「北の山・じろう」日記

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ポクロウシクPokrovskはドネツク州の物流(兵站)と交通の大拠点で替えが利かない重要拠点<ウクライナ紛争2024/08/30

2024-08-30 18:09:37 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

航空万能論のコメント欄を読んでいて気が付きました。
ポクロウシクPokrovskの重要性を説明した記事は、そう言えば読んだ記憶がありません。私は航空万能論の戦況略図を見ているうちに自然に覚えました。
一般的なニュースだと人口6万人の小都市程度にしか書いていない例もあるようです。

やや書いているのは、この記事。
CNN
ロシア、ウクライナ要衝ポクロウシクに「急接近」 クルスク侵入許した後も前進
2024.08.17 Sat posted at 17:22 JST
https://www.cnn.co.jp/world/35222859.html

これでも「軍事要衝」「兵站(へいたん)や軍事面の要衝」この程度にしか書いていません。これでもましな方かもしれません。

<<<ドネツク州の物流(兵站)の流れ>>>
【西の大都市のドニプロ市~ドネツク州西部のポクロウシクPokrovsk】
<北部>
◎ポクロウシクPokrovsk~北部ドネツクのクラマトルスクКраматорськ
<中央>
●ポクロウシクPokrovsk~アウデイーイウカ(ロシアが制圧)
<南部>
◎ポクロウシクPokrovsk~クラホヴェKurakhove

主な輸送(兵站)は、このルートで鉄道輸送されます。
他に補助的なルートとして・・・
<幹線道路T-0504>
◎ポクロウシクPokrovsk~コンスタンチノフカКостянтинівка
<幹線道路E-50>
●ポクロウシクPokrovsk~この先ロシア軍が制圧
南ドネツク
<幹線道路N-50>
◎西~クラホヴェKurakhove~●コスティアンティニフカKostyantynivka(ロシア軍が数日前制圧)
<●物流道路のO-0532もロシア軍が遮断>

こうしてみると西のドニプロ市からポクロウシクPokrovskに鉄道で運ばれてきた様々な物資がポクロウシクからドネツク各地に、送られていきます。
ポクロウシクPokrovskをロシア軍が制圧すると、ウクライナ軍はこの物流網(兵站)を、鉄道・道路とも失います。

この代わりは、ありません。
ドネツクの物流は、ウクライナにとっては無くなります。
後は、道路を使って細々とトラック輸送するしかありません。
これだけの物資を輸送しようと思ったら、どれだけのトラックが必要なのか見当が付きません。

北部は、かなり不便ですがハルキウ市方面からの振り替え輸送は出来ると思います。しかし、輸送量は相当減ると思います。

大問題は、南部です。
既にポクロウシクPokrovskからのトラック輸送は相当不便になっています。かなり輸送量は減少しているでしょうね。
鉄道路線は、既に危ない状況が生まれました。
ポクロウシクPokrovskの東南の方にあるセリダブSelydove(南の方の大きな市街地)までロシア軍が到達して市街戦が始まっています。
セリダブSelydoveのすぐ南を、クラホヴェKurakhoveに行く鉄道路線が通っています。
もう既に難しいでしょうね。
迫撃砲で簡単に攻撃できる距離までロシア軍が迫っています。

※このように説明されるとポクロウシクPokrovskの物流(兵站)拠点としての重要度が分かると思います。
ポクロウシクPokrovskを失うのは、ドネツク州の物流網を失うのと、ほぼ同じです。

ポクロウシクPokrovskは、まだ占領されていませんがポクロウシクPokrovskから南ドネツクに行くルートは、ほぼ遮断されました。
今後は、南ドネツクの補給(兵站)は、極端に苦しくなります。その影響は、マリンカMar'inkaの南の方では、既に出ていると思います。
この方面のロシア軍の西への進撃が活発化しています。
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-armys-defense-line-continues-to-collapse-in-battle-near-pokrovsk/
記事の図の2枚目。

ただでさえ兵力不足なところに、今度は物資の不足が重くウクライナ軍にのしかかります。
中部ドネツクは、既にウクライナ軍が敗勢と言えます。

南部ドネツクのウクライナ軍も時間が経過するほど、劣勢から敗勢に近い状況になると思います。
加えて南部ドネツクは、ポクロウシクPokrovsk方面に進出したロシア軍が南下してきて挟撃されます。
南部ドネツクもウクライナ軍の敗北は、ほぼ決定的と言っていいと思います。

※これが、ウクライナ参謀本部が下した決断の結果です。
ドネツクを軽視して、軍事資源の多くをドネツク戦線から引き抜きクルスク侵攻作戦に投入しました。
当然、ドネツクの各戦場のウクライナ軍は弱体化してロシア軍の優勢が強まります。

それに加えてドネツクの物流(兵站)の大拠点であるポクロウシクPokrovskを失えば、どうにも戦いようがないことが簡単に理解できると思います。
ポクロウシクPokrovskに通じる鉄道路線と幹線道路を封鎖されても同じ効果があります。

ポクロウシクPokrovskを失うと言うことは、このような意味があります。
終わっているでしょう❓


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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