「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ポクロウシクPokrovsk戦線>ヴォブチャ川~クラスノホリフカの戦い<ウクライナ紛争2024/09/07

2024-09-07 19:49:56 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

2024.09.7
侵攻926日目、ロシア軍のウクライナ東部に対する攻勢が止まらない
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/926th-day-of-invasion-russian-military-offensive-in-eastern-ukraine-shows-no-sign-of-stopping/

ロシア軍はウクライナ軍の隙を突いて、アウデイーウカ郊外からポクロウシクPokrovskの東10km地点まで猛烈な勢いで進撃しました。
一気にデイミトロフМирноградとポクロウシクPokrovskでの決戦に突入するのかと思っていましたが、どうもそうではないようです。

①ポクロウシクPokrovskまで10km未満の地点まで進撃して、取り敢えずそこでアイドリング状態に移行しました。
現在は、もっぱら事前砲撃を加えているようです。

②その南にある大きな市街地を持つ拠点のセリダブSelydoveを攻撃しています。ここはウクライナ軍もそこそこ兵力を配備しているようで、郊外まで肉薄したロシア軍との接近戦が起きています。今のところ、互角の形勢です。一気にロシア軍が攻め切るのは、難しそうです。

③その更に南東方向にルートE-50とヴォブチャ川Vovcha Riverに沿った戦場があります。
このエリアを、『ヴォブチャ川~クラスノホリフカ』方面と仮称して日記では表記します。
これから起こるであろう戦域を考えると、こう呼ぶのが一番分かりやすいと考えたからです。
略図を見て分かる通りルートルートE-50を超えたヴォブチャ川Vovcha River沿いのエリアが、現在戦闘地域になっています。

そして①②③の中で最もロシア軍が活発に攻撃しているのが、この③の『ヴォブチャ川~クラスノホリフカ』方面です。目先のロシア軍の攻撃は、この方面が第1順位のようです。①と②は、後回しでしょうね。

ここにマリンカMar'inkaの北側に位置するクラスノホリフカKrasnohorivkaが関係してくるのは、ヴォブチャ川沿いにロシア軍が南下してくると、クラスノホリフカの北に大きな包囲されたエリアが出来つつあるからです。

※クラスノホリフカKrasnohorivkaについて少し説明

クラスノホリフカKrasnohorivkaもウクライナ軍の強力な要塞でマリンカMar'inkaが去年の暮れに陥落した後長いこと、ウクライナ軍の抵抗拠点でした。
『クピャンスク戦線とマリンカ戦線(クラスノホリフカ)<ウクライナ紛争2024/08/11』
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/2af133d30fa0d1f0a18abb1d376f0f8d

ロシア軍がクラスノホリフカを完全に制圧したのが8月の初め頃です。こんな小規模な拠点が単独で8か月ロシア軍の猛攻を防いでいました。
増援部隊を送って防御を強化すれば、まだ防衛は継続していたと思います。ここに送るべき増援部隊はクルスク戦線に送られました。
いかにクルスク侵攻作戦が的外れで身勝手な作戦か分かると思います。増援部隊を送って補強すれば、まだまだ戦えたはずのドネツクの激戦地をウクライナ軍は、自ら放棄しました。その悪影響は、ドネツク州全域ですでに出ています。
このような長期間に及ぶ激戦の後でしたのでロシア軍も小休止に入り、部隊の休養と補充と補給を行っていたと思います。
・・・・・・・

このような経緯を経てクラスノホリフカKrasnohorivkaのロシア軍も行動を再開したようです。
北方向と北西方向に進撃を始めました。
北西方向に進んでヴォブチャ川Vovcha Riverを南下中のロシア軍と合流すると、クラスノホリフカ北側のエリアを大きく包囲することが出来ます。
現在、ネヴェルスケNevel's'keにはウクライナ軍の部隊が守っています。包囲が完成するとこのエリアにいるウクライナ軍は降伏するか日干しになります。普通は降伏すると思います。
まだ西のヒルニクHirnyk方向に撤退は可能ですが、長い平原を横切りますので相当、追撃は覚悟しなければなりません。

※ウクライナ軍の撤退命令は、常に遅すぎます。手遅れになってから撤退命令を出すので、それで無用に戦死したウクライナ兵は、かなり多いと思います。
本当にウクライナ軍は兵士をゴミのように扱います。
ロシア軍は、攻撃の時は突撃命令を出してかなりの損失は出します。しかし、それは勝利の代償です。ウクライナ軍は無駄に兵士の命を捨てます。その積み重ねが現在のウクライナ軍の兵員不足です。こんな調子では少々兵士を追加しようと不足するのは、当然です。

