考具
加藤昌治 著
出版社 TBSブリタニカ
「休まず遅れず働かず」。教員になってから、ある管理職にこんな言葉を教わった。また「昨年並みが一番」とも教わった。。一生懸命にやっても誰も喜んでくれない、むしろその次に担当する者が迷惑する、アイデアなんて必要ない。そういう意味だろう。多分彼は自虐的に言ったのだと思う。
別の場面では教員仲間にもこんこんとアイデアが湧き出してくるのがいて、彼の頭の中はどうなっているのだろう、なぜ自分には何も出てこないのだろうと羨ましく思う時もあった。
さて年月は流れて、私たちを取り巻く環境も変わった。「休まず遅れず働かず」では学校も存在も自分の机も危うい時代になった。アイデアが必要。でもどうする?。
「考具」の筆者は博報堂(大手広告代理店です)の社員。新商品発売時期の戦略立案から着ぐるみショーの台本作成まで、情報に関する企画を「何でも」取り扱う部署で働いている。考具とは考えるための道具という意味でのネーミングである。考具といっても手帳だのパソコンだのといったツールの話ではなく、考え方、アイデアの出し方の指南書である。身の回りからアイデア・企画を生み出すために必要な情報やネタ素を取り込むための考具、アイデアを作り出すための考具、アイデアを企画にまとめていくための考具に分けて紹介されている。マンダラートという方法は試してみる値打ちがありそうだ。文章が多少冗長な気もするが、私たちにも読みやすいということでもある。先生方のアイデア湧出のための一冊になると思う。
2003年7月
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