2月に入り毎日、海氷情報を確認しています。根室海峡に入ってくる流氷の動き
を見て、野付半島に届いてくれるか予測するのです。
おばんです。小太郎でごじゃります。
★ 流氷とともにやってくるコオリガモ ★
低気圧や高気圧の位置関係、動き、等圧線の幅や向き、風向きの予想、風の強さ、
大陸からの寒気団の強さ、など気になる情報がいっぱいあります。
流氷が来ると海上の景色が一変します。海と空しかない風景に氷群が入ってくる
と「彩」が加わり、美しさが数倍増加します。
早朝から夕方暗くなるまで、飽きることなく海を見ておられます。そこには
ドラマがいっぱい繰り広げられます。
中でも流氷の先端が流れていく時の喧騒です。氷の帯にたくさんの海ガモがつい
てきます。中でもコオリガモの群れが多いのにびっくりです。
10羽前後の群れから100羽以上の群れが流れていく氷群の先に回り、開いた
水面に降りていきます。
次々にやってくるコオリガモの群れを見ているだけで、眼が右往左往してしま
います。これだけのコオリガモが必死になり飛びまわるのは氷の下に、たくさん
の生き物がいて、流れるとともに一緒に動き回っているのだと理解できます。
流れ着いた流氷の下にたも網を入れるとクリオネがたくさん捕れます。流氷に
付着する植物プランクトを食べる動物プランクトンが豊富に発生し、それを食
べに集まるクリオネです。さらに甲殻類や小魚が集まっています。
氷につくカモと言われる所以です。コオリガモの学名は彼らの声や現れる状況
からつけられています。
学名の内、属名Clangulaは「アォー、アォーナー」という声、「やかましく騒ぐ」
「音が響く」から、種小名hyemalisは「冬」を意味するから付いています。
流氷とともに現れ、白と黒の羽色が氷に紛れる色、彷彿させる色から日本名の
由来になっています。
野付半島からコオリガモの行動を見ながら、コオリガモと命名した観察力に
感心します。英語名に比べるとずっと素晴らしい名前です。
今は、ちょうどカップリングの時季で群れは1羽のメスに複数のオスがまとわり
つく構成になっています。メスばかりの群れがいますが、そこには必ずオスが
飛んできます。
遠くから「アォ、アウー」「アオーナ」と哀愁を帯びた声が響いてきます。
オスがメスに呼び掛けるディスプレイソングです。群れで飛びまわり、着水する。
忙しい行動がもっとも楽しめる季節です。
流氷が無くなる頃、彼らは極北のツンドラ地帯に向かいます。