古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

受診はお早めに・・(医師の働き方改革)

2024-03-11 14:30:25 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

皆さんはあまりご存じないでしょうが、
数年前から「医師の働き方改革」と称して
医師の労働時間を削減するという試みが政府主導で行われています。

管理人が研修医のころ、というか結構最近まで

当直明けに外来するとか
当直明けに日中手術するとか
手術後も病院に泊まり込んで、患者さんの管理を行うとか
休日も待機日ということで、病院から30分以内のところにいて、
オンコールで、よばれたらすぐに病院にやってくるとか

そういうことは日常茶飯事でした。

管理人はお酒を飲めないので、問題ありませんでしたが
オンコールの日は飲酒できず、つらい方もいたみたいです。

研修医のころは「あんたたちは一人前ではないので」という理由で
時間外手当も払われたこともないし
有給休暇というものが 世の中にあることは知っていましたが
取ったこともなく(当然産休とか、育休も含む)

学会は費用は個人持ちで行かされ、学会に伴う準備の時間は自己研鑽ということで
労働時間ではありません。
自分が発表したいなら、それは自己研鑽でもいいでしょうが
業務命令であっても、自己研鑽。

労働基準監督署は病院にくることはありませんでした。
医師の労働時間を削ると、患者さんを診れなくなるため、みんな諦めていました。
そもそも勤務時間内に発病するとはかぎりませんし・・

しかし日本の医療費が増大の一途をたどり、平均寿命が世界一になるのは
医者が働きすぎているせいだ!!と当局が思ったのかどうかは知りませんが

医師の働き方改革 ということで、
きめ細かい診療をすることができなくなるような労働法令の厳格な運用が始まります。
いよいよ今度の4月から、医師の残業規制を行わなければ、医療機関に労基法違反命令が下ってしまうことになり
どの病院も 救急医療や手術など 診療時間の延長をきたすようなことを縮小しています。

数年前から大きめの病院では救急外来を除く土曜外来を完全にやめて 医師の労働時間を減らし、
入院を伴う救急医療の引き受けもかなりの割合で断わってくるようになりました。

先日、管理人が時間外で見た患者さんは 結構重篤な脳の病気で
早急に手術をしなければ 死亡する病状でした。

しかも・・・

患者さんは3日前から症状があったのに
「本人がどうしても病院に行きたくないっていうから・・」とのことで

週末、しかも23時ごろに来院。

そこから病院探す・・・・

以前はなんとか 業界の献身的な体制で 「仕方ない」ってことで
大きな病院が引き受けてくれていたんですけど・・

今は「労基法違反」を理由に、高規格の病院が平気で断わってきます。

国民の皆様におかれましては

「時代が変わった」
「時間外に病気になったら、もしかしたら手遅れになるかもしれませんよ」

ということをよくよく自覚して

急に発病したのならまだしも、様子を見ていたら夜中になったとなっても、
治療を引き受ける病院がないかもしれません・・ということを
理解して 早めの行動を心がけることを肝に銘じてほしいです・・

交通事故とかも
交通ルールを全員が守っていたら、重大事故はまず起きません。

時間外 とくに夜遅くに重大事故をおこしたら、受ける病院がなくて
助からないかもしれません。

交通ルールも遵守して、時間外に医療を受けるようになることに
できるだけならないようにしてください。
そうすれば まだ救急医療を適宜 受けることが出来ると思います。

外来あるあるですが
週末 あるいは外来締め切り時間ぎりぎりに
「数日前」あるいは「朝から」の症状を主訴に
やってくる人が少なくありません。

医師の働き方改革が本格化する来年度以降は
そういう行動で不利益を受けるのは まちがいなく患者さんです。

注意喚起のため、ブログ記事にしました。

https://komori-hp.cloud-line.com/

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