つい先日、県内は高気圧に覆われて各地で気温が上昇、福島市ではこの夏最高の36.9℃を観測しました。
休憩中、会社の窓からカンカン照りの通りを何気なく見下ろしていたときです。腰の曲がったおばあさんが、背にはリュックを背負い、手には荷物をぶら下げて、歩道を急に走り出したのが見えました。腰の曲がったおばあさんですから、疾走するなんていうものではないんです。この猛暑の中、腰の曲がったおばあさんがどうして走らなければならないのか、答えはすぐに分かりました。
神社前のバス停に市内の循環バスが走り込んできたのです。腰の曲がったおばあさんはバスが走って来たのを見つけて、バス停に向かって走りだしたのでした。バスからは一人の男性客が降りただけで、バスを待っていた人は誰もいません。腰の曲がったおばあさんは、そのバスをめがけて必死に歩道を走ります。
あと5m・・・、3m・・・、2m・・・(間に合ってよかったね、おばあちゃん)、ところがそのとき、無情にもバスは走り出したのです。バス停の腰の曲がったおばあさんの前を、バスはあざけるように脇腹を見せて走り去っていきました。
カンカン照りの猛暑の中を、バスに向かって必死に走ってくる腰の曲がったおばあさんを見て、運転手は当然待っているものと思っていましたから、この思わぬ結末に、わたしは唖然としてしまいました。運転手には、バスに向かって走ってくる腰の曲がったおばあさんが見えていなかったのでしょうか。なんだか、自分のお袋が自分の目の届かないところで、こんな惨い仕打ちに遭っているような気がして、無性に腹が立ちました。
あんな運転手は、きっと腰の曲がったおばあさんじゃなくて、若い女の子達がキャーキャーいいながらバス停に駆け込んできたら、ニヤニヤしながら待っていてやるんだろうな、きっと。わたしは、心の中で、少し前にはやった軽口を言いました『死ねばいいのに・・・』。バス停と時間を言って、バス会社に抗議してやろうかとも思いました。しかし、万が一、運転手の視界に腰の曲がったおばあさんが一度も入っていなかったとしたら・・・。わたしの勝手な独りよがりの憤りのために、運転手の平和な生活に、いらぬ波風を立たせることになりはすまいか・・・。
(写真はイメージです)
カンカン照りの中、置いてきぼりを喰らった腰の曲がったおばあさんは、そのまましばらく呆然と立ち尽くしていましたが、しかたなさそうに、一度バス停の時間表を見るような仕草をしたあと、ゆっくりと傍らのベンチへ向かって歩き出しました。
わたしも、休憩を終え、すっきりしない気持ちを引きずって窓際を離れ、職場に向かってゆっくりと歩き出しました・・・。
休憩中、会社の窓からカンカン照りの通りを何気なく見下ろしていたときです。腰の曲がったおばあさんが、背にはリュックを背負い、手には荷物をぶら下げて、歩道を急に走り出したのが見えました。腰の曲がったおばあさんですから、疾走するなんていうものではないんです。この猛暑の中、腰の曲がったおばあさんがどうして走らなければならないのか、答えはすぐに分かりました。
神社前のバス停に市内の循環バスが走り込んできたのです。腰の曲がったおばあさんはバスが走って来たのを見つけて、バス停に向かって走りだしたのでした。バスからは一人の男性客が降りただけで、バスを待っていた人は誰もいません。腰の曲がったおばあさんは、そのバスをめがけて必死に歩道を走ります。
あと5m・・・、3m・・・、2m・・・(間に合ってよかったね、おばあちゃん)、ところがそのとき、無情にもバスは走り出したのです。バス停の腰の曲がったおばあさんの前を、バスはあざけるように脇腹を見せて走り去っていきました。
カンカン照りの猛暑の中を、バスに向かって必死に走ってくる腰の曲がったおばあさんを見て、運転手は当然待っているものと思っていましたから、この思わぬ結末に、わたしは唖然としてしまいました。運転手には、バスに向かって走ってくる腰の曲がったおばあさんが見えていなかったのでしょうか。なんだか、自分のお袋が自分の目の届かないところで、こんな惨い仕打ちに遭っているような気がして、無性に腹が立ちました。
あんな運転手は、きっと腰の曲がったおばあさんじゃなくて、若い女の子達がキャーキャーいいながらバス停に駆け込んできたら、ニヤニヤしながら待っていてやるんだろうな、きっと。わたしは、心の中で、少し前にはやった軽口を言いました『死ねばいいのに・・・』。バス停と時間を言って、バス会社に抗議してやろうかとも思いました。しかし、万が一、運転手の視界に腰の曲がったおばあさんが一度も入っていなかったとしたら・・・。わたしの勝手な独りよがりの憤りのために、運転手の平和な生活に、いらぬ波風を立たせることになりはすまいか・・・。
(写真はイメージです)
カンカン照りの中、置いてきぼりを喰らった腰の曲がったおばあさんは、そのまましばらく呆然と立ち尽くしていましたが、しかたなさそうに、一度バス停の時間表を見るような仕草をしたあと、ゆっくりと傍らのベンチへ向かって歩き出しました。
わたしも、休憩を終え、すっきりしない気持ちを引きずって窓際を離れ、職場に向かってゆっくりと歩き出しました・・・。
次にそのような状況になるかもしれない方たちのためにも。
機械的な仕事とか暑さとか、おばあさんに悪い条件が重なってしまったんですね。
自分のお袋がと思うkojiさんの心情、お察しします。
でも万が一にも、あの運転手がバスに向かって走ってくるおばあさんに、気がついていなかったとしたら、次の乗り場で待っている人のために、時間通りに出発させたことを責めたりできないこともたしかなことです。
まあ、自分がだんだん年老いてきて、あのおばあさんに近くなってきた状況が、そんなふうに思わせたのかもしれません・・・。