ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

蟹工船/党生活者

2008-12-23 17:38:06 | 読んだ本
   恥ずかしながら、「蟹工船」という本をこの年になるまで読んだことがありませんでした。文学史で出てくるので、タイトルや作家は口に出せても読んだことがありませんでした。
  春に異例のブームで売れているというニュースの少し後。我が家に転がっていました。
  というわけで、小説は滅多に読まない私が「蟹工船」に挑戦です。 文学史的な功績は立派なものがあるとは思いますが、実は、あんまり読んでいて面白くありませんでした。蟹工船という船の中がイメージできないのです。「糞壷」と呼ばれる労働者の生活スペース(そんな立派なもんではないでしょうが)の記述はよく出てくるのに、労働しているはずの工場の様子がもうひとつ見えてこない。作品のリアリティを感じるための風景が見えないのです。
  読み物としては「党生活者」ほうがずっと面白いように思います。
  こんな妙なことを考えるのは私だけなのかなと思っていたら、先日、(実はこの文を書きかけのまま、長い間ほったらかしだったので、先日とは言いながら数ヶ月がたったと思います)新聞の夕刊にある作家のインタビューが載っていて、こんなふうに書かれてありました。
何十年かぶりで蟹工船を読み返した。作家●●(作者名の伏せておきますね)は、「物書きの立場で見ると、あまりうまい小説じゃないな」と言った。
  この作家が言わんとしたことと、私のような学問のない者の感じたところが同じではないとは思いますが、「偉い人もそう思っているんだ」と少し安心したのでした。

  学問のない私が読みながら考えたことは、この昭和の初めに誰が缶詰の蟹を食べていたのかという疑問でした。そこで検索をかけてみると、すぐにある水産会社のサイトが見つかりました。
   それによると、明治時代にすでにサケの缶詰が製造されていたのだそうです。サケ・マス漁が衰退したことを受け、それまでは網に懸かっても捨てていたタラバガニを缶詰の材料にすることを思いついたという話。そして蟹缶詰は絹と並んで外貨を稼ぐ優秀な製品になったのだそうです(いわゆる北方領土には缶詰加工工場がたくさんでき、日本人が多く住むようになった)。だから、蟹工船の船長の背後には帝国軍艦がついているわけです。なあるほど。

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