ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

新聞・TVが消える日

2009-06-28 10:21:33 | 読んだ本
   新書の書名は往々にしてスポーツ新聞や週刊誌のタイトルに近づくことがあります。本文を読むと、筆者は"消える日"が来るとは書いていないのに、書名では"消える日"が来るように見えます。それで買ってしまいました。もっとも、スポーツ新聞や週刊誌にあるような記事を書く側と書かれる側の対立構造はありません。筆者承知の上での書名でしょう。
   書名から想像がつくと思いますが、ネットとかウェブとか呼ばれるメディアの台頭により、従来型のメディアがどう影響を受けてきたか、そして今後どうなるかを考察したのが本書です。
  章立てがテレビ、新聞、音楽市場、ゲーム市場と4つの柱になっています。音楽やゲームにまで言及しているのが楽しいところです。
  "消える日"はやってこず、新聞もテレビもネットに侵食されてはいくけれど、全くはなくなってしまわないというのが筆者の立場です。
  例えば、映画産業ではマルチユースが常識です。ハリウッドでは映画館からの収入は全体の20%程度、テレビ放映権収入が30%程度、残りはビデオやDVDなどの販売収入だといいますし、日本でも映画館収入の倍のビデオ販売収入があるそうです。つまり、映画を1本作れば劇場公開だけでなく、テレビでの放送や販売など、何度も金を生む体制ができている。
  対して、テレビという産業は流しっぱなしで、放送後に収入を得る仕組みが確立されていない、それは放送以外部分の著作権処理ができていない故なのだそうです。ロングテールという言葉はネットの性質を表現するのによく使われた語ですが、テレビ番組が放送以降、ネットを通してロングテール的に長期間に亘って商品として値打ちを持たせる仕組みを確立すべきだと筆者は考えています。
  そうでなければ広告収入減によりテレビ産業は生きていけない。すでに08年9月中間決算で東京キー局5社のうち、2社が純利益ベースで赤字に陥っているのだそうで、テレビ産業も方向転換をしなければ時代の変化についていけなくなるのですね。
  さて、テレビや新聞を軸にどんな時代が来るかを考えるわけですが、その時代は私たち消費者にとって幸せな時代なのでしょうかね。産業構造の変化よりも私たちの幸せが気になるところです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« エスカルゴ | トップ | かまたまやま »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事