ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

ウェブ人間論

2007-01-18 11:48:45 | 読んだ本
ウェブ人間論
梅田望夫 平野啓一郎
新潮新書

  スリリングである。かなり刺激的。
  シリコンバレーでコンサルティング会社を営む梅田望夫氏と、「月蝕」で芥川賞を受賞した平野啓一郎氏が、ウェブの進化により人間の思考や行動がどう変わるかを考え、人間がウェブによってどう「進化」するかを対談した内容をまとめたもの。二人の職業や立脚点が違うがゆえに話題が広がり、時には意見の相違が見られるところがスリリングであり、読み応えがある。
   昨年話題になった梅田望夫氏の「ウェブ進化論」(ちくま新書)を受けて、対談がもたれたらしい。平野氏がホスト、梅田氏がゲストという役柄で、対談が進んでいく。 頷いたり、驚いたりしながら読み進んでいくのだが、なかでも「へぇー」と思った話題をひとつふたつ。
  ウェブ上の情報がどんどん膨張すると、検索が重要になってくる。あらゆる情報が検索でひっかかってくるようになると、個人の情報も本人の知らないところで載せられているかも知れない。梅田氏によれば、「膨大=ゼロ」 と考えるのだそうだ。情報が多くなると、その全てに目を通すことはできない。だからその膨大な情報の中に隠れることができると。ネット上には確かに情報としては存在するけれども、埋もれてしまうことで情報がないのと同じになるというわけだ。例えば、自分の子どもの名前を考える時に、有名人と一緒にしておけば、検索にも引っかかりにくく、平穏な人生を終えられるのではないかと、彼はいう。
  もうひとつ。平野氏は作家であるので、ウェブの進化で本が売れなくなるのではないかと心配している。梅田氏のように執筆以外に本業がある人はともかく、執筆業は生活でできなくなののではないかと思っている。対して梅田氏は、ウェブと書籍は、うまく棲み分け、共存しながら残っていくと説く。細かいやりとりは本を読んでいただいたほうがいいと思うけれど、本書の中でも、この辺りは、二人の発想がまったく違うがゆえに面白いところだ。
   近頃大流行のブログだが、梅田氏は、ブログで人は成長できるとか、ブログで自分を発見するということに言及している。一過性の流行ではなく、ブログというツールの存在が、人間を変化させるというわけだ。
  ウェブがこれからどう変化していき、私たちの行動がどう変化していくか。10年先、15年先に、本当に本書で語られているような世界になるかどうか、それは誰にも分からないけれども、可能性のひとつとして本書を読んでみるのは値打ちのあることだと思う。お値打ちの680円(税別)。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プレジデント ファミリー | トップ | RSSリーダーを使っていますか »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事