道の駅飛騨白山から10キロほど庄川を下ると、そこは世界遺産に登録されている白川郷です。最初に訪れたのは上流の平瀬温泉に泊まった1985年の秋だったと思います。2度目が1996年の夏のはず。
白川郷観光協会によれぱ訪れた10月11日は「混雑が予想される日」だそうです。ちなみに前日の10日は「特に混雑が予想される日」だそうで。そんなこともあり、早朝に訪れることを考えました。7時前にはせせらぎ公園の駐車場に入りました。クルマはまだ数台。白川郷に宿泊している人たちが浴衣のまま朝の散策をしていました。山に霧がかかっています。このまま曇りか、山間部なので太陽が昇るころには綺麗に晴れるのか。合掌造りの中を歩きました。タバコのみは注意が必要です。あらゆるところに禁煙の看板が立てられています。健康面ではなく、茅葺屋根の火災防止のためです。本通りを中心に電線や電信柱はありません。地下に埋めてあるのでしょう。景観のためですね。景観を壊すことのないようあらゆるものが目立たない濃い茶色で塗られているのですが、驚いたのは、BS用パラボラアンテナも濃い茶色に塗られていたこと。世界文化遺産、ハンパではありません。白川村のサイトによれば白川郷に昨年やってきた観光客は173万人。今年4月の白川村の人口1785人。村の人口の千倍の人たちがやってくるとんでもないテーマパーク状態なのですね。世界文化遺産の登録が1995年。東海北陸自動車道の全線開通が2008年7月。少しずつアイテムを増やしながら観光客を呼び寄せているわけだ。特に東海北陸自動車道の白川郷ICまでは3キロほどですから、地道をほとんど走らなくても行ける世界文化遺産ということになります。観光地に交通の便は必須アイテムだとどこかのレポートで読みました。かくして高速道路の開通で10年前に約100万人だった観光客は7割増になったのです。
案山子が立てられていて撮影ポイントになっているところで、中国人とおぼしきカップルからシャッターを押してくれと頼まれました。英語も通じません。彼らが私と話すために使った日本語は「シャッター」と「きれい」の2語のみ、英語で話すわけでもなく、言葉はほとんど通じていないのに、こちらがシャッターを押してあげて、彼らはモニターで確認した画面に「きれい」と言い、それから、「お前もシャッターを押してやろうか」と言い(そう言ったんだと思う)、「僕は結構」と断って…。ほとんど言葉が通じないのに意志は通じるんですね。面白い体験でした。また、彼らは、外国からの白川郷の客の二人になってくれたということですね。
城山展望台に徒歩で登ってみま した。合掌造りの家の上に霧がまだ残っていて、これまた結構な景色でした。それから再び集落に降りて歩いているうちに山から日光が差し始めました。ふと気づくと、茅葺の屋根から湯気が立ち上っています。前夜雨だったのか、夜露で濡れたのか、たっぷり湿気を含んだ茅が日光で温められて湯気を出しているのです。まるで、合掌造りの家が生き物で、その息遣いのようです。
合掌造りの家には民宿として使われているのも土産物屋や飲食店として使われているのもありますが、中を公開しているところも何軒かありました。そのうちの一軒、長瀬家に入ってみました。入ったところのテレビの前で1 時間ほど過ごしてしまいました。かつてこの長瀬家が大屋根を葺き替えたときの記録がNHKのドキュメント「心をつないだ大屋根葺き」として放送されたのだそうです(番組内容はこちら)。それが説明代わりに流されているのですが、その番組に見入ってしまったのです。以前から白川郷の合掌造りの葺き替えは、村人総勢で助け合ってやると聞いていたのですが、その詳細が見られるのです。助け合いのことを白川郷では「結」というらしい。沖縄には「ゆいまーる」という言葉 があるそうですから、相互扶助という意味では同じものなんでしょう。その「結」によって屋根の葺き替えをするのはこの村では30年ぶりのことだというのです。つまり高度経済成長期には「結」による葺き替えが途絶えていたということ。また、長瀬家が総吹き替えをするのが80年ぶり。それくらい茅は長持ちなんですね。葺き替え当日は総勢500人ほどの人たちが集まって作業をする。助け合って一軒の屋根を葺き替えるのにそれくらいの人手が必要ということ。一方、「結」でなくても業者に頼んで作業をしてもらうという方法もあるのですが、これが数千万円の大仕事になるそうです。白川郷も生活の変化で「結」が成り立ちにくくなり、葺き替えるにもその予算が捻出できなくて、合掌造りをこわしてしまう家もたくさんあるとか。観光客相手に商魂たくましい印象も持ちますが、重要伝統的建造物を残 しながら、住民の生活も成り立たせる解答がここ、白川郷にあるのかなと思いました。
長瀬家を出て向かったのは、現在屋根の葺き替え中の合掌造りの家。本通り沿いに立っているこの家はふつうの民家ではないでしょうね。工事業者が作業をしていました。何千万円の費用は、民家として使うには高価ですものね。
この時間になると、観光協会の予想通りに「混雑」してきました。お日様も高くなれば、写真もイマイチ。そろそろ引き上げようかなと、せせらぎ公園に戻ったのでした。
