師匠が面白い取り組みをやっている。ご紹介しようかと思う。まずもって師匠宅は米の専業農家、といっても最近は出荷はしていないそうな。採算が取れないとかで、専ら自家用や親族宅への配布等に留めているらしい。米栽培は自家薬籠中のものだが、野菜栽培も得意分野だ。それではタイトルの案件について。何処の農村でも同様かと思うが、地域に「水路」を張り巡らしている。当地も例外では無く、数キロ上流の河川から分岐した水流がくねくねと巡り我々の農地に至っている。つまり師匠の田圃や我々の畑が水系の末端に位置するのだ。水路はコンクリートで舗装されているが、長年の使用でかなりデコボコしている箇所もある。師匠はどうやらその点に目を付けた模様で、へこんだ部分には土が堪っており、場合によっては栽培も可能なようだ。いわゆる水耕栽培みたいな状況である。
師匠が着目したのが「クワイ」の栽培、クアイといえば水生植物で当地ではお節料理に欠かせない一品、中国原産で世界中で見られるようだが、飲食に利用するのは中国人と日本人のみだとか。ビー玉に尻尾が生えたような形状で、サイズもビー玉ぐらいだ。師匠宅では毎年お節に欠かせないようで、伝統的な南河内のお節料理を引き継いでおられるようだ。一度部分的に頂戴して食べてみたが、サトイモに似た食感だった。我が家のお節には登場してこない。山の神に聞いてみると、販売している状況もあまり見られ無いとか。栽培は7月頃の植え込みで晩秋の頃の収穫だとか。お節には季節的にも似合ってるのだろう。大阪では吹田市が有名なようだが、当地にまでは余り出回っていないようだ。吹田市の泥田も都市開発で減少して栽培が困難となってきたのかも知れないですね。
公共の水路を私的利用にとは・・・・・・との懸念もあるかも知れないが、上述のように我々の田畑は水系の末端、以後に水路を利用する農家は無い。水路自体を改ざんする訳では無く、水路に堪った土壌を部分的に活用させて貰うだけ、そう目くじらを立てる程の事でも無いだろう。むしろ珍しい植物の出現で、教育効果の方が大きいのでは無かろうか。過去にも小学生が覗き込み、親御さんに尋ねていたが返答に窮しておられた。若い家族にとっては、それほど希少性の高い植物なのかも知れない。