ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

49  イザナギ・イザナミのオノゴロ島はどこ?

2009-06-16 06:51:35 | 歴史小説
熊野大社本殿(ウィキペディアより)


●ヒメ 9月20日19:00
こんばんは。今、「卑弥呼」でママと皆さんの消息を話していたところです。こちらのメンバーは、私とカントクとマルちゃん、ヒナちゃんです。

●ホビット 19:02
エルドラドに舞い戻っています。今日は楽しみです。

●長老 19:03
出雲の古代史好きが集まる松江の「八重垣」で飲んでいますよ。

●ボク 19:04
長野からの新幹線の車中です。21時には行きます。

●ヒメ 19:05
「天津」=津島から、「別天津」=出雲へとスサノオのルーツを追ってきましたが、今日はカントク待望の「高天原」を捜しましょうか?

●長老 19:07
待て、待て、急ぐでない。出雲でもう少しイザナギ・イザナミの謎解きをしておこうではないか、な~んて。カントクの芝居がかった口調でやると、きつくならなくていいですね。

●カントク 19:09
年寄りの知恵が少しは身についてきたのう。いよいよ、出雲の長老のお出ましじゃな。
ボクちゃん、車中から解説できるかな?

●ボク 19:11
山の中なので、通信がブチブチ切れています。ヒナちゃんにバトンタッチ、よろしくね。

●ヒナ 19:12
イザナギ(伊邪那岐)神とイザナミ(伊邪那美)神は、淡島をはじめとする14あまりの島を生み、35あまりの自然神を生みます。そして、死んだイザナミは出雲国と伯耆国の境の比婆山に葬られます。

●マル 19:15
長老ほどではないけど、私もこのあたりは仕事で少しは土地勘があるのよね。現在の比婆山は、出雲と備後の境の山です。しかし、伯耆(鳥取)の県境がすぐ近くですから、古代には出雲の斐伊川、鳥取の日野川、島根から備後に流れる江川、備中の高梁川の源流の山々全体を比婆山と言っていたのではないでしょうか。

●ヒナ 19:19
その後、イザナギは、イザナミが忘れられなくて黄泉国(よみのくに)に訪ね、腐乱したイザナミを見て逃げ帰り、黄泉比良坂から地上に逃げたとされています。古事記によれば、この黄泉比良坂は出雲國の「伊賦夜(いふや)坂」とされています。

●マル 19:22
「伊賦夜(いふや)坂」は、現在は松江市の東隣の東出雲町の揖屋(いや)町ですよね。確かにここにはイザナミを祀る揖夜(いや)神社がありますね。

●長老 19:24
揖夜(いや)神社は意宇(おう)川の元の河口付近にあります。この意宇川を上ると古代出雲の政治中心である出雲国府跡やスサノオを祀る神魂(かもす)神社や八重垣神社があります。さらに上流にはスサノオを祀る熊野大社(日本火出初之社:ひのもとひでぞめのやしろ)があります。

●ヒメ 19:27
古事記に最初にでてくるスサノオの歌、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」の舞台、神話探偵団のスタート地点にきましたね。

●ヒナ 19:29
西の神戸川や斐伊川流域の出雲大社が大国主を祀る中心なら、スサノオ信仰の中心は、この意宇川流域になります。

●ヒナ 19:31
熊野神社の祭神・熊野大神は、出雲国風土記では「伊佐奈枳乃麻奈子坐熊野加武呂乃命(いざなひのまなご くまのにます かむろのみこと)」、出雲国造神賀詞では「伊邪那伎日真名子 加夫呂伎熊野大神 櫛御気野命」となっています。この「かむろの命」=「くしみけぬの命」は、古くから「スサノオ」とされてきました。

●ヒメ 19:35
スサノオ探偵団としては、この地の謎をとかなければ、と長老は言いたいわけね。

●長老 19:36
そのとおり。この地こそ、日本神話誕生の地、という日向説を僕は支持している。
邪馬台国を「ザバタイコク」ではなく「ヤマタイコク」と読むなら、伊邪那岐・伊邪那美は「イザナギ・イザナミ」ではなく「イヤナギ・イヤナミ」になる。

●マル 19:39
なるほど。「イヤナギ・イヤナミ」は、この揖屋(いや)の地の神だったというわけなのね。

●長老 19:40
「な=那」は国、「ぎ=き」は城だから、イヤナギは「揖屋国の城」の王、という意味になる。

●マル 19:41 
怪しいわよね。やっぱり、日向勤氏って長老のペンネームじゃあないの?

●ボク 19:42 
ここに来て、急に沈黙を守るようになったカントクの方がもっと怪しいですよ。

●ホビット 19:43 
神話探偵団を立ち上げ、「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに」の歌を持ち出してスサノオ探しを始めようと言い出したヒメの自作自演説はどうかな?一番大事な「犯行現場」を避けて、「高天原」へ飛ぼうとしたのは怪しいですよ。

●ヒナ 19:46
恒例の犯人探しゲームに入ってきたようですね。私は、ヒメとカントクと長老の複数犯説です。あるいは、私以外の全員が共犯者?ってこともありうるかな?

