それ、問題です!

引退した大学教員(広島・森田信義)のつぶやきの記録

問答無用

2018-08-01 00:14:44 | 教育

  麻生財務大臣は、不用意な言動をすることで知られているが、この度、不祥事で辞任した事務次官の後任に、森友学園の公文書改ざん問題に関わって厳重注意の処分を受けた主計局長を当てることにした。この人事の適切性を記者に問われて、「人事権は、あなたではなく俺にある。」と開き直った。これは、問答無用の対応で、言語道断である。大臣は、省内人事については、何をしてもよいのか
  日本ボクシング連盟に対し、都道府県連盟の幹部と元五輪代表ら関係者333人の有志による「日本ボクシングを再興する会」がスポーツ庁や日本オリンピック委員会(JOC)、日本スポーツ協会などに告発状を郵送したという。
 メディアの報道によれば、まるで、マフィアのボスの如き振る舞いをしており、よくぞ関係者は、これまでこのような我が儘を容認したものと驚嘆する。およそコミュニケーションの相手にできる存在ではない。典型的な問答無用である。橋本大二郎・元高知県知事がMCを勤めるニュース・ショーで、「権力者の周りには、必ず、茶坊主がいるものです。」と言っていた。独裁者の存在を許すのは、周囲の人間(側近、知人等)の忖度や阿り、諂いとうのが原因である。いつの間にか、何でも好きなように言ったりしたりして反省することもなく、強権的な存在になってしまうのである。いわば、「裸の王様」の作り方なのである。
 日大、アメフト部問題についての第三者委員会の最終報告があった.その中では、理事長の説明責任を厳しく求めた。これまでの日大の態度を受けて、関東学生アメフト連盟は、改めて公式戦出場停止の処分解除はしないという決定を下した。選手たちには気の毒だが、良識的かつ常識的な措置である。
 第三者委員会の見解に対して、理事長は、「会見はしない」と発表した。これも問答無用である。おそらく、会見に耐える自信がないのであろう。知性、理性の世界の存在ではなさそうだ。
  四国のある町の町議会議員が、二日にわたって岡山の大雨災害被災地にボランティアとしてかけつけ、軽トラックを駆使して土砂の運搬に取り組んだ後、避難所に宿泊させてくれるように頼んだところ、避難所は、被災者専用であって、ボランティアの宿泊は、認められない。ボランティアは、「自己完結的」(という言葉だったように聞こえた)であることが前提であると、ケンモホロロだったようだ。議員は労働のあと、野宿するつもりでおり、野外で缶ビールを飲んだということで、酔いも手伝ってか40分ばかり押し問答をした末に、避難所である学校の廊下に寝ることを許可されたという。
 被災地のボランティアに対する姿勢は、被災が気の毒ということを考慮しても、なお、冷酷ではないか。損得の物差しを放り出して駆けつけた人達は、本来、「ねばならない」」という義務はない。ただ善意が原動力である。被災者の多くは、涙ながらにボランティアに感謝している住人も多い。前記の冷ややかな対応は、おそらく学校の管理者ないし、役所の人間だったのであろう。こういうことを知れば、ボランティアは激減するのではないかと心配である。なぜ、被災者とボランティアがともに汗を流し、励まし合い、いたわり合うという関係が成立しないのか。残念ながら、被災者側のごく一部に、問答無用の姿勢が存在したのであろう。
 この町議の所属する議会では、「品位を欠く行為が町の名誉を傷つけたとして、処分をする決議をする予定」というから、当該町議の善意に基づく行動は全否定されることになる。本当に気の毒である。処分などしてはならない。

   問答や議論は、単なる言語技術による行為ではない。当事者の人間性、認識力の水準
等、スキルよりも本質的な、人間の深部に密接な関係のある行為である。


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