「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ウクライナ軍の戦況把握と見通しは大丈夫なのか❓<ウクライナ紛争2024/07/26

2024-07-26 19:41:44 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

①ロシア軍は「1カ月半で守勢に」 ウクライナ国家親衛隊の司令官が主張
2024/7/26 09:07
https://www.sankei.com/article/20240726-7IWJR2IUIRN7JEDFAWK7AKNQD4/
②ウクライナ軍、露軍に勝機与えず 東部ドネツク州 守勢作戦で損耗強いる
2024/7/24 18:59
https://www.sankei.com/article/20240724-R5EBQQB6LBMJFEN232ICULGOZU/

これがウクライナ軍の本当の戦況把握なら、多分すぐ負けると思います。
国内と外国に支援国向けの(安心感を与えるための)楽観的な見込みなのだろうと思います。

②の記事
『ウクライナ軍が同国東部ドネツク州で、ロシア軍の損害を徐々に拡大させている。全体の戦局は膠着(こうちゃく)状態が続いているが、同州では占領地域を拡大して前進を図る露軍に対し、戦略的要衝を重点的に防衛する守勢作戦で露軍を消耗させている。ウクライナ側は自国軍の戦力回復を図り、将来の反撃につなげたい考えだ。』

これを読むと
◎全体の戦局は膠着状態が続いている
◎戦略的要衝を重点的に防衛する守勢作戦で露軍を消耗させている
◎ウクライナ側は自国軍の戦力回復を図り、将来の反撃につなげたい

『英誌エコノミストは7月、露軍では戦車の損耗が深刻化し、対露経済制裁で再生産や修理も困難になっており、今後戦力の低下が進むとする米英専門家の分析を報道。英国防省は、露軍の5、6月の1日当たりの平均死傷者数がそれぞれ1200人、1100人を超え、侵略開始後で最高水準になったと報告した。』

ロシア軍の大きな兵員の損傷を強調しています。
しかしロシア国防省の毎日の報告を読むと、ウクライナ軍御死傷者数はハルキウ北部戦線が形成されて以降、それまでの2倍強に増えています。
それ以前は600人~1000人程度でした。
それ以降は、平均2000人程度で推移しています。

ウクライナ軍が発表しているロシア軍の死傷者の2倍近い死傷者が出ています。もちろん、どちらの発表も正しいとは限りません。
しかしウクライナ軍の方が水増し発表をしている傾向は、はっきり見えます。
優勢に戦闘を続けているロシア軍は、特に水増しする必要がありません。

大きな兵士の消耗があるのは、ウクライナ軍の方だと思います。理由は、今年の初めに比べるとウクライナ軍の兵士不足が更に悪化しているからです。

大雑把に双方に1日1000人程度の死傷者が出ている可能性が大きいです⇒双方の戦果発表。
1月と比較すると単純計算で1か月3万人換算で6か月18万人近くのウクライナ軍兵士が戦場から離脱していると仮定します。
ロシア軍にも同程度の離脱があるとしても、ロシア軍はその減少分の補充が出来ているようです。
ウクライナ軍は、明らかに出来ていません。
非常に単純計算ですが、1月と比較するとウクライナ軍は18万人兵士が減少して、その分兵力差が拡大していることになります。

それが今年5月以降に時々見られるウクライナ軍の前線の崩壊として表れていると思います。
前線が突然崩壊してロシア軍が大きく前進する戦場が、特にアウデイーイウカ戦線で出てきています。

しかも、最近はそれが一部の戦場で加速しています。
2024.07.26
『侵攻883日目、トレツク、二ューヨーク、ポクロウシクの状況は悪化の一途』
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/883rd-day-of-the-invasion-the-situation-in-toletsk-new-york-and-pokrovsk-continues-to-worsen/

一番ひどいのが、アウデイーイウカ~ポクロウシク戦線のロズヴァツケLozuvats'keとプロレスProhresの西側と南側です。
その手前のソキルSokilの要塞が陥落してからロシア軍の進撃が加速しました。今は1日1kmに近いようなペースでロシア軍が進撃しています。
塹壕戦ではあり得ないスピードです。
この方面ではウクライナ軍の防衛部隊が崩壊していることを示しています。

昨日、ここまでロシア軍が進撃したら危ないな・と考えていた、T-0511沿いのイワニフカIvanivkaやVesele、線路沿いのセルヒウカSerhiivkaやゼランヌZhelanneなどに迫っています。
Veseleは郊外までロシア軍が迫っており、イワニフカIvanivkaやセルヒウカSerhiivkaやゼランヌZhelanneにも数km地点まで肉薄しています。
ここ数日は、1km前後毎日進撃しています。