●カントク 19:48
ヒナちゃんも、ノリがよくなってきたのう。「7人の侍」チームみたいになってきたぞ。

●ボク 19:49
大国主は「意宇(おう)川」の名前をとった「意宇国」=「大国」の主という説がありますよね。

●ヒナ 19:50
日向説では「葦原中国(アシハラノナカツクニ)」=今の中国地方から、四国・九州・近畿へと支配地を100余国に広げたことから「大国主」という名前が付いた、としていますね。

●長老 19:52
イヤナギ・イヤナミが最初に降り立った「オノゴロ(淤能碁呂)島」は、「意宇(おう)川」河口の揖屋(いや)の地の「ごろ(凝ろ=固まった)島」、「意宇の凝ろ島」という日向説は面白い。

●ヒナ 19:54
地元の長老が言うと、イヤナギ・イヤナミの国生み神話の原点「オノゴロ島」は意宇川の河口島、というのは説得力あるわよね。

●ホビット 19:56
船できた海洋民族が新たな拠点を築く時に、①先住者がいない未開の地で、②防衛上有利であり、③土壌が豊かで農耕に適している、という条件の河口島を選ぶのは、世界史の法則と言っていいと思いますよ。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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9 コメント

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神話と考古学の融合 (たたら)
2009-09-10 22:02:30
スサノオがアマテラスに天叢雲剣を渡したのは、出雲が大和へ鉄器を供給したという、考古学的な見地と対応するのではと思います。しかし出雲神にはスサノオとオオクニヌシという2人の大物の神様がいるのかというのは、弥生後期の出雲の状況を見ればわかります。島根県安来市を中心とする東部出雲王朝(スサノオ)と島根県出雲市を中心とする西部出雲王朝(オオクニヌシ)があったのです。東部出雲王朝は早期に発達し、長きに渡って繁栄しヤマトへの鉄器供給を行った。西部出雲王朝は東部の分家として発達したが、東部よりも発展しやがて、北陸あたりまでの日本海沿岸に渡る大国家を作りました。それで大国主といわれます。しかし、それより少し遅れて大和が発展し、西部王朝は短命に終わり、これが国譲りに対応します。一方、大和から見ても東部王朝は本宗家だったので、スサノオとアマテラスは兄弟と言う設定になっていますが、この事情のため滅ぼさなかったと考えられ、この子孫が蘇我氏のような大豪族になって行くと思われます。
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意宇や言わずや (須賀王)
2009-11-26 21:09:41
意宇っていまの島根県安来市あたりですね。なにやら考古学的にも重要ところで鉄器を製造した弥生遺跡が見つかっているみたいで、イザナミの神陵と呼ばれている比婆山があるらしいですね。
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島根観光希望No.1 (たたら研究家)
2011-01-30 14:13:03
 山陰島根の古事記がらみのお話は面白いですね。最近、加藤義成の古事記参究という古い本を手に入れることができましたが、非常に興味深い内容でした。
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古事記編纂1300年に思う (松江人)
2012-04-15 18:59:03
 やっぱり、島根県安来市の十神島(現在は十神山)がオノゴロ島だったのでは?神世の世界は十の神が出てくると古事記は述べています。それは七代の神々で、最後の代は日本列島や様々な神々をお生みになったイザナギとイザナミの神だ。そのイザナミのお墓も近くの比婆山というところにあるそうだ。なにしろ、今は陸続きのこの十神山が、古代において地続き出なかったという話は、なにかスタジオジブリの「千と千尋の神隠し」という幻想的なアニメをついつい思い起こしてしまう。
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人気化しそうですね。 (因幡人)
2012-05-06 13:26:22
 御明察ですね。そこは古事記によると出雲の根之堅洲国ということですが、これは十神島根之堅洲国がもともとフルネームだったと思われます。こうするとこのあたりの地図の形をみると意味が分かってきます。
 古代の人たちにとって、よっぽど神聖だった場所が、その後の歴史編纂をする者たちに不都合だったため、歴史から抹殺されたのでしょうね。
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ねこちゃんねる (三島)
2012-05-06 15:53:44
 まさに神道の極秘ですね。
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お見事! (歴史学ファン)
2012-05-06 19:05:54
嘗ての十神山は陸繋砂州の成りかけだったので、干潮では陸とつながり、満潮では水没する。これを島の根っこ、つまり島根っ子と呼んでいたというわけですね。これは古事記神話の言っていることがほぼ解明されたと見るべきでしょう。
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最高合金設計 (光子力研究所職員)
2012-05-06 21:16:21
 そのあと最強で偉大だといわれるスサノオノミコトが鋼製の大刀を発明したんでしょうね。
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日本の諸元 (古事記ファン)
2014-01-05 20:27:35
島根県の安来は古事記では根之堅洲国というところでスサノオの活躍地ですね。正確には十神島根之堅洲国となりますが長いので古事記では省略されています。この省略された、十神島というのは出雲国風土記では砥神島という陸繋島であったであろう現在の安来市の十神山です。この島は安来市のシンボルと見いわれ、きれいな円錐形をした小山ですが、古代の人たちにの崇敬した島だったらしいです。この十神というのはイザナギ・イザナミ以前の神々を指し、両神を含めその後の神代の時代と分けて神世と表現されます。この神世七代の十柱の神々が宿る神聖な島だったのだと言われています。ここは、中海という湾岸にあり、例えば淡島と古事記に見える島と認識しうる粟嶋が対岸の鳥取県米子市にもあり、ここがオノゴロ(淤能碁呂)島と考えると、近くに国生みの神、イザナミの神陵地、比婆山もあることから合理的なのではと思われます。
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