古森病院@福岡市博多区です。
先般、日本尊厳死協会からお手紙が届きました。
日本尊厳死協会
http://www.songenshi-kyokai.com/
尊厳死を尊重する、受容協力医師リスト(あるいは施設)への登録依頼でした。
もちろん登録医師になることを表明し、文書をお返ししました。
ただ、自由記載欄に以下の文章を付け加えました。
①協会員の方で、日本尊厳死協会発行のリビング・ウイルをおもちの方、
あるいはご本人が公正証書で延命処置を希望されないことを書面化されておられる場合、
患者さんの意思を最大限尊重致します。
②ただし、少なくとも2週間以上の余命が見込まれる場合の栄養や水分補給、治療の差し控えなど、
当方が刑事罰(殺人罪、保護責任者遺棄など)に抵触する可能性がある場合は
治療の差し控えは致し兼ねる場合がございます。
③経口摂取がどうしても困難な場合な方への経口摂取のご要望も 誤嚥窒息の可能性が高くなりますので
致しかねる場合がございます。
過去の報道で見る限り、いわゆる積極的安楽死(医師が依頼されて、末期状態の方に心停止を来すような薬剤を直接投与すること)が
行われたケースでは、日本では行った医師は嘱託殺人罪で逮捕されているケースが多いです。
積極的安楽死に比して、いわゆる「治療の差し控え」に関しては、グレーゾーンで、公に行われた前例がありませんので
医師が刑事罰になるかどうか、実際に公表して行ってみないと分からない状態です。
亀田総合病院のALS(筋萎縮性側索硬化症)の方の人工呼吸器をはずしてほしいという要望がマスコミに出たのはずいぶん昔ですが、
一年以上に及ぶ話し合いを重ねた結果、院長先生が「医師が刑事罰となる可能性が払拭できない」という理由で 見送られました。
ちなみにこの病院には 管理人も2年ほど在籍しておりました。
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「呼吸器外し」苦悩の審議 (2008年10月8日 読売新聞)
鴨川・亀田総合病院 「委員会、荷重すぎる」
鴨川市の亀田総合病院の倫理問題検討委員会が、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の男性患者(68)の「意思疎通が出来なくなったら人工呼吸器を外してほしい」との
要望を尊重するよう院長に提言したことについて、同委員会委員長の田中美千裕・脳神経外科部長は7日、同病院が開いた記者会見で、「もし自分が患者、奥さん、主治医だったら、
どんな意見を持つか議論した」と説明。「委員会としては荷が重すぎる」とも述べ、苦悩の末の審議だったことをうかがわせた。
また、提言を受けた亀田信介院長=写真=は、呼吸器外しについては「刑事責任を問われる」と難色を示しつつも、「患者には治療を選ぶ権利があり、
それをどこまで尊重できるか、症例ごとの検討が必要だ」として、社会全体での議論の必要性を強調した。
男性患者の要望は昨年5月、電子メールで病院側に寄せられた。男性の家族によると、男性は現在、ほおの筋肉の動きでパソコンを操作して意思を伝達しているが、
これができなくなったら「精神的な死を意味し、耐えられない」としているという。
亀田院長は、同病院内外の医師らで構成される同委員会に要望への対応を諮問。今年4月、「倫理上の問題はない」とする提言がまとまったが、
審議の過程では慎重論も多く出されたといい、提言では刑事責任が問われる可能性や、患者本人の意向、機器の発達など状況変化の継続的な把握の必要性にも言及した。
終末期の延命治療を希望しない「尊厳死」は、現行法では医師が殺人罪に問われる可能性があるが、責任を問う基準が明確でないとの指摘もあり、
日本尊厳死協会などが「免責事項」を明確にする法制化を求めている。
男性の家族は「本人は議論されることを望んでいたので、委員会の提言を喜んでいると思う」と話した。
一方、ALSの専門医療に詳しく、厚生労働省研究班での班長を務めた中島孝・国立病院機構新潟病院副院長は
「現在の日本のALS患者は、将来に対する不安が非常に強い。まずは不安を取り除くよう、患者・家族の総合的なケア内容を改善すべきだ」と指摘している。
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この記事が出たのはもう7年も前のことですが、治療差し控えによる死亡について、医師の免責の話はでておりません。
それはもっともな話で、ケースバイケースなので、一律に免責になど出来ないのです。
また、ご家族(法定相続人)の意向も無視できません。いくらご本人が望んでおられても、ご家族も全員で
その方の意思を尊重されておられなければ、いくらリビング・ウイルをお持ちであっても、ご家族による刑事告訴、
損害賠償訴訟が頭をかすめる医療機関側は二の足を踏んでしまうのが現状です。
いざその立場になったら、気持ちがゆれるケースもあります。
いろいろ難しい場面の多い終末期ですが、それでも
リビング・ウイルを持ちつづけておられる方の御意向は最大限 尊重して参りたく思っております。
病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/
