今回はちょっと長くなりますが、
砂防堰堤本体の中身のお話。
砂防堰堤といっても
いろいろ種類があります。
皆さんも想像が容易なコンクリート堰堤や
土砂を主体とした堰堤などなど。
細かく種類を調べると結構工法があります。
今回の砂防堰堤はSBウォール工法。
鋼製パネル、コンクリートパネルを
基礎のコンクリートの上に立ち上げ、
内部を砂防ソイルセメントで充填する
という工法。
砂防ソイルセメントとは、
土砂と砂利と固化材(セメント)を混ぜあわせたもの。
厚真町の各現場では、地震による土砂崩れで、
現場には大量の土砂があります。
その土砂を有効活用しようというのも
この工法が採用された一つの要因。
じゃあ土砂だけでと思われるかもしれませんが、
砂防堰堤は、増水した川の水、すでに堆積状態と
なっている土砂が土石流となって流れてくることを
想定するとそれを止めるための大きさ、重さ、強度
が必要となります。
なので、大きさは見合った規模で造れば
いいですが、重さは土砂では足りないので、
砂利を混ぜて重さを確保、強度はパネルと
セメントを混ぜた砂防ソイルセメントに
頼ることとなります。
パネルは工場で製作するので
品質、強度は工場で確認しますが、
砂防ソイルセメントは現場で製造
するため既定の重さ、強度、密度が
あるか事前に確認する必要があります。
ということで、試験施工を実施しました。
ここからは写真攻撃。
まずは、材料の土砂、砂利を採取して水分量を確認。
ソイルセメント製造時の加水量を決定します。
採取後計量。
材料を熱して水分を飛ばし再度計量することで水分量を確認します。
加熱後計量。
再加熱し計量。計算して水分量を把握。
この時の水分量は、
土で約40%
砂利で約8%
試験結果から配合を設定。
土砂1m3に対し、
砂利は0.66m3
セメントは173㎏
水は14ℓ。
練り混ぜ開始。
練り混ぜは、本州から運んできた専用プラントを使用。
九州や四国の災害発生現場でも活躍している機械です。
しっかり練り混ぜられているか確認。
試薬を吹きかけるとセメントに反応し
ピンク色に変色。
全体的に着色が確認できれば〇。
盛土して敷均し。
で、転圧。
転圧は実際本施工で使用する各機種で実施。
最後に密度、重量が規定値を満足
しているか調べる試験。
結果は最短で24時間後。
この他に、施工7日後にカッターで
この盛土をくり抜き、圧縮強度試験
という試験を行って強度を確認。
全ての結果が〇でようやく本施工開始の許可が下ります。
なかなか面倒ですが、規定を満足しないと
堰堤が壊れ、付近に被害が出てしまいます。
しっかり確認して堰堤建設に臨みます。
土木部 1330