子供の頃はカビが生えた食品を見るのは普通だった。
味噌の表面、食パン、御飯、果物と様々な色と形のカビを見る事が出来た。
特に小学校の頃は先生が引き出しにしまったままのパンが殆どカビそのものになっているのをよく目撃したものである。
風物詩はやはりモチのカビだろう。
モチはカビが生えやすい食品で正月には何処の家庭でもカラフルなモチがあった。
我家は水の中に漬ける水モチというやり方で暫し保存した。
水を換えつつ10日位は大丈夫だったと思う。
ド田舎大学時代、例の立小便一族の家に正月過ぎに遊びに行くと
「おお、モチでも食うかや」
目の前に出てきたのはモチ箱。
パカンと蓋を開けると何処にモチが??
赤、黒、青、紫の山しか見えないが…
奴はストーブ上の鍋蓋を開けるとそのまま、カビを落とすでもなくそのままの塊をポンポン湯の中に投じたのである。
ぶわぶわっと鍋一面に広がるカラフルなカビ達は綺麗でぽわーっとカビ臭が立ち上がる。
ああ、いい匂いって訳あるかいや~!!カビ鍋か!!
どうなるんだと固唾をのんでみていると奴はお玉でカビモチを掬う。
「ほれ喰え」
と目の前の皿にカラフルカビモチを乗せるのだ。
どうやって喰うんだよ、これ?
実家なら砂糖醤油か黄な粉で食べるけどどうやらそんな物はなさそうだ。
奴はおもむろに容器を取り出すと中の砂糖をモチにぶっかけて食べ始めた。
砂糖…のみ
野蛮な一族だ、砂糖のみか。
食べた、甘いだけでカビ臭い食い物、いやあ凄いもの食べたなあ、もう要らんけど。
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