※大分、枝葉をたくさん書きましたが、ロシア軍は③の『ヴォブチャ川~クラスノホリフカ』方面の攻撃を優先する姿勢を鮮明にしました。
①と②は、後回しでしょうね。

従ってロシア軍は、当面はヴォブチャ川沿いにある各拠点を攻撃しながら南下すると思います。

ハリツイニフカHalytsynivkaは大体制圧したようで更に南下しながら西のウクライナスクUkrainskを攻撃中です。
同時に南のゼランネ・ペルシェを攻撃し始めたようです。

更に器用にヒルニクHirnykの郊外にも迫りつつあるという状況です。(投入兵力の多さが分かります)
ヒルニクHirnyk~クラヒウカKurakhivkaまで攻め下るとクラスノホリフカKrasnohorivkaの真西に行きつきます。
ここまで行くと東の東西に長い貯水池が退路を塞ぎますのでクラスノホリフカの北側の広いエリアの包囲が完成します。既に現在ロシア軍が制圧したのと同じです。このエリアにいるウクライナ軍は陣地を守る以外、何もできません。(兵力が足りないからです。おまけに孤軍になっています。)

ロシア軍は、このエリアを制圧するほかに、もう一つ重要な目的があります。
ウクライナスクUkrainskまたはヒルニクHirnykから西に進撃してツクリネTsukuryneを制圧する事です。
ここを制圧するとポクロウシクPokrovskからクラホヴェKurakhoveに行く鉄道路線を完全に遮断できます。鉄道路線を遮断すると南ドネツクは、補給(兵站)のほとんどを失います。
既にコスティアンティニフカKostyantynivkaをロシア軍が制圧していますのでウーレダーVuhledar方面のウクライナ軍は補給が非常に苦しくなっていると思います。
そのためパヴリウカPavlivkaにいるロシア軍が、西への進撃作戦を開始して西の拠点のヴェリカ・ノボシルカVelyka Novosilkaを目指しています。

こうやって書いてくると中部ドネツクと南部ドネツクは、もう西の方に撤退して西にあるウクライナ軍の重要拠点を守るしかないと思います。
ロシア軍の勢力圏に近い東の方は、放棄するしかないでしょうね❓

こうなった理由は❓
ウクライナ軍の参謀本部が中部ドネツクを軽視して、クルスク侵攻作戦に残っている軍事リソースを投入したからです。
私が「クルスク侵攻作戦は、ドネツク州を捨てたのと同じだ」と言うのは、このような状況を指して言っています。

その通りでしょう❓
もうこうなっては、予備兵力のほとんどをクルスク戦線につぎ込んでいるウクライナ軍に対応のしようは、ありません。
ウクライナ軍に出来ることは、西に撤退して西にある重要拠点を守ることだけです。
ヴェリカ・ノボシルカVelyka Novosilka
セリダブSelydove
クラホヴェKurakhove
ポクロウシクPokrovsk
地図を見ると分かりますが、ドネツク州の下半分で要塞になりそうな拠点は、これしかありません。
だからロシア軍に西への突破を許すことは、ドネツク州防衛にとっては致命的な結果をもたらします。

ウクライナの参謀本部は、ドネツク州東側の防衛ラインや要塞がドネツクを防衛してきたことを忘れているのだろうと思います。
ドネツク州東側の防衛ラインを突破されてしまえば、西には防衛ラインはありません。

どうなります❓
ドネツクの西の隣のザポリージャ州とドニプロペトロウシク州で防衛戦を戦うことになります。

スタロマイオルケStaromaiors'keやウロジャインUrozhaineの西に10kmもいかない場所が、ザポリージャ州との州境です。これまでロシア軍がザポリージャ州に進撃を控えていたのは、ドネツク州のウクライナ軍が強力でそれを許さなかったからです。

ドニプロペトロウシク州は、今年の6月ごろは40km以上遠く離れていました。到底ロシア軍が手の届くような場所ではありませんでした。
今、それほど遠くありません。
セリダブSelydoveかポクロウシクPokrovskを抜いて少し進撃すればドニプロペトロウシク州です。

たった2か月少々で、ここまで戦況が悪化しました。
ゼレンスキーとシルスキーは、本当は「ロシアの回し者」でないのか❓と私が疑うのには、確かな状況証拠があります。クルスク侵攻作戦を計画して実行したのが、その証明です。
「ロシアの回し者」でなければ、ロシアにウクライナを売り渡した「売国奴」です。
それくらいクルスク侵攻作戦を実行した罪は重いと言えます。
ウクライナが敗北すれば、敗北の直接の原因です。
前線で必死に戦っているウクライナの将兵とウクライナ国民は救われません。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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