした。
なぜだか考えて見ましょう。ここから
は僕の推察です。泉さんは、位取りを
目指してくるはずです。そうなってく
ると、早咲さん側が美濃囲いに囲う
と、泉さん側の位が駒組みの邪魔をし
て囲いに進展性がなくなってしまいま
す。そうなると、早咲さんからすると
おもしろくないでしょうから、穴熊に
囲って泉さんの位取りを緩和しようと
するはずです。穴熊の端歩もかなり難
しいですが囲い終わってもないのに突
くのは時期尚早でしょう。

 ということで、僕の推察の結論は早
咲さんは泉さんの位取りを緩和するた
めに、穴熊に組む予定だから端歩を受
けなかったです。ただ、あくまでこれ
は僕の推察です。しかも理由はまだ、
感情論のレベル。早咲さんは別の理由
で受けなかった理由も考えられます
し、理由はあってても意味が違う場合
もあります。

 さて、補足ですが、この推定は「泉
さんが位取りにする」という前提の下
行われています。この前提はどこから
来たのでしょう。実は根拠はありませ
ん。これは、今まで僕が指した、並べ
た、見た将棋から、こういう流れの将
棋はこうなるだろうという推測の下考
えています。

 ということで、統計論、ま~勘みた
いなものでしょうか。△1五歩。受け
ないなら突くところでしょう。▲7七
桂△4五歩。泉さんは位取りを目指し
て来ました。▲5六歩△4四角。泉さ
んは、早咲さんが穴熊に囲うことを読
み取り端に狙いを定めてきました。

 しかし、この手、僕の読みの中にも
あった構想ですが、少し早いような感
じがしました。



=第3譜=


▲5七銀  △3三桂  
▲5八金左 △7二飛  
▲7四歩  △9二飛  
▲4六歩  △5四銀  
▲4五歩  △同 銀  
▲3八銀  △9五歩  
▲5五歩  △同 角(第4図)

 ▲5七銀。泉さんは端を狙っている
わけですから、相手の狙っている端に
わざわざ王様を囲うことはないでしょ
う。ということで、早咲さんは△4四
角を咎めにいきました。

 △3三桂。角は頭が丸い駒。角頭を
受けるのは当然です。しかし、角が窮
屈になってしまいました。▲5八金左
△7二飛。いきなりの飛車ぶつけ。▲
7四歩。打ち込みは早咲さん側の方が
多いので受けました。△9二飛。今度
は9筋へ。不思議な順です。

 ▲4六歩△5四銀▲4五歩△同銀。
敵の弱点であり角頭めがけて駒を動か
していきます。▲3八銀。これが僕が
欲している力です。一言で言うと勝負
の呼吸でしょうか。攻めたら攻めるだ
け、受けたら受けるだけでなく、攻め
と受けを交互に織り交ぜていく。相手
の思考を複雑化して相手に手を読みに
くくさせる。前に、強者は読みにくい
局面を作ると書きましたが、ヒントは
ここらへんにありそうです。

 △9五歩▲5五歩△同角。いよいよ
戦いが始まりそうです。



=第4譜=


▲9五歩  △同 飛  
▲7三歩成 △7五歩  
▲同 飛  △7三角  
▲同飛成  △同 桂  
▲7四歩  △1六歩  
▲同 歩  △1八歩  
▲同 香  △6五桂  
▲同 桂  △同 飛  
▲8八角(第5図)

 ▲9五歩△同飛▲7三歩成。▲9七
角がどいた瞬間に飛車取りにするため
に、泉さんの飛車を9五まで誘い出
し、早咲さんの攻めの開始です。△7
五歩▲同飛△7三角▲同飛成△同桂▲
7四歩。厳しい攻めです。

