岐阜を出ると2両編成の気動車は地上へ下っていきます。これが岐阜から高山本線、太多線に入り多治見まで行く列車です。キハ11。しかもワンマン。気動車ってふだんあまりお世話にならないだけに楽しいですね。今日、ここまでは幹線の長い長い電車だったし、乗客も多かった。
けれど、この列車はローカル線と胸を張っていえるローカル具合。気動車は座席の下、壁際に配管があってちょうど足置きのようになっています。懐かしいです。線路はロングレール化されていて、ガタンゴトンという音はありません。地方交通線とはいえ、高山本線。特急「ワイドビューひだ」も走りますからね。
雨は上がっています。進行方向左手には山が屏風のように続き、右手は開けています。濃尾平野の西側のヘリに沿って線路が走っているものと思われます。田んぼの緑が美しい。
乗客は各ボックスが一人か二人で埋まる程度。私はボックス席に一人きり。靴を脱いで足を投げ出します。
ほどなく各務ヶ原。JRの駅名は「かがみがはら」。濁点が二箇所。市の名称は「かかみがはらし」。濁点は一箇所だけ。名鉄の駅名は市の名称に準じていて、一番よく使われるのは「かがみはら」だというややこしい読み名の各務原です。そもそも漢字表記が統一されていません。各務原市にあるJR各務ヶ原駅。名鉄各務原線という不統一ぶりです。難読で有名なJR各務ヶ原駅周辺も読み方とは裏腹にのどかな田舎の風景でした。
その先の鵜沼まで、岐阜から高山本線に絡みつくように名鉄各務原線が平行して走っています。元国有鉄道の高山本線は単線。なのに絡みつくほうは複線。名鉄は新鵜沼から、木曽川を渡って離れていってくれました。ここからは、木曽川の隣を国道21号線と手をつないで遡上します。この川はかつて、日本ライン下りの船が走っていたところ。また木曽川から離れて美濃太田。あらかたの乗客はここで下車してしまいました。ホームでは昔懐かしい駅弁売りのおじさんがいます。ここは特急停車駅ですからね。
美濃太田という地名には記憶があって、高校の修学旅行で高山に向かうとき休憩したのが美濃太田だったはず。当時は観光バスが高山へ向かうには高速道路もなく、飛騨川沿いの国道41号線を左右に揺れながら走るしかなかったはずです。
面白いことにに気づきました。美濃太田駅のホームから駅前のホテルが二軒見えます。そのどちらも美濃太田ではなく、美濃加茂と書かれています。「ルートイン美濃加茂」と「シティホテル美濃加茂」あら、これはどういうことよと駅名板を見ると、駅名の下に(岐阜県美濃加茂市)と書かれています。そういうことだったのか。勝手に美濃太田市という市があるものだと思い込んでいました。現地に来てやっと気づく。私のような者は、行ってみないとわからないものですね。
2両編成のワンマンディーゼルカーは美濃太田で高山本線と別れ、太多線を走ります。この太多線という漢字も注意です。(美濃)太田と多治見を結ぶ線なので太多線。うっかり太田線と書いてしまいそうです。
太多線沿線は先ほどの高山本線よりもさらにどかな風景です。田んぼと山と住宅と…という感じ。その中を最高時速60kmでディーゼルカーは走ります。美濃川合という駅。川合というくらいだから川の合流地点だろうと思っていたら、その通り。飛騨川と木曽川がこの駅の数百m上流で合流していたと帰って地図を見て気づきました。次の駅、可児ではまたJR線に名鉄が忍び寄ってきます。本当に名鉄って、どこでも出没するというイメージですね。「姫」なんて美しい名前の駅があります。でも、普通の田舎の駅でした。その次が、スタ☆レビファンが喜ぶかもしれない「根本」駅そして、次に「小泉」駅。
岐阜から多治見にいたる線の駅名は難読が多いです。
那加(なか)、蘇原(そはら)、坂祝(さかほぎ)、可児(かに)、下切(しもぎり)など。
中央本線と合流したら、ほどなく多治見です。
(つづく)
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