
昨年、脳梗塞で入院していたとき「東日本大震災・原子力災害伝承館」が開館したという情報を得て、退院したらぜひとも行ってみたいと思っていた場所でした。そこで4月16日、“ワイフ君”とドライブがてらに出かけました。
とても立派な施設です。館内には見て回る順番があり、最初にシアター室で映像を見てからになるということで開始まで15分ほど待たされました。窓からは堤防工事が行われている海岸がすぐ目の前に見えました。
ここがシアタースペースです。円筒形の内側に沿ってベンチがあり、正面の湾曲した壁面がスクリーンになっていました。約5分間の映像が流れるということで着席しました。あの日の恐怖が蘇るような緊迫感のある大迫力のシーンを期待していたのですが、あまりパッとしないボケボケの映像で、設備にお金を投じている割にはビジュアル革新の今の時代にそぐわないもので少しガッカリ。
その後、シアタースペースの外周に沿ったスロープを上がって階上の展示スペースへと向かいます。⒉階の展示スペースには地震で飴のように曲がった側溝のグレーチングや、体育館の歪んだ空調ダクトや照明器具など・・・。しかし、わたしたちが遭遇した未曾有の大震災や原発事故を伝承しましょうというのがテーマの割には、わたし的には何か物足りない感じが否めませんでした。
“ワイフ君”は結構入念に見ていたようですが、本来ならこのような施設は無料開放して、なぜこんなに大きな被害が出たのか、どうして原発の安全神話は崩れ去ったのかなど、わたしたちが未来に向けて防災や原発設備について考える大きなきっかっけとなるべきものだと思うのですがどうなのでしょう。わたしとしては、残念ながら入館料¥600を払ってまでここをぜひ訪ねてみてくださいとは・・・。
ただひとつ、受付に飾られていたこのフラワーアレンジはとても綺麗でした。“ワイフ君”と見ていて「造花かな・・・」などと失礼なことを言いました。これ生花でした。
福島の方から見ると物足りない内容なんですね。震災から2年を経過した時に出張で福島へ行き南相馬市原ノ町に宿泊した時に立ち寄った和菓子屋さんでの店員さんが震災の話を涙ながら話されたことが忘れられません。そういった強烈なインパクトを与える展示であって欲しいと私は思います。
震災当時、新聞で日ごとに増える犠牲者ので数が空恐ろしくもありました。震災だけでそれだけ悲劇があったということですし、その後の原発事故ではふるさとを失うという悲劇の追い打ちがあったのです。
原発事故後に貯まった汚染水の海洋放出が現実になってきている今ですから、原発の今後についても大いに考えさせられます。
今回伝承館にいって感じたのは、写真や動画だけならyoutubeで十分ですが、あの震災と同じ揺れを体感できる設備があったり、あのときあの場所での津波の高さを実際に形にしたものを庭に設置するなどしてあってもいいなと思いました。
原発事故後の人々の生活については、国道6号線沿いのゴーストタウンがすべてを物語っているようでした。
折を見てぜひ伺ってみてください。