 △1六歩▲同歩△1八歩▲同香△6
五桂▲同桂△同飛。端を攻めたのは泉
さんの勝負勘と言ったところでしょ
う。そして桂馬を逃がします。

 ▲8八角。今まで中央を睨んでいた
角が、いつのまにか玉頭を睨んでいま
す。早咲さんの将棋を見ていると、よ
く目を動かさせられます。今のよう
に、5筋と思ったら3筋に。また上で
述べたように攻めと思ったら守りに
と、目線と思考をごちゃごちゃにされ
てわけがわからなくなってしまうので
す。おそらく泉さんも目が回っていた
ことでしょう。



=第5譜=


      △5四銀  
▲5六銀  △2五飛  
▲4二歩  △同 金  
▲4三歩  △同 金  
▲4四歩  △4二金  
▲4六桂  △5二金上 
▲5四桂  △同 歩  
▲4三銀  △4一玉  
▲6一角  △2四桂  
▲4七銀引(第6図)

 △5四銀。▲7六角の間接王手飛車
を受けた手です。▲5六銀△2五飛▲
4二歩△同金▲4三歩△同金▲4四歩
△4二金。不思議なことに、いつの間
にやら4筋に攻めの拠点が。

 そして………▲4六桂。控えの桂馬
ともいうべきでしょうか、早咲さんの
将棋によく出てくる手だと思います。
どちらかというと相居飛車系の将棋で
多いでしょうか。僕の場合、攻めてし
まうと敵陣しか見えなくなってしまう
のですが、こういう手が指せるように
なりたいです。「次に敵陣に響く手」
なのです。

 △5二金上▲5四桂△同歩▲4三銀
△4一玉▲6一角△2四桂▲4七銀
引。泉さんも最後まで諦めません。△
2四桂は、次に3六桂打を狙ったも
の。そして早咲さんは▲4七銀引。怖
いところがなくなり後はラストスパー
ト。



=第6譜=


      △3一桂  
▲5二銀成 △同 金  
▲4三歩成 △同 金  
▲同角成  △同 桂  
▲3三角成 △5二玉  
▲4二金  △5三玉  
▲7六桂  △6四歩  
▲4三馬  △6三玉  
▲5二馬  △7二玉  
▲6四桂(最終図)  
まで、95手で早咲さんの勝ち

 最後は早咲さんが泉さんに粘りを与
えず華麗に寄せきり、優勝を決めまし
た。

 どうでしたか?少しでも、僕が早咲
さんの棋譜を採ることを理解していた
だけたでしょうか?自分が指す時とは
また、違った何かを必ず吸収できるは
ずです。

 社会人の方は時間を作り息抜きに大
会に参加されているわけでしょうか
ら、自分は指さず棋譜採りということ
は難しいでしょうが、時間のある学生
の人達にはかなりオススメです。正
直、訳がわからなくてもいいのです。
実際僕も全然わかっていませんから。

 棋譜を採ることで、意味はわからな
くても「へ~」「は~」とか感じるだ
けでもいいと思います。いつか必ず自
分のプラスになるはずです。ま~僕も
修行中の身ですので、そんな偉そうな
ことは言えないですけど。

 それでも、自分は将棋が指したいと
いう方は自分が負けたときにすぐ家に
帰らず、最後まで人の将棋を見て帰る
ことから始めてみるといいかもしれま
せん。





 

 

◆関連リンク
「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.1」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ1回戦>:平成19年9月16日)
「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.2」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ2回戦>:平成19年9月16日)
「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.3」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級予選リーグ3回戦>:平成19年9月16日)
「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.4」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級準々決勝>:平成19年9月16日)
「由太郎ノート-早咲将棋に学ぶ!NO.5」(第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会観戦記<A級準決勝>:平成19年9月16日)
「第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会」結果-NO.1(平成19年9月16日:大分市「稙田公民館」)
 ・入賞者
 ・A級~C級成績詳細
「第45回しんぶん赤旗全国囲碁・将棋大会大分県大会」結果-NO.2(平成19年9月16日:大分市「稙田公民館」)
 ・改元大会成績詳細
 ・熱戦譜 [A級決勝]▲早咲誠和 対 △泉翔太
 ・ミニミニ写真館




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