○「産経新聞:
平成29年度の全国学力テストの結果が28日、公表された。初めての国による一斉公表となった政令指定都市別の平均正答率からは、“東高西低”の傾向も浮かんだ。結果が良好だった政令市では、調査結果を学校ごとに検証するなど地道な努力を重ねたことが結実したようだ。」
今年もお騒がせな全国学力テスト結果の公表時期を迎えた。当地のローカルテレビ局によるニュースでは、「全科目で全国平均を上回った」という県教委の見解を伝えており、なかなかがんばったのだと思っていたら、さにあらずで、今日の朝刊では、上記の新聞のニュースと同じく、今回初めて公表された政令指定都市の成績が振るわなかったようだ。わが広島市は、どの程度に振るわなかったかというと、大阪に並んで、都道府県平均を、すべての科目で下回っているという、極めて不名誉な結果なのである。大阪府が最下位であることは、既に広く知られていたが、そこと肩をならべるレベルである。
もっとも、全国学力テストという、いわばコンテスト風の成績に、一喜一憂する必要は無い。生徒の学力保障ができていないなら、どこにその原因があったのかを教育科学的に明らかにして、対応策を講じなくてはならない。かつての大阪のように、成績の悪い地域、学校には、ペナルティを科す(予算を削減する)などという非科学的な対策を立てるようでは責任者は失格である。都道府県によっては、「平均点を10点上げるように」というような指示が出されるところがあるという。言語道断である。成績のすべてが教員の責任というストレスを背負うことになり、教育の本道が見失われる結果になろう。
ところで、今回の事実を、報道はどのように扱ったか。地方のテレビ局は、県教委に都合のよいもののみを報道し、広島市に不都合なものは報道しなかった。嘘を報道したのではない。不都合な部分を覆い隠したのである。しかし、これは虚偽報道と同じである。
新聞はどうか。我が家で購読しているM新聞の全国版(地方面・県内面を除く)では、政令指定都市のうち、特別に成績が悪かったのは大阪と広島であることを明示する記事がある。数字もあげて客観的に示している。
一方で、県内面では、県レベルでは、ごく一部の科目を除いて全国平均を上回る好成績であったことを報じている。県内面の貧弱さは、夙に感じ、批判的であったが、今回も報道機関にあるまじき扱いであるあ。広島県内版は、情報量が少ないだけでなく、偏っている。毎日書道展関係、高校、社会人野球関係の記事は自社広告に近いので、できるだけ大きく、他はできるだけ小さく、あるいは取り上げないというポリシーのようだ。何をニュースとして拾い上げるかは、新聞社の個性であり、自由であるが、そのことが、何を取り上げないのか、どういうバイアスを生み出すのかについての責任を帯びるということも認識してもらいたい。こういうことに深いところで関わっているのが試験科目の「国語B」である。全国平均も低いが、特に当地の政令指定都市が低いのであれば、新聞社ともども反省し、方策をたてなくてはならないだろう。