「北の山・じろう」時事日記

内容は主に海外時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナのもう一つの戦い(社会改革)<ウクライナ紛争2023年7月

2023-07-27 11:23:16 | ウクライナ紛争

ベラルーシ、ウクライナ、ロシアなど長く旧ソ連を構成していた国には、共通の社会構造があります。
それは、腐敗・汚職・人治政治・犯罪などです。
腐敗や汚職は旧ソ連時代からのものです。旧ソ連崩壊後の社会的混乱が、人治政治・犯罪の蔓延を生み出しました。

ロシアは、その典型的な社会です。
ウクライナもロシア侵略前は同じ構造に悩んでいました。現在のウクライナ大統領も腐敗・汚職の打破をスローガンに当選しました。しかし、就任後改革の取り組みは遅々として進みませんでした。

そのような中でロシアが軍事侵略を開始しました。ウクライナは防衛のため西側諸国に支援と援助を求めました。その試みは成功し西側諸国はウクライナ支援と援助を決め今に至っています。

それには、条件があります。ウクライナが社会的腐敗・汚職を是正し犯罪を取り締まり法治国家になることです。要は西側基準のスタンダード国家に生まれ変わる事が支援を継続する条件です。

つまり、戦争前はウクライナもロシアと似たぐらい腐敗した国家でした。ロシアと決定的に違うのは独裁者を追放し自由選挙により指導者を決めることです。

オレンジ革命
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E9%9D%A9%E5%91%BD
ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ
尊厳の革命
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8A%E5%8E%B3%E3%81%AE%E9%9D%A9%E5%91%BD
2014年・ヴィクトル・ヤヌコーヴィチを追放

ウクライナの内政は、親ロシア派と親欧米派の争いです。親ロシア派の代表がヴィクトル・ヤヌコーヴィチです。2004年のオレンジ革命で一旦排除されましたが、親ロシア派が巻き返して、また独裁者の地位に復活します。2014年、再度革命が起こり今度は、本当に追放されました。ウクライナに腐敗と汚職と犯罪が内蔵する理由です。
安定した政権が生まれなかったことが社会改革できなかった理由です。
2014年、独裁者追放後もウクライナの政治は安定しませんでした。ユーロ諸国に助けを求めても腐敗や汚職、犯罪を理由に助けては、もらえませんでした。要は、仲間に入れて貰えなかったということです。

そして2014年の革命後ロシアは、内政干渉してウクライナを間接支配するのを諦めました。そのためクリミア半島に軍事侵攻して実効支配しました。その後、ウクライナ東部に介入してその後続いたドンバス紛争を引き起こしました。この時密かに活動したのがワグネルの傭兵部隊です。ワグネルとロシア政府の腐れ縁振りが分かると思います。

これに対し分裂気味であったウクライナは、ドンバス紛争を拡大させずにそれ以上のウクライナ領の喪失を防ぐことしか出来ませんでした。ロシアとの直接の戦争を恐れたからです。この状態が、2022年2月ロシアのウクライナ軍事侵略開始前まで続いていました。

このような経緯を経てロシアの軍事侵略後は、NATO諸国も従来の考え方を変更せざるを得なくなりました。ウクライナでロシアの侵略を止めなければ、他の東ヨーロッパの小国が次のターゲットになるからです。

ウクライナは実質的にNATOの代理戦争を戦う代わりに全面的な支持と支援を受けることになりました。その条件が社会改革です。

平時であればウクライナの社会改革は無理であったろうと思います。あまりにもしがらみ既得権益が多すぎて無理だと思います。おまけにウクライナ自体が混乱した貧しい国です。
しかし戦争がゼレンスキー大統領に戦時の大統領としての大きな権限を与えました。そのタイミングを生かして去年からゼレンスキー大統領とそのグループは、腐敗や汚職の摘発、ロシア勢力の追放、ロシアのスパイの摘発など様々な事を行ってきました。戦争前は、ロシア勢力の追放、ロシアのスパイの摘発などは不可能なことでした。

