高ボッチスカイライン、崖温泉までの下り道。こちらの道路も植林の中で見晴らしはよくありません。それに千葉のおじさんが言うのも納得できます。こちらは下り道ですから、どうということはありませんが、初めての人がこの道を登って行くのはさぞや心細かったでしょう。高ボッチ山に初挑戦の方はどうぞ、塩尻峠方面から挑戦していただくことをお勧めします。
塩尻はワインで有名ではありますが、そのぶどう畑があるのは桔梗ヶ原と呼ばれる地区のようです。国道19号線を中津川から塩尻方面に走っていくと、塩尻の町に入る手前、洗馬あたりから道路の左右にぶどうの直売所が見えてきます。
桔梗ヶ原の交差点を東に入ってみたら、ぶどうの無人販売所が目に止まりました。ナイアガラという品種が1パック200円で売っています。こんなに安くても大丈夫か?おいしいの?でも、地元の人たちもクルマを停めて、少量ずつ買っていく様子。生活圏に生産地があると、毎日新鮮なものを食べる分だけ買っていくみたいです。羨ましいこと。そこで私も思い切って5パック買ってみました。これが存外の大当たり。香りが強くて甘くて、おまけに1房あたり100円。後で知ったことですが、ナイアガラという品種は塩尻のぶどう主力品種で、他のぶどう産地ではお目にかかれないようです。またナイアガラに遭遇したいものです。
そこから国道19号線を約40km。道の駅木曽駒にクルマを停めたら、距離計が169999km。あと1km走るか走らないかで170000kmになります。さよならドライブの間にひとつの節目を超えました。
17万キロの間にどこまで走ったのだろう。都道府県名でいえば一番北は新潟県、一番南は高知県です。一番東は千葉県、一番西は島根県。都道府県名ですから、新潟県といっても上越市までですし、高知県といっても高知市までです。島根県といっても出雲周辺がせいぜいで、石見の国を見たことはありません。数えてみると25都道県を訪れたようです。
では、高いところ低いところ。高いところは国道292号の群馬県の渋峠、日本国道最高地点2172m。一番低いのは…よくわかりませんが海底トンネル。咲洲トンネルか、神戸港港島トンネルでしょう。後者はウィキペディアによれば水深12mだそうです。
人々は車中泊と言いますが、車中泊というと夜行列車の中で眠るような気がしてしまうので、私はクルマ寝と呼んでいます。数えてみると、15年もノアに付き合った割には5回くらいしかクルマ寝をしていません。合計で10泊くらいでしょうか。家庭状況により、一人で出かけさせてもらうようになったのがここ数年です。ノアはクルマ寝にはとても便利でした。運転席、助手席を触ることなく、2列目3列目で大きなフラットスペースが出来上がります。旅の間じゅう「大広間」を畳む必要はありません。3列目の背もたれは倒さずそのままですから、足を伸ばしてもたれられます。昼寝にも使えますし、休憩するのも横になって。「大広間」ゆえ夜は二人までなら宴会ができます。フラットにしたときには床下に大きな収納スペースが出来上がり、荷物も整理に便利です。また、通常のシート状態でも、スキーなどの長尺モノがシート下に収まるので車内での「生活」がラクなクルマでした。近頃流行りのSUVでは眠るだけの長さが確保できる大きめのクルマでも、カイコさんになって眠るのがせいぜいだと思います。もっともっと、ノアでクルマ寝、大宴会をしたかった。
国道19号を木曽福島で右折をして、開田高原へ行きました。ここは何度も訪れています。開田高原に初めて連れてきてもらったのは、このノアを買う直前の夏でした。きそふくしまスキー場の下のトンネルを抜けたところの白樺と思しき林がとても雰囲気がよくて、開田高原という耳触りのよい言葉はここのためにあるのだと思っていたくらいです。以来、ここを通るたびにクルマを停めて、林に入ってみます。
村内を走ってみて景色のよさそうなところを探してみますが、今日は雲が多い。申し訳程度の青空しかありません。
木曽馬の里に来ました。開田高原に一人で初めてやってきたとき、蕎麦屋さんに飾られていた写真をみて、店員さんに教えてもらったところです。訪れる人たちもそこそこの数、柵の中で木曽馬たちが、草を食んでいます。背景には御嶽山。あの噴火がなければ素晴らしい山に見えるのでしょうが、なんとなく恐ろしい山に見えてしまいます。人間の気持ちってナーバスなものです。
とても居心地のよいところではありますが、ほどほどに帰らないと帰路は長い。それに夕方の渋滞は避けたい。木曽馬の里に次はいつ来るんだろうかと気持ちを残したまま、昼前に開田高原を後にしました。
もう1か所寄っておきたいところがあります。大桑村の西尾酒造。「木曽のかけはし」という銘酒を醸造している酒屋さん。去年道の駅でこのお酒を買ったのですが、気に入って、是非とも醸造元を訪れてみたいと思っていました。須原宿の街道沿いの雰囲気ある古い建物。ノアくん、遠慮もせずに横づけです。
国道19号線、中央高速道を前日の逆に走り、土岐からは東海環状道、東海北陸自動車道を経て名神高速道に入りました。自宅に到着したのが19時ごろ。この2日間で走った距離は897km。どこも不具合なところはないのに、見捨ててしまう後ろめたさとさよならの寂しさを感じてのラストドライブでした。
最後の給油をして、それから引き取られていく数日前には、ちゃんとクルマを洗ってやろうと思っていたのですが、結局は洗車機を通すだけでノアくんには我慢してもらいました。
長い間お世話になりました。ありがとう。さようなら。
ノア、お疲れ様でした。
自分でも開く時間がなく、コメントに気づいたのはおとといのことでした。
どうぞ、時折更新の確認をしてやってください。