先般、日本尊厳死協会からお手紙が届きました。
日本尊厳死協会
http://www.songenshi-kyokai.com/
尊厳死を尊重する、受容協力医師リスト(あるいは施設)への登録依頼でした。
もちろん登録医師になることを表明し、文書をお返ししました。
ただ、自由記載欄に以下の文章を付け加えました。
①協会員の方で、日本尊厳死協会発行のリビング・ウイルをおもちの方、
あるいはご本人が公正証書で延命処置を希望されないことを書面化されておられる場合、
患者さんの意思を最大限尊重致します。
②ただし、少なくとも2週間以上の余命が見込まれる場合の栄養や水分補給、治療の差し控えなど、
当方が刑事罰(殺人罪、保護責任者遺棄など)に抵触する可能性がある場合は
治療の差し控えは致し兼ねる場合がございます。
③経口摂取がどうしても困難な場合な方への経口摂取のご要望も 誤嚥窒息の可能性が高くなりますので
致しかねる場合がございます。
過去の報道で見る限り、いわゆる積極的安楽死(医師が依頼されて、末期状態の方に心停止を来すような薬剤を直接投与すること)が
行われたケースでは、日本では行った医師は嘱託殺人罪で逮捕されているケースが多いです。
積極的安楽死に比して、いわゆる「治療の差し控え」に関しては、グレーゾーンで、公に行われた前例がありませんので
医師が刑事罰になるかどうか、実際に公表して行ってみないと分からない状態です。
亀田総合病院のALS(筋萎縮性側索硬化症)の方の人工呼吸器をはずしてほしいという要望がマスコミに出たのはずいぶん昔ですが、
一年以上に及ぶ話し合いを重ねた結果、院長先生が「医師が刑事罰となる可能性が払拭できない」という理由で 見送られました。
ちなみにこの病院には 管理人も2年ほど在籍しておりました。
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「呼吸器外し」苦悩の審議 (2008年10月8日 読売新聞)
鴨川・亀田総合病院 「委員会、荷重すぎる」
鴨川市の亀田総合病院の倫理問題検討委員会が、筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の男性患者(68)の「意思疎通が出来なくなったら人工呼吸器を外してほしい」との
要望を尊重するよう院長に提言したことについて、同委員会委員長の田中美千裕・脳神経外科部長は7日、同病院が開いた記者会見で、「もし自分が患者、奥さん、主治医だったら、
どんな意見を持つか議論した」と説明。「委員会としては荷が重すぎる」とも述べ、苦悩の末の審議だったことをうかがわせた。
また、提言を受けた亀田信介院長=写真=は、呼吸器外しについては「刑事責任を問われる」と難色を示しつつも、「患者には治療を選ぶ権利があり、
それをどこまで尊重できるか、症例ごとの検討が必要だ」として、社会全体での議論の必要性を強調した。
男性患者の要望は昨年5月、電子メールで病院側に寄せられた。男性の家族によると、男性は現在、ほおの筋肉の動きでパソコンを操作して意思を伝達しているが、
これができなくなったら「精神的な死を意味し、耐えられない」としているという。
亀田院長は、同病院内外の医師らで構成される同委員会に要望への対応を諮問。今年4月、「倫理上の問題はない」とする提言がまとまったが、
審議の過程では慎重論も多く出されたといい、提言では刑事責任が問われる可能性や、患者本人の意向、機器の発達など状況変化の継続的な把握の必要性にも言及した。
終末期の延命治療を希望しない「尊厳死」は、現行法では医師が殺人罪に問われる可能性があるが、責任を問う基準が明確でないとの指摘もあり、
日本尊厳死協会などが「免責事項」を明確にする法制化を求めている。
男性の家族は「本人は議論されることを望んでいたので、委員会の提言を喜んでいると思う」と話した。
一方、ALSの専門医療に詳しく、厚生労働省研究班での班長を務めた中島孝・国立病院機構新潟病院副院長は
「現在の日本のALS患者は、将来に対する不安が非常に強い。まずは不安を取り除くよう、患者・家族の総合的なケア内容を改善すべきだ」と指摘している。
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この記事が出たのはもう7年も前のことですが、治療差し控えによる死亡について、医師の免責の話はでておりません。
それはもっともな話で、ケースバイケースなので、一律に免責になど出来ないのです。
また、ご家族(法定相続人)の意向も無視できません。いくらご本人が望んでおられても、ご家族も全員で
その方の意思を尊重されておられなければ、いくらリビング・ウイルをお持ちであっても、ご家族による刑事告訴、
損害賠償訴訟が頭をかすめる医療機関側は二の足を踏んでしまうのが現状です。
いざその立場になったら、気持ちがゆれるケースもあります。
いろいろ難しい場面の多い終末期ですが、それでも
リビング・ウイルを持ちつづけておられる方の御意向は最大限 尊重して参りたく思っております。
病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/