ぶろぐのおけいこ

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養老鉄道  相棒は杖と装具(1)

2024-01-08 18:07:33 | PiTaPaで歩く

 この秋、アキレス腱断裂で1か月入院をしました。年を越した今も外出時には装具を使用せよという医者の指示が出ています。同じアキレス腱断裂でも右足か左足かで大違い。私の場合は右足なので、装具で足首を固定された状態ではクルマの運転ができません。どこかへ出かけてやろうと思っても、歩くのも不自由ならクルマの運転もできない!では、電車かバスの世話になるしかありません。

 そこで考えました。電車に乗りっぱなしであまり歩かず、しかも自分にとって初体験の区間はどこだ。近鉄の桑名から養老鉄道養老線に乗って大垣、JRで岐阜まで移動したら、名鉄の本線で名古屋まで帰ってくる。初体験は養老鉄道のみですが。まぁ、自分の生活圏からすれば養老鉄道はまず乗る可能性がありません。もしこの鉄道の沿線に用事ができるとするならきっとクルマで行くに違いない。


 

 12月の土曜日、暗いうちからいそいそと近鉄電車に乗ったのでありました。相棒は右足の装具と杖。アキレス腱の手術後に着用する装具は、女性のハイヒールのようにかかと部分を何センチか上げて術後のアキレス腱を保護します。その後1週間に1枚ずつプレートを外して足首の角度を少しずつ90度に近づけていきます。私のこの時はプレートが1枚残っている状態。9mmだけ右足のかかとが高い状態でした。

 桑名に到着。ホームからはエスカレータで橋上に上がる。そこから養老鉄道の連絡口に下りるには階段。大きな駅は上りも下りもエスカレータがつけられていますが、それほど利用客の多くない駅は登りエスカレータだけという場合が多いですね。この記事を書きながら、桑名駅の構内図を見てみたら、エレベータは3機設置されていました。「不自由な足」初心者はエスカレータに気づかず、階段を下りてしまったようです。駅の階段って段数が多いですね。養老鉄道はそんなに本数があるわけではないので、ホームまでどう下りるかよりも、発車時刻のほうが気になったのかもしれません。一段ずつしか上り下りできないとはいえ、時間をかければ階段だって歩ける。

 

 

 券売機で大垣までの切符を買います。ピタパだのイコカだのとい交通系ICカードは使えないようです。そしてびっくりしたこと。駅員さんが切符に日付スタンプを押す。ちかごろ珍しい儀式ですよ。硬券ではありませんが、ちょっとびっくり。私たちは自動改札機に慣れ切っていますものね。待っていた電車は元東急電鉄のステンレスボディ。顔に赤いラインが入っています。いつぞや桑名を訪れたときは近鉄と同じ塗装の車両を見たような気がするのですが、なんとなく首都圏風の顔をしています。そして前面の窓(運転席と反対側)には、「サイクルトレイン」のマークがあります。三岐鉄道三岐線と同じような仕組みですね。自転車ごと電車に乗車する。土日はすべての列車、平日は指定はあるけれど無料で自転車と一緒に列車に乗れるそうです。桑名駅って鉄道好きには楽しい駅です。JRあり、近鉄あり、元近鉄の養老鉄道あり。少し離れているけれど、ナローゲージがかわいい三岐鉄道北勢線の西桑名駅もあります。その先には日本でここだけといわれる三種類の線路幅を渡る踏切もあります。

 ほどほどの客を乗せて出発。自転車を伴った乗客はいないみたいです。床下からVVVF音がして、他所の会社のお古にしては新しいじゃないかと思う。狭軌ゆえかよぅ揺れる。先ほどまで乗ってきた近鉄名古屋線のロングレールに慣れた身体は、レールの継ぎ目音に敏感になっている気がします。気づくと中間車だけ片側にクロスシートがある不思議なレイアウト。車窓の雰囲気は三岐鉄道三岐線と似ている気がします。員弁川の右岸を走る三岐線、揖斐川の右岸を走る養老線。どちらも進行方向右側が開けていて、左側が山です。養老線の場合には揖斐川の向こうに長良川と木曽川が走っています。かつて輪中がたくさんあったエリアですね。ずっと前から疑問に思っていたことがあります。木曽三川っていうけれど、大河川が三本、どうして並んで伊勢湾に注ぐのだろう。木曽川なんて濃尾平野の北東から流れてくる川なんだから名古屋の東側から流れればいいのに、どうしてぐるっと平野を半回りして長良川や揖斐川に寄り添うのだろう。なんのことはない、低い部分が川になっただけなんですね。この年になってやっと気づきました。直接には見えないけれど、木曽三川を見下ろすように走る養老線。少しずつ田舎に入っていきます。

   左手から右手へ緩やかな傾斜。短いトンネルをいくつかくぐる。柿畑。これって扇状地じゃないかな(ブラタモリを気取ってみます)。あとで調べると、短いトンネルがいくつかあるのは天井側の下をくぐるもののようです。駒野あたりから左手も少しずつ開けてきます。線路が山から離れていってるようです。現在の時刻表からすると各駅に交換施設があるのが、過剰なような気がします。かつて貨物輸送がそれなりにあったということでしょうか。「残そう養老鉄道」なんて幕も作られていて、鉄道廃止の危機が住民にはあるのだなと思う。それにしても自分が使っている杖が、ロングシートには収まりにくくて、何度も床にバタッと落ちます。杖を持って歩くなんてこれまで経験はありませんでしたが、使わないときに不便なものです。斜めになると他の人たちが歩く妨げになるし、場合によっては危険でもあります。うまく杖を立てかけられるようなフックでもあればいいのにと思うことです。私が使っている杖はTグリップのトレッキングポールですから、収納時は54cmになってデイパックにも収まるのですが、電車の乗り降りのたびに、縮めたり伸ばしたりもねぇ。

 再び森の中を走るような路線に変わって養老着。ここでは上下線ともそれなりの客が降りる様子です。路線名になるような駅は、駅前も(かつての)観光地のような雰囲気があります。行ったことはないけれど、養老の滝や養老公園に行く人たちで賑わったことでしょう。今はイチョウの葉も落ちたころ。紅葉を楽しむには少し遅いでしょうが、それでも多くの人たちが下車しました。

 養老を出発すると、平野の中を走る列車になります。美濃高田を過ぎると、それまでおおむね北を向いて走っていた線路が東に向きを変え、圃場整理された田んぼの中を直接で走る。烏江駅は高架駅で、養老線には似つかわしくない。もっとも都市部の交通事情ではなく、川の土手まで高さを稼ぐ必要からなのだろうと素人は理解します。

 だんだん大垣が近づいてくる。先ほどから迷っていることがあります。大垣では奥の細道むすびの地記念館というところへ行ってみたいのですが、それには西大垣で下車するほうが近い。しかし、西大垣で降りてしまうと養老線を一駅間乗らないままになってしまう。おそらくこの記念館からJR大垣駅までは水門川沿いに歩くことでしょうから。西大垣で下車することに決めました。

 サイクルトレインでしたが、ここまで自転車連れの乗客は見かけませんでした。

(つづく)

 


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