兵庫県西宮市の松竹梅酒造がつくる日本酒。
自分のための飲んだお酒の記録です。客観的に伝える力量はないので、アテにしないでくださいね。
いただいたお酒です。なになに、松竹梅酒造?ラベルを見て思い出したことがあります。昔、さだまさしのエッセイを読んでいたら、松竹梅の話が出ていたぞということを思い出しました。本棚から引っ張り出してきた一冊。『美しき日本の面影』このどこかにこんな話が書かれていたはず。
- 私が子どもの頃、田宮二郎が出てくるお酒のCMがあった。タクシーがどこまで走っても1円だった時代に、一本5円の酒があった、それが「松竹梅」。
- 現在「松竹梅」は京都伏見の宝酒造がつくっているが、この銘柄はもともと、西宮の松竹梅酒造がつくっていた。
- 阪神淡路大震災で大打撃を受けた松竹梅酒造は廃業を考えていたが、さだまさしがコンサートの中で「灘一」という名を口にしたことが松竹梅酒造の社長の知るところとなり、再び日本酒をつくることを決意させた。
見つかりました。「酒はしづかに飲むべかりけり」という題名の文章でした。『美しき日本の面影』奥付を見ると2006年6月発行となっています。私は20年近く前に読んだ文章の中身を(うろ覚えではありますが)覚えていたことになりますね。「酒はしづかに…」は初出が『旅』2004年12月号と書かれています。20年前の文章。そして松竹梅酒造のつくる酒の銘柄が「灘一」
その酒、「灘一」が目の前にあります。
まずは常温で飲んでみました。なんとも不思議な飲み口。日本酒らしい日本酒ですが、辛いのに軽い。どっしりと落ち着いているのに軽やか。牛若丸のような弁慶のような…瓶を確認すると度数が19.0~19.9あるそうです。日本酒としては度数が高めです。どしっとした密度の濃いお酒というイメージです。自分の記憶にはなかったタイプの飲み口でした。
翌日、冷蔵庫で冷やした「灘一」を飲んでみました。きりっと引き締まったいい男というイメージです。冷やしたほうが、味がシンプルになってわかりやすい日本酒になります。この酒は冷やして飲みましょう。
もう一度、ラベルを眺めてみる。ふつうは製造者と書くであろうところ、松竹梅酒造は「加工者」と書いてあります。「わたくしどもは、加工して味を引き出しただけで、製造するなんてことはしていません」という、心意気なのでしょうか。なかなか、味わい深いお酒ですよ。
会社のサイトによれば、この「灘一 上撰原酒」は、オンザロックやライムを加えるとおいしいとのことです。
ところで、最近、『酒の渚』というさだまさしの文庫本を読みました。彼のお気に入りの酒や飲み屋さんのことを書いたエッセイなのですが、やはりここでも「酒はしづかに…」とほぼ同じ話題が出てきます。幻冬舎文庫のこちらは、「2018年3月小社より刊行されたものです」と書かれています。文章のタイトルは「松竹梅酒造 灘一 上撰原酒」とあります。私が飲んだものと同じお酒です。しかもそのラベルは小磯良平が書いたものだそうです。
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