「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

クルスク戦線は、現在どうなっているのか❓<ウクライナ紛争2024/09/06

2024-09-06 17:43:01 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

ウクライナ軍が起死回生の一発勝負を賭けたクルスク侵攻作戦ですが、最初の2週間はウクライナ軍の快進撃が伝えられました。
ロシア軍も迎撃部隊を送り込み、その後持久戦模様になり最近は、さっぱり戦況が伝わってきません。

それに対するウクライナ側の評価。

クルスク越境攻撃「成功」、東部でロシア軍前進せず=ウクライナ総司令官
By ロイター編集
2024年9月6日午前 5:32 GMT+94時間前更新
https://jp.reuters.com/world/ukraine/AUP6CVFRQRMDPLKEMO4TTYYG4M-2024-09-05/
◎シルスキー司令官
『「過去6日間、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州でポクロフスク方面に向けて1メートルも前進していない」と指摘。「われわれの戦略は成功している」とし、クルスク越境攻撃は「軍だけでなくウクライナ国民全体の士気を大きく高めた」』
◎ゼレンスキー大統領
『ウクライナ軍はクルスクで陣地を維持しており、「連日の作戦が、ロシアがこの戦争に負ける可能性があることを世界に対して証明している」と述べた。』
◎プーチン大統領
『ウクライナのクルスク越境攻撃は失敗した』

読めば、クルスク作戦は成功しているように聞こえます。

問題は、ウクライナはクルスク作戦のためにドネツク州を犠牲にしていることです。ドネツク州の各戦場から強力な部隊を引き抜き、予備兵力と併せて侵攻部隊を編成しています。そして戦車や装甲車、その他強力な火力などを集中投入しています。更には砲弾やミサイル、ドローンなども他の戦場はへの供給を制限して侵攻部隊に割り当てています。

このようにしてドネツク州を半ば犠牲にする以上は、最低限クルスク原発と州都クルスク市の占領ぐらいは必要だと思います。そしてモスクワへ進撃する構えぐらいは示す必要があるでしょう。
これぐらいやって、やっとロシア側にプレッシャーを掛ける事が出来ると思います。

現実には、約1300平方km程度ロシア領は占領したようですが、そこでロシア軍に進撃を止められています。クルスク侵攻作戦は、途中で挫折していると言えます。
クルスクの陣地(占領地)を維持していると強弁していますが、それで終わりでは到底引き合わないです。
ロシアのド田舎のクルスク州の土地を少々占領しようとドネツク州を失えば失う領土の価値が大きすぎることは誰の目にも明らかです。

と言うような流れで現在、クルスク戦線はウクライナ軍が増援部隊を送り込んで攻勢を続けているようですが持久戦模様に移行しつつあるように見えます。持久戦に移行するなら、ほぼ失敗と評価できます。
ドネツク州ではロシア軍の進撃が続いているからです。

※現在の戦況
余り情報がありません。情報がないと言うことは、持久戦に移行しつつあることを示していると思います。
ロシア側にも損失は出ていると思いますが、攻めているウクライナ軍の方の損失は、かなり大きいと思います。
結構、ウクライナ軍の装甲車両などが撃破される動画が増えているように思います。
https://hara.livedoor.biz/archives/52341155.html
この記事に動画がアップされています。
撃破するところばかり集めて編集していますから、この通りではありません。しかしロシア国防省の発表を見てもウクライナ軍の損失は少ないとは言えません。

ロシア軍は、ウクライナ軍を呼び込んで攻めてくるウクライナ軍をその都度撃破する作戦のようです。ウクライナ軍の方は参謀本部の命令により攻撃を繰り返すしかありません。
クルスクの戦場は、このような状況であろうと思います。
航空万能論の一番新しい戦況図
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-921st-day-of-the-invasion-ukrainian-forces-occupy-malaya-loknya-in-the-kursk-region/

※しかし、クルスク戦線にはもう一つの戦場があります。
兵站(補給)をめぐる戦いです。ウクライナ軍の後方支援基地は、スームイСуми市です。スームイСуми市から幹線道路のH-07を通ってクルスク戦線の各戦場に補給が行われます。主な補給路は、これしかありません。兵站(補給)が貧弱であると言えます。

現在、ロシア軍は滑空爆弾やミサイル、ドローンを投入して徹底的にスームイСуми市に攻撃を加えています。
ロシア軍の滑空爆弾の1日の投下量が約100発です。
このうち50発をクルスク戦線に割り当てているそうです。
さすがにロシア軍にとってもクルスク戦線で負けるわけには行かないからです。
東部戦線から兵力を移動しない代わりに火力で補おうという作戦です。
大雑把な計算で1日50発で3週間ですから、ざっと1000発以上の滑空爆弾が、スームイСуми市の各拠点に撃ち込まれていると思います。
相当、酷いことになっているでしょうね。
他にもミサイルやドローンを打ち込んで小まめに破壊していると思います。

特に補給路であるH-07をクルスクに向かって走る輸送トラックは相当破壊されていると思います。
トラックをどこかから毎回調達してこないとトラックによるピストン輸送が出来ません。スームイСуми市の輸送拠点への攻撃と併せて、相当補給は苦しいと思います。

そして時間が経過するほどにスームイСуми市の破壊は進むと思います。

これが後方での戦いです。貧弱な補給路に加えて補給拠点や物資、補給トラックが次々と撃破されていけば、補給の苦しさは改善されないと思います。
クルスク戦線のウクライナ軍は、乏しい補給の中で戦っていると思います。

そして消耗戦に移行したのであれば損失は当然に発生します。その分の兵員や武器・装備の補充も必要です。
今後は、ウクライナ軍には単なる戦闘以外に、このような兵站と補充の戦いも同時に行わなくてはなりません。
これから冬に向かって、こういったハンデイをどうやって克服するのか❓
自国領で戦うのと、他国領で戦うのでは負担するべき作業量が全然違います。
ウクライナ領でロシア軍と戦いながら、クルスク戦線を維持するのは相当大変だと思います。

だから本来なら頓挫したクルスク戦線から速やかに撤退して、その戦力を現在苦戦している戦場に振り向けるべきでしょうね。
そうすればドネツク州での砲弾・ミサイル・ドローンなどの不足もかなり解消できます。

シルスキー司令官とプーチン大統領が成功を主張しているクルスク戦線の中身は、このようなものです。
これが成功と言えるのかどうか❓
少なくともロシアが喜んでいるのは、確かです。
オネダリしていると思います。モットお願いします!
ダメでしょ、これ❓

※更に言うなら・・・
ポクロウシクPokrovskの手前にいるロシア軍は、進撃が急激過ぎたので一旦、停止して次の攻撃の準備中だと思います。ウクライナ軍がロシア軍の進撃を食い止めたようには見えません。
もっとあって・・・
南ドネツクのヴフレダルVuhledarの南にいるロシア軍が、西のヴェリカ・ノボシルカVelyka Novosilka方面に向かって猛烈なスピードで進撃中です。
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/110ca56191ee0a48eb93ac695d7819e2
これにどう対処するのか、シルスキー司令官のご意見を伺ってみたいところです。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。