人生に絶望して、もう死んでもいいと思っていた主人公が、幽霊親子のワゴン車に乗っていろいろな所に行き、いろいろな対話をするうちにもう一度生活をスタートさせる気持ちになるおはなし。
重松さん、すごい世界を作り上げたものだと思います。彼ならこれくらいの構築はできるでしょうけど感心します。しかし、読み手である私にとっては自分の年齢や自分と同時期の母の入院、ストーリーの展開とは別に考えることができてしまいます。えぇ年をしてとは思いますが自分が死んだらどうなるのか、いやそれよりも死に至るまでそれを自分はどう受け止め家族のことをどう思い、どんな未練をもちながら最後の時を迎えるのだろう。まして読んでいる場所が病室であり、病や命について考えるヒントの多い場所であり、また考えるだけの時間をたっぷりと与えられた場所。
2002年度に本の雑誌年間ベスト1になったそうですが、読み手はみんなどんなことを思いながら読んだのでしょうね。わくわくしながら読む本というのにたまに出会うことがありますが、私にとっては思い思い一冊でした。
日曜劇場でドラマ化されていますが、私は全く見ていません(嫌って見なかったのではなく、もともとあまりテレビを見ないので)。明日からまた1週間頑張るぞという日、時間帯に視聴者はどんな思いでこのドラマを見たのでしょうね。
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