白川郷観光協会によれぱ訪れた10月11日は「混雑が予想される日」だそうです。ちなみに前日の10日は「特に混雑が予想される日」だそうで。そんなこともあり、早朝に訪れることを考えました。7時前にはせせらぎ公園の駐車場に入りました。クルマはまだ数台。白川郷に宿泊している人たちが浴衣のまま朝の散策をしていました。山に霧がかかっています。このまま曇りか、山間部なので太陽が昇るころには綺麗に晴れるのか。合掌造りの中を歩きました。タバコのみは注意が必要です。あらゆるところに禁煙の看板が立てられています。健康面ではなく、茅葺屋根の火災防止のためです。本通りを中心に電線や電信柱はありません。地下に埋めてあるのでしょう。景観のためですね。景観を壊すことのないようあらゆるものが目立たない濃い茶色で塗られているのですが、驚いたのは、BS用パラボラアンテナも濃い茶色に塗られていたこと。世界文化遺産、ハンパではありません。白川村のサイトによれば白川郷に昨年やってきた観光客は173万人。今年4月の白川村の人口1785人。村の人口の千倍の人たちがやってくるとんでもないテーマパーク状態なのですね。世界文化遺産の登録が1995年。東海北陸自動車道の全線開通が2008年7月。少しずつアイテムを増やしながら観光客を呼び寄せているわけだ。特に東海北陸自動車道の白川郷ICまでは3キロほどですから、地道をほとんど走らなくても行ける世界文化遺産ということになります。観光地に交通の便は必須アイテムだとどこかのレポートで読みました。かくして高速道路の開通で10年前に約100万人だった観光客は7割増になったのです。
案山子が立てられていて撮影ポイントになっているところで、中国人とおぼしきカップルからシャッターを押してくれと頼まれました。英語も通じません。彼らが私と話すために使った日本語は「シャッター」と「きれい」の2語のみ、英語で話すわけでもなく、言葉はほとんど通じていないのに、こちらがシャッターを押してあげて、彼らはモニターで確認した画面に「きれい」と言い、それから、「お前もシャッターを押してやろうか」と言い(そう言ったんだと思う)、「僕は結構」と断って…。ほとんど言葉が通じないのに意志は通じるんですね。面白い体験でした。また、彼らは、外国からの白川郷の客の二人になってくれたということですね。
城山展望台に徒歩で登ってみま した。合掌造りの家の上に霧がまだ残っていて、これまた結構な景色でした。それから再び集落に降りて歩いているうちに山から日光が差し始めました。ふと気づくと、茅葺の屋根から湯気が立ち上っています。前夜雨だったのか、夜露で濡れたのか、たっぷり湿気を含んだ茅が日光で温められて湯気を出しているのです。まるで、合掌造りの家が生き物で、その息遣いのようです。
合掌造りの家には民宿として使われているのも土産物屋や飲食店として使われているのもありますが、中を公開しているところも何軒かありました。そのうちの一軒、長瀬家に入ってみました。入ったところのテレビの前で1 時間ほど過ごしてしまいました。かつてこの長瀬家が大屋根を葺き替えたときの記録がNHKのドキュメント「心をつないだ大屋根葺き」として放送されたのだそうです(番組内容はこちら)。それが説明代わりに流されているのですが、その番組に見入ってしまったのです。以前から白川郷の合掌造りの葺き替えは、村人総勢で助け合ってやると聞いていたのですが、その詳細が見られるのです。助け合いのことを白川郷では「結」というらしい。沖縄には「ゆいまーる」という言葉 があるそうですから、相互扶助という意味では同じものなんでしょう。その「結」によって屋根の葺き替えをするのはこの村では30年ぶりのことだというのです。つまり高度経済成長期には「結」による葺き替えが途絶えていたということ。また、長瀬家が総吹き替えをするのが80年ぶり。それくらい茅は長持ちなんですね。葺き替え当日は総勢500人ほどの人たちが集まって作業をする。助け合って一軒の屋根を葺き替えるのにそれくらいの人手が必要ということ。一方、「結」でなくても業者に頼んで作業をしてもらうという方法もあるのですが、これが数千万円の大仕事になるそうです。白川郷も生活の変化で「結」が成り立ちにくくなり、葺き替えるにもその予算が捻出できなくて、合掌造りをこわしてしまう家もたくさんあるとか。観光客相手に商魂たくましい印象も持ちますが、重要伝統的建造物を残 しながら、住民の生活も成り立たせる解答がここ、白川郷にあるのかなと思いました。
長瀬家を出て向かったのは、現在屋根の葺き替え中の合掌造りの家。本通り沿いに立っているこの家はふつうの民家ではないでしょうね。工事業者が作業をしていました。何千万円の費用は、民家として使うには高価ですものね。
この時間になると、観光協会の予想通りに「混雑」してきました。お日様も高くなれば、写真もイマイチ。そろそろ引き上げようかなと、せせらぎ公園に戻ったのでした。
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