新湊に向けて走ります。新湊市という市は、2005年の合併により射水市になったそうです。2000年ごろに2度、射水郡大門町へ仕事で行ったことがありますが、今は大門町も新湊市も射水市に飲み込まれてしまいました。
この巨大な港を富山新港と呼ぶらしい。新港という名の通り新しい港であり、万葉集の大伴家持の時代から、この西側、小矢部川河口あたりに伏木港という港があったいたそうです。だから「新湊」市だったわけですね。
湾内にある新港(しんこう)大橋を渡って、みなとオアシス海王丸パークというところにクルマを停めると、観光案内所が目に入りました。時間は16時20分過ぎ。中に入ると男性が二人。一人は案内所のスタッフで、私の突然の「船に乗りたいのですが」という発言に少々戸惑われたようです。この案内所で船といえば、新湊観光船、海王丸の船内見学、そして富山県営渡船の3つの可能性があります。私の言いたい船は渡船でした。富山新港の入り口の東西をつなぐ渡船。道路の代わりなので無料で乗せてもらえるそうです。大阪市でも7つの公営渡船を制覇?した私は、この機会に乗っておきたい。スタッフのおじさんは、37分発だけど、今日は海が荒れているから欠航かもしれない、尋ねてやろうと電話をかけてくれました。その間、もう一人の先輩と話しました。彼はミニバンに自転車を積んで全国を旅しているそうです。奈良にも5日間ほど滞在したと言います。電話を切ったスタッフが運行していると伝えてくれましたが、時間が迫っています。お礼の言葉もそこそこに案内所を飛び出したのでした。出がけに見た自転車のおじさんのクルマは栃木ナンバー。長旅なんですね。
教えられたとおり、新湊(しんみなと)大橋の西側まで走り、クルマを置いて渡船乗り場、越ノ潟発着場に向かいます。出発まであと5分。乗客らしき人は誰もいない様子。そして、万葉線の電車が到着。電車からも渡船の乗客は降りてこず、結局、37分に私のほかに20歳前後の兄ちゃん二人を載せて、合図もなく出航。
座席はありません。自転車と原付は乗れるそうですが、今日は3人のみ。湾内とはいえ、結構揺れます。近場からやってきたと思われる兄ちゃんたちは揺れに慣れがないらしく、しっかり捕まっています。窓から新湊大橋とどんよりした空が見える。ふと気づくと、ロシア語らしき注意書き。「窓は開けるな」とでも書いてあるのかな?
堀岡発着場まで所要5分だそうですが、距離は770mらしい。到着したらすぐ越ノ潟へすぐ折り返します。兄ちゃん二人はなぜか渡船を下りずに越ノ潟へ戻りました。渡船に乗ることが目的だったかな。
ここから、新湊大橋に向かいます。この立派な橋には歩道が作られていることを知ったからです。渡船で堀岡側に渡って、橋を歩いて帰って来ようというハラです。
あいの風プロムナードという名称で、橋の車道の下に、全天候型歩行者専用道路(自転車を押して歩くのも可)が作られています。エレベータで車道の下まで上がり、480mを歩いて、またエレベータで地上に降りる。なかなか楽しいのですが、あまり見晴らしはよくない。見晴らしがいいと、怖がる人もいるからいでしょうか。海面から橋桁までは47mだそうです。吊り橋ですから、プロムナードも中央部が高い。
プロムナードを歩いていると、女子学生と二人すれ違いました。その次に自転車を押して歩いてくる男子学生。彼は私に、「こんにちは」と挨拶をしてくれました。新湊の子供たちはのびやかに育てられているのかなと少々嬉しくなりました。
地上に戻って、次は新港大橋に向かいます。さっきクルマで通った時、歩道があるのに気づいていました。橋フェチを自認する私が歩かないわけにはいきません。やや薄暗くなっていますが、新港大橋の南側にクルマを停めました。都会ではこんなわけにいきませんが、このあたりだとどこでもクルマを停められるのがありがたいものです。
新湊(しんみなと)大橋と新港(しんこう)大橋。文字の意味がよく似ている橋がふたつあるのは面白いものですね。しかも、この新港大橋は湾曲しているのです。直線で架けるのが費用的にも安くつくと思うのですが、橋がかかるより先に工場ができて、私有地になっていた。だから、直線では架けられなかったということでしょうか。橋の中ほどで放生津内川の方を眺めると、万葉線の電車が川を越えるのが見えました。なかなかいい景色です。平成2年3月に完成したらしい。
左手の湾内には自動車がたくさん駐車されていて、その向こうは自動車運搬船。それも名古屋港辺りで見るような同じ形式の新車がたくさんではなくて、種類もまちまちの中古車が運ばれるようです。中にはトラックも混じっている。ここからロシアに運ばれるのでしょうか。先ほどの渡船の中のロシア語といい、やはりここは日本海側ですね。自動車運搬船の向こうはコンテナヤード。その向こうには先ほど分かった新湊大橋。改めて巨大な港湾なんだと眺めました。
(つづく)
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