
快速「みえ」で35分ほど、松阪までの乗車です。車内で戸惑ったのは1号車前半(いちばん鳥羽側)が指定席だったということ。特に快適な設備があるわけでもないのに指定席料金530円が必要。快速「みえ」で名古屋まで乗れば指定席で3030円、約2時間。一方近鉄特急だと3090円、一時間40分ほど。運転本数から考えても近鉄特急を選ぶ人が圧倒的でしょう。一方、私のようなへそ曲がりとか、ひっそりとした旅を楽しみたい人はJR(間に伊勢鉄道を挟みますが)を選ぶかも。隠れ家的な列車といえるかもしれません。
キハ75という車両は一般形ではありますが、窓は嵌め殺しで開きません。シートは転換クロス。遮音性が高い車両と感じられ、パワーありそうな野太いディーゼル音もレールの継ぎ目の音(私なんぞには懐かしく心地よい)も、客席には届きにくいように思いました。
やがて快速は二見浦。二見ケ浦の最寄り駅です。前述の「男はつらいよ 寅次郎物語」のラストシーンで登場するところです。驚いたのは、この参宮線の駅は「ふたみがうら」ではないこと。「ふたみのうら」だったのでした。知らなかった。やはり私のような者には、現地まで行って初めてわかることがたくさんあるものです。
雨が降り始める。参宮線の沿線には、あちらこちらに紫陽花の青。それに枇杷の実の黄色があちらこちらに。田んぼの中をキハ75は機嫌よく走ります。
多気でカップル一組が下車。参宮線を走ってきた2両の気動車はここから紀勢本線に入ります。ここで下車するということは、紀勢本線を新宮方面に走るということなのでしょう。参宮線と紀勢線の接続駅の割には、田んぼの中にあるあっさりとした駅の印象です。
松阪で乗り換え。名古屋行きの快速は、津を過ぎたら伊勢鉄道でバイパスする形で、河原田駅で関西本線に合流します。私は快速「みえ」を見送り、跨線橋を渡って紀勢線の普通に乗り換えます。近鉄とJRが仲良く同居する松阪駅には駅弁屋があります。松阪牛のナントカなんて駅弁を売っているでしょうか。そういや20年くらい前でしょうか。松阪駅近くで、一度だけ松阪牛のしゃぶしゃぶを食したことがあります。ランチタイムで4000円だったかな。上等のお肉です。一人前5枚だったと思います。美味かったけれど、店を出たあとビッグマックを食べたくなったというようなことを思い出しました。もちろん、食べてはないけど。
ここからはキハ25。やはり2両編成のディーゼルカーでロングシート車。座席は3分の1くらいの埋まり具合。この車両のディーゼル音は軽快です。松阪駅を出ると近鉄線を右に見送り、名松線を左に見送り、一人になった紀勢線は田んぼの景色の中を走る。昭和の香りがする津の街を過ぎたら、左手に10年ほど前に来たことのある三重県総合文化センターが見えます。伊勢鉄道とも別れて亀山を目指す。軽く山をふたつ超えて、亀山駅に到着。
(つづく)
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