家に帰りましたら、若い衆が一人、義兄と話をしていました。
何の話かは分かりませんが、真剣な顔をしています。
彼は、池袋西口のビルの2階で、
奥さんと二人、和風スナックを経営していて、結構流行っていました。
彼は横に置いてあった、布袋を開け、小刀を出し、
『これから、出かけて来ます』と云い、覚悟を見せました。
小刀は鍔が付き、柄巻き紐は茶色で、江戸時代の高官が差している様な刀でした。
『止めろ、そんな事をして家族に迷惑をかけるな、我慢が必要な時もあるぞ』と、
義兄は止めました。
『コケにされて黙っていられません』
『コケにされても、我慢が必要な時もある。今回は引け、引く事も男だ』
若い衆は、黙ってうなずき2~3分沈黙の間があり、
『失礼します』と帰って行きました。
その後、義兄から、もめ事が有ったと云う話を聴きませんでしたので、
彼は、我慢して引いたのでしょう、
組もそうですが、家族にとっても良かったと思います。
この様な感じの脇差でした。