時折、畑の中程にぽっこりと土まんじゅうが出現することがある。不思議に思われるかも知れないが、いわば正常な当たり前の光景と言ってもよろしいかと。実は「モグラ塚」と呼ばれる現象で、モグラが掘ったトンネルの残骸と言ったら良いだろうか。色んなパターンが存在するが、概ねは直径20センチ~30センチ位、高さが10センチ位の円錐形である。非常に柔らかい土が盛り上がっている。多くは連続して見られるようだ。
モグラの主食はミミズ、そのミミズを追って日夜走り回っている。彼らの行動は地下深く、トンネルを掘りつつの前進なのだ。従ってミミズが存在しない農地には「モグラ塚」は無く、別の表現をすると「モグラ塚」が存在する農地はミミズが豊穣な土地と言えるかも。ミミズの役割はブルドーザーに似ている。彼らの存在で土壌が耕され改良され、豊かな耕地として甦ってくる。ミミズの豊富な土地は良い農地なのだ。ミミズをコントロール出来れば耕耘の労も少なくなるかも。結果、ミミズの多い土地にはモグラが出没し、多くの「モグラ塚」が発生する・・・・・との因果関係となる。
ある意味モグラ塚の存在は有り難い現象だが、迷惑な一面も存在する。モグラがトンネルを掘り進むことで栽培物の根が切られたり枯れたりする現象が生じてしまうのだ。従って農家はモグラの存在を嫌がり、モグラ対策を講じることになる.一般的には風車を作って地下に振動を与え、地震の発生のような状況を作り出す。効果としては今一のようだが、無いよりはマシなのかも。畦道にヒガンバナを植え込むのもネズミ対策だがモグラ対策でもある。モグラの掘ったトンエルをネズミが再利用するからだ。
我々の農園にも時折[モグラ塚]が出現する。上述のように有り難くもアリ迷惑でもアリ、足で踏みつけてトンネルの破壊にと舵を切る。やはり作物が死滅するには耐えられない。モグラも死活問題かも知れないが、農家にとっては害獣、「モグラ塚」はいわばその象徴でもあるのだ。