かねやま

　名称がない泡盛。あるのは「山」にカギがついたロゴだけ。どうやら「かねやま」と読むらしいです。「珊瑚礁」も作っている、本部長のある山川酒造の泡盛です。

  例えば、電話で酒屋さんにこの一本を注文するとしたらどんなふうに言えばいいのだろう。「かねやま」といきなり言える人はきっと少ないでしょう。「えーと、山川酒造の…、銘柄が書いてなくて…、泡盛としかラベルには書いてないヤツ、ラベルの色・黄色と水色。そうそう、そいつを一升瓶で一本」てな具合でしょうか。きっと地元のためだけに単一の銘柄を少しだけ作っていた醸造所の名残でしょうね。以前に飲んだ、「マルタ」という泡盛も銘柄ではなく、醸造所の屋号から作ったロゴのことだったように思います。

　ちょっと見には地味に思えますが、香りが華やかです。フルーツの香りといえばいいのでしょうか。口に含むと奥の奥のほうで「白百合」に似たような土臭さも少し感じます。こういう味は泡盛好きの間でも好き嫌いがはっきりするように思います。これくらいの味わいがなきゃという思う人と、クセが強くて自分の舌にはどうも…と思う人に分かれるでしょう。
　水割りにするとぐっと飲みやすくなります。が、一方であの華やかさも薄らいできます。意外だったのはお湯割りにした時のバランスの悪さ。期待が大きすぎたということでしょうか。そもそも暖かい、もしくは暑い沖縄のこと、湯割りの想定はなされていないのかもしれません。
　食事のために飲むよりも、この泡盛の味を楽しむためにアテをつまむという飲み方、ストレートかロックでチビチビ舐めるのが似合うお酒なのかも知れません。
（私個人の印象です、他意はありませんよ）