このエリアは、ロシア軍がウクライナ軍の防衛ライン(が、あったとして)を完全に突破しています。だから信じられないほど進撃スピードが速いです。

西の軍事的要衝のデイミトロフМирноградの手前にあるウクライナ軍の大きめの防衛拠点のフロデイフカHrodivkaまでは、ロシア軍の現在地からせいぜい5km程度でしょう。

もうドネツク州西部の大軍事拠点であるデイミトロフМирноградとポクロウシクPokrovskまで、それほど距離はありません。しかもロシア軍の進撃スピードが速まりました。

☆ハルキウ州、ザポリージャ州、ヘルソン州ではロシア軍の進撃はごくゆっくりか前線が動いていません。この方面は、膠着状態と言えるかもしれません。
その理由は、ロシア軍が本腰を入れて攻撃していないからです。

現在ロシア軍が主力を投入していると思われるドネツク州の現状。
アイデイーイウカ~ポクロウシク戦線⇒危機的
ニューヨーク~トレツク方面⇒ロシア軍圧倒的に優勢

つまり現在ロシア軍が主力を投入して攻撃をしているのが、この方面です。
ドネツク州の中央部をアウデイーイウカからポクロウシクPokrovskまで西に突破して、ドネツク州を南北に分断するのが、ロシア軍の現在の作戦計画のようです。
この目的は、きわめて順調に進捗しています。

ドネツク州を放棄する心算なら、前線が膠着状態にあると言えるかもしれません。
しかしドネツク州は、もう全体として危機的といっていいような戦況です。

当然ロシア軍がこれほど急速に前進していると言うことは、それなりにウクライナ軍は武器や兵員を失っていると言うことです。
全体として消耗戦ですからどちらかが一方的に損失が多いと言うことは、あり得ません。
今は、むしろウクライナ軍の方が武器や兵員の損失が多いと思います。

そう考えるなら①と②の記事は、ウクライナ国民と支援国向けの大本営発表であることになります。
今の戦況をそのまま発表したら、「戦争は止めよう」と言うことになると思います。

この状況を糊塗して無理に戦争を継続しても、ウクライナ軍の損失が大きくなるだけだと思います。その分、失う領土も拡大するでしょう。

『適時適切なウクライナ軍支援が西側諸国からあれば、反撃に出る条件が整う』
などと言う発言は、現状を見るなら不可能とまでは言いませんが、相当に困難であるように見えます。
武器が来たところで、それを使う兵士がいなければ、どうにもなりません。
どうしてもやるならNATO軍の派兵しかないでしょう。
核戦争覚悟で、それをやるのかどうか❓
楽観的な見通しを言い、「結論の1日伸ばし」を繰り返したところで、日が経つごとに戦況が悪化するだけです。

★更に疑問に思う点⇒①の記事
『ウクライナのシュミハリ首相は25日、南部ヘルソン州で建設中の防御拠点を視察し、「建設工事の97%が完了している」と表明した。』
ヘルソン州ではドニプロ川が天然の障壁となっています。
更にロシア軍は、ヘルソン州西岸には砲撃やミサイル攻撃するだけで渡河作戦(攻撃)する気配はありません。
アイデイーイウカ~ポクロウシク戦線でロシア軍が急速な進撃を示しており、もし防衛拠点を建設するならポクロウシク方面に建設するべきです。
ヘルソン州の要塞建設は一番最後でいいような場所です。
最も必要性の薄い場所に、せっせと要塞を建設していることになります。

★更には指揮命令系統です。
これは国防大臣の所管です。首相が口出しするべきではありません。国防大臣は何をやっているんだ❓と言う話になります。
本来、国防省の広報が発表するべき事をそれぞれの部署で勝手に発言しているケースが多くみられます。指揮命令系統が混乱しているのか、そもそも無いのかどちらかです。


ロシア軍であればゲラシモフ参謀総長が何かを発言することは一切ありません。
全部、国防相かロシア軍の広報、または大統領府広報官が発言します。
ウクライナの場合を見ると政府や軍の高官が、それぞれ勝手に発言しています。それが示すことは、指揮命令系統の混乱または崩壊です。
見ていると一事が万事、こんな調子です。
ウクライナ軍全体に責任を持つべき国防相は、ほとんど姿が見えません。



※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑤
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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