基本的に農園に樹木は植えないのが原則である。根の活動によって耕地を壊してしまうからだ。但し、例外もあって以下のような事情が想定される。①地権者の意思によっての植樹、②果樹畑などへの用途変更の場合、③廃村のような特殊な事情、等々である。今回のお話は①に相当するもので、気がついたら植え込まれていた。実は農園の隅の方に果樹木を植え込んだ一角があり、この地は地主殿の耕作地として区分している。其処に数本の果樹が存在するのだ。植樹の内容は柑橘類の植え込みで、いわゆる「挿し木」という手法で植えられていた。
現場にはユズの樹木があるので、その小枝を利用したものかと推定したが、切り跡は見られ無かった。どうやら自宅から持参されたもののようだ。「挿し木」は「枝挿し」という技術で、いわゆる根から離れた小枝を切り取り、地中に差し込むことによって発根させる方法論である。現場にあるユズが良く実り、毎年収穫においでの模様だから味を占められたのかもしれない。子狸が密かに頂戴する訳でも無く、鳥害に悩む訳でも無いので、安心されたのかも。
「挿し木」は1本かと思ったが、意外と多く数本の小枝が点在していた。全てが発根するわけでも無いので、安全策を取られたのかも。若しもの話だが、植え込みがうまくいって全部が発根したら、一寸窮屈な状況ともなってくる。結果的に数本は処分の可能性もあり、悩ましいところだ。「挿し木」されてから数日たつが、今のところ枯れ果てた様子は無い。無事に育ってる模様かと。
実はこの一角に植樹されると、子狸にとっては一寸悩ましい状況となってくる。子狸の耕地から見ると東の方角に当たり、とりわけ午前中の日照を阻害する原因とも成りかねないのだ。かといって地権者の事情もあり、植えないで、とも言えないだろう。折り合いを付けるしか無さそうだ。まあ柑橘類が実ってオレンジ色の景観が出現するのも悪くは無い。状況をポジティブに考えることにしましょうかな。それにしても植樹の内実はユズかな、温州ミカンかな。