しかし、まだ腐敗や汚職の構造は残っています。社会に深く根付いた悪しき慣習は簡単には排除できないようです。
しかし、腐敗と汚職の根絶の取り組みは続いています。

ゼレンスキー氏、戦時中に休暇取得の議員や公務員を叱責
2023.07.26 Wed posted at 10:57 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35207005.html

ウクライナ議員、病休と称してモルディブに家族旅行 刑事捜査の対象に
https://www.bbc.com/japanese/66321268

ウクライナへ昨年供与された西側の兵器、一部盗まれていた その後回収と米国防総省
2023.07.21 Fri posted at 12:27 JST
https://www.cnn.co.jp/usa/35206836.html

ロシアとの祖国防衛戦争が続いていて、ロシアのミサイルやドローン攻撃で毎日、ウクライナ市民には犠牲者が出ています。
そんな中でさえ、こんな不心得者がまだいます。それが今までの役得だったのでしょうね?しかし、それを発表すれば、今はウクライナ国民はその不正を許さないと思います。大統領を支持するでしょう。

第二の戦争にも勝って民主主義国家への道を歩んでほしいと願います。


(ロシア)静かに成立した地方の準軍事組織を認める法案<2023年7月

2023-07-27 11:23:16 | ロシアと周辺国

ロシア、徴兵年齢の上限を30歳に引き上げへ 下院が法案可決
https://www.bbc.com/japanese/66308937

この法案には、別の条項も含まれていたようです。
それが?

正規軍に見切り?ロシアは国中ワグネル式準軍事組織だらけになる
2023年7月26日(水)14時49分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/post-102273.php

地方自治体(実質的には地方政府)の判断で独自に準軍事組織を設立できるとするものです。

『7月25日の朝に発表されたこの法律によれば、準軍事組織には、連邦予算と地方予算から資金が提供され、「戦時における動員あるいは戒厳令の期間中、公共の秩序の保護を強化し、公共の安全を確保する」活動を行う。』

パルチザンのベルゴロド州侵入事件やワグネル武装蜂起事件で分かったことは、ロシア国内にはほとんどロシア軍がいないと言う事です。ワグネルを武力鎮圧出来なかったのは、そのための兵力がいなかったからであろうと思います。

正規軍を急遽増員する訳にもいかず(ロシア国民の反発が大きいです)、苦肉の策として地方防衛軍の創設に踏み切ったと思います。連邦予算からも資金提供され、武器はロシア国防省が貸与する方式です。
戦闘機と大砲、ミサイルは貸与兵器に含まれていません。しかし、必要があれば貸与項目に追加されるでしょう。
実質的に戦闘機とミサイルを除いた武装になると思います。

当面は、地域防衛が任務だと思います。特にウクライナと国境を接する西部の州は手薄です。ロシアの正規軍を派遣できないから、地方政府が自分たちで守れと言うことであろうと思います。やがて、ウクライナ戦線に動員しようという思惑もあると思います。

しかし、ロシア国内のあちこちに地方の準軍事組織が出来ることになります。州によっては、かなりの人員を擁する部隊になると思います。しかも重武装です。この組織の内蔵する問題点は、地方自治体の長に指揮命令権がある事です。

ロシア政府やロシア国防省の統制が緩むような事態が起きれば?
武装蜂起の芽を沢山作る事になります。
地方軍閥が誕生します。

ワグネルの2~3万人の武装蜂起すら武力鎮圧出来ませんでした。数万人規模の地方の準軍事組織が複数武装蜂起すれば、事実上の地方軍閥が誕生します。

ロシア政府自身にとって将来に禍根を残す法律を作ってしまったように思います。
プーチン氏の勢力を分散させ分割統治する手段の結果として、このような方式を考えたと思います。
しかし、統制が効かなくなれば?
第二のワグネル事件が起きると思います。